今は亡きモンキー・パンチ先生が手掛けた『ルパン三世』。
『LUPIN THE IIIRD』シリーズも、『次元大介の墓標』、『血煙の石川五右エ門』と、主要キャラクターにスポットライトを当ててきました。
そして今回の主人公は、タイトルにもある通り、世の男性を魅了する女盗賊・峰不二子。
不二子の頭の良さと妖艶さに魅了されながらも、彼女が口にする言葉のどれが嘘か本音か、関わる者も見る者も翻弄されていくでしょう。
また、峰不二子の敵となる不思議な男・ビンカムもまた魅力的すぎました!
そして、『LUPIN THE IIIRD』シリーズを繋ぐ一本の線が見えてきた気もします。
すると不思議なことに、シリーズの過去2作品ももう一度見直したいと思えてしまうマジック!
- 峰不二子の誘惑テクニックが詰まっていてヤバい
- 峰不二子に翻弄される男。しかし子供は…
- 峰不二子の嘘とは何であったのかを考えると、たどり着いた結果にゾッとする
今回はネタバレありでお送りします。
▼動画の無料視聴はこちら▼
目次
『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』作品情報
作品名 | LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘 |
公開日 | 2019年5月31日 |
上映時間 | 56分 |
監督 | 小池健 |
脚本 | 高橋悠也 |
原作 | モンキー・パンチ |
声優 | 栗田貫一 小林清志 沢城みゆき 宮野真守 半場友恵 |
音楽 | ジェイムス下地 |
【ネタバレ】『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』あらすじ・感想
今回の不二子はメイドであり母親?
今回の不二子のターゲットは、コドフリー・マイニングという会社から5億円を奪って逃亡するランディ。
そのお金は、息子のジーンの心臓の移植手術と、その後の逃亡ために調達したものでした。
しかし、5億円もの大金を盗まれたとなっては、社長のコドフリーも黙ってはいません。
もちろん、ルパンたちもその5億を狙います。
そのためには情報集め。
コドフリーの座るイスに盗聴器を付け、遠くで会話を盗み聞きするルパン。
そこでルパンは、ランディが家を爆発させ、金のありかを言わずに死んだと聞かされます。
しかし、ひとり息子のジーンはメイドと共に逃亡中。ということは、息子とメイドを捕まえればいいわけだと考えますよね。
メイドの名前は「峰不二子」。
あまりの手の速さに、ルパンもコーヒーを吹き出します。
相棒の次元から言わせれば、「またアイツか」ですよね。
ジーンやランディの前にいたメイドの不二子は、母性愛に溢れた優しい女性であり、賢く頼りになる人です。
ジーンが殺人植物「デビルズトランペット」を眺めていると、知識が豊富な不二子も、その花について話し始めます。
コドフリーからの刺客・ビンカムが送り込まれると、ランディはジーンを不二子に預け、家の中にガソリンを撒き、爆弾で自身の体と共に家を爆発させました。
手足が長く細身…この作品の登場人物はみんな細いんですが、その中でもよりシャープなビンカムは、爆発に巻き込まれても傷ひとつ負うことはありません。
その間に不二子はジーンを連れて逃亡。
追いかけてきたビンカムに苦戦しながらも、不二子はジーンを守ります。
そこにルパンがまあタイミングよく助太刀に登場。
5億が目当てなのだろうとは誰もが思いますが、不二子は違うと言います。
唯一の肉親であった父親を亡くし、かわいそうなジーンの母親になるのだと。
不二子さん、本気ですか?
タイトルにも「峰不二子の嘘」ってありますから、そう簡単に信用はできません。
不二子の武器は、復讐に燃える子供には通じない
ランディはビンカムに殺された。
憎しみが沸き上がるジーンの中に現れたのは「復讐」でした。
するとジーンは、ルパンに「父さんの仇をとってくれたら、5億円全部あげる!」
と、とんでもない交渉を持ち掛けてきたのです。
ルパンと次元は二つ返事で乗りますが、不二子はジーンを説得しようとします。
復讐なんて考えても意味はないから、その5億円で共に暮らしていこうと…。
あれ?やっぱり不二子、5億円狙っているなぁというのがもう分かります。
しかし、不二子の説得にジーンが応じるわけがありません。
なにせ相手は砂埃を撒き散らし、催眠術を自分にかけ、5億円のありかを聞き出そうとして来るビンカムです。
彼に追われたままでは5億円を持っていても、安寧の日は来ません。
なによりも父親を殺された恨みは大きいのです。
普段不二子が男に使う色仕掛けも、ジーンには通じません。
これには不二子も困ったことでしょう。
あなたのママになってあげると、一緒にお風呂に入ったりなどして距離を縮めようともしますが、お金目当てだと感じると、ジーンは不二子を信用しません。
その入浴シーンも…えっ、そんなに見せていいんですか?と思うくらいに。
あっ、R12だったんですね。この作品…。
峰不二子の特別な物語は、やっぱり年齢制限がかかります。
謎の男・ビンカム
ランディを殺し、5億円のありかを聞き出すため、ジーンと不二子を追いかける男・ビンカム。
肌も髪も白く、口や爪などが鋭い凶器になります。
しかし、ビンカムが自分の意思で動き出すことはありません。
コドフリーの部下であるカーラが催眠術で目覚めさせることで動き出すことができます。
凶暴ゆえに、命令がない時には拘束具を装着させられ、働くときにはカーラから木の実のついたベルトを渡されます。
長い腕に危険な爪。しかも、不二子の蹴りも通じないビンカム。
しかし、もっとも恐ろしいのは砂埃を起こし、目を見た相手に催眠能力をかける呪術的な力です。
「我が呪いにかかれ」と言われたジーンは、ビンカムに5億円のありかを吐かされかけます。
しかし、不二子が寸でのところで助けに現れるために、お金を隠している銀行のナンバーを言うことは防いできました。
ただ命令がされるままに動く危険な殺人人形ビンカム。しかも声は宮野真守。
魅力的すぎて仕方がなかったですねー。
そのビンカムも、不二子と対峙することで、変化が起きていくのでした。
お金の場所がわかれば手のひら返し!これが峰不二子!
何度も何度もビンカムから命を救われたジーン。
一時は不二子を泥棒扱いし(いや、泥棒なんですがね)、本当の母親じゃないと言って勝手な行動を取り、コドフリーに捕まりもしましたが、自分の記憶こそが、父・ランディの仇を討つための大事な武器だと言われ、考えを改めることに。
ジーンは不二子に5億円の暗証番号を教えます。
するとまあ、見事な手のひら返しです!
不二子はジーンをホテルに置いて出て行こうとします。
「部屋で待っていなさい」
と不二子が命じると、
「戻ってくるよね?」
不二子は何も答えません。嘘はつきたくないみたいです。
騙されたと気づくジーン。
行かないでと泣きわめくと、不二子は言い放ちます。
「これだから子供は」
これが彼女の本音?母親になると言った不二子はどこに?
やっぱり嘘?あの母性も嘘?
訳が分からなくなりますねー。これがまた面白いんです。
視聴者をも翻弄する、これが峰不二子です。
コドフリーの会社から逃げ出すときも、リュックにちゃっかり札束詰め込んで逃げる女ですから!
「悔しかったら強くなりなさい」
その身ひとつで男を誘惑し、多くのお宝を手に入れてきた女だからこそ言える言葉。
ジーンは何も言い返すことができず、不二子が出ていった扉を見つめるしかできませんでした。
ルパンと次元はとんでもないものを目にしてしまいました
ランディの敵討ちを依頼されたルパンと次元。
しかし、いつまで経ってもビンカムを倒してくれないことで、「仕事のできないおじさん」のレッテルを張られてしまいました。
いや、頑張っているんですよ。
車に乗っているところに、カーラの相方のラルクの車に押しつぶされそうになったり、車が不二子を追いかけると、ルパンはこれに張り付き、不二子を助けようとしたりしますからね。
鞭で叩かれるは催眠術をかけられるは、不二子に結局5億円は持っていかれるは…てんてこ舞いです。
しかし、不二子がごみ箱に捨てたメモが気になり、ランディの家の跡地を訪れたルパンたち。
何かを見つけた様子。
さらに、不二子を助けるためにコドフリーの会社に乗り込んだとき、彼が言った「ビンカムは安い買い物ではない」という言葉が気になったルパンは、とある場所を訪れます。
するとそこに見覚えのある人物。
それは『血煙の石川五右エ門』で登場し、ルパンたちの命を狙ってきた大男・ホークでした。
えっ、なんでここに出てくるの!?
ホークは前作で五右エ門と決着がついたはずなのです。
それがここに出てくることがおかしい!
しかも、事の真相をコドフリーに聞き出すため、もう一度会社に乗り込み吐かせようとすると、彼は目の前で狙撃されて死亡。
遠くから銃でコドフリーを撃ち殺したのは、『次元大介の墓標』で死んだはずのヤエル奥崎でした。
死んだ人間がどうしてここにいるのか、そしてここで浮かび上がってきたフレーズが、
「改造人間」
殺しのための改造人間を複数作り出し、裏取引として売買する。
さあ、こんなことをしているのは誰なのでしょうね。
『ルパン三世』の映画シリーズを知っている人なら、だれか予測がつきますが、本当にそこに当たるかどうかは、今後の『LUPIN THE IIIRD』シリーズを見ないとわからないかもです。
と、言いつつ、『次元大介の墓標』の最後に登場しているんですよね。
そして、ようやくここで言いたいことが!
どうして登場しない!五右エ門!
テレビシリーズでも登場回数が少なすぎます!
不二子とビンカム、どちらの毒が心を支配するか
5億円を奪い取った峰不二子。
それで姿をくらますのかと思いきや、なんとコドフリーの会社にこのことを報告。
「私をモノにしたいと思わないの?」
と誘惑されたビンカムは、自分を操るカーラを殺し、単身で不二子の元を訪れます。
いよいよ一騎打ち。
体術では明らかにビンカムの方が上です。
しかし、ビンカムの呪いの正体に気づいた不二子は、地面の下に設置した爆弾を爆発させ、砂地に雨を降らせたのでした。
するとビンカムは呪術を使えなくなりました。
そう、ビンカムの力は乾燥地帯にいるからこそ発動できるもの。
体の汗腺から毒物を噴出させ、催眠効果をもたらすのです。
その毒物こそ、最初に不二子とジーンが見ていた殺人植物・デビルズトランペットでした。
最初の花が伏線でこんなところに出てくるなんて…忘れた頃に出てこられて驚きです。
そして、不二子の色仕掛けに魅了された上、
「男のくせに意気地なし。これが効くのは人間だけ。」
「あなたは殺ししかしらない子供」
「私が欲しいと言ってごらん」
と言われ、不二子を求めた瞬間、胸を貫かれて死を迎えます。
殺人人形であれば、不二子の毒は聞かなかったでしょう。
その「毒」とは、「愛という名の媚薬」。
その言葉のチョイスをするのも、不二子らしく素敵です。
「ゆっくりおやすみ」
不二子とビンカムの闘いは、静かに幕を閉じました。
峰不二子の嘘
5億円も不二子も失ったジーン。
帰ってくるはずのない不二子を待つジーンの前に現れたのは、死んだと思われていたランディでした。
どうやら家の地下に潜れる扉に入り、爆発から逃れたみたいなのです。
家の跡を訪れたルパンもその扉に気づき、ランディは死んでいないことを察していました。
そもそもランディが5億もの大金を盗まなければ、ジーンをも巻き込むことはありませんでした。
ランディはジーンに謝罪し、彼のために必死に手術費を稼ぐことを決意します。
ジーンにとっては、ランディが生きていただけで十分なんでしょうがね。
5億円は、ふたりからの見返りと解釈して、結局不二子が独り占めです。
しかし、ビンカムと戦う必要はあったのかとルパンは思います。
これに対する不二子の答えがまた素敵です。
「私のことを忘れない男が、1人でも多い方がいいでしょ?」
こんな女性にどうしたらなれますかね?
ルパンの肩を借りて少し眠った後、ルパンが眠っている間にまた姿を消します。
嘘にまみれながらも、自分には嘘をつかない不二子でした。
『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
この作品のキャッチコピーにある「ヤバいぜ、不二子」というフレーズ。
映画を見る前は、不二子が危機的状況にあると思わされましたが、見終わってからは違います。
今回の不二子はヤバい。
本気の不二子を見た気がしました。
また、この映画は「前編」「後編」と分かれており、前編では次元も五右エ門も死んだり死にそうになったりしていたので、今回の不二子も…と思ったらそんなことはなく、ここもまた峰不二子という女に裏切られた感があって頭が上がりません。
- 本気の不二子がついた嘘に翻弄され、不二子の愛を男たちが求める
- 不二子を熟知しても翻弄されるルパンは相変わらず最高のパートナー
- ビンカム、ホーク、ヤエル奥崎。一本の線でつながる改造人間の物語は、あの物語に繋がっている可能性大!
最後に、作品が終わった後に浮かんできたこの言葉がなんかもう、感情が高ぶりました。
モンキーパンチより 愛を込めて
ルパン三世よ永遠に
ここも含めて!今回の映画だと思いました!
『LUPIN THE IIIRD』シリーズはまだ続くはずなので、次にどんな展開が待っているか楽しみで仕方がないです。
▼動画の無料視聴はこちら▼