映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は、生涯の花嫁に幼馴染を取るか、お姫様を取るかで悩みすぎることで有名な名作ゲーム「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」をCG化した作品。
正直、評価はかなり良くないですねー。
実際に見た私も…え?それやっちゃう?というような感想を持ちました。
ちなみに、私は「ドラゴンクエストV」は未プレイ。
だからこそ、それどうなの?という部分も出てきたので、プレイ済みの人に話を聞いてみると、より構成に謎が生まれます。
そして何よりも納得のできないものがラストです。
賛否両論と言われる「否」の一番の問題点だと思います。
- 話題にもなった懐かしのゲームを3D化。しかし、カット部分が…
- CGは綺麗。あのテーマ曲は作品を裏切らないどころか、最後の砦感
- ラストが製作者のやりたいことだとすれば、ゲーマーを怒らせても仕方がない
今回はネタバレありで!しかも好評できるところは、15%くらいです。
目次
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』作品情報
作品名 | ドラゴンクエスト ユア・ストーリー |
公開日 | 2019年8月2日 |
上映時間 | 103分 |
監督 | 山崎貴 八木竜一 花房真 |
脚本 | 山崎貴 |
原作 | 堀井雄二 |
声優 | 佐藤健 有村架純 波瑠 坂口健太郎 山田孝之 ケンドーコバヤシ 安田顕 古田新太 松尾スズキ 山寺宏一 井浦新 賀来千香子 吉田鋼太郎 |
音楽 | すぎやまこういち |
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』あらすじ
少年リュカは、ゲマが率いる魔物たちにさらわれた母を取り戻すため、父のパパスと共に旅をしていた。
旅路の途中で彼らはついにゲマと出くわし、パパスは魔物たちと激しく戦うが、リュカが人質にとられてしまう。
反撃できなくなったパパスが息子の目前で失意のうちに命を落としてから10年が過ぎ、故郷に戻ったリュカは父の日記を見つける。
出典:シネマトゥデイ
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』みどころ
『ALWAYS』シリーズなどの山崎貴が総監督と脚本を務め、ロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト」を映画化したフル3DCGアニメーション。
「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」を原案にした物語が展開する。
「ドラゴンクエスト」に携ってきた堀井雄二が原作と監修、すぎやまこういちが音楽を担当。
監督は『STAND BY ME ドラえもん』で山崎と共に監督を務めた八木竜一と、同作でアートディレクターを担当した花房真。
出典:シネマトゥデイ
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を視聴できる動画配信サービス
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は、下記のアイコンが有効になっているビデオ・オン・デマンドにて動画視聴することができます。
なお、各ビデオ・オン・デマンドには無料期間があります。
- 動画の配信情報は2019年9月30日時点のモノです。
- 動画配信ラインナップは変更される可能性もありますので、登録前に各サービスの公式ページにて必ずご確認ください。
ご覧のとおり、2019年9月30日現在はどこのビデオ・オン・デマンドでも配信開始となっておりません。
動画配信が開始になり次第、追って情報を掲載させていただきます。
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(ドラクエ5)』のラストまでのネタバレと評価
評価できる点はCGの美しさと音楽
文句があるのは映画全体のシナリオと構成のところがメインで、CGと音楽に関しては基本悪い印象はありません。
昔はドット絵が当たり前であったゲームが、今は技術革新によってリアルに、そして綺麗になりました。
そのおかげで、この作品もとても綺麗です。
綺麗すぎて、ボスのゲマの顔がリアルすぎて怖いくらい!
子供のころに見ていたらトラウマになるレベルかもしれませんでした。
そして曲。ドラゴンクエストといったらあの曲です!壮大な感じがしてGOODでした。
目では素晴らしいCGを楽しみ、耳で音楽を楽しむことができました。
大事な思い出をすっ飛ばすとは何事か
ゲーム未プレイの私。なので、多少内容がわからなくても仕方がないかと思っていたりもしました。
しかし、それは映画としてどうなのでしょう?なんて気持ちにもなりました。
「ドラゴンクエストV」最大のポイントは、大富豪の娘であるフローラと、幼馴染の女の子・ビアンカ、どちらの女性と結婚をするかです。
プレイヤーはとにかく悩まされたと聞きます。
「フローラだろ!」「ビアンカだろ!」という論争も聞いた覚えがあります。
麒麟の川島さんにいたっては、決められずに一度飲みに出たと聞いたことが…。
それだけ誰もがゲームの中で悩むポイントだと聞きました。
そりゃ、生涯ともにする人を選ぶのは大事なことですから。
しかも両手に花で悩むわけですから、ゲームと言えども真剣に悩みます。
しかし、選ぶ材料が少なすぎるのです。ゲームを知らないと、フローラはただのお金持ちのお嬢さんで、なんか過去に主人公のリュカとちょっと会ったことがある程度ですし、ビアンカも共に冒険した仲と言われても…実感が湧きません。
そして、実際にゲームをした人に聞くと、幼い頃のフローラやビアンカとのエピソードはしっかりあると言うではないですか!?
映画の中では、それこそドット絵で、まるでゲームが進行しているかのような演出で終わってしまっていたのです。
気づけばリュカの父・パパスがゲマにやられてしまい、リュカはヘンリー王子と奴隷になっていました。
ついでにこのヘンリー王子も、リュカと脱走をしたのちは王国に帰り、次に出てきたのが最終決戦。
もう少しエピソードを付け加えることはできなかったのでしょうか?
さすがに端折り過ぎです。おかげで感情移入がしづらかったです。
で、リュカはフローラを選ぶのですが、謎のおばあさんに自分の本音を知る薬をもらい、煽られて飲むと、本当はビアンカが好きと気づくのです。
結局、将来の伴侶としてリュカはビアンカを選ぶのですが、リュカに魔法の薬をあげたのは変身したフローラだったのです。
これは…どうやってもビアンカルートしかないやつじゃないんですか?
この演出、必要でしたかね?
ゲームとの相違点はたくさん。それにしても、子供が強すぎないか?
幼少期がダイジェストで書かれたことはもちろん問題なのですが、聞いてみると他にもゲームとの相違点がたくさん。
おかげでやっぱりおかしくないか?と思えることがたくさん出てきます。
ゲマの元から脱出した時のリュカはすでに青年。
そこからキラーパンサーのゲレゲレやサンチョと再会をするわけですが、ゲレゲレとの再会が雑…。
小さい頃のゲレゲレは猫のように可愛かったのですが、月日が経ってすっかりと大きくなっていたので、リュカは全力で逃げます。
が、ゲレゲレの方がリュカを覚えていたので、リュカは思い出し、一緒に旅をするんです。
リュカ、どこで気づいたか説明してくれないか?
ゲームでは、ビアンカのリボンがきっかけだと聞きました。その様子は全く描かれていません。
また、フローラの家に所有していたのは、魔王・ミルドラースを封印するために必要な「天空の剣」。
ゲームでは「天空の盾」だったみたいですね。
おっと、どうして変えたんでしょうかね?謎です。
また、自分が天空の勇者ではないと落胆するリュカがゲマに石にされてしまい、妻のビアンカが連れ去られるわけですが、時を経て復活した時、赤ちゃんだった息子が勇敢な少年に成長していました。
リュカが同じ年のころは相当ビビりでしたし弱かった…。しかし、息子のアルスはゴブリン相手でもへこたれません。
しかも、天空の剣を抜いてしまい、敵を一網打尽にしてしまいました。
天空人だけが剣を抜くことができると言われていたわけですが、それは主人公のリュカではなく、息子のアルスが受け継いだのです。
なぜ受け継げたかというと、ビアンカが天空人だったわけで、それは納得できます。
それにしても強すぎませんか?勇敢過ぎませんか?
石化する前のリュカの冒険に挑むチャレンジ精神が霞みました。
もともとこんな流れなのかと聞いてみると…本当は双子だと!なぜ端折った!?
子供の方が父親より頼もしくて悲しいだけの結果です。
【ネタバレ】映画ドラクエ5のラストは…むしろやってはいけなかったと思う
問題は『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(ドラクエ5)』ラストのどんでん返し的な結末です。
多くの人やモンスターが加勢してくれたおかげで、リュカとアルスが協力してゲマに立ち向かい、見事倒すことに成功しました。
しかし、すでに魔界の扉を開ける呪文を唱え、ミルドラースを復活させようというところまで来てしまいました。
ここでアルスが天空の剣を空の扉に投げ込めば、ミルドラースは封印できるはずでした。
が、ここで世界がストップ。
景色や建物周りの人物が姿を変えていきました。まるでゲームがバグったかのようにです。
これこそが、この『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(ドラクエ5)』のオチ。
実はこの作品、「ドラゴンクエストV」を最新のVRゲームで楽しんでいるサラリーマンのお話だったのです。
フローラを選ぼうとするけれど、いつもビアンカを選ぶ主人公。
最初のドット絵で進んだお話は、おそらくリュカに扮した主人公の思い出です。
もっともおかしいなと思ったのが、マスタードラゴン・プサンの言葉。
ドラゴンオーブの行方を探る際、リュカが何か引っかかるのです。
なんか、え?そっちにいくの?的な。
するとプサンが「今回はこっちの都合なんだ」と言うのです。
今回は?ってどゆこと?プサン役の安田顕が足早にそんなことを言うものですから、これはゲームの中では出てこないのだろうとわかりました。
さて、問題のミルドラースです。真っ白になってしまった世界に現れたミルドラースは、実はコンピューターウイルス。
ウイルスを作った主は、「ドラゴンクエスト」が大嫌いで、このゲームのシステムを壊してやろうと思い、今に至るみたいです。
子供のころにのめり込んだものに、大人になってものめり込むのは馬鹿馬鹿しいというような発言をするウイルス。
これは…大人になってもゲームに夢中になっている人間への当てつけでしょうかね?って思われても仕方がない発言です。
これを斬新だなー!とあっけらかんに取ることはさすがにできません。
ドラクエ5の世界を破壊されても、主人公は「ゲームは俺の第二の世界!プログラムだとしても一緒に戦ってきた仲間はここにいる」と言って立ち向かうわけです。が、人ではウイルスに対抗できるわけがありません。
そこで登場したのがスライムのスラりんです。
序盤からずっとリュカ扮する主人公に付いて歩いていたのですが、これがアンチウイルスだったのです。
スラりんの中から剣が出てくると、主人公はそれをミルドラースに投げつけて封印。
システムは正常に戻り、平和な世界を取り戻した…という流れなんです。
いろんなアニメを見てきた人間から言わせると、スライム役に山寺宏一をキャスティングする時点で重役だってわかります。しかし、アンチウイルス…。
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(ドラクエ5)』のラストを驚きの展開にしたいと思って作った割にはあっさりしすぎて、なんだかどっちつかず。
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(ドラクエ5)』のラストはどうすればよかったのだろうか…
ひどすぎて困ったという映画を見た時に思うのは、「どこが原因なのか?」「どうすればよかったのか」を考えるようにしています。
今回の場合はどうでしょう。「ドラゴンクエストV」といえば「花嫁選び」というポイントを劇中ではあまり持たせなかったせいで幼少期がダイジェスト、かつ分かりにくくなってしまったのでは?と考えたりもしました。
これはゲームをし続ける人の物語で、ウイルスから現実を見ろと言われても、自分の物語を大事に貫こうとするところを描きたかったのかなぁ。
しかし、ウイルスの必要性は、あのラスト数分というところで良かったのでしょうか?
むしろ、VRの世界というシステムを隠す必要があったのだろうか。というところまで至ります。
ウイルスを作った人間が、ドラクエが嫌いということしか見えてこないのも不服。
どんなエピソードがあって嫌いになったのかなど、人物が見えません。
身近な誰かから「まだゲームやってんの?」って言われるだけでもだいぶ来るものがあるものです。それじゃダメでしたかね?
そもそもリュカに扮していた主人公のパーソナリティーも見えてこないのです。
そして主人公がウイルスと戦いながらも、大好きなドラゴンクエストをクリアして日常生活にただ戻っていきました、という終わりであれば、本当にいつまでゲームやってんの?と言われかねない結末な気もするのです。
ゲームもやり方次第で得るモノがあります。ウイルスの言葉に何か影響を受けたのであれば、その変化を「リアルの世界!」で見せてほしかった…そんな気がします。
色々グルグル考えすぎてまとまりはつかないのですが、やりたいことだけやって、物語として何にも成立させなかった…そんな結論です。
もし狙いがあるなら、もうちょっと!もうちょっと!という気持ちが沸き上がります。
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(ドラクエ5)』ネタバレ(ラストまで)のまとめ
✨⚔️観客動員数100万人を突破⚔️✨
たくさんのみなさんにご覧いただき、
感謝・感謝です🤩
ありがとうございまぁぁぁぁす✨✨#映画ドラクエ#ドラクエ#DQ pic.twitter.com/2qDmhA26mr— 『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』公式 (@DQ_MOVIE) September 2, 2019
以上、ここまで映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』について紹介させていただきました。
- 端折り&詰め込み過ぎと最後を驚かせようとネタを隠し、何をしたかったかがわからない
- ゲームから得るものなんて何もないとウイルスは言う。エンディングまで見るとその通り過ぎないか?
- 綺麗なCGとたぎる音楽がもったいない!
また、2019年9月18日に映像や色調のデジタル調整として参加していた「ピクチャーエレメント」が倒産。
山崎貴作品に多数参加していたプロダクションなので、ちょっと残念です。
また、2019年12月に山崎監督制作による『ルパン三世』を放映することが決定。
正直…不安です。余計なことは考えず、ありのまま作品の良さを引き出して作ってほしいと願います!切実にです!