ゾンビ映画の生みの親とも言われる巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督の代表作といえば『ゾンビ』(原題:『DAWN OF THE DEAD』)
現代のすべてのゾンビ映画のルーツとなり、公開から40年以上の時が経っても人々に愛されている名作です。
- 現代の数々のゾンビ作品につながるゾンビ映画の基本中の基本!
- 撮影予算が少なく製作に多くの苦労があった作品
- 実は、いくつものバージョン違いがある複雑な作品
いくつものバージョンがあるロメロ監督の『ゾンビ』ですが、今回は『ゾンビ 米国劇場公開版』と『ゾンビ ダリオ・アルジェント監修版』を中心に解説!
マルコヤマモト
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目次
『ゾンビ』作品情報
作品名 | ゾンビ |
公開日 | 1978年9月2日 |
上映時間 | 119分 ※『ダリオ・アルジェント監修版』 |
監督 | ジョージ・A・ロメロ |
脚本 | ジョージ・A・ロメロ |
出演者 | ケン・フォリー スコット・H・ライニガー ゲイラン・ロス デビッド・エムゲ |
音楽 | ダリオ・アルジェント、ゴブリン |
『ゾンビ』主要キャスト
ケン・フォリー / 役:ピーター・ワシントン
- 今作の主人公で長身の黒人男性
- ロジャーの同僚のSWAT隊員
- 常に冷静沈着な性格
ゲイラン・ロス / 役:フランシー・パーカー
- テレビ局員、通称フラン(フラニー)
- スティーブンの恋人
デビッド・エムゲ / 役:スティーブン・アンドリュース
- フランの恋人でロジャーの友人でもあるヘリコプターのパイロット
- 本業はお天気リポーター
スコット・H・ライニガー / 役:ロジャー・デマルコ
- SWAT隊員でピーターと対照的に小柄な男性
- ピーターの同僚でありスティーブンの友人
- 調子に乗りやすい性格が後々彼を苦しめることに
【ネタバレ】『ゾンビ』あらすじ
死者が蘇り、次々に人を食べるために襲いかかるという奇っ怪な現象が発生。
状況の悪化が否めないため、フィラデルフィアのテレビ局に勤めるフランは、恋人のスティーブンとともにヘリコプターで局を脱出します。
同じ頃、警察のSWAT隊員のロジャーは、アパートに立てこもった過激派グループの制圧のために派遣された現場で、死者が蘇った姿を目の当たりにします。
同僚の黒人隊員のピーターと出会ったロジャーは、スティーブンとフランに合流し、ヘリコプターに乗り込みました。
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ゾンビ狩りを楽しむ人を尻目に、4人は都市郊外の大型ショッピングモールを発見します。
屋上から中に入り込んだ4人は、物資が豊富にあるショッピングモールを気に入り、立てこもることを決意します。
しかし、ショッピングモールに群がるゾンビを退けようとした作戦決行中にロジャーがゾンビに足を噛まれて負傷、さらにフランが妊娠していることも発覚します。
モール内のゾンビを全滅させた4人は、モール内で不自由ない生活を送っていました。
しばらくして怪我が悪化したロジャーが死亡、ゾンビ化した友人のロジャーをピーターが撃ち殺します。
マルコヤマモト
さらに、強盗団がモールに攻め込んでくるという事件が発生、スティーブンとピーターは2人で強盗団に挑みます。
強盗団の制圧に成功した2人でしたが、戦いの最中にスティーブンがゾンビに足を噛まれてしまったのです!
ゾンビ化したスティーブンは、フランとピーターが隠れているモールの上階にゾンビたちを引き連れて登っていきますが、ピーターが放った銃弾に倒れます。
他のゾンビが襲いかかってくるなか、ピーターは一度拳銃での自殺を考えますが考えを改めて奮起し、ゾンビに立ち向かっていきました。
屋上ではフランがヘリコプターを出発させようとしていました。
ピーターがヘリに乗り込み、群がるゾンビを足元に見ながら朝日とともにヘリが飛び立ちます。
ピーターがフランに残りの燃料を尋ねると、フランは燃料の残りが少ないと答えます。
「かまわんさ」ピーターが口にしたところで、物語は終わります。
マルコヤマモト
『ゾンビ』感想や作品にまつわるトリビアを紹介!
感想
マルコヤマモト
ゾンビ映画にハマっていると言っても基本中の基本であるジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』を観ていないという、ゾンビ映画にハマっている者としてあるまじきゾンビ映画ライフを送っていました…。
このことを深く反省し「基本に帰ろう!」の理念のもと、鑑賞したロメロ監督の『ゾンビ』。
今回は動画配信サービスで視聴できる『ゾンビ 米国劇場公開版』と『ゾンビ ダリオ・アルジェント監修版』の順に2作を鑑賞しました。
個人的には『米国劇場公開版』のほうが好みでしたが、『ダリオ・アルジェント監修版』も違う雰囲気の映画として楽しめます!
『ダリオ・アルジェント監修版』のほうが音楽や効果音にも凝っているので迫力や緊張感があり、SFサバイバル要素が多い内容でした。
『米国劇場公開版』は、コメディタッチな部分が目立ち安心して観られる感じはありますが、最後は観ている者に問いを投げかけるような不思議な作りです。
マルコヤマモト
最近走れる速いゾンビしか見ていなかった私には、ロメロゾンビののろさがとてもキュートに見えたと同時に、本来のゾンビの姿を思い出させてくれました。
個人的にはゾンビのバリエーションが多くて大満足でした。
特に序盤に出てくるヘリコプターに頭をカットされるゾンビには、登場時の見た目の不自然さに笑ってしまうくらい。
マルコヤマモト
『ゾンビ』トリビア①:いくつものバージョン違いが存在した複雑な作品
実はジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』には複数のバージョンが存在します。
基本は同じ作品でありながらも、編集や音楽などの違いがありとても複雑です。
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- 米国劇場公開版
アメリカで劇場公開されたバージョン。ロメロ監督の暗い味付けが特徴(127分) - ダリオ・アルジェント監修版
『サスペリア』などで知られるイタリアのホラー巨匠ダリオ・アルジェントが監修。アジアやヨーロッパなど世界で一番多く公開されたバージョン(119分) - 日本劇場公開版
ダリオ・アルジェント監修版を元に一部の残酷シーンをカット、日本オリジナル映像を加えた編集(115分) - ディレクターズ・カット版
カンヌ国際映画祭出品のためにロメロ監督がラフカット版から編集した(139分) - ラフカット版
ダリオ・アルジェントにも送られたノーカットオリジナル(約160分) - 深沢哲也版(サスペリア版)
映画評論家・深沢哲也の監修と解説。テレビ初放映バージョンBGMが『サスペリア』等の音楽に差し替えられている残酷シーンの殆どカット(90分) - 河野基比古版
分数や編集は深沢哲也版と同じ。映画評論家河野基比古による慣習と解説。BGMやラストのピーターの台詞を日本劇場公開版に戻した(90分)
『ゾンビ』のバージョン違いは、知られているだけでもその数なんと7つ!
動画配信サービス等では『ゾンビ 米国劇場公開版』と『ゾンビ ダリオ・アルジェント監修版』を観ることができます。
この2作品を観るだけでも、作風や音楽などの違いが簡単にわかるでしょう。
日本劇場公開版は、日本公開40周年を記念して『ゾンビ 日本初公開復元版』として、2019年に再度劇場公開されました。
「日本だけの『ゾンビ』が蘇る」ということで、唯一DVD化されていない日本劇場公開版ゾンビをひと目見ようと、ファンが映画館に駆けつけました。
日本劇場公開版には、冒頭部分に惑星が爆発して降り注いだ光がゾンビ発生の原因になるという、オリジナルの映像が付け加えられています。
マルコヤマモト
『ゾンビ』トリビア②:聖地となったショッピングモール
映画『ゾンビ』には様々なウラ話がありますが、なかでも有名なのは閉店後のショッピングモールでの撮影です。
- 撮影当時モールは昼間は通常営業、閉店後~早朝にかけて撮影が行われた
- モールの屋上はパーキングから入れない設定になっているが、実際は簡単に歩いて入れる造りになっている
- 銃器店は存在せず、別店舗で撮影したものを編集している
- 2013年時点でモール内にスケートリンクはなく食堂街になっている
- 撮影当時から残っている店舗はJ.Cペニー(百貨店)のみ
マルコヤマモト
ロメロ監督の『ゾンビ』の中で、ショッピングモールにSWAT隊員たちが立てこもる場面があるけど、生前の記憶があるから彼らはショッピングモールに来る、というのが哀感があって好きでした。ロケ地、ペンシルバニアのモンローヴィル・モールはいつか行ってみたい憧れの場所です pic.twitter.com/MRwWKvNQNc
— 杉本亜未/ブラッディチャイナタウン連載中 (@SugimotoAmiInfo) March 6, 2020
『ゾンビ』の撮影から40年以上経ちますが、現役バリバリのショッピングモールとして地元の皆さんの生活を支えています。
改装されていながらも、当時の面影を残す作りになっているほか、ファンによるプロジェクトでジョージ・A・ロメロ監督の胸像が贈呈されました。
またモンローヴィル・モールでは、館内をゾンビの格好をしてウォーキングするイベントも開催されているとか!
マルコヤマモト
『ゾンビ』トリビア③:存在した幻のラスト…
マルコヤマモト
『ゾンビ 米国劇場公開版』のラストではピーターとフランが、燃料は少ないながらもヘリコプターで飛び立ったところで物語が終わります。
しかし、インターネットに掲載されている映画脚本サイトにある元々の内容では、エンディングでピーターが拳銃で自殺、さらにフラニーもヘリコプターの回転するローラーに自ら頭を突っ込んで自殺…。
夜明けの空をバックにフランの死体を食べるゾンビが映し出されるという、なんとも救いようがないエンディングが描かれていたのです。
さらに、死体を食べているゾンビたちをバックにエンドクレジットが流れ、ヘリのプロペラの回転が止まるとともにエンドクレジットも終わる…という内容でした。
マルコヤマモト
『ゾンビ』Twitterの感想・評価は?
#マネキン記念日
絶望的な現実下でもショッピングモール独り占めは楽しい。ロメロは誰しも思い描く夢を約束通り描いてくれるが、服飾売り場でマネキンに混じっていたゾンビが飛びついてくるのもお約束。#日めくり映画カレンダー
「ゾンビ」(’78米=伊) pic.twitter.com/S2f1DeBOWJ— argoman nishiogi (@argoman_ng) March 23, 2020
だからお前ら、一回でいいからジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」を観てみろって。
結局、本当に怖いのは感染者じゃなく、必要以上に騒いでパニックを起こした非感染者の方だ…って話だから、あれは。 pic.twitter.com/inmtb6qDEU— 田口康成 (@Gpz900riJp) March 26, 2020
『ゾンビ』
ロメロ=ゾンビ。ゾンビと言えば
この映画。と言われるほど有名。
ゾンビの先駆けとなった映画と言っても良いくらい。
ゾンビ映画によくあるあるな見所が
すべて揃ってるから
今でも広い年齢層に愛されてるのだと思います。
ゾンビ映画ではこれは外せません。
観てない方は是非。 pic.twitter.com/3XtECT9SqI— マリ映画垢 (@marimovies2) September 2, 2019
ゾンビ映画の感想で「本当に怖いのは人間、みたいな終わり方は陳腐だ」って意見がたまにあるけど……。コロナウイルス関連の狂騒(差別、デマ、買い占めetc.)を見てると、ゾンビ映画は正しいと思う。やはり、ジョージ・A・ロメロは偉大! pic.twitter.com/EWWD58P8xH
— 100Fe(ももてつ) (@enjoy_cinema) February 8, 2020
マルコヤマモト
今に通じるゾンビ映画のすべての基本となった『ゾンビ』を、ウイルス感染が蔓延する今の世の中に重ねて見ている方も多く、 映画から学んだりこれからの世界を想像したりしている感想も多く見つけました。
『ゾンビ』だけに限らず感染・ゾンビ映画から学べることは多いので、常日頃からゾンビが出現しても困らないように「最悪の事態」を想定して生活をしてはいかがでしょうか?
マルコヤマモト
『ゾンビ』まとめ:昨今のゾンビブームに疲れたら初心に帰ろう
- バージョン違いを鑑賞することで、違った雰囲気の作品として何度でも楽しめる
- ゾンビ映画の基本中の基本なのでゾンビの習性や行動など作品から学ぶことが多い
- 常日頃からゾンビ映画を鑑賞し、ゾンビが出現した時の耐性をつけておく
ジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』ご紹介しました。
ゾンビ映画のルーツとなる演出がたくさん盛り込まれた『ゾンビ』を見ておくことで、他のゾンビ映画もより楽しく鑑賞できますよ!
ゾンビ映画のすべてがロメロ監督の『ゾンビ』に詰まっています。
マルコヤマモト
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