『ピースオブケイク』『溺れるナイフ』のジョージ朝倉が「週刊ビッグコミックススピリッツ」にて連載中の男子バレエ漫画を原作としたアニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』。
浜辺で『白鳥の湖』を踊り出した潤平と都。
流鶯は二人の踊りに心をかき乱され、都を奪い返そうとします。
幕を開けるジークフリートとロットバルトの運命の対決。
流鶯は自身に渦巻いていたドロドロの感情を剥き出しにして、潤平の前に立ちはだかります。
そして、ラストダンスの果てに、潤平が選択したものとは……。
早速、アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』第11話をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』前回第10話あらすじと振り返り
姿を消した流鶯を追って、おばあ様の入所しているホームへ向かう潤平と都。
その道中、潤平は都から幼少期の出来事を聞かされます。
当時、小学生だった都は、千鶴に連れられておばあ様の住む邸宅を訪れ、小さな部屋に閉じ込められてバレエ漬けの生活を送っている流鶯と出会います。
王子みたいな流鶯に目を輝かせた都は、おばあ様の目を盗んで会いに来るようになりました。
そんなある日、流鶯から「一緒におばあ様に習おう」と誘われますが、おばあ様の言葉を真に受けた流鶯が千鶴をバカにするようなことを言ったため、断って帰ろうとします。
すると、流鶯はおばあ様の薬を大量に摂取し、都の気を引こうとしたのです。
都は慌ててそれを止め、何もかも不安定で逃げ道のない流鶯を、流鶯が楽しくバレエを踊れる時間を、自分が守らなくてはと考えるようになります。
二人が少し成長した頃、都は流鶯が周りの女の子と比べてもしなやかで、誰よりも「本物のにおいがする」ことに気が付きました。
そんな中で可能性がないと自分を卑下するようになった都は、バレエよりも他の習い事を優先するようになっていきます。
流鶯から踊らなくなったことを指摘された都は、嫌気が差して彼のもとへ行くのをやめてしまいます。
都は根負けして久しぶりに会いに行き、二人は互いにずっと踊っていてほしいと告げました。
やがて、おばあ様は五代家で都と暮らしながら行きたかった学校に通うか、この場に残って今まで通りの生活を送るか、流鶯に選ばせます。
流鶯は顔を強張らせ、自ら小さな部屋へ戻ることを決めました。
それから流鶯と会えなくなってしまった都でしたが、自分がお姫様役になって、流鶯が王子役になれば、ずっとそばにいられると伝えるのでした。
その後、おばあ様の認知症が進行し、流鶯は五代家に引き取られることとなります。
過去の話を聞いた潤平は、流鶯には今も昔も都しかいなかったのだと知り、彼女を自分が奪ってしまったのだと重く受け止めました。
都は流鶯のそばにいてやらなければ……そう告げると、都は「(潤平を)いくらでも好きになっていいんだなって嬉しかったのに!」と涙を流します。
ホームの近くにつき、海岸へ出ると、潤平は『白鳥の湖』が流れていることに気が付きました。
そこで流鶯は、オディールの――つまり女性のバリエーションを踊っていました。
認知症が進んだおばあ様は、もう流鶯のことを真鶴だと思っており、真鶴が得意だったこのバリエーションを踊る流鶯を見て、喜んでいました。
潤平は、流鶯が流鶯として認められる場所にいなくてはと思い、サマースクールの最終日に参加するよう説得します。
しかし、頑なに行こうとしない流鶯に、ロットバルトのバリエーションを踊らせようとしました。
表情を失くした都は、潤平にキスしながら「ごめんね、ありがとうね」と言います。
潤平がこの状況はまずいと考えていると、流鶯は「こんな茶番……!」と怒りを露わにしながら、都の手を取って潤平から奪い取るポーズを取りました。
それはまるで、『白鳥の湖』のようでした。
【ネタバレあり】アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』第11話あらすじ・感想
呪いを魔法に……
――サマースクール8日目。
最終発表が始まる頃、潤平と流鶯はおばあ様のホーム近くの海岸で『白鳥の湖』を踊っていました。
ジークフリート――潤平から、都を奪い返す流鶯――ロットバルト。
砂に足を取られてよろける流鶯に、都は「へたくそ!」と叫びます。
潤平と都の踊りに心を乱されていた流鶯はカッとなり、「嘘つき!」と言い返しました。
自分だけを見てくれていると信じていた都、迎えに来てくれなかった真鶴、そしておばあ様……誰も自分を見ていないと絶望する流鶯は、邪魔者は自分のほうだったと考えます。
ロットバルトと同じように憎しみの塊で……バレエなんて踊れたって意味がないと思うのに、やっぱりこの自分を見てほしいのだと葛藤します。
そして、ロットバルトに翼をくださいと願った流鶯は、感情を剥き出しにして舞い踊りました。
その姿に、潤平も都も、彼らを探しに来た千鶴も、偶然見ていた施設の職員さえ圧倒され、誰もが涙を流します。
しかし、おばあ様は流鶯のことを「真鶴」と呼び、もう彼の存在がわからなくなっていました。
笑いながら泣き出した流鶯に駆け寄った都は、彼を抱きしめて言います。
「流鶯は私の夢です。 今もこれからもずっと……」
そうして涙を流しながら抱き合う二人を見ていた潤平に、千鶴が声を掛けました。
ここからは家族の話だからと言いながらも、潤平に感謝と謝罪の言葉を伝え、「これからも自分の直感を信じなさい。 あなたはそれで正しいから」と告げるのでした。
潤平はその言葉を胸に駆け出します。
千鶴は流鶯と同じ人物から呪いを受けた者として、「呪いを魔法に変えるために協力させてほしい」と申し出ますが、流鶯は「やだ」と言い返します。
普段通りの雰囲気に戻っていく千鶴と流鶯をよそに、都はただ潤平が駆けていった足跡を眺めていました。
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海咲の執念
その頃、生川では海咲が発表をしている最中でした。
海咲は数々のダンサーたちを研究して、テクニックを当てはめて感情表現をし、本物の王子のような気品でジークフリートになりきります。
完璧に近い踊りはその場にいる誰もが納得の出来でした。
海咲のスカラシップへの想いは並々ならぬもので、このチャンスを手放したくないと強く願います。
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スカラシップは海咲で間違いないだろうという空気が流れる中ですべての発表が終わり、解散しようとしたその時、雨でずぶ濡れになった潤平が現れます。
息を切らしながら「間に合った……」と笑顔で言う潤平に、綾子は「間に合ってません」と言い返しますが、潤平は強引に彼女を引き止め、ピアノの妻村に音を要求します。
妻村がピアノを奏で始めると、潤平はスタジオの中心に立ちました。
夏姫は雨で濡れた床を危険に思い、せめて拭いてから踊るようにと声を掛けますが、すでに集中していた潤平は気にすることもせず踊り始めるのでした。
溢れる高揚感
潤平が踊り始め、最初のジャンプを披露した瞬間、場の空気がガラッと変わります。
演技は過剰で、技術的にも不十分、それでも時折挟まれる形にワクワクさせられる……潤平の踊りにはそうした一面がありました。
技術さえ伴えば、彼のイメージするものは完璧に再現されるという、期待感があるのです。
そんな中、曲調が変わるタイミングで濡れた床に足を取られた潤平は、流鶯と都――ロットバルトとオディールの姿をふと思い浮かべ、オリジナルの振付で踊り始めました。
そして、曲調が戻るタイミングで、元々のイメージに戻して踊ります。
努力でどうにもならないもの――センス、身体能力、スタイル、勘の良さを、全部持っている潤平を見て、海咲は悔しさを滲ませ、寿は感動して涙を流します。
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踊り切った潤平は拍手に包まれましたが、海咲だけはそれができずに拳を握りしめます。
一方、夏姫は洋舞祭りの時にも感じた溢れる高揚感を想い、瞳を輝かせるのでした。
潤平のバレエ
綾子は振りを変えた潤平を咎め、その時に音色を変えた妻村のことも非難します。
妻村は潤平に引っ張られて思わず変わってしまったと、少し遠回しに褒めてみせました。
講師の中村も興奮した様子でオリジナル部分について言及しますが、潤平はバレエとコンテンポラリーの区別がつかないことを白状します。
綾子はそんな潤平に何らかの才能があることを認めつつも、生川はあくまでクラシックバレエが主軸のため、潤平向きではないと言います。
さらに、五代に戻るよう告げたところで、潤平は五代と縁を切ってきたことを口にします。
頭を下げて生川への想いを語った潤平に、綾子は覚悟を問いました。
そして、「スカラシップは村尾くんに決定で」と言い置いて、去っていきました。
潤平は周りから祝福の言葉を受け、安堵します。
珍しい夏姫の笑顔も見れたことで場は和みますが、海咲だけが静かに部屋を出ていきました。
大和は海咲を呼び止めると、「諦めるな!」「やめんな!」と力強く言葉を掛け、海咲はついに涙を流すのでした。
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生川に通うようになった潤平は、ますますバレエにハマる毎日を送っていました。
――踊りたいし、もっと上手くなりたいし、星が爆ぜるし!
――ビリビリ ビカビカ ドッカーン!
その感覚こそが、潤平を夢中にさせ続けるのでした。
アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』第11話まとめ
いかがだったでしょうか。
潤平、流鶯、都の三角関係がバレエに昇華されていく物語に胸を打たれました。
希望も絶望も、未来も過去も、切なさも儚さも詰まった美しさに、思わず涙してしまう最終幕でしたね。
もっと彼らのバレエを見ていたい!
2期製作に期待したいです。