“アナ雪”の愛称で親しまれる『アナと雪の女王』は、世界中で驚くほどの大人気作品となったディズニーのアニメーション映画です。
キャッチーで素晴らしい楽曲はファンタジー・ミュージカル映画にぴったり。
中でもLet it goこと「ありのままで」は、この先何年も愛されるナンバーとして、ディズニーの音楽史に間違いなく名を刻んだほどの大ヒットを飛ばしました。
続編も制作され、ディズニー屈指の人気作になった『アナと雪の女王』。
ダブルヒロインである2人のプリンセス、雪だるまのオラフなど、メインキャラクターも魅力的で美しい映像や音楽との相乗効果は抜群です。
- ディズニー史上初のダブルヒロイン、2人のプリンセスが登場するという画期的なファンタジーアニメーション映画
- とにかく楽曲が耳に残りやすく、思わず口ずさみたくなる名曲の数々。
- 魅力的なキャラクターとわかりやすい物語。歴代No.1ヒットも納得の作品。
それではさっそく映画『アナと雪の女王』をネタバレありでレビューしたいと思います。
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目次
『アナと雪の女王』作品情報
作品名 | アナと雪の女王 |
公開日 | 2014年3月14日 |
上映時間 | 102分 |
監督 | クリス・バック ジェニファー・リー |
脚本 | ジェニファー・リー |
原作 | ハンス・クリスチャン・アンデルセン |
声優(吹替え) | クリステン・ベル(神田沙也加) イディナ・メンゼル(松たか子) ジョナサン・グロフ(原慎一郎) ジョシュ・ギャッド(ピエール瀧) サンティノ・フォンタナ(津田英佑) アラン・テュディック(多田野曜平) キーラン・ハインズ(安崎求) |
音楽 | クリストフ・ベック |
主題歌 | イディナ・メンゼル/デミ・ロヴァート「レット・イット・ゴー」(英語版) 松たか子「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」(日本語版) |
『アナと雪の女王』あらすじ
氷と雪の魔法の力を持つアレンデール王国の王女エルサは、8歳の時に魔法の使い方を誤って、妹のアナを意識不明の重体にしてしまいます。
日増しに力が増していくエルサは、大切な妹を遠ざけ、手袋をつけて部屋に閉じこもるようになってしまいます。
それから10年。海難事故で両親を亡くした2人は、互いだけが唯一の家族になってしまいます。
エルサはその3年後に、アレンデールの女王として戴冠式を迎えました。
アナは戴冠式の招待客の一人であるハンス王子と出会い、その日のうちに結婚の約束まで交わします。
エルサとアナはそのことで口論になり、アナがエルサの手袋を奪ったことで、エルサの力が暴走。
隠していた魔法の力が、大勢の人にバレてしまいます。
エルサは王国から逃亡し、ノースマウンテンに魔法の力で城を作って、一人で生きていく決意を固めたのでした。
一方、アレンデール王国はエルサの暴走した魔法によって、永遠の冬に閉ざされてしまいました。
アナはハンスに城を任せて、たった一人でノースマウンテンに旅立ちます。
途中で出会ったのは、山男のクリストフと、相棒のトナカイ・スヴェン。そして魔法のゆきだるま・オラフたち。
エルサを連れ戻すため、氷の城に着いたアナたち。
しかし、エルサの魔法がアナの胸に当たったことで、アナの身体は徐々に凍り付き、そのままにしておくと死んでしまう事態に。
やがて明らかになるハンスの真の目的と、エルサの命を狙う存在。
果たしてアナとエルサは無事、故国アレンデール王国を救い、家族の絆を取り戻すことができるのでしょうか?
【ネタバレ】『アナと雪の女王』感想
『アナ雪』の魅力は、何と言ってもとにかく「歌」!
美しいアレンデール王国と、2人の対照的なプリンセス。
もともとのターゲット層である子どもたちだけでなく、大人も思わず引き込まれる映像美。
進化したCGで描かれる、エルサの魔法の壮大さ。魅力的なメインキャラクター。
『アナと雪の女王』が世界中で大ヒットした理由は、それだけではありません。
主題歌の『Let It Go』(日本では「ありのままで」)は、少女たちにも大人気でエルサの真似をして歌う子供もたくさんいたほど。
キャッチーな楽曲で、何よりこの主題歌の存在が一番大きかったのではないでしょうか。インパクトも最大級でした。
子供でも歌いやすいメロディライン、前向きな歌詞。
悩める人たちへの応援ソングとしても、広く受け入れられた「Let It Go」。
くりす
その上、楽曲に関しては他のナンバーも名曲揃い。
「雪だるまをつくろう」「生まれてはじめて」などなど。
ミュージカルシーンでのワクワク感が大きいのも、ひとえに楽曲が素晴らしいからでしょう。
くりす
今回の『アナ雪』では、ディズニー音楽の巨匠アラン・メンケンではなく、クリステン・アンダーソン=ロペスと夫のロバート=ロペスが主題歌などオリジナル歌曲の作詞・作曲を手がけています。
2人はその後『リメンバー・ミー』や『アナと雪の女王2』でも主題歌などを担当。
『リメンバー・ミー』の主題歌は、『アナと雪の女王』に続いてアカデミー賞の歌曲賞を受賞しています。
くりす
オラフという、とんでもないキラーコンテンツの誕生
『アナ雪』がヒットした理由の大部分は「歌」と「ダブルヒロイン」だと思うのですが、忘れてはいけないのがマスコット的キャラクターである、オラフの存在です。
意志を持った雪だるまで、ちょっとおバカさん。
しかし、とってもキュートで、勇気のあるオラフ。
くりす
ヒーローポジションかもしれないクリストフと、トナカイのスヴェンも面白いのですが、オラフには敵いません。
子供たちにもわかりやすい笑いを提供してくれる、素敵な雪だるまです。
オラフの魅力が全開な楽曲「あこがれの夏」は、誰もがつっこみを入れたくなること間違いなし。
くりす
正直少し弱いシナリオの力を、楽曲とオラフがカバーしていると言っても過言ではありません。
ディズニー・プリンセス映画のお約束でもある、可愛い魅力的なペットというかマスコット的な存在。
ヒロインであるプリンセスの友達(動物)が一番多く描かれてきた形ですが、話せる人間以外のキャラクターが出たのは『美女と野獣』や『リトル・マーメイド』くらいで、ほとんどが「話せないけれど言葉が通じる」といった描かれ方でした。
しかし、このオラフ。とにかく話します。
うざいくらい話して、まだ話して、歌って、踊って。
自らを犠牲にしてもヒロインを救おうとします。
アナとエルサの姉妹愛を象徴する、大事な存在。
くりす
恋愛だけではない、新たな愛の形も提示する画期的なプリンセス映画
今までのプリンセス映画のメインテーマはプリンセスの恋でもありましたが、『アナと雪の女王』ではプリンセスの一人であるエルサに恋のお相手は存在しません。
くりす
ただ、やはりディズニーのプリンセス映画には胸がときめくいわゆる胸キュン要素も求めたいところ。
その辺り『アナ雪』は、ダブルヒロインという特性を上手く活かしてきました。
恋愛パートが一応あるのは、妹であるアナのみ。
最初はとある王子に惹かれますが、エルサを連れ戻しに行く旅で、クリストフという青年と運命の出会いを果たします。
プリンセスのお相手が王子ではないことは今までにも何作かありましたが、『塔の上のラプンツェル』に続いて、今回の恋の相手も王子ではありませんでした。
くりす
対してエルサは自らの魔法の力を隠し、妹すら遠ざけて生きていました。
抑え込んでいた本当の自分を解放したエルサの姿に勇気づけられたのはマイノリティの人々だけではないはず。
対照的な2人のプリンセスの姉妹愛、家族の絆の強さと大切さ。
ありのままの自分でいいという多様性を認める世界の在り方を示す、現代社会への一つのメッセージ。
ディズニーのような大きな企業だからこそ、その時代に、社会に合わせたテーマを盛り込んでいくことの重要さを示した、そんな意義のある作品だったと思います。
『アナと雪の女王』は、昔の子供たち、とりわけ少女たちが夢見た王子様との素敵なラブロマンス路線から大きく舵を外れました。
待っていただけのプリンセスから、自ら運命を切り拓いていくプリンセスに変化していってはいましたが、時代はもう一段階進化することを求めていたのでしょう。
くりす
ディズニー・プリンセスといえば、幼い子供たちの憧れでもあります。
テーマパークで好きなプリンセスのドレスを着たり、おもちゃやグッズを集めたりする子供たちは世界中にたくさんいます。
多種多様のキャラクターグッズが売れることは、ディズニーという企業にとっても大事なことですしね。
神秘的な美しさと不思議な力を持つもののどこか脆さを感じさせる姉のエルサと、元気で明るく一生懸命、姉が大好きでここぞという時の強さを見せる妹のアナ。
対照的な2人のプリンセスは、それでいてどちらも大変魅力的なプリンセスで、熱狂的な『アナ雪』ファンを生みました。
エルサがマイノリティのシンボルにまでなったことは、ディズ二ーにしても計算外だったのではと思いますが、それでもエルサというキャラクターや「Let It Go」に励まされた人たちの声は、とても大きいものでした。
続編を期待する声がとにかく多かったのも確か。
そして爆発的に売れたコンテンツをディズニーがそのままにしておくはずがないのも、また確かなことでした。
2015年公開の実写『シンデレラ』と同時上映された『アナと雪の女王 エルサのサプライズ』は上映時間は8分と短めでしたが、仲良し姉妹にほっこり。エルサの可愛さが爆発した短編でした。
その後、日本では2018年公開の『リメンバー・ミー』と同時上映だった『アナと雪の女王 家族の思い出』は、何と22分の上映時間があり、オラフの冒険がたっぷり堪能できます。
くりす
そうしてついに長編の続編『アナと雪の女王2』は制作されましたが、続編ができるまでの現実社会が変化したように『アナと雪の女王2』は、従来のプリンセス映画からまた進化した新しいプリンセス映画に仕上がっています。
『アナと雪の女王』まとめ
以上、ここまで映画『アナと雪の女王』をネタバレありでご紹介させていただきました。
- レリゴーのインパクトは抜群。ディズニーソングに外れなし。
- オラフという存在の破壊力は、ディズニー映画屈指のもの。
- 真実の愛は必ずしも、王子様の愛だけではないという、ディズニーアニメーション・プリンセス映画の転換点になる作品。
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