圧倒的な映像と重厚な音楽とともに砂の惑星の世界観に没入できる
・大画面で見ると迫力抜群の世界観。映画館で見るべき作品。
・SF好きにはたまらない要素がギュッと詰まっている
それでは『DUNE/デューン 砂の惑星』をネタバレありでレビューします。
目次
『DUNE/デューン 砂の惑星』あらすじ【ネタバレあり】
砂の惑星デューンをめぐる戦い
時は10190年。本作の舞台は、砂の惑星デューンと呼ばれる惑星アラキスは、青い目をもつフレメンが先住民として住んでおり、希少な自然資源である香料が取れます。
香料は、人間の精神を拡張する力を持ち、特殊な能力の源とも言われています。
宇宙帝国の皇帝が治める世界で、アトレイデス家とハルコンネン家がそれぞれ一族として力をつけていました。
アトレイデス家は、レト公爵(オスカー・アイザック)率いる一族です。レト公爵と、その側女ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)、2人の間に生まれた子ポール(ティモシー・シャラメ)が、本作の主人公になります。
そして、ポールの武術の師匠でもあるガーニイ・ハレック(ジョシュ・ブローリン)や兄貴的存在のダンカン・アイダホ(ジェイソン・モモア)が軍人としており、力強い戦力もありました。アトレイデス家は、勢力を広げており、その力は皇帝も嫉妬していました。
アトレイデス家に敵対する一族としてハルコンネン家が存在します。ウラディミール・ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルト)率いる一族です。
かなり汚い手を使い勢力を広げる一族であり、砂の惑星デューンを80年間も占領し、香料を独占していました。
しかし、現在、皇帝からの命令により、ハルコンネン家ではなくアトレイデス家がデューンを統治することになります。
しかし、この命令は、皇帝とハルコンネン家が手を組んだ、勢力を広げているアトレイデス家に対する罠であったのです。
ベネ・ゲセリットのたくらみ
デューンを巡る戦いの他に、本作で重要な存在となるのはべネ・ゲセリットです。ベネ・ゲセリットとは、他者を操る“声”や心を読み取る読心術などの超能力に長けた存在です。
ポールの母あるジェシカもベネ・ゲセリットです。
ベネ・ゲセリットは長い間、“同時にあまたの場所に偏在できる者クウィサッツ・ハデラック”の誕生を待ち望んでいました。
予言では、ジェシカとレト公爵の間に生まれる女児とハルコンネン家の跡取りの間に生まれる男児がその存在であるとされ、その計画が遂行されていました。
しかし、ジェシカがポールを産んだことによって予定がくるい、一世代早くクウィサッツ・ハデラックが誕生したかもしれないのです。
そして、クウィサッツ・ハデラックの力の覚醒には、デューンの香料の力が必要だとされています。
不思議な少女の夢を見るポール
ポールは、これまでガーニイやダンカンに武術を教えられ、ジェシカからは、“声”や読心術などベネ・ゲセリットの力の訓練を受けていました。
そして、ポールは、予知夢に悩まされていました。最近は、特に青い目をした少女の夢をよく見ており、今後自分に何が起こるのか恐れを抱いていました。
ある日、ベネ・ゲセリットの教母(シャーロット・ランプリング)がポールの資質を確かめに来ます。
苦痛に耐えられるかを確かめたあと、ポールが、もしかしたらクウィサッツ・ハデラックとなりうるかもしれないと感じます。
自分が何者か、何か力を秘めているのではないかと勘付いたポールは、ますます自分に恐れを抱きます。
そのような中、アトレイデス家は皇帝からの命令で砂の惑星デューンに移住することになります。
デューンに着いたアトレイデス家
アトレイデス家は、ハルコンネン家のようにデューンを占領するのではなく、先住民であるフレメンを味方につけて、香料の採取を行うことを目指していました。
そのため、アトレイデス家の忠臣であるダンカンを先に向かわせ、フレメンと関係性を築いていく計画を立てていました。
砂の惑星デューンについたレト公爵、ジェシカ、ポールは、先住民であるフレメンから歓迎を受けます。フレメンたちは、ポールたちに向かってこういうのです。
“リサーン・アル=ガイブ”と。それは、長年フレメンの救世主伝説に登場する他の惑星からやってきた予言者のことです。
フレメンたちは、長い間、他の惑星から予言者が訪れ、救世主が現れることを待ち望んでいたのです。
ポールは、そう呼ばれることに戸惑いつつ、自らの存在に強く疑問を持ち始めます。その夜、ポールは自室で、自身を殺すために潜んでいた暗殺道具“ハンター・シーカー”を見つけます。
屋敷の中にハルコンネン家の使いがいて、ポールを殺そうと企んでいたのです。レト公爵は、ハルコンネン家の罠が潜んでいるかもしれないと焦りを覚えます。
フレメンとの交流
ダンカンは、フレメンと関係性を築くという任務を完遂し、アトレイデス家に戻ってきました。
久しぶりの再会に喜ぶポール。ダンカンが連れてきたフレメンの部族をまとめるリーダーであるスティルガー(ハビエル・バルデム)とアトレイデス家は実際に会うことができました。
初めは、緊迫した雰囲気でしたが、フレメンの長とレト公爵、ポールは言葉を交わしました。
スティルガーは、その際、ポールをフレメンが求めていた救世主“マフディー”かもしれないと感じます。
香料の影響によりポールの能力が開花し始める
香料採取の現場に立ち会おうと、レト公爵はポール、側近のガーニイを連れて皇帝の観察官であり、20年にわたってデューンで研究を続ける生態学者あるカインズ(シャロン・ダンカン=ブルースター)と共に向かいます。
デューンで昼間に行動するには、フレメンが作った保水スーツを着ることが必須です。
そして、サンドワームと呼ばれる危険な巨大生物に気を付けながら行動する必要もあります。
ポールはなぜか保水スーツの着方を知っていました。香料採取は順調に行くはずが、機械が壊れていたことにより、失敗してしまいます。
サンドワームにも遭遇し、間一髪のところで逃げ切ります。その際、ポールは香料を浴びることによって、頭の中に様々な映像が流れます。
青い目の少女と行動する自分、母親が妹を産むことなど、未来に起こりうることが見えるのです。
未来を見通せる力が強く目覚め始め、戸惑うポール。家に戻り、自分の見た未来をジェシカに話します。
ポールと同様、ジェシカも息子が確実に覚醒し始めていることに戸惑い不安を覚えます。
ハルコンネン家の罠
香料採取の機械が壊れていたことにより、ハルコンネン家の罠が張り巡らされているのではないかと益々危険を感じるレト公爵。
アトレイデス家の中に裏切り者がいるのではないかと勘繰ります。その夜、アトレイデス家に異変が起きます。
防御壁であるシールドが壊され、宇宙からハルコンネン家の兵と皇帝直属の精鋭部隊、サーダカーが襲ってきます。
アトレイデス家にいた裏切り者は、専属医師であるユエ(チャン・チェン)でした。ユエはレト公爵を襲い、ハルコンネン家に差し出そうとします。
ユエは、妻を人質に取られ、ハルコンネン家の言いなりになっていました。
しかし、ユエは、レト公爵に毒の差し歯を渡し、ハルコンネン男爵を殺すことを頼みます。
その代わり、ポールとジェシカは逃がすこと、アトレイデス家当主の印章である指輪をポールに渡すことを約束します。
ハルコンネン家にとらえられたレト公爵は、ユエに言われた通り、最後の力を振り絞って、差し歯を砕き、毒を放出させます。
間一髪のところでハルコンネン男爵は逃げますが、ハルコンネン家の従者たちは毒にやられます。そしてレト公爵も力尽きてしまいます。
ポールとジェシカの逃走劇
次々と襲われていくアトレイデス家。その勢いはすさまじく、アトレイデス家は全滅しかけていました。
ガーニイ率いるアトレイデス家の兵たちは、果敢に敵に向かっていきます。
ポールとジェシカは、ユエから渡された睡眠薬で眠っており、騒ぎに気付きません。その隙に、さらわれてしまいます。異変を感じたダンカンが、すぐにポールを探しましたが、さらわれた後でした。
ダンカンは急ぎオーニソプターに乗り、追いかけようとします。ポールとジェシカは逃がすことを条件にしていましたが、ハルコンネン家は、逃がすと見せかけて、砂漠の中に落とし死なせようとしていました。
アトレイデス家の者は全て消そうとしていたのです。ポールとジェシカは“声”を使い、敵を操ることで脱出します。
ユエがポールたちのために用意していたテントなどの道具からレト公爵の指輪を見つけます。指輪を見て、レト公爵が殺されたことを察するポールとジェシカ。深い悲しみに襲われます。
カインズと合流したダンカンは、ポールたちを見つけることができます。
ダンカンと再会することができたポールたち一行は、カインズの研究室に向かいます。
自分こそがフレメンが求めている救世主であると言い、カインズを味方に引き入れようとします。
その時、皇帝の兵、サーダカーが研究室を襲撃します。
異変に気付いたダンカンは、機転を利かせ、ポールたちを逃がし、一人戦い犠牲になってしまいます。カインズからは2着しかない保水スーツを渡され、飛行船オーニソプターを使って、フレメンの住処に向かうようアドバイスされます。
そして、カインズは囮として敵とともにサンドワームに飲まれてしまいました。
フレメンと出会う
オーニソプターに乗って逃げているポールたちを、砂嵐が襲います。必死に抗おうとしますが、ポールは、突如、流れに身を任せるようにという言葉を思い出します。
そして、そうするべきと直感的に感じ、砂に身を任せて、危機を乗り越えます。砂嵐から抜けた先も、あたり一面砂の世界でした。カインズから渡された保水スーツを身にまといます。
フレメンの住処を探し当てますが、警戒されてしまいます。
その中に、ポールが夢の中で何度も見た青い目の少女チャニ(ゼンデイヤ)もいました。協力関係を結ぼうとしますが、フレメンの一人ジャミス(バブス・オルサン・モクン)は反対し、決闘を申し込みます。
ポールが受けてたちますが、夢の中で、決闘の末、殺される場面を見たことを思い出します。
夢で見た未来にならないように戦いますが、人を殺したことがないので、とどめを刺すことを躊躇してしまいます。
そんな時、クウィサッツ・ハデラックを呼ぶ声を聞き、夢で見た未来は変えられると自身を奮い立たせて、ジャミスを倒します。
そして、ポールは、自身がクウィサッツ・ハデラックだと確信し、自分の力を受け入れること、守られる存在から、未来へと導き立ち向かう存在へと変わろうという意思を持つのです。
レト公爵の目標でもあった、フレメンと協力関係を結び、ハルコンネン家や皇帝からデューンを守ることを決意します。
【ネタバレ】『DUNE/デューン 砂の惑星』感想
圧巻の映像美と重厚な音楽で迫力満点
本作の舞台は、砂の惑星です。そのため、あたり一面砂の世界が広がります。
また、そこに潜む生物として、サンドワーム(砂虫)がいます。
サンドワームの映像は、得体の知れない怖さと、神秘的な美しさが兼ね備えてあり、大画面で見ると感動します。今までに見たことのない姿形をしており、よりSF感が増します。
それだけでなく、爆弾が落ちたり、砂嵐に巻き込まれたりなど、これまで見たことがあるようなシーンも、もちろんあります。
しかし、映像技術が格段に上がっているからか、他の作品で見た同じような場面よりも、さらに美しく壮大に感じました。
そして、映像だけでなく、音楽も、本作の神秘的な雰囲気をより一層引き立てています。
これまでも、様々な映画音楽を手掛けてきたハンス・ジマーが作曲しています。
ハンス・ジマーの重厚感溢れる音楽のおかげで、視覚だけでなく聴覚でも映画の世界観に浸ることができます。
作品を彩る超豪華俳優陣
本作で主人公ポールを演じるティモシー・シャラメは25歳の若手俳優ですが、これまで「君の名前で僕を呼んで」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、実力もピカイチです。
ティモシー・シャラメは、作品中、どのシーンを切り取っても絵画のような美しさで、公爵の跡継ぎのオーラを放っています。
そして、物語序盤のポールは周囲に守られている箱入り息子のような雰囲気もあり、そこからクウィサッツ・ハデラックという救世主としてどう成長していくのかにも注目できます。
ティモシー・シャラメは、目の演技がとても上手で、表情一つで気持ちの機微を表現できます。
そのため、自分の能力に対する不安など、繊細な心の変化が伝わってきます。
周りを支える俳優陣もとても豪華です。スターウォーズのパイロット、ポー役が記憶に新しいオスカー・アイザックは、ポールの父親レト公爵を演じています。
公爵らしい恰幅の良い体系に髭面で、荘厳な雰囲気も保ちつつ、表情は柔和で、部下から好かれるような上司像になっています。
ポールの母親であり、ベネ・ゲセリットでもあるジェシカは、レベッカ・ファーガソンです。
本作では、青年の息子を持つ母親としての姿もありつつ、能力を持っている心の内を読みづらいミステリアスな女性を上手に演じています。
そして、頼りになる軍人ダンカンを演じたジェイソン・モモアは、アクアマンとはまた違ったかっこ良さを出していました。
本作では、アトレイデス家を守る存在であり、主に対して忠誠を誓う姿も凛々しかったです。ジェイソン・モモアがひとたび現れると、大丈夫だという安心感が凄まじかったです。
ポールもダンカンをとても信頼しており、二人の間にどのような過去があったかは描かれていませんが、ダンカンの姿を見るだけで、ポールが頼りにしていることに納得がいきます。
また、本作では、登場こそ少なかったゼンデイヤ演じるチャニですが、存在感は抜群です。今後の活躍に期待ができます。
壮大な物語が始まる予感、続編に期待大
予告ではあまり全面的に押し出されていませんでしたが、本作はパート1の位置づけです。
そのため、続編があるという前提で作成されています。
物語の中身からしても、本作は、原作小説の前半部分を丁寧に描いています。
物語の前半は、主人公ポールの家族関係や能力が覚醒する予感を怪しげな雰囲気で描いており、今にも動き出しそうな予感を感じる“静”のパートです。
そして、後半は“動”が始まります。敵の奇襲から、ポールの逃走劇、そして目標だったフレメンとの出会いで幕を閉じます。
上映時間は2時間30分を超えており、かなり長尺ですが、一体何が起こるのかという緊迫した雰囲気が常に漂っているため、飽きずに最後まで見ることができます。
本作は、小説が原作です。そのため、オリジナルの用語もたくさんあります。用語をあらかじめ把握しておくと、より作品を楽しめること間違いなしです。
『DUNE/デューン 砂の惑星』あらすじ・ネタバレ(感想まとめ
・作品の世界観に没入できる映像と音楽の素晴らしさ
・衣装や武器、乗り物など、作中オリジナルのものがたくさんあり、目新しさ抜群
以上、ここまで『DUNE/デューン 砂の惑星』をレビューしてきました。
hoshiko