『エジソンズ・ゲーム』は、世界が誇る発明王トーマス・エジソンと彼のライバルでもある実業家のジョージ・ウェスティングハウスの間で起きたビジネスバトル“電流戦争”を題材にした史実を映画化した作品です。
本作が取り上げたエジソンたちによる電気を巡る熾烈な争いは、後の人々の生活様態をも変える前代未聞のぶつかり合いです。
歴史を揺るがしたこの争いに勝つのは、天才発明家か裕福な実業家のどちらでしょうか?
この歴史的事実の映画化に主演のベネディクト・カンバーバッチやマイケル・シャノンの他に、ニコラス・ホルトやトム・ホランド、キャサリン・ウォーターストンなど豪華キャストが揃いました。
歴史が変わるその瞬間を目撃してみませんか?
- 時代を二分化した世紀の電流戦争の真実
- 本作の撮影監督チョン・ジョンフンに迫る
- 19世紀に“電気”が発明されていなければ“映画”も生み出されていなかった
それでは『エジソンズ・ゲーム』をネタバレなしでレビューします。
▼動画の無料視聴はこちら▼
目次
『エジソンズ・ゲーム』作品情報
作品名 | エジソンズ・ゲーム |
公開日 | 2020年6月19日 |
上映時間 | 108分 |
監督 | アルフォンソ・ゴメス=レホン |
脚本 | マイケル・ミトニック |
出演者 | ベネディクト・カンバーバッチ マイケル・シャノン キャサリン・ウォーターストン トム・ホランド タペンス・ミドルトン マシュー・マクファディン ニコラス・ホルト |
音楽 | ダニー・ベンジー ソーンダー・ジュリアーンズ |
『エジソンズ・ゲーム』あらすじ【ネタバレなし】
19世紀、アメリカでは伝記の発見により新しい産業の時代が始まろうとしていました。
白熱電球で成功を収めた天才発明家エジソンは、天才ゆえに傲慢な振る舞いが目立つ男でした。
気鋭の実業家ウェスティングハウスが交流式送電の実験に成功し注目を集めたと聞いたエジソンは、ウェスティングハウスへの批判を始めます。
ウェスティングハウスも譲らず、天才発明家と実業家の訴訟、駆け引き、裏工作が相次ぐバトルが始まります。
『エジソンズ・ゲーム』感想
天才たちが奔走した知られざるエレクトリック・バトル
鈴木友哉
『エジソンズ・ゲーム』は1880年後半の電気事業黎明期に実在した2人の天才の確執や権力争いを描きつつ、電気の開発に生涯を捧げた若き天才に迫った実録映画です。
この歴史的大変革が新しい時代の幕開けとなり、私たちの生活は“電気”の登場によって劇的に変化しました。
この時代の流れを変えたのが、本作でも描かれているトーマス・エジソンとジョージ・ウェスティングハウスの両者です。
どちらが先にナイアガラの滝に水力発電を開発するのか否かという争点を軸にして、発明家と実業家2人の天才が血眼になって電気の利便性を考案する姿を描写しています。
物語の冒頭と終盤で登場するナイアガラの滝の風景が圧巻の様相で、これから起こる発明家たちの闘争を印象付けているような構成になっています。
発明家として、直流送電の発案を主張するエジソンと交流送電の効率がよいと提唱するウェスティングハウスの間で起きた電流争いは、全米を巻き込んで繰り広げられた大きな改革へと発展していきました。
作中の描写では、総力を上げて電柱を建設した人々の苦労や初めて電気が流れた時の人々の感動も事細かに表現しています。
鈴木友哉
多くの撮影技術を駆使した技巧が光る作品
鈴木友哉
出演しているキャストか、作品を作っている監督か、または作中のスコアを担当している作曲家、物語の筋を書いている脚本家など、人によって関心を寄せるポイントに違いがあると思います。
『エジソンズ・ゲーム』で特に着目して観て欲しいのは撮影監督のチョン・ジョンフンです。
鈴木友哉
周りが白人ばかりのスタッフの中で唯一アジア人として製作に携わっています。
チョン・ジョンフンは韓国時代にパク・チャヌクとタッグを組み、代表作『オールド・ボーイ』を筆頭に『親切なクムジャさん』『サイボーグでも大丈夫』『渇き』『イノセント・ガーデン』『お嬢さん』など、多くの作品にカメラマンとして参加した実績を持つ韓国映画界を代表する撮影監督です。
韓国で経験を積んだ後、渡米したチョン・ジョンフンはハリウッドで数々の作品に参加し、本作の製作にも抜擢された実力派です。
今回このチョン・ジョンフンを取り上げた理由は、作品を観たらよく分かるのですが、巧妙な撮影技術を持っているからです。
上空からや、下からの煽りショットを多用し、役者の顔をアップに捉え、長回しを駆使したりと、あらゆるカメラの技術を一つの作品に詰め込んでいます。
鈴木友哉
映画の起源を知る上で、本作を見逃してはならない
鈴木友哉
『エジソンズ・ゲーム』の本筋は、当時活躍した発明家のエジソンと実業家のウェスティングハウスの間で勃発した電流戦争を主題にしています。
その大筋は今回隅に置いておきまして、作中で少し取り上げているエジソンが成し遂げた偉業について掘り下げていきます。
彼はウェスティングハウスとの電流戦争の末、新しい文化を生み出しました。
電球を発明した経験を活かしたエジソンが開発したのは、映画の原点にもなった活動写真です。
エジソンは、作品を上映する装置キネトスコープと撮影する装置キネトグラフの両方を生み出しています。
鈴木友哉
この時代に電流文化を産み出し、大きく歴史を変革させたエジソンが成し遂げた功績は、普段の生活では欠かせない電気の存在を広めただけではありません。
『エジソンズ・ゲーム』は19世紀を代表する発明王の生涯の一部分だけを切り取った物語に過ぎませんが、トーマス・エジソンは数々の発明品で私たちの生活を便利にし、余暇には欠かせない映画文化を生み出した偉大な方です。
『エジソンズ・ゲーム』あらすじ・感想まとめ
以上、ここまで『エジソンズ・ゲーム』をレビューしてきました。
- 電流戦争は、“灯り”という全世界共通の常識を覆す2人の発明家による大革命
- 韓国出身の撮影監督チョン・ジョンフンのこれからの活躍に注目したくなります
- 映画のルーツにもなった活動写真の産みの親はトーマス・エジソンということを決して忘れてはならない
▼動画の無料視聴はこちら▼