『ドラえもん のび太の月面探査記』あらすじ・感想!脚本・辻村深月先生から感じたドラえもん愛【ネタバレなし】

ドラえもん のび太の月面探査記

出典:映画.com

ドラえもんの声優が一新されて、10年以上もの年月が経ちました。

あの頃のドラえもんが良かった!という人もいるでしょう。

しかしそんな人こそ、今回の『ドラえもん のび太の月面探査記』は見ていただきたい!

そう言わざるを得ないほど、素敵な一本でした。

ポイント
  • ドラえもんたちが作り出す素敵な世界は必見
  • 勇気あって友情に熱いのび太やジャイアンの姿は健在!いや、いつも以上です
  • 脚本、音楽、主題歌、様々な視点から作品愛が伝わる一作

それではさっそく『ドラえもん のび太の月面探査記』のレビューをしていきたいと思います。

アニメ映画『ドラえもん のび太の月面探査記』作品情報

『ドラえもん のび太の月面探査記』

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作品名 ドラえもん のび太の月面探査記
公開日 2019年3月1日
上映時間 111分
監督 八鍬新之介
脚本 辻村深月
原作 藤子・F・不二雄
出演者(声優) 水田わさび
大原めぐみ
かかずゆみ
木村昴
関智一
音楽 服部隆之
主題歌 平井大「THE GIFT」

アニメ映画『ドラえもん のび太の月面探査記』あらすじ


月面探査機によって捉えられた白い影のニュースを聞いたのび太は、それを“月のウサギ”だと訴え笑い者になってしまう。

そこでドラえもんのひみつ道具“異説クラブメンバーズバッジ”の力を借りて、月の裏側にウサギ王国の建国を計画する。

ある日転校してきた謎めいた少年ルカは、のび太たちと共にウサギ王国に行く。
出典:シネマトゥデイ

アニメ映画『ドラえもん のび太の月面探査記』みどころ

『ドラえもん のび太の月面探査記』みどころ

『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』などの八鍬新之介が監督、直木賞作家の辻村深月が脚本を担当した『映画ドラえもん』シリーズ第39作。

月を舞台に、のび太たちが冒険を繰り広げる。

水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみらおなじみのメンバーがボイスキャストを務め、ゲスト声優として広瀬アリス、お笑いコンビ「ロッチ」の中岡創一、お笑いコンビ「サバンナ」の高橋茂雄、柳楽優弥、吉田鋼太郎らが参加している。
出典:シネマトゥデイ

アニメ映画『ドラえもん のび太の月面探査記』を視聴できる動画配信サービス

『ドラえもん のび太の月面探査記』は、下記のアイコンが有効になっているビデオ・オン・デマンドにて動画視聴することができます。

なお、各ビデオ・オン・デマンドには無料期間があります。

u-next
注意点
  • 動画の配信情報は2019年3月18日時点のモノです。
  • 動画配信ラインナップは変更される可能性もありますので、登録前に各サービスの公式ページにて必ずご確認ください。

ご覧のとおり、2019年3月18日現在はどこのビデオ・オン・デマンドでも配信開始となっておりません。

動画配信が開始になり次第、追って情報を掲載させていただきます。

アニメ映画『ドラえもん のび太の月面探査記』感想レビュー【ネタバレなし】

のび太とドラえもんの作る「ウサギ王国」が可愛すぎる

今回の舞台となるのは、地球からは見えない「月の裏側」です。

月にはウサギが住んでいてモチをついていると信じてやまないのび太が、ドラえもんと一緒に作りだした「ウサギ王国」は、可愛らしいテーマパークといっていいでしょう。

屋根の骨組みや手すりは、かぐや姫を連想させる「竹」で作られ、レンガはモチを固めて作っています。

ほかにも、ニンジンや団子、月をモチーフにした乗り物や飾りなどのアイテムが、国じゅうに散りばめられていました。

月やウサギからここまでファンタジーで素敵な世界ができるのかと、感服するばかりです。

また、ウサギ王国の住人として、ドラえもんとのび太が不思議道具のひとつ「どうぶつ粘土」から作り出したウサギのムービットちゃんが丸くて可愛らしいです。……触りたくなります。

そのムービットたちがドラえもんから家の作り方を教わり、火の起こし方やモチの作り方を教わり、文明を築き上げていくところを見ると、人もウサギもたどる道は一緒なんですね。

あと、ムービットの中に、のび太にそっくりな子がいます。

近眼でドジなところや、しずかちゃんにデレデレするところまで一緒です。

意外な活躍を見せるので、ぜひチェックしてほしいです。

謎の転校生「月野ルカ」が魅力的

今作のキーとなる少年・月野ルカは、のび太たちがウサギ王国を作る前から月の裏側に住んでいる「エスパル」という別の星の種族です。

のび太の通う学校にやってきたルカは、超能力を使って枯れた花を元気にしたり、足を速くしたりすることができます。

力の源はあのウサ耳!素性を隠すため、ルカは帽子をかぶっています。

一見クールに見えますが、中身は普通の明るく元気で、優しくて落ち着きのある男の子といっていいでしょう。

銀髪なだけでも不思議な雰囲気が漂い、とっても魅力的なキャラクターなのですが、…冷静に考えたら、この世界ってすごいと改めて思ってしまいます。

日常生活に銀髪の小学生が現れたら、不思議に思いませんか?

しかし、すでにこの世界には、未来からきた猫型ロボットが当たり前に存在しているので、さほど気にも止められません。

ルカがドラえもんと初めて会った時も、ドラえもんの存在に驚くことなく「よろしく」と握手をしています。

……冷静に考えたら、驚きのレベルが相当高い世界じゃないですか。

話は戻りまして、実はルカたちは、追われている身なのです。そして、のび太たちと一緒にいるときに襲撃をされてしまいます。

次々と仲間が捕まっていく中、ルカは自分の身を犠牲にして、のび太を逃がします。

その時のルカの表情……口元は笑いながらも、目は潤んでいて……大切な友達を逃がすことができてよかったという安堵と、捕まることの恐怖が伝わってきて、涙腺が緩みます!

ドラえもん映画のお約束 友情に熱いのび太はカッコいい

敵の一撃でどこでもドアが壊されてしまい、のび太たちはルカを助けることができなくなり、その悔しい気持ちが全面に伝わってきます。

のび太たちにとって、ルカたちエスパルのみんなはすでに友達です。

友達のために自分を犠牲にしたルカを助けるべく、のび太たちは宇宙船で月へと向かいます。

助けると決心したのび太たちは、夜中にこっそりと家を抜け出して集合!

まんまるの月をまっすぐ見つめる姿は、小学生と思えない勇ましさです。

勇敢で友情に熱いのび太の姿は映画ならでは!正義感あふれるジャイアンも健在です。

後半はみんなの活躍から目が離せません!

ドラえもんを知る作家が描くからこそ素晴らしい

今回、この作品を映画館で見ようと思った一番の理由は、脚本を担当されるのが、小説家・辻村深月先生であったからです。

辻村先生といえば、2018年に長編小説『鏡の孤城』を出版し、本屋さん大賞を受賞しました。

のび太やジャイアン、しずかちゃんなど、心の成長がみられる若者の揺れ動く微小な心情や、怖くても前に進もうとする心情の表現を繊細に描く辻村先生なら、きっと素敵にドラえもんたちを書いてくれるだろうと思ったのです。

そんな辻村先生、手塚治虫やドラえもんの作者である藤子・F・不二夫先生の影響が強く感じられる場面があります。

ドラえもんが大好きな先生だからこそ描ける世界、それがやはりこの作品をより良いものにしたと思いました。

ところどころに散りばめられたドラえもんの雰囲気は、大山のぶよさんがドラえもんの声を担当されていたころに描かれたものを思い出させるので、懐かしくも新しい…そんな気持ちにさせられます。

作品を盛り上げる音楽にも注目を!

劇場版作品の良いところは、テレビ放送では見られない演出が見られるところにあると思っています。それは今回も同じでした。

『GODZILA』や『半沢直樹』、大河ドラマ『真田丸』など、多くの有名作品で音楽を手掛ける作曲家の服部隆之さんが、今作の音楽を手掛けたことで、さらに作品に感情移入しやすくなっています。

さらには主題歌をアレンジし、より壮大に聞かせているところに感激です。

また、今回の主題歌となっている平井大さんの「THE GIFT」は、作品を最後まで見た時にのび太たちの心情とリンクしているように感じることができます。

アニメ本編だけではなく、音楽や映像など、見どころ聞きどころは盛りだくさんということを、どうか知ってもらいたいです。

アニメ映画『ドラえもん のび太の月面探査記』まとめ

ドラえもんが大好きな人が脚本を書いたなら、こんな素敵な作品ができ上がるんだなぁー!と納得させられた一本です。

小さいころ親に連れられて見に行ったり、テレビで放送された映画を見たりしたなぁと懐かしませ、昔のドラえもん映画を見ていた“あの頃”に戻った気持ちになれます。それでいて新しくもあります。

また、終盤で敵のボスに対してドラえもんが訴える言葉は、胸を打つものがありました。

友情を感じ、必死に敵に立ち向かうのび太やルカ、ドラえもんたちの姿は涙なくして見られず、もう1度、2度、3度と見たい作品です。

もちろん、辻村深月先生のファンの方にも見てほしいです。

子供向けアニメと思うなかれ!

この国民的アニメは、大人も魅了し泣かせる素敵なアニメ映画ですよ!