『ダッシュ&リリー』は、クリスマスを前に湧きたつニューヨークを舞台に赤いノートを交換日記に、見知らぬ同士、好奇心にかられお互いに挑戦を課しあいやりとりをするふたりの物語。
皮肉屋とダッシュと楽天的なリリー、文字だけが頼りの心温まる展開で、周囲を巻き込んでふたりの人となりを表す演出に好感が持てます。顔も名前も知らないダッシュに正体を明かすことなく、好奇心をかきてるリリーと、ちょっと臆病なリリーに、自分の殻を打ち破るような背中を押しては励ますダッシュ。
クリスマス・シーズンの雰囲気も手伝ってハラハラ、ドキドキもあり、軽快な展開です。姿の見えない相手の言葉に感心したり、影響をされたり。
そばにいないのに、相手を想い、見守ってそばにいるような心の届け方がとても素敵なクリスマスにふさわしい物語です。
・周囲を巻き込んだふたりの交換日記
・赤い長靴のカノジョ
・ふたりがつむいだ言葉は本物
それでは『ダッシュ&リリー』をレビューします。
目次
【ネタバレ】『ダッシュ&リリー』あらすじ・感想
謎の相手からの挑戦
クリスマス目前の喧騒から逃れた本屋「ストランド」でダッシュ(オースティン・エイブラムス)が、お気に入りの本の間で見つけたのは見慣れない赤いノート。
ノートに残された暗号のような内容にダッシュが興味をもったことで物語は始まります。
ページを繰るたびに謎めいた問いかけをする相手が読書家であることを一目で見抜いたダッシュ。
赤いノートを片手に、相手の出す謎を解きに走ります。やっとの思いで解読したメッセージに、「クリスマスはひとり?次に何が起こるかはあなた次第。」という問いかけにダッシュは、赤いノートの不思議なメッセージを書きこんだ相手に心が奪われるのでした。
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ウィットに富んでいて、なおかつ謎めいていて、ダッシュのお気に入りの書籍に無造作に置いたノートが気になるのは必然でしたね。
お互いに課す挑戦がルール
本屋「ストランド」に赤いノートを置いたのは、ちょっと奥手なリリー(ミドリ・フランシス)。
クリスマス・シーズンだというのに、両親はフィジーに、おじいちゃんはフロリダに出かけ、リリーはただ一人家に取り残されてしまい、がっかりです。
そんな落ち込むリリーを励まそうと、ゲームをしようと言い出した兄のラングストン(トロイ・イワタ)。
バジルおばさん(ジョディ・ロング)にもらった赤いノートに、本好きなリリーの挑戦にのってくれる相手を探そうとメッセージを残すことにしたのでした。
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本屋「ストランド」の店員でいとこのマーク(パトリック・ベイル)経由で、ダッシュからの返事を受け取ったリリー。
リリーの出した挑戦に舌を巻いたダッシュからの「君に興味がある」という言葉に心を躍らせます。
こうして、お互いを知るためには、それぞれに課すちょっとした挑戦をクリアしなければいけないというルールの元、ダッシュとリリーの交換日記が始めるのでした。
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自分の名前を教えるのに、ダッシュにユニークな課題を提示したリリー。
リリーの奇抜なヒントに感心したダッシュは、「おとり捜査もなし、苗字の公開もなし、SNSでのおっかけは禁止、無理には会わない、個人的な質問をするには、大胆な挑戦をすること」と見知らぬ相手とのやりとりを心から楽しむようになります。
お互いの友人に託す赤いノートに思いのたけを書き綴るふたりは、自分の落ち着く場所は食べ物、ツラい思い出を共有しては、お互いの距離を縮めてゆきます。
大丈夫、君にならできる
独創的なファッションや行動で、人と変わっているといわれることに委縮して自分の殻を打ち破れずにいるリリーに、深夜のクラブに出かけるようチャレンジを課したダッシュ。
怖気づいてトイレに逃げ込むリリー前に「君にならできる」。
そう鏡に書き込まれたダッシュのメッセージを目にしたリリーは、名も知らないダッシュの励ましに、奮起します。
ところが、子供の頃に思いを寄せていたエドガー(グレン・マクエン)との再会に、リリーは動揺してしまいます。
「あの子は変な子だ」と言われたツラい記憶が蘇り、リリーは勇気を出して参加したパーティーから逃げ出すように去るのでした。
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残された片足だけの赤いブーツ
ダッシュに渡すはずの赤いノートを、パーティーに置かずに家に戻ってしまったリリー。
赤いノートが受け取れず動揺するダッシュは、深夜パーティーに参加させたことでリリーに無理をさせたかもしれないとリリーの残した片足だけの赤いブーツを手掛かりに、ブーマーとふたり、リリーを探します。
ブーツのおかげでリリーのおばさんを探し当てたダッシュは、リリーとの交流が自分にとってどれだけ大切か、あらためて気づくのでした。
「ノートブック・ボーイ」の名前
クリスマスの日に、「ノートブック・ボーイ」をプレゼントされるはずが、名前をひょんなことでダッシュの名前を知ってしまったリリー。
元カノのソフィア(キーナ・マリー)と一緒にいたダッシュにショックを受け、お酒を飲んで、したたかに酔ってしまうのでした。
ソフィアからのアプローチを断り、ついにリリーを探し当て、対面を果たしたふたり。ところが、せっかく初めて顔を合わせたというのに、ノートで語り合ったような雰囲気にはならず、ダッシュとリリーは口論になり、ふたりは物別れに終わるのでした。
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そんなこと言わないで…心の内を吐露できる相手はそういないのだから!と心の底から思ってしまいました。
大晦日に再現したクリスマス
クリスマスのダッシュとの対面が失望に終わり、失意のリリーに追い打ちをかけるように両親の仕事の関係で大晦日にフィジーに発つことになったことになったリリー。
最悪なクリスマスをふりきるかのようにフィジー行きを準備するリリーの元に、ダッシュからの赤いノートが届きます。
ダッシュにとって、ふたりでつむいだ言葉は、ダッシュにとってどれだけリアルで、姿の見えない相手であっても「君のことをよく知っているし、ノートに言葉をつづった女性は、どれも君。」と、あらためてリリーへの気持ちを伝えるダッシュ。
心揺さぶられたリリーは、空港に向かうタクシーから飛び降りて、ダッシュの待つ始まりの場所「ストランド」へと走るのでした。
ダッシュはクリスマスの奇跡なんて信じないと言ったリリーのために、ふたりのクリスマスの思い出を大晦日に再現したのでした。
『ダッシュ&リリー』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『ダッシュ&リリー』をレビューしてきました。
・お互いの背中を押す言葉
・周囲の協力と赤いノート
・ノートに書かれた言葉は、そのままの君
近くて遠いふたりの距離
大好きなクリスマスを目前に家族がそれぞれの計画に忙しくひとり取り残されたリリーが、思いつきで、奇抜なチャレンジをノートに書いて本屋の棚にそっと置いてみたところから物語が始まる『ダッシュ&リリー』。
そんなリリーにダッシュは、頭がよく、ウィットに富んだ好敵手を見つけたと心が躍るのです。ダッシュとリリーの交換日記のユニークなところは、赤いノートの受け取るにはなにかのチャレンジをすること。
お互いに興味を持っていないと出来ない、ダッシュとリリーの交換日記の挑戦は、微笑ましくもあり、近くて遠い関係が、物語に緊張感を与えます。
人には優しく、思いやりを
『ダッシュ&リリー』は、定番のクリスマス・ムービーとは一味違った展開が楽しめる30分、8話構成の作品。物語では、ふたりが後半まで顔を合わせないことはわかってはいるものの、ダッシュからの視点、リリーからの視点とそれぞれの意外なエピソードが盛り込まれております。
ダッシュがわかっているのはリリーの名前だけで、リリーはダッシュの名前さえ知りません。
それでも、お互いが苦手を克服するきっかけを作っては応援することで、交流を深めます。
作品では、交換日記を追うだけでなく、ダッシュとリリーを支える家族や友達ノートの受け渡しに登場させて、ふたりを見守る様子が描いているのもポイント。
赤いノートがつないだのは、ふたりの心だけでなく、協力する周囲の思いやり。『ダッシュ&リリー』は、クリスマス精神にふさわしく、人には優しく、思いやりをもつ気持ちになる、素敵なストーリーです。
蔵商店
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