ハイファンタジーな世界観の中、スライムやバジリスク、ミミックといった魔物たちを現実的な方法で調理し、ダンジョン内で自給自足しながら踏破を目指すパーティーを描いた『ダンジョン飯』。
九井諒子先生による原作コミックは「このマンガがすごい!2016 オトコ編」や「全国書店員が選んだおすすめコミック2016年度」など複数の賞で第1位に輝きました。
物語は、優秀な剣士・ライオスがダンジョン深部でレッドドラゴンと交戦中、同行していた妹・ファリンを喰われてしまうところから始まります。
再びダンジョンへ挑もうとするも、お金や食糧は迷宮の奥底……妹がドラゴンの腹の中で消化されてしまう前に、どうにか助け出したいライオスは決意しました。
――「食糧は、迷宮内で自給自足する!」
こうしてライオス率いるパーティーは、襲い来る魔物たちを食べながらダンジョン踏破を目指します。
アニメーション制作をTRIGGER、オープニングテーマをBUMP OF CHICKEN、エンディングテーマを緑黄色社会が担当するなど、注目が集まる本作。
早速、第1話「水炊き/タルト」をレビューしていきます。
目次
アニメ『ダンジョン飯』主な登場人物・キャスト
ライオス/CV.熊谷健太郎
・優秀な剣士で、迷宮についての豊富な知識を持つパーティーの頼れるリーダー
・魔物への関心も強く、飽くなき探究心は周囲も引くレベル
・調べるうちに魔物の味にも興味を持つように……
マルシル/CV.千本木彩花
・魔術の才に長けており、パーティーでは攻守にわたって活躍する魔術師
・生真面目で素直な性格ゆえに、皮肉屋のチルチャックとは口論になることもしばしば
・ゲテモノが苦手で、魔物を食べることにかなりの難色を示す
チルチャック/CV.泊明日菜
・愛らしい外見だが超毒舌で、五感の優れたハーフフット
・建物の構造や罠の所在をいち早く察知するなど迷宮攻略の生命線を担い、宝箱や扉の開錠もお手の物
・皮肉屋でなじり合いでは負け知らずだが、パーティーの中では子供扱いされている
センシ/CV.中博史
・迷宮内での自給自足にこだわり、長年魔物食を研究してきたスペシャリスト
・軽率に魔物を調理するライオス一行を見かねて、料理番として同行する
・食事の作法や魔物食にこだわるあまり常識がずれている部分も
ファリン/CV.早見沙織
・兄のライオスとともに迷宮を探索する魔術師
・マルシルとは違い、主に強化や回復、除霊といった役割を担う
・ダンジョンの奥深くでレッドドラゴンと交戦中、ライオスを庇って食べられてしまう
【ネタバレあり】アニメ『ダンジョン飯』第1話あらすじ・感想
プロローグ
それは小さな村から始まりました。
ある日、地鳴りとともに地下墓地の底が抜け、奥から一人の男が現れます。
男は、一千年前に滅びた”黄金の国”の王を名乗りました。
かつて栄華を誇ったその国は、”狂乱の魔術師”によって今なお地下深く囚われ続けていると言います。
……魔術師を倒した者には、国の全てを与えよう。
そう言い残すと男は、塵となって消えました。
*
――某日、ダンジョン深奥部。
6人パーティーの冒険者・ライオス(CV.熊谷健太郎)一行は、探索中のトラブルにより食糧を失い、空腹のままレッドドラゴンに挑んでいました。
一行は空腹のために本来の力を発揮することができず、ほぼ壊滅状態に追い込まれていきます。
そんな中、ライオスの妹であり、魔術師のファリン(CV.早見沙織)は、ライオスを庇ってレッドドラゴンに喰われてしまいました。
ファリンは喰われる瞬間に脱出魔法を使い、自分以外のメンバーを地上へ逃がします。
地上で目を覚ましたライオスは、ファリンを助け出すため、すぐにでもダンジョン内へ戻ろうとしますが、メンバーのうち二人が別のパーティーへ巣立って行ってしまいました。
残った魔術師のマルシル(CV.千本木彩花)と鍵師のチルチャック(CV.泊明日菜)は、無謀にも単独でダンジョンに挑もうとするライオスを引き止め、同行することを決めます。
しかし、ファリンの脱出魔法で地上へ戻った一行は、お金や食糧を深奥部に残してきてしまったため、ほぼ一文無しの状態。
そこでライオスは、ダンジョン内の魔物を調理して食べる「自給自足」を提案します。
マルシルは、魔物を食べて食中毒を起こした人たちの例を挙げて反対しますが、ファリンがドラゴンの腹の中で消化されてしまう前に救うには、時間もお金も足りないのは事実です。
ライオスとマルシルが言い合っていると、初心者パーティーを追いかけてきた足つきのキノコ――歩き茸が現れ、マルシルが軽い一撃で討伐します。
するとライオスは、まずはこの歩き茸を食べてみようと言い出すのでした。
魔物料理はゲテモノか、絶品か
――ダンジョン地下1階。
迷宮内とはいえ往来が多く、冒険者や商人で賑わっているこの場所は、元々は墓所であり静かな聖域でした。
ところが、6年前に迷宮に繋がってしまってからは、村一番の賑やかな場所になっています。
魔物は迷宮から湧いてきますが、地上の生き物が禁忌により豹変した姿なのか、魔界から呼び寄せられたのかはわかりません。
ただ皆一様に奇妙な姿をしており、何かを守るように襲いかかってくるのです。
しかし、それらこそ呪われた黄金の都の存在を示す唯一の証でした。
*
大サソリの足音を聞きつけたライオスは、一匹捕まえてくると楽しげに調理を始めます。
彼の様子を見たチルチャックは、好奇心旺盛なライオスが前々から魔物を食べる機会を窺っていたことを言い当てました。
魔物の生態を調べるうちに味が気になったというライオスは、歩き茸を捌いている間でさえ、その身体の構造から戦闘の効率化を考えるなど、飽くなき探究心を発揮します。
一方で大サソリの調理法がわからず、ひとまず煮るだけで味見をすると、あまりのまずさに衝撃を受け、マルシルとチルチャックを呆れさせました。
すると、一行の様子を見ていたらしいドワーフのセンシ(CV.中博史)がやって来て、大サソリの捌き方を教えてくれます。
さらに、手近な食材を集めてきて鍋にしようとしたところ、マルシルが激しく拒絶しました。
その時、天井部からスライムが落ちてきて、マルシルの顔を覆ってしまいます。
顔に被れば呼吸困難になってしまうため、焦るマルシルでしたが、センシがナイフ一太刀でスライムを討伐し、救ってくれました。
ライオスが感心していると、センシは構造さえ知っていれば簡単に倒せると説明しつつ、スライムも乾燥させて干物にすれば美味しく食べられるうえに、高級食材なのだと語ります。
どうやらセンシは、この迷宮内で10年以上魔物食の研究をしているようです。
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彼に任せているうちに、あっという間に「大サソリと歩き茸の水炊き」が完成しました。
興味津々だったライオスだけでなく、反対派だったチルチャックまで「美味しい」と食べ進めているのを見て、マルシルも空腹に耐えきれず口にしてみると、それは絶品でした。
新たな仲間は料理番
美味しい魔物料理を振る舞ってくれたセンシは、ライオスたちがワケアリの冒険者だと見抜いていました。
そこで、レッドドラゴンに喰われてしまったファリンを助けに行く旨を伝えると、レッドドラゴンを調理することができる可能性に惹かれたらしく、同行を申し出てくれます。
こうして料理番のセンシを仲間に加えたライオス一行は、改めて地下へ進み始めるのでした。
*
――地下2階。
往来が多く賑やかな地下1階とは打って変わって、普通ではない光景が続くようになります。
学者によれば、地下深くに眠る黄金城の尖塔にあたる部分だそうです。
*
疲弊気味のマルシルに気付いたライオスは、早めに野営地を決めて休むため、夕食用の食材を調達しようといいます。
しかし、この辺りには大コウモリや大ネズミ、ゴブリンといった、不衛生そうな魔物や亜人系しかいないと知り、マルシルの気分は下がる一方。
するとセンシは、今の時期なら木の実や果実もあると教えました。
ところが、木の実や果実とは人喰い花の類で、人間を消化する機能を備えた植物たちを前に、マルシルの気分は再び下がってしまいます。
それでも早く用事を済ませようと、魔法で一掃しようと呪文を唱えるマルシル。
一方で、センシは必要なだけ頂くのが鉄の掟だと言って詠唱をやめさせます。
その拍子に、マルシルは人喰い花に捕まってしまいました。
襲いかかってきた人喰い花は消化機能があるものではなく、皮膚の下に種を植え込む寄生型のものでした。
怖がるマルシルを剣技で助けたライオスは、魔物への探究心からマルシルに捕まった感想を尋ね、救ったにもかかわらず怒らせてしまいます。
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”食う”か”食われる”か
木の実や果実を集め、野営地に到着した一行。
センシが作ってくれた「人喰い植物のタルト」は、一見すると甘いスイーツのようですが、塩味の美味しい料理でした。
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やはり最初は難色を示していたマルシルも、食べてみれば美味しさにうっとり。
こんなに美味しいものならば、他の動物にとってもご馳走なのではないかと不思議に思います。
するとライオスは、人喰い花は肉食植物なので、実を狙うものは捕らえて養分にしてしまうのだと説明しました。
マルシルが納得した様子で「この美味しさも戦略なのかな」と返すと、ライオスは涙ぐみながら、「(魔物に)興味を持ってくれて嬉しいよ」と言い、またしてもマルシルを怒らせます。
やがて食事を終えた一行は、和やかな時間を過ごしつつ、夜を迎えました。
マルシルが少し悪夢を見たのは、また別のお話……。
*
――ダンジョン飯、それは”食う”か”食われる”か。
アニメ『ダンジョン飯』第1話まとめ
いかがだったでしょうか。
面白さしか感じない設定にワクワクが止まらない『ダンジョン飯』。
魔物料理が美味しそうに見えるのが不思議で、思わず食べてみたくなります。
独特な雰囲気と可愛らしさのある絵柄、ハイファンタジーな世界観に合わせたどこかケルティックな音楽に引き込まれ、のんびりした気持ちになれる一方で、”黄金の国”や”狂乱の魔術師”といった用語を知ってしまうと、物語の展開もしっかり気になりますよね。
次回、第2話も楽しみです。