『ドント・ウォーリー』あらすじ・ネタバレ感想!ガス・ヴァン・サント節炸裂の優しさ溢れるノンフィクション

映画『ドント・ウォーリー』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『ドント・ウォーリー』公式ページ

名優ロビン・ウィリアムズが、在命中にずっと映画化を熱望していた今作。

酒に溺れて身体の自由を奪われた世界で一番皮肉な風刺漫画家ジョン・キャラハンの半生を、『グッド・ウィル・ハンティング』のガス・ヴァン・サントが、彼らしい作風に仕上げた優しさに溢れる物語です。

それではさっそく『ドント・ウォーリー』をネタバレありでレビューしたいと思います。

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『ドント・ウォーリー』作品情報

映画『ドント・ウォーリー』

出典:映画.com

作品名 ドント・ウォーリー
公開日 2019年5月3日
上映時間 113分
監督 ガス・ヴァン・サント
脚本 ガス・ヴァン・サント
原作 ジョン・キャラハン
出演者 ホアキン・フェニックス
ジョナ・ヒル
ルーニー・マーラ
ジャック・ブラック
音楽 ダニー・エルフマン

【ネタバレ】『ドント・ウォーリー』あらすじ・感想


ガス・ヴァン・サントお得意の「不器用で、才能のある社会的弱者」を描いた感動作

今回の主人公は、酒に溺れて起こした事故で身体の自由を奪われた風刺漫画家ジョン・キャラハンのお話。

トイレもお風呂も一人では入れない、けどそんな彼が描く漫画は人々の心にインパクトを残します。

最初はなかなか社会に馴染めず、事実を受け入れられないジョン・キャラハン。

その姿は、『グッド・ウィル・ハンティング』のウィルや、『小説家を見つけたら』のジャマールと重なります。

そんな不器用で社会的に弱者になってしまった、だけど実は才能に溢れる主人公と、周りの優しい人々を描かせたらピカイチのガス・ヴァン・サント。

彼は大きな装飾をつけず、丁寧に主人公の人生を描くことで、人生で忘れがちなことや温かい気づきをいつも与えてくれる監督です。

今作もそんな彼の作風が炸裂しています。

普段からドラマチックで大きな展開のハリウッド映画に慣れてしまってる人には、ちょっと退屈な映画と感じるかもしれません。

ただ逆に、いつもと違うものが観たいな〜と思っている人。

もしくは「映画の中のお話」という感じではなく、「一人の人生の話」に触れたいという人にはオススメです!

豪華で完璧なキャスト陣

今回、主人公のジョン・キャラハンを見事に演じたのはホアキン・フェニックス。

その素晴らしい演技は、「過去最高の演技」という評価まで上がっているほど。

ホアキンの演技はもちろん最高でしたが、実は映画の質は、いわゆる脇役の演技にかなり左右されたりします。

今作は、主人公以外の助演俳優たちも、素晴らしい存在感を放ち、さらに作品が輝いています。

ジョンの相談役ドニーを演じたのは『マネーボール』や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で高い評価を得たジョナ・ヒル。

どの作品でも抜群の存在感を放っているジャック・ブラックが、ジョンの人生に大きな影響を残したデクスターを演じます。

そして、スクリーンに最高の華を添え、作品内ではジョンを支え続けたアヌーを演じたのは、『ソーシャル・ネットワーク』『ドラゴン・タトゥーの女』に出演したルーニー・マーラー。

このルーニー・マーラーが、本当に圧倒的に輝く存在感を放っています!

この4人じゃなきゃ絶対ダメだった!と言えるほどの完璧な布陣。

昔からガス・ヴァン・サント作品が好きだった私としては、そんな一流俳優陣を揃えてしまう監督に、人としての魅力を感じずにはいられませんでした!

ガス・ヴァン・サントらしい「優しさと勇気」「人の心の動き」を丁寧に描いた物語

豪華なキャスト陣が紡ぐ物語は、本当に優しさと勇気が溢れかえった物語。

ジョン・キャラハンの人生を、丁寧に丁寧に描くことで、私たち観客は「優しさと勇気」を感じることができます。

自分の不甲斐なさで身体の自由を奪われてしまったジョン。

それは、まるで救いのない状態でした。

でも周りにいる人々に、少しずつ少しずつ助けてもらい、救いをもらいながら、人生を豊かにしていきます。

そして、過去の事実を受け入れ、自分を解放する最後のステップは「許すこと」。

最初は「絶対許すことなんてできない」と言っていたジョンが、怒りを解いていく過程で、どんどん自由になっていく感じが伝わってきます。

そしてジョンが謝罪し、許した相手もまるでそれに呼応するように、優しくなっていきます。

ジョンが事実を受け入れ、周りの人と調和し、許し、そして自分も許していく過程は、我々観客の心まで温かくしてくれます。

またジョンを支えた人たちも何かしらの悩みを抱える人間。

そこもしっかり描くことで、物語に深さが出てきます。

ガス・ヴァン・サント作品には、いつも人間らしい人間がたくさん出てきます。

物語のテーマの大きな軸は「許すこと」。そして「寛大さ」です。

許すことで、ここまで人は自由になり優しくなれるということ、そしてそれが周りの人間にも影響を与えていくということ。

まさにロビン・ウィリアムズが好きそうな物語です。

本作を見た後は、あの『ラブ・アクチュアリー』を鑑賞した時と同じ感覚。

「世界は意外と愛で溢れている」という温かい感覚になるのです。

『ドント・ウォーリー』まとめ

ロビン・ウィリアムズとガス・ヴァン・サント。

この二人の名前が連なった時に、ワクワクを覚える人は迷わず鑑賞してみてください。

まさに、この二人のこれまでの作品でいつも表現してきたことと重なります。

一方、こういうミニシアター系の映画は、大きな展開が少なく、示唆に富んだストーリー展開となっているので、慣れていない人には退屈に感じてしまう人もいると思います。

ただ、もし鑑賞してきた映画や感性の幅を広げたいのなら、ぜひとも試してみてください!

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