「同じ天を仰ぎ、同じ夢を見ていれば…それでいい」
朝鮮王朝第4代王「世宗」、現在の韓国でも「大王」として知れ渡っている偉大な人物で、現在、朝鮮半島で使われている言語・ハングルは、世宗の作った「訓民正音」が由来です。
生涯、国のために、そして民のためにすべてを注いできた世宗を側で支えた人物がいました。
その名は、チャン・ヨンシル。
ヨンシルは、奴婢でありながら豊富な科学知識と天文学の才能を持っていたため、世宗が生涯「友」として認めた人物でもありました。
この時代の天と地ほどの身分の差を乗り越え、互いに特別な存在となる2人はずっと「同じ夢と希望」を見ていられるのでしょうか?
日本での韓国映画ブームの火付け役となった名作『シュリ』での初共演から20年以上の歳月を経て、ハン・ソッキュ&チェ・ミンシクの名優2人の再共演が実現!
そして監督は、ペ・ヨンジュン主演『四月の雪』や『ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女』の名匠ホ・ジノ。
他にも、ホ・ジュノやキム・ウォネ、キム・テウなど脇を飾る俳優も豪華です。
- 未だ「大王」と呼ばれている「世宗大王」とは?
- 奴婢から高官へ上り詰めた世宗の”親友”チャン・ヨンシルとは?
- 名作『シュリ』から20年の時を得たハン・ソッキュ&チェ・ミンシクの絆
それでは『世宗大王 星を追う者たち』をネタバレありでレビューします。
目次
映画『世宗大王 星を追う者たち』作品情報
作品名 | 世宗大王 星を追う者たち |
公開日 | 2020年9月4日 |
上映時間 | 133分 |
監督 | ホ・ジノ |
脚本 | ホ・ジノ |
出演者 | ハン・ソッキュ チェ・ミンシク シン・グ キム・ホンパ ホ・ジュノ キム・テウ キム・ウォネ |
【ネタバレ】映画『世宗大王 星を追う者たち』あらすじ
天と地ほどの身分差を超えた「真の男の友情」
『世宗大王 星を追う者たち』は、民のために朝鮮を独立した国として繁栄させたい王・世宗と、同じ夢を見る王をそばで支え、奴婢から高官に出世した天才科学者チャン・ヨンシルの「真の男の友情」を描いた物語です。
そして世宗役のハン・ソッキュとチャン・ヨンシル役のチェ・ミンシクも、20年来の友情を育んでいます。
かとリーニョ
朝鮮が明の支配下にあった時代、民のために・国のために、自立した朝鮮を目指して日々政務に励んでいた世宗は、とある場所で雑用係として働いていたヨンシルに出会い、奴婢でありながら天才的な科学の知識を持つ彼に目をつけます。
大きな夢をヨンシルの才能に託した世宗。
ヨンシルも大きな夢のある王様のために、朝鮮独自の「水時計」や天文観測機器などを次々に発明していきます。
それにより、「朝鮮独自の暦」を手に入れた朝鮮王朝は、民に正確な時刻を知らせ、農業にも大きな発展をもたらしました。
この功績がきっかけでヨンシルに絶大なる信頼を寄せることになった世宗、そこから2人には「真の友情」が生まれるのです。
日頃から夢や希望を追い続ける反面、王宮での派閥争いや陰謀などで究極の選択せざるを得ない生活を送る世宗にとって、ヨンシルは唯一信頼できる存在でした。
かとリーニョ
いままで築きあげてきたチェ・ミンシクとハン・ソッキュの友情にも重なります。
ヨンシルを心から受け入れる仲間と妬む重鎮たち
奴婢から高官となったヨンシルは、雑用係から皆を仕切る立場になりますが、すぐには慣れません。
その姿をほほえましく受け入れる人もいれば、妬む人もいます。
ですが、高官になっても変わらないヨンシルの仕事ぶりと高度な技術や知識により、妬みの目で見ていた同僚たちもヨンシルを尊敬し信頼していくようになります。
ですが、王宮の重鎮たちはヨンシルを決して認めようとはしません。
重鎮たちは王様からヨンシルを引き離そうと、世宗の計画とヨンシルが制作している全ての発明品を明に報告します。
朝鮮を「配下」としている明は、世宗もヨンシルのことも黙ってはいません。
ヨンシルは、世宗に会うことも許されず、世宗の輿を作る部署に異動させられます。
そして世宗はヨンシルの作り上げた天文観測機を断腸の想いで、明の使者の前で焼き払います。
かとリーニョ
それでもヨンシルと共に汗水かいて働いた同僚たちは、彼の人柄の良さや働きぶりも全てを認めて、応援していましたし、実は重鎮の中にもヨンシルを心から認めていた人もいたのです。
ですが、身分の差の激しい時代、実力だけでは上にはいけない時代でしたので、世宗の対応が王宮内で波乱を呼ぶことになってしまいました。
かとリーニョ
2人の行っていたことは決して私欲のためではなく、全て「民のため」のものです。
しかし、そんな2人にさらなる悲劇が起こってしまいます。
同じ天を仰ぎ、同じ夢を見ていればそれでいい
ヨンシルの力作を断腸の思いで焼き払った世宗は、ヨンシルを陥れようとする重鎮たちの計画を止めることができなかったと、落ち込みます。
そして、もうこの時点で王としての威厳がなくなったと感じた世宗は、息子の世子に譲位すると言い出しますが、朝廷内部で猛反対を受けます。
それでもこれを機に療養に入るとし、大雨の中を輿に乗って王宮を離れる世宗ですが途中で輿が壊れる大事故に遭ってしまうのです。
かとリーニョ
世宗の輿を作ったのは左遷されたヨンシル。
実は世宗はヨンシルを守り抜きたい一心で、わざと輿に細工を施し壊れるように仕向けていたのです。
この大事故でヨンシルが責任を問われる可能性を考え、その騒動の中で背後で誰が動いているのかを調査して暴きヨンシルを守ろうとしていました。
その計画を直接世宗から聞いたヨンシルは、自らが矢面に立つことで世宗を守り抜くことができる、そして世宗の夢が実現できると考え、世宗の思惑とは違う方向に動きます。
ラスト、ヨンシルは世宗の前で「私がやりました!早く処罰を!」と叫びます。
言葉ではなく目と目で会話し思いを伝える世宗とヨンシル。
かとリーニョ
この表情だけの無言の芝居は、身分の差を超えた大きな友情の証を伝え、感動のラストとなりました。
【ネタバレ】映画『世宗大王 星を追う者たち』感想
身分の差のない平等な国を目指して
かとリーニョ
今でも韓国映画界の第一線にいる2人の長年の「友情」も、この映画をさらにいいものにしていたと思います。
今の時代に世宗とヨンシルが生きていたら2人のように「真の男の友情」が実現できていたのではないでしょうか?
かとリーニョ
そして2人の夢はみんなが平等になること。
世宗の創ったハングルは、すべての民が読み書きをできるようにするためのものです。
今では朝鮮半島のすべての人々が読める・書ける言葉となっており、長い年月をかけて世宗の想いは実現しました。
そして今でも世宗は「大王」として尊敬され、ソウルの街中には大きな石像があり、「世宗大路」や「世宗特別自治市」として地名にもなっています。
かとリーニョ
映画『世宗大王 星を追う者たち』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
『世宗大王 星を追う者たち』
科学者と王という身分の枠を飛び越え交流を深めた二人🤝
ハン・ソッキュ、チェ・ミンシクの二人の息の合った演技は、
友情以上の何かを感じさせ韓国では「ブロマンス」映画とも呼ばれて話題に…🎇https://t.co/H4m7U1WDYc pic.twitter.com/K2ptzjLFKX— 映画配給会社ハーク公式 (@HARK_COMPANY) September 3, 2020
以上、ここまで映画『世宗大王 星を追う者たち』についてご紹介させて頂きました。
- 最後まで「真の友情」を守り抜いた世宗とヨンシルに感動
- 常に「みな平等」の信念で夢を追い続けた2人
- 世宗は、現在も韓国国民の「大王」として親しまれている