『ピースオブケイク』『溺れるナイフ』のジョージ朝倉が「週刊ビッグコミックススピリッツ」にて連載中の男子バレエ漫画を原作としたアニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』。
五代家から姿を消した流鶯を追って、おばあ様のいる施設を目指す潤平と都。
向かう途中、潤平は森家の複雑な家庭環境を聞かされます。
おばあ様のバレエへの執念、母・千鶴の挫折と、その妹・真鶴の才能。
そして、おばあ様と二人きりで暮らしながら、あまりに厳しいレッスンを受け続けた幼い流鶯。
そんな彼の前に現れたのが、都でした。
早速、アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』第10話をレビューしていきたいと思います。
目次
アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』前回第9話あらすじと振り返り
――サマースクール6日目。
レッスン前、流鶯の美しいストレッチを見た潤平たちは、それを真似するものの同じようにできません。
すると、流鶯は潤平の身体を押さえつけて、強引にストレッチを続けさせます。
偶然通りかかった綾子は彼らの姿を目撃し止めに入ると、流鶯のやり方を「古い」と咎め、彼の師である「おばあ様」や、真鶴の名前を出して非難しました。
怒りを露わにした流鶯は、生川で自分より上手い人間はいないと言い返します。
綾子は午後のレッスンを見に来ると、流鶯に「邪魔」と言い放ち、彼はスタジオから出て行ってしまいました。
一方、潤平は綾子からSSクラスに勧誘されますが、いずれ必ず生川のバレエ団に入ること、五代バレエスタジオを辞めることを条件にされ、心が揺らぎます。
潤平は千鶴のもとへ行きますが、現状を知った千鶴は潤平とは一緒にやっていけないと追い返しました。
――サマースクール7日目。
流鶯が去った今、鏡前のポジションに立つこととなった潤平は、綾子の「あの子にかかった呪いは、おいそれと解けないものよ」という言葉を忘れられずにいました。
揺らぐ潤平を責める海咲は、スカラシップも、都のことも、おいしいところだけ持っていく……と怒りを露わにします。
そこで流鶯が都を想っていると知った潤平は、翌日のサマースクールの発表には行かず、都を迎えに五代家へ。
自分は行かないと決めたものの、流鶯には行ってほしいと思っており、流鶯の部屋へ駆け出すと、扉を叩いて大声で呼び掛けます。
流鶯こそ世に出さなければいけない存在だと綾子に認めさせなければ……「俺が悔しいんだよ!」と本音を叫んだ潤平は、その扉が開いていることに気が付きました。
部屋はもぬけの殻で、流鶯の姿は見当たりませんでした。
【ネタバレあり】アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』第10話あらすじ・感想
流鶯と都の出会い
姿を消した流鶯を追って、おばあ様の入所しているホームへ向かう潤平と都。
その道中、潤平は都から幼少期の出来事を聞かされます。
当時、小学生だった都は、千鶴に連れられておばあ様の住む邸宅を訪れました。
ソ連時代のロシアでプロのバレリーナを目指していたおばあ様は、都の祖父に呼び戻され、日本で千鶴を産みますが、見切りを付けて再びロシアへ渡ります。
そして、ロシア人ダンサーとの間に真鶴を授かり、素質を持った彼女を徹底的に天才少女へと育て上げますが、反発した真鶴はやがて日本で「お騒がせアイドル」となりました。
その後、真鶴は流鶯を産みますが育児放棄をし、おばあ様に預けて行方をくらまします。
流鶯の小学校から彼が通ってきていないと連絡を受けた千鶴は、自分が預かったほうがいいのではないかと考えていました。
しかし、おばあ様は聞く耳を持たず、流鶯を小さな部屋に閉じ込めてバレエ漬けの毎日を強いるのでした。
一方、都はプロになりたいと考えていたわけではありませんでしたが、千鶴から素質がないと評されること、期待されていないことについては重く受け止め、気にしていました。
そのため、「本物のにおいがする」千鶴や、おばあ様への憧れを持っています。
そんな中、おばあ様宅の裏庭で、千鶴から禁止されているスナック菓子をこっそり食べていた都は、流鶯と出会います。
初めて会う従弟の流鶯は、やはり同じようにおばあ様からお菓子を禁止されていたらしく、とても気に入った様子で顔を綻ばせました。
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王子みたいな流鶯に目を輝かせた都は、それからお菓子を持って流鶯に会いに来るようになります。
不安定な流鶯
おばあ様が薬を飲んで、眠っている昼間の数時間……それが都と流鶯の会う時間になっていたある日。
都は流鶯から「一緒におばあ様に習おう」と誘われますが、おばあ様の言葉を真に受けた流鶯が千鶴をバカにするようなことを言ったため、断って帰ろうとします。
すると、流鶯はおばあ様の薬を大量に摂取し、都の気を引こうとしたのです。
都は慌ててそれを止め、何もかも不安定で逃げ道のない流鶯を、流鶯が楽しくバレエを踊れる時間を、自分が守らなくてはと考えるようになります。
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二人が少し成長した頃、都は流鶯が周りの女の子と比べてもしなやかで、誰よりも「本物のにおいがする」ことに気が付きました。
そんな中で可能性がないと自分を卑下するようになった都は、バレエよりも他の習い事を優先するようになっていきます。
流鶯のところにも相変わらず通っていますが、自分はあくまでピアノの練習をしに来ているのだと言って踊らなくなっていました。
流鶯から踊らなくなったことを指摘された都は、嫌気が差して彼のもとへ行くのをやめてしまいます。
幼い都の夢
しばらくして根負けした都が流鶯を訪ねると、いつも開けておいてくれる扉に鍵がかかっていました。
近くに落ちていた薬の瓶を見て、流鶯の最悪の状況を想像した都は、扉を叩いて必死に彼の名前を呼びます。
しかし、流鶯は部屋の中にいた蜘蛛を逃がすために外に出ていただけで、庭の木に登っていました。
木からしなやかに飛び降りた流鶯を見て、都は彼にずっと踊っていてほしいと告げます。
すると、流鶯も都にずっと踊っていてほしいと言いました。
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やがて流鶯の部屋から出てきたおばあ様は、五代家で都と暮らしながら行きたかった学校に通うか、この場に残って今まで通りの生活を送るか、流鶯に選ばせます。
流鶯は顔を強張らせ、自ら小さな部屋へ戻ることを決めました。
それから流鶯と都は会えなくなってしまいましたが、都は扉の外から夢を語りかけます。
都がお姫様役になって、流鶯が王子役になれば、ずっとそばにいられると……。
その後、おばあ様の認知症が進行し、流鶯がお店のお菓子を盗んだことをきっかけに、流鶯は五代家に引き取られることとなりました。
”オディール”と”ロットバルト”
過去の話を聞いた潤平は、流鶯には今も昔も都しかいなかったのだと知ります。
そして、そんな都を自分が奪ってしまったと重く受け止めました。
都は流鶯のそばにいてやらなければ……そう告げると、都は「(潤平を)いくらでも好きになっていいんだなって嬉しかったのに!」と涙を流します。
ホームの近くにつき、海岸へ出ると、潤平は『白鳥の湖』が流れていることに気が付きました。
そこで流鶯は、オディールの――つまり女性のバリエーションを踊っていました。
認知症が進んだおばあ様は、もう流鶯のことを真鶴だと思っており、真鶴が得意だったこのバリエーションを踊る流鶯を見て、喜んでいました。
潤平は、流鶯が流鶯として認められる場所にいなくてはと思い、サマースクールの最終日に参加するよう説得します。
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しかし、頑なに行こうとしない流鶯に、ロットバルトのバリエーションを踊らせようとしました。
表情を失くした都は、潤平にキスしながら「ごめんね、ありがとうね」と言います。
潤平がこの状況はまずいと考えていると、流鶯は「こんな茶番……!」と怒りを露わにしながら、都の手を取って潤平から奪い取るポーズを取りました。
それはまるで、『白鳥の湖』のようでした。
アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』第10話まとめ
いかがだったでしょうか。
不安定な三角関係は、不安定なまま変化を迎えようとしています。
オディールのバリエーションを踊るような美しさはもちろん流鶯の強みですが、ロットバルトを演じた時の、あの感情むき出しな姿をまた見たいものです。
複雑な過去を持つ流鶯と都、そこに加わった潤平……ラストスパートを迎え、彼らと彼らのバレエがどうなっていくのか気になりますね。
次回、第11話も楽しみです。