『ピースオブケイク』『溺れるナイフ』のジョージ朝倉が「週刊ビッグコミックススピリッツ」にて連載中の男子バレエ漫画を原作としたアニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』。
流鶯が潤平へ強引なストレッチを行っているのを目撃した綾子は、彼の「おばあ様」の指導を否定します。
怒りを露わにした流鶯は、生川の生徒より自分のほうが優れていると言い放ちました。
その日のレッスンでジークフリート王子を踊ることになった流鶯ですが……。
一方、潤平は綾子に呼び出され、大きな決断を迫られます。
早速、アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』第9話をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』前回第8話あらすじと振り返り
サマースクール4日目、SSクラスの女子たちとパ・ド・ドゥの練習をすることになった潤平は、都から「一緒に組めるといいね」と声を掛けられて浮かれていました。
しかし、そこへ割り込んできた流鶯から都との幼少期の約束を聞かされ、二人が両想いなのだと思い、ショックを受けます。
身長のバランスがいい二人は本当にペアを組むことになり、美男美女で見目も良く、息の合った踊りは周囲からの注目を集めていました。
一方、潤平は綾子の娘である夏姫とペアを組むことになりますが、年下ながら才能に溢れた彼女に酷評され、挙句の果てに転ばせてしまいます。
練習後、ペアの相手の連絡先を聞きに行くという海咲についていき、SSクラスのレッスンを覗いた潤平は、圧倒的に上手い夏姫に釘付けになりました。
コーチや大和たちは彼女の実力を認めつつも、踊っている時に表情が険しくなっていることを指摘します。
しかし、潤平は「エモい」と評し、夏姫は照れ隠しなのか一人練習を続けます。
「誰よりも上手くないと気が済まない、死にたくなる」と言った夏姫に感化された潤平は、サマースクール5日目を迎え、彼女に合わせたパ・ド・ドゥを心掛けていました。
少しずつ打ち解けてきた頃、互いに『パリの炎』のパ・ド・ドゥに憧れがあることがわかり、試しに踊ってみることにします。
他人と動きが、心が、同じ形になる……そんな感覚をおぼえた二人は、大きな衝撃を受けました。
レッスン後、自主練をしているであろう夏姫のところへ向かおうとした潤平は、海咲から「都が呼んでいた」と引き止められます。
実は海咲の企みによって二人きりになった潤平と都でしたが、そのことには気付かないまま、雰囲気に飲まれるようにして「好き」だと伝え合います。
そして、顔を赤らめてこっそりキスをしますが、その姿を海咲と流鶯に見られていました。
何も知らない潤平と都は、流鶯が世間を知らない理由や、彼の祖母が認知症で施設に入っていること、千鶴と都のもとへ来た経緯などを話しながら帰宅。
その頃、潤平と都のことにショックを受けた流鶯は、乗れなかった電車に一人で乗るのでした。
【ネタバレあり】アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』第9話あらすじ・感想
流鶯の葛藤
――サマースクール6日目。
レッスン前、流鶯の美しいストレッチを見た潤平たちは、それを真似するものの同じようにできません。
すると、流鶯は潤平の身体を押さえつけて、強引にストレッチを続けさせます。
偶然通りかかった綾子は彼らの姿を目撃し止めに入ると、流鶯のやり方を「古い」と咎め、彼の師である「おばあ様」や、真鶴の名前を出して非難しました。
怒りを露わにした流鶯は、生川で自分より上手い人間はいないと言い返します。
綾子は今日のレッスンを見に来ると言うと、立ち去っていきました。
寿は、綾子が気に入った生徒に圧迫面接的な態度を取るという噂から、流鶯が目を付けられているのではないかと話します。
そんな話を聞いた海咲は、真鶴のファンだと言って流鶯に彼女のSNSを見せると、今の内縁の夫や、その夫との間に出来た子供の話題を出し、流鶯を揺さぶります。
「この人にはくだらない嘘しかない。 僕は二度と関わりたくない」
そう返した流鶯でしたが、午後のレッスンでは上の空で、真鶴のことを考えていました。
……成功を祈る。
……それは悪魔へと。
ロシア語で告げられた合言葉のようなおまじないは、真鶴が言い残していったものでした。
urara
綾子に「邪魔」と言われた流鶯は、いよいよスタジオから出て行ってしまいます。
潤平は綾子の制止を振り切り、流鶯の後を追いました。
潤平が引き留めると、流鶯は取り乱した様子で声を荒げます。
そして、「(バレエなんて)大嫌いだ!」と叫び、帰ってしまいました。
究極の選択
レッスンが終わり、綾子から呼び出された潤平は、SSクラスのスカラシップを受けないかと言われます。
心の中で喜びながらも信じられない様子の潤平は、流鶯のほうが段違いに上手いのに何故と聞きました。
すると、綾子は流鶯の類稀な才能と実力を認めながらも、学ぼうとする意思がないことや、傲慢な態度、メンタルの弱さなどを挙げ、流鶯ではプロになれないと言い切ります。
そして、潤平の目標がロシアのプリンシパルなのはどうしてなのか問いました。
「かっこいいかなって……」と呟く潤平に対して、綾子は生川の未来を語り始めます。
日本のバレエの底上げを目指し、海外のダンサーが生川に入りたいと思うようなバレエ団にする……そのためにはスターダンサーも必要で、潤平にそうなって欲しいと。
「荒唐無稽で面白いと思わない?」
そう告げられた潤平の心は、完全に揺らいでいました。
生川のスカラシップを受ける条件は、いずれ必ず生川のバレエ団に入ること、そして五代バレエスタジオを辞めること。
さらに、スカラシップを受けないのならば、サマースクール最終日の発表には来るなと言われます。
urara
すれ違う師弟
潤平が「綾子に認められた」と報告すると、千鶴は「SSクラスのスカラシップでも受ける気?」と鋭く質問します。
そして、五代と生川の両方に通うと話す潤平に、それはルール違反だと言いました。
潤平は綾子から、千鶴が先代の生川はるかに師事していたこと、それでもロシアに渡ったこと、箔をつけて帰ってきて生川のバレエ団に入ったことを聞いていました。
自分も同じようにするのだと言う潤平でしたが、千鶴は「アホ!」と一蹴し、その考えを否定します。
師・はるかが亡くなっている段階で、義理は返せなかったと呟く千鶴。
それでもロシアに行ったことは後悔していないという言葉に思わず潤平は吹き出しますが、型破りでいて、自分を認めてくれる千鶴のもとにいるだけではダメなのだと感じていました。
urara
潤平の考えを知った千鶴は、もう一緒にやっていけないと言います。
突き放されてしまった潤平は、それならスカラシップを断って五代に残ると訴えますが、聞き入れてはもらえませんでした。
解けない呪い
――サマースクール7日目。
流鶯が去った今、鏡前のポジションに立つこととなった潤平は、綾子の言葉を思い返していました。
「あの子にかかった呪いは、おいそれと解けないものよ」
絶対的王者である流鶯にかかった呪い、その解き方に頭を悩ませる潤平は、流鶯こそ認められなければいけない存在だと考えていました。
レッスン後の更衣室で、潤平は海咲から最終日も来るのかと問われます。
綾子に認められることで五代を立て直すという目的で来ていたサマースクールだったので、最終日の発表には参加しないのが筋だというのは、潤平もわかっています。
しかし、今の潤平にとっては、スカラシップが立派な目標になっていました。
「欲しくなっちゃった、ごめん!」と本気の表情で言ってのけた潤平を突き飛ばし、海咲は怒りを露わにします。
スカラシップも、都のことも、おいしいところだけ持っていく……それは海咲だけでなく、流鶯も思っていることだろうと暗に告げられ、潤平は衝撃を受けます。
それでも、自分だってバレエをずっと踊りたかったのだという想いを伝え、「俺だって、もっと上手くなりてぇんだよ!」と叫びました。
スクールからの帰り、俯きながら歩いていた潤平は、ふとバルコニーのほうを見上げます。
すると、そこには制服を着た夏姫の姿があり、彼女とのパ・ド・ドゥで感じた胸の高鳴りを思い出すと、生川への気持ちが強くなります。
その時、潤平を呼ぶ都の声が聞こえてきました。
都は以前約束したデートをとても楽しみにしている様子で、その可愛さと、彼女を好きだと思う気持ちだけで、今度は五代に残ろうと気が変わります。
urara
翌日、サマースクールの発表には行かず、都を迎えに五代家へ来た潤平。
自分は行かないと決めたものの、流鶯には行ってほしいと思っていました。
流鶯の部屋へ駆け出すと、扉を叩いて大声で呼び掛けます。
流鶯こそ世に出さなければいけない存在だと綾子に認めさせなければ……「俺が悔しいんだよ!」と本音を叫んだ潤平は、その扉が開いていることに気が付きました。
部屋はもぬけの殻で、流鶯の姿は見当たりませんでした。
アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』第9話まとめ
いかがだったでしょうか。
生川か五代か、究極の選択を強いられた潤平。
そして、心が揺らぎ、姿を消した流鶯。
二つの才能が出会い、すれ違った今、どんな展開が待ち受けているのでしょうか。
次回第10話も楽しみです。