「オアシス」「プライマル・スクリーム」など、90年代のロックシーンを代表するバンドを世に送り出したレーベル会社「クリエイション・レコーズ」。その創設者であるアラン・マッギーの壮絶な半生を描いた映画『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』が10月21日(金)より公開されます。
・伝記映画とは思えないアップテンポな展開!
・誰もが知るあの伝説バンドとの出会いは必見!
音楽映画であると同時に、バンドを世に送り出すレーベルの起業物語、そして90年代の荒波に飲まれながらも、自分の信念を貫き通す男の生き様に痺れる作品となっていました!
それでは『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』をネタバレなしでレビューします。
目次
『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』あらすじ【ネタバレなし】
保守的な過程に生まれたアラン・マッギー
スコットランドに生まれたアラン・マッギー(少年期:レオ・フラナガン)。どこにでもいるロック好きの少年はロックスターになることを夢見るも、保守的な父親は彼の趣味や聴く音楽に反対してばかり。唯一、母だけはアランの味方をしてくれており、彼の夢を応援し続けていた。
ある日、アランは音楽の趣味を同じくするボビー・ギレスビーとアンドユー・イネスと親しくなる。そしてアランは、イネスとバンドマンとしての夢を叶えるためにロンドンへ旅立つ。
バンドマンからレーベル運営に転身⁉
ロンドンに拠点を移したアラン(青年期・現代:ユエン・ブレムナー)たちは「ラフィン・アップル」というバンドの活動をスタートする。しかし音楽だけでは生活ができず、アランは鉄道会社に就職。そこでイヴォンヌという女性と結婚する。
アランは鉄道会社で稼いだお金でクラブをはじめると、そこへ演奏をしにきたバンド「テレビジョン・パーソナリティ」の音楽に心を打たれる。そこからアランはこのバンドを売り出すことを決意。アランはバンドマンからアーティストのマネジメントを担う裏方として活動することになる。
破天荒なレーベル運営が軌道に乗るが…?
アランは自分がレーベル運営の方が向いていると感じると、旧友ボビーから紹介されたバンドを売り出すことに成功する。それは過激なイメージで一世を風靡した「ジーザス&メリー・チェイン」だった。
アランの独創的な宣伝センスによって、次々とバンドを世に売り出し、レーベルはどんどん成長していく。90年代になるとアシッド・ハウスの売り出しにも精力的になるが、一方のアランは酒やドラッグに溺れるようになる。
アランはレーベル運営のプレッシャー、さらには家庭問題も重なると、精神的に追いつめられていくがーー。
『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』感想
ダニー・ボイルが製作総指揮を務めた音楽・伝記映画!
本作の製作を務めたのは『トレインスポッティング』(96)のチームです。そして、その監督として知られるダニー・ボイルは製作総指揮を務めています。
さらに脚本を手掛けたのは、同じく『トレインスポッティング』の原作・脚本を担当したアーヴィン・ウェルシュ。監督は『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(98)で主演のエディ役をはじめ、『ヤング・ブラッド』(01)、『ハリー・ポッターと死の秘宝』(10、11)に出演する俳優のニック・モランが担当しました。
インディ・レーベルの創設者を描くかなりコアな作品にも見えますが、刺激的な演出やアラン・マッギーの生き様も相まって、強烈な「音楽伝記映画」となっています。
伝記映画とは思えないアップテンポな展開!
『トレインスポッティング』のチームが製作に携わっていることもあって、その演出は非常にアップテンポ!アランの破天荒な人生はもちろん、激動の90年代ロック・シーンは音楽ファン、ひいては「ブリット・ポップ」が好きな方にはたまらない演出が見られます。
音楽シーンとしての見どころだけでなく、「レーベル創設者」による起業家としての活動もかなり強烈。運営は綱渡り状態にもかかわらず、アランの型破りな宣伝戦略によって熱心なファンを獲得していきます。彼自身が元ミュージシャンということもあり、音楽に対する情熱もすさまじいです。その一方で、作中ではアランと音楽ファンではない人との温度差も幾度となく登場します。
それでも自分の信念を曲げないアランの姿はまさにパンクの一言。音楽ファンでなくとも、何かを立ち上げたい、夢を追っている人には影響を与えてくれること間違いなし!
誰もが知るあの伝説バンドとの出会いは必見!
本作はかなりハイスピードかつアップテンポでストーリーが進むので、まったく知識のない状態で見ると内容を理解するのに苦労するかもしれません。
しかし、有名バンドの登場やアランとの出会いは必見です。例えば「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン」がアルバム「ラブレス」の制作で、レーベルの金をしこたま使い込むシーンとか…汗(しかもアランの指示は一切拒否。なんなら不審者扱いで警察に連行される)
そして一度は窮地に追い込まれるクリエイション・レコーズを救ったのは、ブリット・ポップファンの間で知らない者はいないビッグバンド「オアシス」との出会いです。
アランは彼らがまだ無名時代のころに運命的な出会いを果たし、その才能に気づいた第一人者でもあります。ゆえにアランとオアシスの出会いを描くシーンは本作最大の見どころでもありました。実話とはいえ、まさに鳥肌ものです!
『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』あらすじ・感想まとめ
・伝記映画なのにずっとテンションの高い演出は必見!
・あの有名バンドとの出会いは音楽ファンを感動させる!
以上、ここまで『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』をレビューしてきました。
アップテンポな展開と、夢を追い続けることの難しさと面白さを同時に描いた本作。
音楽ファンはもちろん、夢や目標をもっている人にも刺さる演出や名言が揃っています。アランの経営手法は斬新すぎて参考になるかは別問題な気もしますが…(笑) 彼から大いに刺激を受けることは間違いありません!