とぼけたダメなおじさんをシュールに演じるのが得意なウィル・フェレル主演のコメディ『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』が、面白い!
「ユーロビジョン」は、欧州放送連合の開催するソング・コンテストで、加盟する欧州各国の放送局が自国のミュージシャンを選出し、パフォーマンスを披露する舞台です。
『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』は、その実在する「ユーロビジョン」への出場に抜擢されたアイスランド代表のディオ「ファイア・サーガ」ラースとシグリッドの必死だけどユルい奮闘を描いた作品です。
軽いノリのコメディかと思いきや、小ネタ満載!手を抜かない作りこんだ作品で、最後にちょっとウルッとくる意外な展開まで待っています。
本家ユーロビジョンの全面協力もあり、コンテストを優勝したミュージシャンたちの出演もあり、歌に踊りにテンションがあがります。
そしてコメディにふさわしく悪人が出てこないのもポイント。気分爽快、最後まで明るい気持ちでいられる超前向きな作品です。
・まさかの「ユーロビジョン」への出場
・夢の舞台での大失態
・魂の叫びを歌声にのせて
それでは『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』をレビューします。
目次
【ネタバレ】『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』あらすじ・感想
夢を追い続けるラース
アイスランドの漁村フーサヴィークに住むラース(ウィル・フェレル)には、見果てぬ夢があります。
それは子供の頃に魅了された「ユーロビジョン」のコンテストに出場をすること。母を亡くし、傷心だった少年ラースの心に明かりを灯した歌のコンテストは、ラースの夢であり、目標。
幼馴染のシグリット(レイチェル・マクアダムス)とふたり、「ファイア・サーガ」として音楽活動を続けています。
でも演奏するのは、地元のバーでコミック・ソングの「ヤー、ヤー、ディンドン!」ぐらいで、住人からはミュージシャン扱いすらされず、変人扱い。
ラースの父エリック(ピアース・ブロスナン)も、いい年をした男が、夢を追い続けるのに眉をひそめるばかりで、息子を応援しようともしません。
でもラースはそんなことはお構いなし。唯一の理解者であるシグリッドとふたり、ユーロビジョンへの出場を目指していたのでした。
「ユーロビジョン」への切符
ある日、ラースのもとに届いたユーロビジョンのアイスランド代表を選ぶ予選参加の知らせ。
でもそれは、予選を勝ち抜いてユーロビジョンへの出場が確実視されているカティアナ(デミ・ロヴァート)の対抗馬として、適当に選ばれただけ。
そんな事情は知らないラースとシグリッドは、大喜びでアイスランド代表選考会の舞台に向かいます。
ところが、12組のアーティストで競うユーロビジョンへの資格を得るパフォーマンスでとんでもない失態を演じたラース。
ユーロビジョン出場の夢がついえたかに思えたその夜に、事件は起こります。
予選での失敗に、ヘコむラースとシグリットの目の前で、アイスランド代表候補たちのために開かれた船上パーティーの船が大爆発!パーティーに参加しておらず、唯一生き残った「ファイア・サーガ」が、アイスランド代表としてユーロビジョンへの出場が決まったのでした。
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そしてなぜかその後、代表候補たちが全員爆死!不幸な事故なのに、「やったー、ユーロビジョンに出られるー!」と喜ぶラースとイグリッドに笑えます。
アイスランド代表「ファイア・サーガ」
ユーロビジョン優勝が確実視されていたカティアナ、実力派ミュージシャンたちを謎の爆発で失い、ファイア・サーガのふたりを仕方なくアイスランド代表としてユーロビジョンに送り出すことになったアイスランドのテレビ局社長のニルス(オラフ・ダリ・オラフソン)。
未知数のファイア・サーガへの期待値はゼロ「変人ふたりをユーロビジョンに送る」とヒドい言い草です。
それでもラースとシグリッドは、ユーロビジョンが開催されるエジンバラへと嬉々として向かうのでした。
歌声はホンモノのシグリッド
ユーロビジョンの予選に出るのにリハーサル準備に入るラースとシグリッド。ラースの楽曲がショー仕様に編曲されていたり、舞台上にダンサーがいたりとシグリッドは慣れない環境に右往左往します。
コンテストで勝ちたい一心のラースは、どこか心ここにあらずのシグリッドに気遣うことができずに初出場に浮足立つのでした。
そんなラースとシグリットが出会ったのは、優勝候補のロシア代表のレムトフ(ダン・スティーブンス)やギリシャ代表のミタ(メリッサンティ・マフート)。
誰もが個性豊かで力強い歌声で、迫力のあるパフォーマンスをする実力派。
連日のリハーサルの中、レントフの自宅で行われるパーティーに誘われたラースとシグリット。
ユーロビジョン参加者が集うパーティーで披露したシグリットの歌声に、誰もが魅了されます。レムトフは、ラースを捨てて自分と手を組むようシグリットにアプローチをするのでした。
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またしても大失態!ユーロビジョンの予選
大好きラースと夢を追いかけて、ユーロビジョンへの出場を果たしたのに、衣装や演出、気ままなラースにふりまされてばかりのシグリッド。
ふたりの気持ちがすれちがいます。それでもなんとかたどりついた予選で、ラースの楽曲「ダブル・トラブル」を熱唱。
アイスランドにいる家族やテレビ局のニルスたちは、活躍を期待していなかったファイア・サーガの奮闘に驚きながらも、心からの声援を送るのでした。
ところが、歌の途中で衣装のスカーフが舞台セットにからまるトラブルが発生、舞台セットを破壊する異常事態に。それでもなんとか曲の途中でも持ち直したふたり、ボロボロになりながらも最後まで歌を歌いきるのでした。
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心から湧き上がる歌
前代未聞の舞台トラブルに、優勝への可能性が消えたとすっかり意気消沈をしたラース。
それとは逆にどんな結果であってもアーティストして、コンテストを最後まで見届けたいというシグリッド。
決勝進出は絶望的だと思っていたのに、ひたむきなファイア・サーガのパフォーマンスは、欧州放送連合加入の各国放送局からの支持を受けて、次々に加点を受けます。
ついには、決勝進出にまでこぎつけたファイア・サーガ。でも、そんなことを知らないラースは祖国のアイスランドへ帰国してしまうのでした。
そして迎えたユーロビジョン決勝の日。舞台にひとり立とうとするシグリットのもと、漁師姿で舞い戻ったラース。優勝にこだわるあまり、シグリッドの想いに気づかずに独りよがりだった自分に反省したとして、楽曲を変えると失格になるのも承知で、ユーロビジョンにふさわしい完璧な歌にしたいと、シグリットの作った曲の演奏を始めるのでした。
そうしてシグリットが歌い出したユーロビジョンの会場で、ラースとふたり魂の叫びのような歌声を響き渡らせるのでした。
『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』をレビューしてきました。
・ブレないラースとシグリッド
・ひたむきさでつかみ取った決勝進出
・心から湧き上がる歌
すっきり爽快のクライマックス
ユーロビジョンへの出場候補者の乗る船が、爆発して全員が爆死!船上パーティーに出席しておらず、唯一生き残ったヘタレデュオの「ファイア・サーガ」が、ユーロビジョンにアイスランド代表として抜擢をされてしまった!
周囲からの期待はゼロ、夢に向かって走り続けるラースとシグリットが、ひたむきに優勝を目指すストーリーの『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』。
人はいいのだけど、アーティストとしてはイマイチ、何をやってもツメが甘いとぼけたラースを、ウィル・フェレルが生き生きと演じています。
一生懸命なのに、やることなすことすべて逆噴射するラースがとにかく愉快です。レイチェル・マクアダムス演じる純真なシグリットもチャーミングで、歌唱力抜群なのに、才能の溺れることない純粋さがいいスパイスになっています。
ライバル役のダン・スティーブンスも不思議な魅力が全開!ざわざわする思わせぶりな態度でシグリッドにアプローチ、お国柄で自分のアイデンティティが解放できないレムトフを、絶妙なさじ加減で演じていていい味を出しています。
ユーロビジョンで、受難続きの舞台にめげずに歌い続ける「ファイア・サーガ」に、審査員、観客と支持をしていく展開が清々しい!
ラースとシグリッドのひたむきさに心動かされ、視聴者もユーロビジョンの審査ポイントを加点されていくのと同様に、気持ちが盛り上がってきます。
ただクライマックス直前のラースの、落ち込むくだりがだらだらと長く、そこはもう少し切り上げて欲しかった!フィル・フェレス主演のコメディだけに、仕込んであるエルフ・ネタ、その他小ネタに退屈はしませんが、テンポが悪くなったのも確か。
それでも、ラースとシグリッドが最後にたどりついたユーロビジョンの決勝戦の舞台は、すっきり爽快、物語のもたつきもなんのその、クライマックスのシグリッドの歌声に感動してウルッとくるのは見事です。
蔵商店
明るく、楽しく、そしてほっこり、ほのぼのできる作品の『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』。是非、ご覧ください。
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