Netflix製作の映画『フィール・ザ・ビート』。
ディズニー・チャンネルのオリジナル・ムービー『ディセンダント』シリーズで、メインキャストの一人である“白雪姫に登場する悪の女王の娘”・イヴィを演じ、若い世代を中心に人気を集めているソフィア・カーソンが主演を務めた作品です。
ブロードウェイでダンサーとして大成することを夢見ている主人公・エイプリルが、ある大失態を演じてしまったことをきっかけに故郷である田舎町に出戻り、地元の子供たちの講師としてダンス・コンテスト出場を目指すことになります。
故郷の人々との交流を通して成長していく主人公の姿を描いたハートフルなダンス・ムービーです。
今回はそんな映画『フィール・ザ・ビート』をネタバレありでご紹介します。
目次
『フィール・ザ・ビート』作品情報
作品名 | フィール・ザ・ビート |
配信開始日 | 2020年6月19日 |
上映時間 | 109分 |
監督 | エリッサ・ダウン |
脚本 | マイケル・アームブラスター ショーン・クー |
出演者 | ソフィア・カーソン エンリコ・コラントーニ デニス・アンドレス マリッサ・ジャレット・ウィノカー ウォルフガング・ノヴォグラッツ ドナ・リン・チャンプリン レックス・リー |
音楽 | リンダ・コーエン |
【ネタバレ】『フィール・ザ・ビート』あらすじ
ニューヨークから田舎町へ
ブロードウェイの舞台でスターになることを夢見ているエイプリル(ソフィア・カーソン)は、オーディションに向かうために大雨の中でタクシーを捕まえようとします。
自分と同じくびしょ濡れになりながらタクシーを捕まえようとしていた老婦人(パメラ・マクドナルド)から横取りしてタクシーに乗り込み、老婦人はその場に取り残されてしまいました。
無事にオーディション会場に到着したエイプリルは、完璧なダンスを披露して見事オーディションに合格。
しかし、ステージに現れた責任者は今朝エイプリルがタクシーを奪い取ったあの老婦人でした。
老婦人は「自分が生きているうちはオーディションに受からないようにしてやる」と言い放ち、エイプリルに立ち去るよう命じます。
諦めきれないエイプリルは老婦人の手を取り、せめて話を聞いてほしいと懇願しますが、その拍子にステージ上から突き落としてしまいました。
結果、不合格となってしまいます。
さらに、不合格になるに至った一部始終を他のオーディション参加者によって盗撮され、その動画がネット上に出回ってしまうという最悪の事態に陥ります。
これをきっかけにエージェントからも見放されたエイプリルは、有名なプロデューサーであるウェリー・ウォン(レックス・リー)の元に出向いて自らを売り込もうとしますが、計画は不発に終わり、意気消沈。
自宅へ戻ると、退去通告の知らせが届いており、どうしようもなくなったエイプリルはアパートを立ち退き、故郷であるウィスコンシン州の田舎町・ニューホープに戻ることにしました。
教えることの難しさ
ニューホープに戻ったエイプリルは、昔通っていた地元のダンススクールの講師であるバーブ(ドナ・リン・チャンプリン)と、スーパーで偶然再会します。
バーブはエイプリルが帰ってきたことに驚きと喜びの表情を見せますが、過去のプライベートなことまで知っていてベラベラと話をされる地元の雰囲気に、エイプリルはうんざりした様子を見せます。
ダンススクールの様子を見に来てほしいという申し出にも適当な理由をつけて断りますが、父親のフランク(エンリコ・コラントーニ)に促され、渋々ダンススクールへと足を運びました。
ボロボロのスタジオの受付に飾られた自分の新聞記事の切り抜きや写真を見つけたエイプリルは、ニューヨークでの挫折経験を思って胸を痛めます。
ダンススクールの生徒たちは、個性豊かですがダンスは下手。
コンテストを目指していると言いますが、到底そんなレベルではありませんでした。
バーブはエイプリルに子供たちの講師として一緒にコンテストを目指してほしいと頼みますが、エイプリルはすぐに辞退します。
しかし、コンテストの審査員にウェリー・ウォンがいるということに気づいたエイプリルは、彼の前で踊る機会を手に入れるため、講師を引き受けることにしました。
エイプリルは子供たちに厳しいレッスンを開始します。
きつい言葉を浴びせ、休憩を取らせず、無駄口を叩いた子にはその場で腕立て伏せをさせました。
聴覚障害の子のことを“手話の子”と呼び、他の子供たちのことも見た目のまま、“メガネ”、“二つ結び”などと呼んで、名前を覚える気すらありません。
唯一名前で呼ぶ相手は、元カレのニック(ウォルフガング・ノヴォグラッツ)の妹であるサラ(エヴァ・ハウゲ)だけでした。
実は、エイプリルはメール一つでニックに突然別れを告げ、ニューヨークへ旅立ったという過去を持っています。
エイプリルに憧れてダンスを始めたサラは、その時ニック同様に傷ついたのでした。
そんなこともあり、厳しいレッスンを受けたサラはエイプリルに反発します。
他の子供たちからも反感を買ったエイプリルは怒ってレッスンを投げ出してしまいました。
すると、エイプリルが伝えきれなかったことを、バーブが優しく丁寧に、子供たちに解説する場面に遭遇します。
完璧を求めすぎて、自分以外の人のことを考えられなくなっていると気づかされたエイプリルは、もう一度子供たちと向き合おうとするのでした。
コンテストへ出陣!
厳しいレッスンの甲斐あって、ニューホープ・ダンスチームはコンテストの予選を突破していきます。
メキメキと成長を遂げる子供たちに負けないくらい、エイプリルも講師として、成長しようとしていました。
一人一人の名前をきちんと呼んで指導し、聴覚障害の子のために手話を学び、それぞれとコミュニケーションを取りながらレッスンに励みました。
この頃には、エイプリルと子供たちの絆が深まっただけでなく、バーブをはじめとする子供の親たちもレッスンに協力するようになっていました。
町が一丸となって、ニューホープ・ダンスチームを応援しているのでした。
そんなある日、ボロボロだったダンススタジオの天井が悪天候の影響で崩れ落ちてしまいます。
そのため、ニューホープ・ダンスチームは練習場所をフットボール場へと移していましたが、最終的にフランクが持つ納屋に移すことになりました。
フランクから納屋の修理を頼まれていたニックがエイプリルの練習中に顔を出したり、思い悩むエイプリルをニックが励ましたりと、ダンスチームがコンテストのステップを進めるにつれて、二人の距離は再び縮まっていくのでした。
順調に思えたニューホープ・ダンスチームでしたが、ある予選でエイプリルが不調に陥ります。
本番直前に他チームのダンサーからニューヨークでの失態を思い出させるようなことをいわれ、挑発されてしまったからです。
エイプリルは自身の挫折経験とともに、ダンスチームの子供たちを自分のキャリアのために利用しようとしていることを思い出してしまいます。
動揺したエイプリルは本番中に転倒しますが、チームの一人が演出の一つだと思わせるようなアドリブで対応し、ことなきを得ました。
そのおかげもあって、チームは決勝戦への進出を決めます。
しかし、ここで新たな問題が発生。
決勝戦で使用する新しい衣装や、会場があるアトランティックシティへの旅費が足りないのです。
エイプリルはニューヨークにいる親友・デコ(ブランドン・カイル・グッドマン)を呼び出し、衣装を作ってもらえるよう頼みます。
子供の親たちはアトランティックシティに向かうのに十分な資金をどうにか調達し、何とか決勝戦への準備を進めるのでした。
私たちは家族なんだって
アトランティックシティに到着したチームは、最終パフォーマンスに挑みます。
講師と子供たちが共演するステージでは手話を取り込んだ振り付けを披露し、とても高く評価されました。
審査員として参加していたウェリー・ウォンは、エイプリルのダンスに感銘を受け、自らがプロデュースする新しいブロードウェイのショーに主役として出演しないかとスカウトします。
ショーのリハーサルをするため、すぐにニューヨークへ向かうというウォンとともに、スカウトを受けたエイプリルもコンテストを去ります。
サラとニックは引き留めましたが、エイプリルは過去と同じように自分のことだけを考え、再びニューヨークに旅立ち、チームの空気を壊してしまうのでした。
翌日、エイプリルは自分がした判断は間違いだったと気づき、ニューホープ・ダンスチームの最後のステージを見届けたいとウォンに宣言します。
リハーサル会場から飛び出したエイプリルは、またしてもデコを呼びつけ、デコのスクーターでアトランティックシティまで送ってもらいます。
エイプリルはバーブと合流し、最後のステージを放棄しようとしていた子供たちと舞台袖で再会。
自らの過ちを謝罪し、子供たちのことを誇りに思っていることや、美しいダンサーたちだと認めていることを素直に伝えます。
そして、振り付けにもなっていた手話で子供たちに語りかけます。
「私たちは家族なんだって気づいたの」と。
エイプリルと和解した後、ステージに飛び出していった子供たちは、素晴らしいパフォーマンスを披露します。
舞台袖から見守るエイプリル、バーブ、デコは、その様子を微笑ましく見ていました。
エイプリルはバーブから「ニックは来ていない」と知らされ肩を落としますが、その途端メールが届きます。
メールに書かれていた指示通りに後ろを振り返ると、そこにはニックがいました。
エイプリルとニックは熱いキスを交わし、お互いの気持ちを確認し合うのでした。
後日、ウォンはリハーサルを放棄したエイプリルをそのままショーの主役に起用しました。
エイプリルは見事にブロードウェイで主役を務めるという夢を果たしたのです。
現在はニューヨークでウォンのショーに出演しながら、ウィスコンシンにいるダンスチームにビデオチャットでレッスンを行い、週に一度は帰省して直接教えるという生活をしています。
ある夜、公演後にエイプリルの楽屋にやって来たウォンは、エイプリルにお客さんが来ていると言います。
いわれるがまま客席に向かってみると、そこにはニューホープの仲間たちがいました。
どうやらウォンが招待してくれたようです。
エイプリルは喜んでみんなを迎え、一同はニューヨークの夜の街でダンスを楽しむのでした。
『フィール・ザ・ビート』感想
ステレオタイプを支えた二つの要素
自己中心的で完璧主義な主人公が夢を叶えるために上京し、挫折を経験して故郷の田舎町に出戻るというあらすじは、実にありきたり。
故郷が小さなコミュニティであるが故にうんざりしてしまうようなことがあったり、閉塞感を感じてしまったりというのも、よくあるパターンです。
urara
エイプリルの地元であるニューホープも、もれなくこのタイプ。
地方から上京した経験がある方なら、大都会・ニューヨークに暮らすエイプリルがうんざりした様子を見せるのが、彼女の性格のせいだけではないことがわかるのではないでしょうか。
プロを目指していた人物が教える立場に回るというのもよくある話で、何となく展開が予想できたり。
実際に、トントン拍子にことが進んでいくご都合主義感が否めない作品ではあります。
そんなストーリーも設定も展開もステレオタイプでベタなのが、この『フィール・ザ・ビート』の良いところでもあります。
urara
とにかくソフィア・カーソン演じるエイプリルが美しくて美しくて、文句のつけようがありません。
スタイルの良さとしなやかな動きがマッチしていて、頭から爪先まで洗練されたようなパフォーマンスには驚かされます。
urara
踊るソフィア・カーソンを観るだけでも、この作品を観て良かったなと思えてしまいます。
そして、子供たちのダンスシーンも素晴らしいです。
一人一人がとても上手!というわけではないのですが、年齢も体型も個性もバラバラな子供たちが楽しそうに踊る姿には、否応なしに目を奪われます。
特に、メンバー唯一の男の子であるディッキー(ジャスティン・アラン)の魅力は、言葉にするのが難しいです。
urara
こういった魅力的なダンスシーンがあるだけで、ステレオタイプな作品が一気に個性的な輝きを見せ、もう一度観たいなと感じさせます。
さらに、ただのダンス・ムービーでは終わらせないぞ!という製作側の想いを感じるのが、親たちの存在。
エイプリルは幼少期に母親が出て行ってしまったため、大人になった今でもそのことが心から離れず、ブロードウェイでスターになったら母親が戻ってくるかもしれないと並々ならぬ思いを抱えていました。
urara
大人になると距離が近すぎてうんざりすることもあるけれど、親身になってくれる家族以外の大人が身近にいるというのは良いことだと思います。
ダンスチームの子供たちの親は本当にそういう人物ばかりで、レッスンを見に来て子供より先に振り付けを覚えてしまったり、レッスン中に熱心になるあまり大声を出してしまい、エイプリルに腕立て伏せをさせられたり、自分の子供以外の面倒もきちんと見たりととても温かいです。
家庭の事情からコンテストへの参加を反対する親の存在も描かれますが、子供の意思表示にしっかりと向き合い、最後には協力的になっていきます。
urara
ステレオタイプで、トントン拍子に進みすぎるストーリーは物足りないという方もいると思いますが、綺麗事だらけでもいいじゃないか!綺麗事が通る世界が幸せじゃないか!と自信を持って言えるような作品に仕上がっていました。
『フィール・ザ・ビート』あらすじ・ネタバレ感想:まとめ
いかがだったでしょうか。
夢やチャンスを掴もうと努力する人々の姿を描いたダンス・ムービー『フィール・ザ・ビート』。
人と人との繋がりの温かさを感じるストーリーと子供たちの可愛さにほっこりすること間違いなしの作品です。
もちろん、魅力的なダンスシーンにも注目ですよ!