衝撃の事実が明かされる“脱ガンダム”シリーズ3作目|『Gのレコンギスタ Ⅲ 宇宙からの遺産』

出典:Gのレコンギスタ公式サイト

劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ 宇宙からの遺産』は、2014年にTVアニメとして放送された『ガンダム Gのレコンギスタ』に新規カットを加え、全5部作の劇場版として制作されたシリーズ作品の第3弾です。
2021年7月22日より全国の劇場で公開されました。

ポイント
  • 【ネタバレなし】混戦状態のストーリーを追いかけるために4大勢力の要点をおさえておこう
  • 【ネタバレあり】新作カットで描かれるキャラクターの心象に要注目

作品名 Gのレコンギスタ Ⅲ 宇宙からの遺産
公開日 2021年7月22日
上映時間 104分
総監督 富野由悠季

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4大勢力の要点解説

 

劇場版『Gのレコンギスタ』も第3弾に突入し、ストーリーが本格的に複雑になってきました。

私の前作までのレビューで説明したとおり、「とにかく情報量が多いので、おおまかな流れをおさえながら世界観を楽しむべし」という点は第3弾でも変わりません。

問題は第3弾で勢力が1つ増えて、前作まで敵対関係にあった勢力同士で手を組む展開があることです。

勢力が増えるとキャラクターも一気に増えるので、TV版を観ていない人はかなり混乱すると思います。

そこで、4大勢力それぞれの概要を簡単に解説します。これから観る人も、すでに観た人も以下の要点を確認しておけば「Gレコ」の世界をより深く楽しめると思います。

まず、「4大勢力」と言っていますが、主要国家は「キャピタル・テリトリィ」「アメリア」「トワサンガ」の3つです。主人公ベルリはキャピタル所属でしたが、アメリア軍の海賊部隊と行動を共にしています。海賊部隊にはトワサンガ出身者もいるため、アメリア軍でありながら中立的な立場で動く4つ目の勢力となっています。

勢力 所属 航宙艦名
1 キャピタル・アーミィ キャピタル・テリトリィ ガランデン
2 アメリア軍 アメリア サラマンドラ、ガビアル、ラトルパイソン
3 ドレッド軍 トワサンガ クノッソス、ギニアビザウ
4 海賊部隊 アメリア軍傘下だが中立 メガファウナ

以上が4大勢力。ストーリーは主人公ベルリの視点(=海賊部隊の母艦「メガファウナ」の視点)で描かれています。

「キャピタル・テリトリィ」「アメリア」は地球の国家。前作までは主に地球が舞台だったので、この2国家の争いが物語のベースでした。

「トワサンガ」は月の裏、スペースコロニー群で形成された国家。今作からおおまかに「宇宙」VS「地球」の構図となり、敵対関係が流動的に変わっていきます。

公式ツイッターで紹介されている勢力図は非常にわかりやすいので、以上の内容と併せてチェックしておくと混戦状態のストーリーを追いかけやすくなるはずです。

https://twitter.com/gundam_reco/status/1419900361423441924?s=20

前述のとおり、「Gレコ」は完璧に理解するよりも「世界観を楽しむ」というスタンスがおすすめですが、各勢力の関係性を意識しながら観ることでより深く楽しめると思います。

↓↓以下、ストーリーのネタバレを含む内容となります!

新作カットに要注目

ここまで国家や勢力について書いてきましたが、劇場版「Gレコ」第3弾の最大の魅力はキャラクターの心象描写だと思いました。

ドレッド軍率いるトワサンガの「レコンギスタ計画」が明らかになるなどストーリー本筋の部分で大きな進展がありましたが、それ以上にベルリとアイーダはトワサンガ生まれで、レイハントン家の姉弟であると発覚したことが重要な展開です。

そもそも、ベルリはアイーダに恋をしてアメリア軍の海賊部隊に加わりました。

好きになったお姫さまが血の繋がった姉弟だったなんて、某宇宙戦争映画の兄妹を連想してしまいますが、当然ベルリは大きなショックを受けます。

しかし、事実を知った直後はショックを受けた様子をほとんど見せません。

基本的に「Gレコ」に登場する子どもたちは感情を表に出さないことが多いです。

ネガティブな感情を表に出さずに抱え込む若者、という描写に富野監督の現代的な視点を感じます。

TV版では、基本的に朗らかなベルリが1人になったときにポロっと本音を漏らす様子が印象的でしたが、本作では思わぬ形で失恋したベルリが感情をあらわに、1人森の中で転げ回るシーンが追加されました

運命の巡り合わせを呪うと同時に、TV版を観ていた人にとっては「やっぱりこんなに苦しかったんだ…」と、ベルリの気持ちを知れて安心したような感覚もあります。ところが、森の中で転げ回って叫ぶ姿をノレドに見られてしまいます。

ノレドはベルリのことが好きで、でもベルリはアイーダに惚れていて、叶わぬ恋だったはずが予想だにしない展開で「勝って」しまいました。

もちろんこれでベルリと結ばれることにはならないので、嬉しいわけでもなく、かといって悲しいわけでもない表情をベルリに向けます。ノレドが本心を見せるシーンもTV版にはあまりなかったので、とても重要なシーンです。

ベルリにとってはかなり「気まずい」状況ですが、この追加シーンでのベルリとノレドの短い会話は声優お二人(石井マーク、寿美菜子)の高い演技力も作用して、感情の機微が伝わる素晴らしい人間ドラマとなっていました

レビューまとめ
  • 4大勢力の関係性を意識しつつ、「Gレコ」の世界観を楽しもう
  • ベルリやノレドの揺れ動く恋心や垣間見える本心に要注目