映画『デスパレート・ラン』あらすじ・感想!反抗期な人にこそ見て欲しい本作の魅力とは

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(C)2021 LAKEWOOD FILM LLC. ALL RIGHTS RESERVED. デスパレート・ラン

『インポッシブル』(12)でアカデミー主演女優賞の候補にノミネートされたことでも知られるナオミ・ワッツが主演を務めたシチュエーションスリラー『デスパレート・ラン』が5月12日(金)より公開されます。

愛する息子が高校での立てこもり事件に巻き込まれたかもしれない…。そんな極限の状況に、母親がスマホ1台で立ち向かう様子をスリリングに描いた作品です。

ポイント
・ナオミ・ワッツ×『ソルト』監督×『[リミット]』脚本家
・息子を救いたければいろんな人と繋がれ!
・本作の公開日が最適すぎる!

二転三転する事件の情報に翻弄されながらも、息子の無事を信じて走り続ける母親の姿は胸を熱くさせます…!

ワンシチュエーションに近い作風ながら、非常にスピーディかつ先の読めない展開も良かったです!

それでは『デスパレート・ラン』をネタバレなしでレビューします。

『デスパレート・ラン』あらすじ【ネタバレなし】


夫の死から立ち直れないエイミーに訪れた更なる不幸

郊外に暮らすエイミー(ナオミ・ワッツ)は1年前の夫の事故死から、今も立ち直れずにいた。遺された娘エミリーはスクールバスで小学校に向かい、高校生の息子ノアはなかなか起きてこない。

父の死後、塞ぎがちなノアはエイミーに対して心を開かず、エイミーは彼との関係に頭を抱えていた。その日、エイミーは夜に家族3人で過ごすことを提案し、ジョギングに出かける。道中、エイミーの傍を数台のパトカーが走り抜ける。

森の中を走り続けるエイミーだが、スマホからは職場の同僚、エミリーの担任、ママ友、飛行機でこちらに向かう途中の母親から立て続けに連絡が来る。エイミーは完全に独りになるために、スマホをサイレントモードに設定する。

川のほとりにたたずみ、夫が残した最後のメッセージを聴くエイミーだが、突如スマホから警報音が鳴り響く。それは保安官事務所からの警告で「子どもたちを通学させず、自宅に待機させること」という指示だった。

息子が事件に巻き込まれたかもしれない!

状況が飲み込めないエイミーは、娘エミリーの安否を確認し、自宅にいるノアと連絡を取る。しかしノアのスマホは留守電になっていた。さらに詳しい情報が入り、高校では銃を持った男が立てこもり、被害者も出ている緊迫した状況になっていた。その事件現場となった高校はノアの通う学校だった。さらにエイミーはママ友から、ノアの車が家を出るところを見たと言われ、エイミーに不安が押し寄せる。

ノアの安否を知るために、エイミーは911に連絡する。未だに現場の正確な情報は入ってきておらず、保護者は公民館に集まり、現場から脱出した子どもと合流する手筈になっていた。

しかしエイミーの現在地から公民館までは走って1時間もかかる距離で、車も捕まらない。情報が錯綜する中、エイミーはひたすら森の中を走るが、彼女に届いた情報は「ノアの車が高校の駐車場に停まっている」というものだった。

エイミーはスマホだけを頼りに、情報が錯綜する中、息子を救い出すために走り出すがーー。|

『デスパレート・ラン』感想

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ナオミ・ワッツ×『ソルト』監督×『[リミット]』脚本家

『デスパレート・ラン』の主演を務めるのは、ハリウッド版『ザ・リング』(02)で主演を勤め、近年ではティム・ロスと夫婦役を演じた『ルース・エドガー』(19)に出演するナオミ・ワッツ。

現在も様々な作品に出演し、これまでにアカデミー賞で2度のノミネートを経験している俳優です。

本作では息子の無事を信じて、ボロボロになりながらも走り続ける母親を熱演していますが、実生活でも2児の母親であります。作品の説得力が凄い…。

監督を務めるのは『ボーン・コレクター』(99)や『裸足の1500マイル』(02)を手掛けたフィリップ・ノイス。最近ではアンジェリーナ・ジョリーが主演を担当した『ソルト』(10)が大ヒットしました。

個人的に注目していたのが、本作の脚本を執筆したクリス・スパーリングです。彼は『デスパレート・ラン』と同じシチュエーション・スリラーである『[リミット]』(10)の脚本を執筆した経歴を持っており、こちらでは棺桶に入れられたまま生き埋めにされた主人公(ライアン・レイノルズ)の脱出劇をワンシチュエーションで描きました。

ほかにも、ATMに閉じ込められてしまう主人公を描いた『ATM』(12)の脚本も手掛けているなど、シチュエーション系の脚本を得意としているようです。

アカデミー賞ノミネート俳優×大ヒット作監督×ワンシチュエーション大好き脚本家という組み合わせが期待値を高めます。

息子を救いたければいろんな人と繋がれ!

自分の居場所も分からず、情報も限られた極限状態から息子を救う母親を描いた『デスパレート・ラン』ですが、オープニングでは、主人公エイミーが意図的に人とのつながりを断とうとする様子が印象的です。

昨今では「スマホ依存症」なんて言葉をよく耳にするなかで、意図的にデジタル機器から距離を置く「デジタルデトックス」という言葉も登場するようになりました。

作中では、今もなお夫の死から完全に立ち直れていないエイミーの「デジタルデトックス」ともとれるシーンがあります。

エイミーの朝の日課であるジョギングは、舗装された車道から外れた森の中まで走っていきます。しかしそんなときでも、エイミーのスマホには様々な人から着信が…。職場の同僚、娘の担任、母親、家の壁の修理のタスク通知まで。

母親からは「1年経ったから、再婚したほうが子どもたちの支えにもなるのでは?」と提案されるも、エイミーはその提案を拒否していました。

ついにエイミーはスマホを「おやすみモード」に設定し、通知を遮断。川の流れを見つめて、最後になってしまった夫のメッセージに耳を傾けるシーンは、その後、絶えず人とやり取りせざるを得なくなる展開に比べると、非常に緩急があって印象深い場面となっています。

現代においてデジタルツールを一時的に遮断し、自分だけの時間を確保することの大切さを訴えている一方で、高校での立てこもり事件が発生した後、エイミーが絶えず様々な人間に連絡を取りまくります。

このギャップとも取れる演出も非常にユニークで見応えがありました。

息子を救おうとする母を描いた本作の公開日が最適すぎる!

映画『デスパレート・ラン』では学校での銃乱射事件をテーマにしており、アメリカの社会問題と地続きになっています。日本ではあまり想像できない「常に銃と隣り合わせの生活」が、いかに子どもたちの生活を脅かしているかを痛烈に描いていました。

さらに本作では息子を救うために奔走する母親の姿をエモーショナルに見せ、息子の安否を心配するあまり、暴走にも近い行動をとってしまうエイミーの姿は胸を突きます。情報が錯綜し、二転三転することで、観客はエイミーにどんどん感情移入していきます。

さらに本作の面白い点は、エイミーが息子の安否を知ろうとするだけでなく、本当にスマホ1つで事件そのものにまで立ち向かう姿です。

エイミーは自分の人脈などを活かして(この展開も「そういう方法があるのかあ・・・」と感心してしまいました)、息子の安否を知ろうとします。素人が立てこもり事件に挑むなんて、下手をすれば人質の命にもかかわる非常にリスキーな行為です。それゆえ、会話がメインの作風にもかかわらず、非常にスリリングな演出が良かったです。

なにより「こんなに息子のために奔走する母の映画を母の日に上映したら、めちゃくちゃよさそうなのに…」と思ったら、本作の公開日の2日後(5月14日)が母の日でした。公開日、狙ったのかな・・・?だとしたらナイスタイミングです!

こんなにサスペンスフルなのに、母の強さや愛情を感じられるのも、ナオミ・ワッツ迫真の演技だからこそ。最後まで目が離せない母の勇姿は必見です!

『デスパレート・ラン』あらすじ・感想まとめ

要点まとめ
・ナオミ・ワッツによる体当たりの演技は必見
・息子を助けるためにあらゆる人脈をフル活用するスピーディーな展開
・反抗期の子どもこそ本作を観てほしい!

以上、ここまで『デスパレート・ラン』をレビューしてきました。

反抗期のお子様をお持ちの方は、そっと本作を勧めてみてはいかがでしょうか…。ナオミ・ワッツの体当たりな演技を通して、きっと母親の愛情の深さに気づいてもらえるはずです。

全然話が変わりますが、本作を観て改めて「iPhoneはLightning規格をやめてtype-Cにしなさい・・・」と強く感じました(笑)

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