ハイファンタジーな世界観の中、スライムやバジリスク、ミミックといった魔物たちを現実的な方法で調理し、ダンジョン内で自給自足しながら踏破を目指すパーティーを描いた『ダンジョン飯』。
食事中に何者かの奇襲を受けるライオスたち。
その正体は、シュローのパーティーに同行していた従者の少女でした。
彼女はマルシルを人質に取り、自分にかけられた術を解けと要求します。
マルシルがどんな魔術をかけられているのかと問うと、少女は自らの頭巾を解き、姿を明らかにして……。
早速、第19話「山姥/夢魔」をレビューしていきます。
目次
アニメ『ダンジョン飯』第18話あらすじと振り返り
ライオスたちは魔物と化したファリンを救うため、迷宮の主である狂乱の魔術師と対峙することを決意。
ファリンの痕跡を辿りながら改めて迷宮の深部を目指す道中、激しい吹雪に見舞われます。
視界が悪い中、何とか屋内へ避難しますが、気付けばライオスたちの姿は、各々が4人ずつに増殖していました。
それは魔物・シェイプシフターの仕業で、すぐに本物が判明したライオスを中心に、他のメンバーの本物を見つけ出そうと試みます。
この状況においてはライオスを信頼しきれない仲間たちでしたが、ライオスは彼らの魔物との距離感をきっかけに、本物を見抜くこと、そして、シェイプシフターの討伐に成功。
一行は無事に食事を囲むことができたのでした。
【ネタバレあり】アニメ『ダンジョン飯』第19話あらすじ・感想
首から山姥
食事中に何者かの奇襲を受けるライオス一行。
その正体は、シュローのパーティーに同行していた従者の少女・アセビでした。
彼女は足抜けした後、ライオスたちを尾行していたようで、マルシルを人質に取り、自分にかけられた術を解くよう脅迫します。
マルシルがどんな魔術をかけられているのかと問うと、アセビは自らの頭巾を解き、姿を明らかにしました。
首に刻まれた東方の言語、頭には猫のような耳、腰のあたりから生えた尻尾……。
チルチャックによると、それは黒魔術で人と獣の魂を混ぜて作る、人工的に獣人を生み出す呪いでした。
一定時間、術者が触れないと作動する呪術だそうで、マルシルは解除のために首元の言語を読み解こうとします。
その間、アセビが食糧を要求したので、センシがありあわせの食材でキノコのチーズリゾットを作りました。
アセビは余程空腹だったのか、リゾットが気に入ったのかわかりませんが、物凄い勢いでガツガツと貪ります。
しかし、かなり育ちが悪いようで、スプーンの持ち方は酷く、食べ方は汚く、「もっとよこせ!」とおかわりを催促し、挙句の果てに嫌いなキノコを掬い出すと、地面に捨ててしまいました。
その様子を見たセンシは静かに憤り、近寄るなというアセビを無視して、スプーンを正しい持ち方に矯正しようとします。
すると、激しく拒絶するアセビの首元から山姥が現れました。
マルシルが呪いの解除を試みている途中だったのに、アセビが身体を動かしてしまったからです。
一同は焦り慄きますが、唯一冷静だったセンシは、山姥の武器である包丁の使い方を説きながら、道具に合わない適当な扱い方では不利益を被ることがあるとアセビに示すのでした。
アセビ/イヅツミ
センシを中心に、無事に山姥を倒したライオス一行。
改めてアセビにここまでついてきた理由を尋ねます。
自分にかけられた呪いの解除方法を探していたアセビは、マルシルなら呪いを解けるのではないかと考えていました。
何故なら、マルシルの古代魔術によって、ファリンがキメラ化したと思っているからです。
魔物と化したファリンを生み出し、そのファリンを救おうと冒険を続けるライオスたちなら、アセビの中にある獣の魂を取り払うことができるのではないかと、尾行してきたようでした。
そこでマルシルは、よく卵に例えられる魂について説明します。
普段は肉体という殻の中にあるけれど、一度割れたら中身――つまり、魂は戻りません。
一方、この迷宮には殻の内側に頑丈な膜を作る術がかかっていて、傷付いても魂が離れないようになっています。
ファリンやアセビは、1つの殻に2つの中身が入っている状態であり、一度混ざってしまった魂は二度と元の形には戻らないため、マルシルにはどうすることもできないのです。
するとアセビは、では何故ライオスたちは旅を続けているのかと問いかけました。
ライオスは、今のファリンを放っておくのは危険で、何か起きる前に自分たちでどうにかしたいということ、地上へ戻ったところで黒魔術の使用により捕まってしまうことを説明します。
期待とは違った展開に戸惑うアセビに、マルシルは迷宮の主・狂乱の魔術師ならば魂の分離方法を知っている可能性があると伝えました。
そして、ライオスはアセビのような存在を知ったことで、ファリンも元の人格を取り戻せるかもしれないと前向きな気持ちになります。
やがてアセビは、自分が勧誘されていると気付き、渋々ながら同行することに決め、アセビは通り名であり、本当の名前は「イヅツミ」だと明かすのでした。
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悪夢(ナイトメア)
日に日に疲れた様子を見せていたマルシル。
ライオスが横になるよう勧めると、マルシルは抗っていたのにもかかわらず、すぐ眠ってしまいました。
やがて、魘されているマルシルに気付いたライオスは、彼女が魔物・悪夢(ナイトメア)に襲われていると考えます。
かつてシュローが悪夢に襲われた時は、ファリンが彼の夢の中へ入って救い出したため、今回はライオスがマルシルの夢の中へ入ることにしました。
眠りについたライオスは、まず自分の夢の中で自由自在に動けることを確認します。
何にもない真っ白な空間で、両親やシュロー、かつての仕事仲間から罵られる嫌な夢でしたが、夢だと理解してしまえば、後は白銀の狼になって地面を掘り進めるだけです。
掘った穴の先は、大量の本が詰まった大きな本棚に囲まれた空間――マルシルの夢の中でした。
そこにいた幼いマルシルは怯えていて、パパとピピ(鳥)を飲み込んでいったという魔物から逃げ惑っていました。
悪夢はストレスに感じるものやトラウマを刺激しているため、夢を見ている人の心の傷を守る必要があります。
マルシルを追いかける巨大な魔物は、大きな目玉に無数の触手を持ち、這うように動く気味の悪い生物でした。
その魔物に触れられてしまったライオスは、触れられた部分が毒で溶けだしていることに気付きます。
夢の中の世界も不安定になってきたので、マルシルの恐怖心を煽らないよう、彼女の魔術について褒めながら励ますと、目の前で泣き出してしまいました。
自分が魔術を使ったせいで、ファリンの姿が変わってしまったと……。
マルシルの怖いもの
幼いマルシルの独白から、彼女の恐れているものが「死」だと気付いたライオス。
溶けだしている自分の身体も、毒によるものでなく、急激な老いによる衰弱だと察します。
マルシルは父が早世した際、母から「みんなと走る速さが違う」「これからもたくさんの人を見送らないといけない」と言われたことを気にしていました。
つまり、「死」そのものを恐れているのではなく、親しい者が先に死んでいくことに怯えているのです。
ライオスは、夢の中を囲む大量の本を引き合いに出し、マルシルの努力を称えます。
だからこそ、マルシルは凄いから大丈夫だとシンプルな言葉で背中を押しました。
一方のマルシルは、自分の魔術が不完全なことを嘆き、狂乱の魔術師が持つ本があれば完璧に魔術を扱えるのに、と悔いています。
そんなマルシルに、ライオスが「そう望め! ……次はきっと上手くやれる、諦めるな」と叫ぶと、狂乱の魔術師の本が現れました。
マルシルはその本を手にすると、まるで魔物に差し込むように殴りつけます。
すると、強い光とともに魔物は消え、マルシルとライオスは夢から覚めました。
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夢の内容をよく覚えていないマルシルは、白い大きな犬と冒険に出る夢だったと言います。
ライオスのイメージでは白銀の狼でしたが、悪い夢が楽しい夢に変わったのなら、可愛い犬でもいいかと思うのでした。
アニメ『ダンジョン飯』第19話まとめ
いかがだったでしょうか。
2クールの本作も終盤に差し掛かり、アセビという新たな仲間がパーティーにJOIN!
「魂の分離」というワードは、さらに大きく関わってきそうですね。
次回、第20話も楽しみです。