フランスからバイオレンスなリベンジ映画が登場!愛する妻を殺され、娘がさらわれた男の過激な復讐を描いた『ファラン』を鑑賞しました。
タイを舞台にした復讐劇となっており、同じ舞台となるとライアン・ゴズリングが主演を務めた『オンリー・ゴッド』(13)がありました。
『ファラン』R18+となりますが、一体どこまで過激なのでしょうか…?
・右肩上がりのゴア描写
・オリビエ・グルメのイメージ変わりすぎぃ!
目次
『ファラン』のキャストは?
本作の主人公・サムを演じるのは俳優としてデビューしたてのナシム・リエス。キックボクシングの経験者ゆえ、ムエタイシーンをはじめとするキレキレのアクションは必見!
さらにムエタイのコーチとしてサムにつくのは『オンリー・ゴッド』で「復讐の天使・チャン」として圧倒的な存在感を見せつけたビタヤ・パンスリンガム。
サムにブツの取引をさせる危険な男ナロンには『息子のまなざし』(02)や『サンドラの週末』(14)などに出演するオリビエ・グルメが熱演。フランス映画界では大御所のオリビエ・グルメですが、その面影はほとんどなく、気づくのにけっこう時間がかかりました笑
監督を務めるのは『ヒットマン』(07)『ディヴァイド』(11)のザビエ・ジャン。ジャンル映画を得意としており、2024年6月5日からはセーヌ川に出没する巨大ザメを描いた『セーヌ川の水面の下に』がNetflixにて配信されます。
それでは『ファラン』をネタバレなしでレビューします。
『ファラン』あらすじ【ネタバレなし】
裏社会から足を洗おうとするサムだが…
刑務所から仮釈放されたサム(サミール)は裏社会からの誘いや脅しも退け、真っ当な暮らしを送ると決意していた。
土木工事の仕事にも就き、更生への道も順調かに思われた。しかし、当時関わった裏社会の人間に執拗に付き纏われる。彼らに追われるサムは、はずみでそのうちの一人を殺してしまう。
それから5年後。タイ東部・バンチャン。サムは漁師やホテルの従業員として生計を立て、現地で出会った妻ミアと娘ダラの3人で仲睦まじく暮らしていた。
その一方で、サムはムエタイのファイターとして賭け試合に参加をしていた。妻ミアのレストランを開きたいという夢を叶えるため、サムは賭け試合で危険な八百長を引き受けていたのだった。
しかし、ミアがレストランを建てようと思っていた土地に、自分たちより高額で買うという者が現れてしまう。
その土地をはじめ、あらゆる土地を買っているナロンという男がおり、地元でも危険な人物として知られていた。
後日フランス人のナロンと話すことになったサムだが、土地が欲しければ空港で「ブツ」の取引をしてくるよう、条件をつけてくる。さらにナロンはサムの本名が「サミール」だと突き止めていた。
妻の夢を叶えるため、危険な取引に巻き込まれるサム
後日、ナロンから取引の話を引き受けるサム。
空港でブツの入ったキャリーケースを運ぶ予定だったが、現地の警官に見つかり失敗に終わる。サムは必死に現場から逃走し、自宅に戻るが、そこにナロンと彼が引き連れた仲間が押し寄せてくる。
娘ダラはさらわれ、妻ミアは目の前で殺されてしまう。サムも重傷を負い、なす術もなく家も焼かれてしまう。
しかしサムは火の海からムエタイのコーチであるハンサに助けられ、治療を受ける。2週間消息を絶っていたサムは死んだことになっており、知り合いからは復讐や娘を諦めて、静かに姿を消すよう諭される。
サムは単身ナロンの部下を探し出し、娘ダラの生存を知る。
復讐を止めるよう説得していたハンサだが、ダラの生存を知らさせると、代々ハンサの家系で受け継がれていた刀やお守りをサムに託し、自らもダラ救出のために戦うと決意する。
2人はダラがいると教えられたバンコクへ向かう。それはナロンの組織との戦争を意味していた…。
『ファラン』感想
右肩上がりのバイオレンス描写
これまで裏社会で生きてきたものの、殺しはやってこなかったサム。そんな彼が復讐のために人を殺めて”しまった”場面の重みが伝わってきました。
そこからはリミッターが外れたかのように、復讐のため派手に敵を殺めていきます。不可抗力とはいえ、毎回グロテスクな殺し方をしてしまうので、無関係な人に娘の居場所を聞くとドン引きされるサムがちょっとシュールでした。
「君たちには何もしないから!」と言いつつも、サムの顔は敵の返り血でドロドロという…。
人体破壊のシーンをグロいかどうか受け止めるのは、R18指定としては個人差がありそうです。個人的には、見ていて思わず目を背けたくなる痛々しいシーンもけっこうありました。アクションよりもゴア描写の方が見応えありかも。
『ザ・レイド』を彷彿とさせるアクションシーン
アクションシーンのカメラワークやロケーションはかなり『ザ・レイド』(11)の影響を受けているように感じられました。
『ザ・レイド』ほどのスピード感はありませんが、ゴアに全振りしていたエレベーター内のバトルシーンはよかったです。
個人的にいいなと思ったのは、敵役に女性のアクションスタントが多かった点です。こうしたバイオレンス系の作品では、女性というだけで主人公が手加減する映画もありますが、『ファラン』では性別問わずめちゃくちゃにボコられていました。復讐に性別は関係ない!
オリビエ・グルメはヒール役も似合う
サムのバイオレンスな復讐劇によって、顔の原型をとどめてない人もけっこう出てきますが、誰からも殴られてないのに、最初から本人のイメージの原型がとどめてない人がいます。それが本作のラスボス、ナロンを演じたオリビエ・グルメです。
他作品でも絵に描いたような善人を演じるより、どこかダークな役を演じることの多いオリビエ・グルメですが、それはあくまでヒューマンドラマやアート系の作品の話。今回はゴリゴリのジャンル映画です。
別に髪型を大幅に変えたとか、顔にタトゥーを入れていた…というわけでもないのに、オーラがこれまで見てきたオリビエ・グルメのイメージとかけ離れています。ゆえに最初は、ナロン役が彼だと気づきませんでした。
これまでハードボイルドな刑事役を演じていたことはありましたが、それとはまた違ったヒールならではの渋さは必見です。
『ファラン』あらすじ・感想まとめ
・アクションよりもゴア要素の方が良き
・オリビエ・グルメのヒール役も必見
以上、ここまで『ファラン』をレビューしてきました。
そういえば『オンリー・ゴッド』では最強の敵として君臨していたビタヤ・パンスリンガムが、本作では主人公の味方として共闘してくれるのは心強いな…と、勝手に思っていました笑
顔がよく見えなかったので、吹き替えの可能性が高いですが、アクションシーンもあったりして大活躍です。
100分と短い作品ですが、それぞれに見せ場がある作品となっています!