世界中で翻訳され、700万部以上の売り上げを誇るエリザベス・ギルバートの自伝的小説を映画化。
ニューヨークで仕事にプライベートに忙しく過ごすライターのリズが離婚や失恋を経験し、1年間かけて自分探しの旅に出る物語です。
日本で働く女性たちにも通じるところのある悩みや葛藤と、それを乗り越えるまでのプロセスがコミカルに描かれています。
そんな“今”を生きるのに少しだけ疲れてしまった女性に贈る大人の旅映画です。
- 自分を見つめなおしたい女性に贈るロードムービー
- イタリア、インド、バリの素晴らしいロケーション
- ジュリア・ロバーツの華やかな笑顔
それではさっそく映画『食べて、祈って、恋をして』をネタバレありでレビューしたいと思います。
目次
『食べて、祈って、恋をして』作品情報
作品名 | 食べて、祈って、恋をして |
公開日 | 2010年9月17日 |
上映時間 | 140分 |
監督 | ライアン・マーフィー |
脚本 | ライアン・マーフィー ジェニファー・ソルト |
原作者 | エリザベス・ギルバート |
出演者 | ジュリア・ロバーツ ハビエル・バルデム ジェームズ・フランコ リチャード・ジェンキンス ヴィオラ・デイヴィス ビリー・クラダップ |
音楽 | ダリオ・マリアネッリ |
【ネタバレ】『食べて、祈って、恋をして』あらすじと感想
イタリアでの“食べる”幸せ
主人公のリズがニューヨークを離れて最初に向かったのは、イタリア。
イタリアでは体型を気にせず美味しいものを食べまくり、イタリア語を美しいと感じながら学び、現地でできた友人たちと行きたいところに行ってやりたいことをやる。
そんな生活を送っていました。
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しかし、リズを表す言葉は何?と聞かれれば、「娘」「妻」「ライター」</strongと、立場や職業を表現する言葉しか思いつきません。
新しい場所、新しい景色、新しい仲間、新しい発見。
たくさんの新しい何かに出会っても、まだリズは自分のことを空っぽだと思っていたのでしょう。
また、恋人や家族と愛しあい、支えあう友人たちの姿を見て幸せを感じていましたが、離婚や失恋を経て旅に出てきたリズからすると孤独を感じるきっかけになった部分もあると思います。
パートナーがいることだけが幸せではないと理解しつつも、自分を見つめなおしている途中のリズにとっては劣等感や寂しさを助長させる環境だったのかもしれません。
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ただ、イタリアで出会った温かい友人たちの存在は、間違いなくリズにとって大切なものになったと思います。
そしてもうひとつ、イタリアで得たものといえば「何もしない幸せ」でしょう。
アメリカ人は娯楽を知っているが、快楽を知らない。
イタリア人は何もしない喜びを知っている。
そう教えられたリズが何もしない幸せを実感しようとするシーンでは、やはり食事をしていました。
こうして食べる幸せを体感し、イタリアを去っていきます。
インドで知った“祈る”理由
イタリアを離れインドへやって来たリズは、アシュラムでヨガと瞑想に挑戦します。
しかし、瞑想中に居眠りをしてしまったり考え事が止まらなかったりと、なかなか集中できません。
周りと比べてちゃんとできないのは自分だけだということ、自分自身の感情をコントロールできないこと、今までの葛藤も邪魔をして自己嫌悪に陥ります。
そんな頃、リズは同じく離婚を経験してアメリカからアシュラムへ来ていたリチャードと知り合いました。
リチャードは「無償の愛を注げる対象を見つけろ」とアドバイスしますが、リズはあまり納得していない様子です。
時を同じくして知り合ったのが隣町から来た17歳の少女・トゥルシー。
トゥルシーには大学に進学して心理学を学びたいという願いがありましたが、近く親の決めた結婚をしなければならないと落ち込んでいました。
リズはトゥルシーの結婚式でこう言います。
毎朝トゥルシーのことを想って瞑想をしたら最後までちゃんとできたと。
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リズにとっての無償の愛を注げる対象とは、夢を諦めないといけない、それでも未来への可能性は限りなく広がっているひとりの少女でした。
ニューヨークを発つ前、
「15歳の頃から彼氏がいて、人生の中で自分を見つめる時間なんて2週間もなかった」
と言っていたリズは、誰かのために生きているようで、実は違っていたのです。
全て自分のために、誰かを中心とした生活を送ってきただけでした、
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悩みを抱えた人々が、それぞれの願いのために祈りを捧げているアシュラム。
この場所で精神的にも強く成長したリズは、旅の最後の目的地へと向かいます。
バリで見つけた新しい”恋”
バリにはリズが旅をすることになったきっかけがあります。
彼女は以前バリへ旅行した際、薬剤師のクトゥというおじいさんに手相を見てもらいました。
クトゥは「全てを失うけど大丈夫、すぐに取り戻せる」「あんたはまたバリに戻ってくる」と言います。
このときの言葉通り、全てを失くし世界を旅したリズはバリに戻ってきます。
リズの訪問を歓迎したクトゥは、新しく「調和」について教えを説きます。
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自分が今どこにいるのか、わかっていなければいけないと。
クトゥの言葉を元に瞑想とバリでの生活に耽るリズは、離婚歴のあるブラジル人男性・フェリペや治療院を営むシングルマザーのワヤンと知り合い、穏やかに暮らしていました。
フェリペとの関係はだんだんと深まっていき、片時も離れないほど愛しあうようになります。
しかし、この恋愛にのめり込むことで自分の中の調和が崩れているように感じ、フェリペから離れようとするのでした。
さらにバリからも離れることを決意したリズは、ニューヨークに戻ることをクトゥに伝えに行きます。
フェリペと別れたと知ったクトゥはリズにとって決定的な言葉を贈るのでした。
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リズのこれまでの人生、そして今回の旅で得ようとしていたもの、その全ての答えがクトゥの言葉にはあったのです。
フェリペと共に人生を歩んでいくと決めたことによって、イタリアでは見つけられなかった自分を表す言葉さえ手に入れることができました。
また、旅を通して出会った友人たちに、自分への誕生日プレゼントの代わりに寄付をしてほしいとメールを送るシーンがあります。
この寄付とは、ワヤン親子が家を建てるための資金です。
バリではシングルマザーが親権を持ったり家を持つことは一般的ではありませんでした。
そのため、リズはこのような行動を取ったのです。
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自らの欠点に気づいていながら真っ直ぐに自分と向き合い続け、ついに求めていた答えを手にしたリズ。
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『食べて、祈って、恋をして』まとめ
ここまで映画『食べて、祈って、恋をして』についてネタバレありで書いてきました。
- 「私、このままでいいのかな」という気持ちが晴れていく
- 自分の幸せについて考えられる
- 鑑賞後は旅行した気分!
いかがだったでしょうか。
食べて、祈って、恋をして、いざ自分探しの旅へ。