『ハイ・ライフ』は、オスカー女優キャシー・ベイツと『ビッグバン☆セオリー ギークなボクらの恋愛法則』の製作陣がタッグを組んだ、大麻を取扱うショップを舞台にしたシットコム。
キャシー・ベイツ演じるルースのユルく、ぶっとんだ大麻の伝道師ぶりが、とにかく面白い。
登場するどの人物も個性的でカラフル。時に呆れ、時にホロッとくる「まとまりのない、ごちゃまぜ感」が、醍醐味の『ハイ・ライフ』。
日本では大麻取締法のもと違法な大麻も、この番組では重要な要素のひとつで、なにが飛び出すかわからないシュールな世界が堪能できる楽しい作品となっております。
それでは『ハイ・ライフ パート1』をネタバレありでレビューします。
・ショップのハイ・テンションな日常
・型にとらわれない映像表現
・大麻も登場人物
目次
【ネタバレ】『ハイ・ライフ パート1』あらすじ・ネタバレ感想
日本ではなじみのない「マリファナ薬局」
『ハイ・ライフ』の舞台は、医療目的に処方される大麻を取扱う「マリファナ薬局」。
日本人にはなじみのない場所だけに、押さえておきたいポイントは、ふたつ。ひとつは、アメリカの連邦法上でマリファナは違法だけど、州法上で19の州が大麻を合法としています。
医療目的だけの限定利用を合法とする州を含めると39州。カリフォルニア州にあるルースのケアショップは、州法で、医療・娯楽目的の大麻利用が合法なマリファナを取扱う店の位置づけです。
だから日本では、違法行為とされる大麻の所持、栽培、譲渡のすべてが『ハイ・ライフ』では、合法ということ。
もうひとつは、マリファナ購入には21歳以上の年齢制限が設けられており、IDや処方箋の提示を要し、決済は現金オンリーということ。
受付に警備員が常駐していて、現金が多く店内に置いているのは、そんな事情があるのです。
このふたつのポイントをふまえておくと、より作品を楽しめると思います。
蔵商店
ルースのケアショップ
ルース(キャシー・ベイツ)が、経営するのは南カリフォルニアで一番の「マリファナ薬局」。
大麻合法活動家でもあるルースは、マリファナは病を治し、苦しみを和らげる奇跡の植物で、ハメを外せない人々の精神を解放に導くと信じて、マリファナの福音に人生を捧げてきたといいます。
ケアショップに足を運ぶお客を患者と呼び、信念をもって仕事をするルースは、「大麻の女王」とも呼ばれカリスマ的存在。
そんなショップにはビジネス・スクールを卒業したばかりの息子のトラヴィス(アーロン・モーテン)、従業員のマリファナ調剤師のオリビア(エリザベス・アルダーファー)とジェニー(エリザベス・ホー)、栽培担当のピート(ダギー・ボールドウィン)がいて、ルースに負けず劣らず個性豊かな面々が勢ぞろい。
どこかユルいテンションのショップは、ここを人々の癒しや安息の場にしたいというルースのモットーに沿っているようにみえます。
人の痛みによりそうケアショップ
そんなルースのケアショップを訪れたのは、神経衰弱の2人の子供をもつ専業主婦のマリア(ニコール・サリバン)。
多忙な毎日に追われ、落ち着きをなくし、不安しかないマリアの話にルースは耳を傾けます。
蔵商店
日本語字幕でも充分に面白いのですが、英語のセリフはもっと尖がっていて、言葉遊びが相当に高度です。
イラクに3回渡った退役軍人のケアショップ警備員兼受付のカーター(トーン・ベル)も、PTSDで苦しい心のうちにフタをしていました。
仕事中に思考停止になり、パニックに陥ったカーターに手を差し伸べたのは、ルースやショップのメンバーたち。カーターは、ルースのすすめるマリファナを吸うことで封印していた感情を解き放ち、涙さえ流すようになったのでした。
蔵商店
おかしな常連客
2016年にカリフォルニア州で解禁となった医療利用に限定しない大麻の娯楽使用の波は、ルースのお店にも押し寄せていました。
母のルースを店で働くようになったトラヴィスは、時代の波に乗ってビジネスを大きくしようとルースを説き伏せ、ケアショップのネット宣伝にも力を入れ始めていました。
そんな店の常連客ダンク(クリス・レッド)とダビー(ベッツィー・ソメロ)は、大麻が好きすぎて、足しげく店にやってくるふたり。
常にハイで支離滅裂、テンションも熱量の高いおバカなふたりに、ルースも頭を抱えるのだけど、YouTubeで10万人ものフォロワーをもつふたりのチャンネルを利用しない手はないと、トラヴィスはダンクとダビーにスポンサー話を持ちかけるのでした。
蔵商店
そして、このハイになりたいだけのバカップルに、全く負けない迫力ある風格のキャシー・ベイツに脱帽です!
社会通念上のアンチ
家族連れもやってくるショッピング・モールの駐車場で大麻を吸うウツケモノがいるせいで、合法的に大麻を売るケアショップでありながら、社会的に肩身が狭い思いをしているルース。
近所のテコンドーの道場主のテコン・ダグ(マイケル・トルッコ)からは、苦情が出る始末。
ルースが、顧客にいくら正しい大麻の使い方を伝え、「奇跡の植物」と賛美しても、やはり社会通念上アンチがいることにはわかりはありません。
テコン・ダグとモメて、逮捕されることにもなります。
蔵商店
ルースのセリフで、「昔は反骨精神の象徴のマリファナだったのに、今ではただの商品扱い」とぼやくほどに時代は大きく変わっているようです。
連邦法と強制捜査
ケアショップのネット露出、お騒がせコンビのスポンサー、商品開発の探求と、トラヴィスの事業拡大のアイディアの効果を感じ始めていたルース。
現金決済でため込んでいた大量の現金をどう処理しようとトラヴィスと相談していました。
そんな矢先に、クリスマス・スペシャルと称して配信されたダンクとダビーの動画で、ショップ前で商品を不適切な若い世代に配布したとして強制捜査を受けるルースのケアショップ。
州法では合法の大麻販売も、連邦法では違法のというグレーゾーンにあるケアショップは、強制捜査で検挙率をあげて手柄にしたい連邦捜査官の資産差し押さえの横暴を前に、為す術もありません。
商品の大麻と、現金の全てを持って行かれ、呆然とするルースとトラヴィス、従業員たちは、ピートの作った新しい商品「ザ・サイアク」を吸いながらハイになるのでした。
『ハイ・ライフ パート1』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『ハイ・ライフ パート1』をレビューしてきました。
・頭のネジが抜けているユルさ
・ハイなだけない
・奇想天外な画面展開
・笑わずにはいられない
カリカリしなさんな
主人公のルースは、1970年代から大麻解放運動を続けてきた活動家で、なにかしらの騒動で50年連続、逮捕されてきたツワモノ!
心は大きいのだけど口が悪い、迫力満点のルースをキャシー・ベイツが魅力たっぷりに演じます。エッジの効いたセリフを吐いて、ニカッと笑う絶妙な「間」に笑わずにはいられません。
マリファナを題材に使っていることも功を奏して、作品の表現方法は無限。妄想や空想、ひとつの枠に収まらない不思議な映像の挿入もシームレスで無理がありません。
カーターの心情を表す世界はアニメで表現され、トラヴィス、オリビア、ジェニーのそれぞれが妄想で歌ったり踊ったり、ルースの心の声はもうひとりの自分となって現れたり。
大麻の品種紹介動画やランダムにCM風の映像が挟み込まれていたりと、実にしっちゃかめっちゃか。大小とわず、笑いを量産してくれる楽しい作品です。
シットコムらしく作りこんだ世界であっても、ひとつだけはっきりしているのは、ハイになるだけじゃない、ルースのモットーとする鎮痛や鎮静を前面に出して「カリカリしない」心もちでいるべしと、作品は一貫したトーンになっていること。
物語も登場人物も全てがとんでバラバラ、ちっともまとまっていないのに、キャシー・ベイツがビシッと笑いでシメていて、それが珠玉です!ぜひご覧ください!
蔵商店
番組を堪能するのはよいとして、良い子の皆さんは、日本人として清く正しく法令遵守することが大事です!
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