2010年公開の『第9地区』は南アフリカ出身の新鋭、ニール・ブロムカンプ監督がメガホンを取ったSFアクションドラマ。
南アフリカのヨハネスブルグ上空に不時着した宇宙船から避難したエイリアンたちを難民として扱い隔離した「第9地区」というエリアを舞台に、地域住民たちとの軋轢やエイリアンに対する新たな対応を描きます。
製作には『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソンも携わり、2010年開催の第82回アカデミー賞で作品賞・脚色賞・編集賞・視覚効果賞の4部門にノミネートされた世界的にも評価の高い作品です。
マルコヤマモト
目次
映画『第9地区』作品情報
作品名 | 『第9地区』 |
公開日 | 2010年4月10日 |
上映時間 | 111分 |
監督 | ニール・ブロムカンプ |
脚本 | ニール・ブロムカンプ
テリー・タッチェル |
出演者 | シャールト・コプリー
デヴィッド・ジェームズ ジェイソン・コープ ヴァネッサ・ハイウッド マリアン・フーマン |
音楽 | クリントン・ショーター |
【ネタバレ】映画『第9地区』あらすじ・感想
増え続けるエイリアン難民に対する隔離政策が施行される
1982年、南アフリカのヨハネスブルグ上空に突如巨大な宇宙船が出現。
故障により不時着し、全く動く様子がない宇宙船に人類が調査に入ったところ、中には死亡した支配層と生き延びた大量のエイリアンたちが身を隠していました。
人類は超国家機関MNUの管理・指揮のもとエイリアンたちを難民として「第9地区」と呼ばれる地域に隔離することに。
その後MNUの監視下の元地球で暮らすことになったエイリアンたちでしたが、外見や文化の違いから地域住民との間で小競り合いが多発。
人間たちはエイリアンの外見を揶揄した「エビ」という蔑称で彼らのことを呼び、次第に反発や差別が強くなっていきます。
マルコヤマモト
宇宙船が不時着してから28年後、繁殖力が強く増え続けるエイリアンと人々のエイリアンに対する不満が爆発しかけるなか、MNUはエイリアンたちを新たな「第10地区」へ移動させることを決定。
MNUの職員でエイリアンたちに立ち退きを強制していたヴィカス(シャールト・コプリー)は、ある日訪れたクリストファー・ジョンソン(ジェイソン・コープ)と名乗るエイリアンの自宅を捜査中に、不注意で謎の黒い液体を浴びてしまいます。
その後体調不良を起こしたヴィカスは帰宅するも、ますます体調は悪化。
嘔吐だけでなく爪が剥がれ、鼻からは黒い血のような物が流れ出したヴィカスは、ついに気を失って倒れてしまいます。
しかし、病院に運ばれたときに、ヴィカスの左腕は既にエイリアンと同じ手の形に変化していたのです!
マルコヤマモト
悲惨な生体実験の事実を知ったヴィカスは…
エイリアン化するヴィカスに目をつけたMNUは表向きは彼の死亡を発表しながらも、生体実験の被験者として施設内に捕らえ、様々な実験を行いました。
あまりにも非道な実験に耐えきれなくなったヴィカスは、隙をついてMNU施設を脱出し第9地区へ逃げ込みますが、MNUはすぐさまヴィカスを指名手配したのです。
第9地区に逃げ込んだ時点でヴィカスはエイリアンが好む猫缶を食べるようになり、かなりエイリアン化が進んでいる状態でした。
エイリアンと同化したヴィカスの存在はすぐに知れ渡り、第9地区に拠点を置き、エイリアンの肉を食べることで力を得られると信じるナイジェリアのギャング・オビサンジョ一味にも目をつけられてしまいます。
マルコヤマモト
困ったヴィカスは立ち退きで出会った賢いエイリアン、クリストファー・ジョンソンの家へ行き一時的に匿ってもらいますが、クリストファーの家で浴びた黒い液体が宇宙船の燃料だったことを聞かされて驚きます。
さらに、ヴィカスを人間の姿に戻せる方法を知っていると言うクリストファーは、ヴィカスと協力してMNUの施設に乗り込み、無事燃料を奪取しました。
再び第9地区へ戻った2人は、クリストファーの賢い息子・リトルCJの協力を得て、母船まで戻る司令船の起動に成功。
しかし、MNUで仲間が非道な生体実験を受けている事実を知ったクリストファーは、ヴィカスに対して「仲間を救うために3年待ってほしい」と告げました。
クリストファーの言葉に逆上したヴィカスは、クリストファーを殴り倒して司令船を奪い、リトルCJを乗せたまま母船へ向かって飛び立ったのです!
マルコヤマモト
『第9地区』の結末
しかし、ヴィカスとリトルCJが乗った司令船はMNUのクーバス大佐(デヴィッド・ジェームズ)が率いる傭兵軍団に撃墜され、スラムの真ん中に落下。
さらに、エイリアンとの同化を望むオビサンジョ一味に捕らえられたヴィカスは腕を食べられそうになりますが、機転を利かせたリトルCJの活躍により、エイリアンのロボットを起動させてその場を脱出。
思い直したヴィカスはクーバスに捕らえられたクリストファーを救出すると、傭兵軍団を相手に激戦を展開しながら彼をリトルCJが待つ司令船まで援護しました。
マルコヤマモト
「3年後に必ず戻ってくる」と言い残して司令船で母船へ戻っていくクリストファーとリトルCJ。
クーバスに追い詰められたヴィカスの体は、半分がエイリアン化していました。
万事休すかと思われたとき、ヴィカスを救ったのは第9地区に居住するエイリアンたちでした。
ヘリコプターが上空からその様子を写した映像の中には、カメラが捕らえたヴィカスの最後の姿がありました。
それ以来ヴィカスは行方不明に。
ある日彼の妻であるタニア(ヴァネッサ・ハイウッド)の元に、ゴミで作った一輪の造花が届けられました。
インタビューでタニアは、行方不明になったヴィカスが玄関に置いていったのではないか、と答えます。
その頃、完全なエイリアンの姿になったヴィカスが新たにエイリアンたちが移住させられた「第10地区」で、ゴミを使って造花を作りながら、クリストファーの帰りを待ち続けていました。
SFの仮面を被った超社会派!今全世界が見るべき作品
2010年に公開された『第9地区』。
マルコヤマモト
冒頭の緊張感満載のドキュメンタリー演出から、主人公のヴィカスとエイリアンのクリストファーが展開するドラマへの自然な移行の仕方が見事。
後半からのロボットやメカを駆使したアクションも迫力満点でツッコミどころ満載ですが、続編を期待させるエンディングも相まって、良い余韻を残してくれました。
今作は、かつて南アフリカで行われていた白人と非白人を隔離する「アパルトヘイト政策」が反映されたストーリーですが、世界的に移民や難民が問題になっている2021年に鑑賞すると、より広い意味で問題提起ができる興味深い作品です。
マルコヤマモト
また、主人公のヴィカスがエイリアンに変身するストーリーを挟むことで、排除をする側の人間の本当の恐ろしさが露わになっていくという展開も非常に説得力があります。
マルコヤマモト
ラストで「3年後に戻る」とクリストファーは言いましたが、果たしてヴィカスとの約束は果たされるのでしょうか?
マルコヤマモト
SNSでのみんなの感想・評判
映画「#第9地区」
1982年、南アフリカ上空にUFOが飛来し異星人を難民として受け入れるが、彼らの特別居住区”第9地区”はスラムと化していた🎥
ひっさびさに鑑賞したが面白い🦐
メカや近未来兵器が格好良い🤖
最終的に肩入れするが、それは自分が同じ立場になったからであって、現実もそうだよねってお話 pic.twitter.com/3mWGnVpOQB— ザキシマ@映画垢 (@zakishima_movie) June 25, 2021
第9地区🎬観たような気もするけど記憶に無いため鑑賞👀✨
主人公のヴィカスには何度も
あーもう!って思うこと多かった😂笑
それに対してエビ👽のクリストファーはすごく良い奴だ〜🥺
エビの子供も可愛く思えてきた💓👽
第10地区でまたクリストファー見れるかな?🚀🌏 pic.twitter.com/LL0Dm01fqp— しなもち🧸🎈.*˚ (@moo_chiiiii) June 15, 2021
寝落ちが続いたりでやっと映画鑑賞できた。グラディエーター観ようと思ってたのに、観たのはなぜか第9地区。
ドキュメンタリー風に始まって、なんじゃこりゃ?って感じだったけど、展開が一変してから面白かった。
人間のエゴや腹黒さ、親子愛等々を考えされられる映画でした。— じぇい (@MA152403_) June 6, 2021
#第9地区
鑑賞した。
切ない映画だったけど
見て良かった。 pic.twitter.com/QJeAipDQCL— e D o (@eDward0marionet) May 11, 2021
映画『第9地区』ですが、その感想は「見て良かった」これに尽きると思います。
マルコヤマモト
なにゆえ『第9地区』がそこまで評価されるのか、それは今作を観ないことにはわからないと思います。
マルコヤマモト
映画『第9地区』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
マルコヤマモト
最終的にエイリアンになってしまったヴィカス、3年後に戻ってくると言ったクリストファー、そして政府の政策通り第10地区に移動させられてしまったエイリアンたち。
様々な謎を残したまま物語は終わりましたが、どうやら今作で監督を務めたニール・ブロムカンプが、続編となる『第10地区』の脚本をシャールト・コプリー、テリー・タッチェルと共同執筆していることが、監督自身のSNSを通じて明らかに!
マルコヤマモト