2004年、アカデミー脚本賞を受賞した映画『エターナル・サンシャイン』。
記憶を消去する手術を受けた男女の恋愛と、記憶をめぐる人間関係を描いた切ないラブストーリーです。
夢と現実、さらに時間軸が交錯するストーリーは、観た人の心をグッと惹きつける展開になっています。
- 記憶をテーマに描いたラブストーリー
- 時間軸が交錯する突飛な展開
- 実力派を集めたキャスティング
その突飛なストーリーやキャスティングなど、様々な観点で注目され、時を超えて愛されている映画『エターナル・サンシャイン』を少しネタバレありでご紹介します。
目次
『エターナル・サンシャイン』作品情報
作品名 | エターナル・サンシャイン |
公開日 | 2005年3月19日 |
上映時間 | 107分 |
監督 | ミシェル・ゴンドリー |
脚本 | チャーリー・カウフマン |
出演者 | ジム・キャリー ケイト・ウィンスレット キルスティン・ダンスト マーク・ラファロ イライジャ・ウッド トム・ウィルキンソン ジェリー・ロバート・バーン トーマス・ジェイ・ライアン ジェーン・アダムス デヴィッド・クロス |
音楽 | ジョン・ブライオン |
『エターナル・サンシャイン』あらすじ【ネタバレなし】
もうすぐバレンタインがやって来るという冬のある日、ジョエル(ジム・キャリー)は仮病を使って会社を休みます。
会社と反対方向の電車に乗って海に行ったり、カフェで日記を書いたりしながら過ごしていました。
カフェで目についたのは、真っ青な髪をしたクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)。
先ほど海でも見かけた女性です。
その後、ジョエルは電車内で再びクレメンタインを見かけますが、今度は向こうから話しかけてきました。
クレメンタインは明るくておしゃべりで変わり者。
ジョエルにとってクレメンタインは苦手なタイプでしたが、よく行く書店でアルバイトをしていることがわかり、少しずつ心を開いていきます。
押しの強いクレメンタインに負けて家に上がり、一緒にお酒を飲みながら会話をしているうちに、ジョエルの気持ちは変化し始めました。
ジョエルの部屋で寝かせてほしいというクレメンタインに一つ返事でOKし、車の中でクレメンタインの準備が終わるのを待っていると、見知らぬ男(イライジャ・ウッド)がドアをノックしてきます。
男は何か困ったことはないか?と問いかけてきました。
しかし、ジョエルが質問の意図を理解する前に、男は立ち去ってしまいます。
そこで、ジョエルは猛烈に涙を流しました。
新しいパジャマを買って帰ると薬を飲み、床に倒れ込みます。
すると、部屋に2人の男が侵入してきました。
場面が変わり、ジョエルはプレゼントを渡すため、クレメンタインが働いている書店に向かいます。
クレメンタインが知らない男とキスを交わしているのを目撃したジョエルは、錯乱した状態で友人のロブ(デヴィッド・クロス)に会いに行きました。
そんなジョエルの姿を見たロブは、1通の手紙を差し出します。
手紙には、クレメンタインの記憶を消去したこと、ジョエルとの過去を話してはいけないことが綴られていました。
差出元はラクーナ社。
そこでは、記憶消去の手術を行っているようでした。
※ここからの感想はネタバレに触れています。
【ネタバレ】『エターナル・サンシャイン』感想・考察
恋愛と記憶をめぐるストーリー
『エターナル・サンシャイン』は記憶を消去することができる手術がビジネスとして成り立っているという設定を基盤にしています。
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そのため、思いつくのは簡単かもしれませんが、この設定は本当に奥が深いです。
『エターナル・サンシャイン』では、何度も同じ人と恋に落ちてしまう様子が描かれています。
いくら人の手で記憶を消しても、同じ相手と出会い惹かれ合ってしまう。
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記憶を消去している最中でも、無意識に記憶の中を逃げ回るシーンがあります。
幸せな思い出や大切な気持ち、それを消さないでほしいと思うのは、本気で相手のことを想っているからです。
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大切な人とその記憶を失って、初めて相手のことを本気で愛していたと気づいた男女が、全てを白紙にしたうえで、再び出会い、惹かれ合う。
そんな切なくてロマンティックなラブストーリーになっています。
しかし、『エターナル・サンシャイン』はただのラブストーリーではないのです。
夢と現実が交錯し、時間軸もバラバラに描かれていることが、一度観るとまた観たくなるという引き金を引きます。
そんな展開を彩るのはカラフルな色づかいの映像。
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また、コメディ色の強いジム・キャリーならではのシーンもあり、演者それぞれのカラーを大事に扱っていることが垣間見られる作品です。
観た人にとって印象に残る仕掛けがたくさん成されているように思います。
実力派のキャストたち
主人公のジョエルを演じたのは、ジム・キャリー。
ジム・キャリーといえば、ちょっと下品なジョークや顔芸などコメディ色の強いイメージがありますが、『エターナル・サンシャイン』ではそのスタイルを封印し、シリアスな演技を披露しています。
つまらない毎日を送りながらも、堅い自分を変えられない。
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幼少期からコメディアンになることを夢見ていたジム・キャリーは、コメディ番組への出演を経て、1983年に『ラバーフェイス』で映画デビュー。
1994年公開の『マスク』が大ヒットしたことで、一躍世界的な俳優の仲間入りを果たしました。
バリエーション豊かな表情と身体を張った演技が高く評価され、『トゥルーマン・ショー』や『イエスマン “YES”は人生のパスワード』など、ユーモアたっぷりの作品で愉快なキャラクターを演じ続けています。
ジョエルの恋人・クレメンタインを演じたのは、ケイト・ウィンスレット。
『タイタニック』のヒロイン・ローズ役で世界中にその存在を知らしめたケイト・ウィンスレットですが、『エターナル・サンシャイン』ではそれまでの役柄とは全く違った演技を披露しています。
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ケイト・ウィンスレットはシリアスな作品への出演が多い演技派女優として知られていますが、『エターナル・サンシャイン』でもアカデミー主演女優賞にノミネートされ、その実力を見せつけています。
出身地であるイギリスで下積み時代を送ったケイト・ウィンスレットは、1997年公開の『タイタニック』でハリウッドデビュー。
数々の作品でアカデミー賞にノミネートされ、2008年公開の『愛を読むひと』では初の受賞を果たしました。
記憶消去手術を担うラクーナ社の受付嬢・メアリーを演じたのは、キルスティン・ダンスト。
同僚と付き合っていながらラクーナ社のドクターに恋をしているメアリーには、隠された秘密があることが劇中で明らかになります。
そんな物語のキーパーソンでもある難しい役どころのメアリーを演じるキルスティン・ダンストは、3歳の頃から子役として活躍。
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2002年公開の『スパイダーマン』ではヒロインのメリー・ジェーンを演じ、2011年には『メランコリア』でカンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞するなど躍進を続けています。
記憶消去手術を担当するスタッフ・パトリックを演じたのはイライジャ・ウッド。
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キルスティン・ダンストと同じく子役出身のイライジャ・ウッドですが、『ロード・オブ・ザ・リング』のフロド役で世界的に有名になりました。
『エターナル・サンシャイン』での役柄をはじめ様々な演技に挑戦しており、その姿は高く評価されています。
アカデミー賞を受賞した脚本家たち
『エターナル・サンシャイン』の脚本・監督を務めたのは、ミシェル・ゴンドリー。
ビョークやザ・ローリング・ストーンズ、ダフト・パンクなどのミュージック・ビデオを手がけ、映像作家として着実にキャリアを積んだあと、2001年に『ヒューマン・ネイチュア』で映画監督デビュー。
『エターナル・サンシャイン』で魅せた夢と現実が交錯するような不思議な映像やカラフルな色づかいは、ミシェル・ゴンドリーの作風の特徴でもあります。
そんな監督とタッグを組んだのは脚本家のチャーリー・カウフマン。
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『マルコヴィッチの穴』や『脳内ニューヨーク』など、その独自性が発揮された作品で知られています。
2015年にはクラウドファンディングで資金を集めて制作した大人向けのストップモーションアニメ『アノマリサ』を発表し、アカデミー長編アニメーション映画賞にノミネートされました。
『エターナル・サンシャイン』まとめ
いかがだったでしょうか。
記憶が鍵を握るSF恋愛映画『エターナル・サンシャイン』。
夢と現実が入り乱れ、時間軸が交錯する展開に、ぜひ夢中になってみては?
- ファンタジックで美しいラブロマンス
- 記憶をめぐる切ない人間関係を描いた作品
- キャスト、スタッフ共に実力派が勢揃い!