青山剛昌による大人気コミック「名探偵コナン」。
その劇場版最新作となる『名探偵コナン 緋色の弾丸』が2021年4月16日に公開されました。
世界最大のスポーツの祭典・“WSG(ワールド・スポーツ・ゲームス)”と、世界初の“真空超伝導リニア”の開発という2つのキーワードを軸に、前代未聞の事件に挑む江戸川コナンの活躍を描きます。
人気キャラクターであるFBI捜査官・赤井秀一は、2016年に公開された『純黒の悪夢』以来の登場となり、その弟でプロ棋士の羽田秀吉や女子高生探偵の妹・世良真純、そして兄妹の母親で“領域外の妹”を名乗る謎の女性・メアリーも登場し、作品全体を通してもキーパーソンといえる“赤井ファミリー”の集結に注目していた方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな『名探偵コナン 緋色の弾丸』をネタバレありでご紹介したいと思います。
目次
映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』作品情報
作品名 | 名探偵コナン 緋色の弾丸 |
公開日 | 2021年4月16日 |
上映時間 | 110分 |
監督 | 永岡智佳 |
脚本 | 櫻井武晴 |
原作 | 青山剛昌 |
出演者 | 高山みなみ 山崎和佳奈 小山力也 池田秀一 緒方賢一 岩居由希子 高木渉 大谷育江 林原めぐみ 浜辺美波 |
音楽 | 大野克夫 |
▼予習で見たい『名探偵コナン 緋色の不在証明』の記事はこちら▼
映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』キャラクター/声優
江戸川コナン / 高山みなみ
- 毛利探偵事務所に居候する小学1年生
- 正体は高校生探偵の工藤新一
- 自らにAPTX4869を飲ませた黒ずくめの組織を追っている
毛利蘭 / 山崎和佳奈
- 新一の幼馴染みであり恋人
- 空手の達人
- 世良真純とは高校のクラスメイト
灰原哀 / 林原めぐみ
- 正体は元黒ずくめの組織のメンバーである宮野志保
- APTX4869の開発者であり自らも使用したことで少女化している
- コナンとは互いの正体を知っている故に信頼関係がある
赤井秀一 / 池田秀一
- 赤井家の長男
- FBI捜査官で狙撃の名手
- 黒ずくめの組織に潜入していた過去を持つ、当時のコードネームは“ライ”
- 来葉峠で死亡したとされていたが、偽装死だった
- 現在は正体を隠すため、大学院生の“沖矢昴”として工藤邸に身を寄せている
世良真純 / 日高のり子
- 赤井家の末妹
- 工藤新一や毛利蘭と同じ高校に通う女子高生探偵
- 截拳道(ジークンドー)の使い手
- 幼少期に新一や蘭と出会っていたことから、新一=コナンと気づいている様子
- 現在は母のメアリーとホテル暮らし
羽田秀吉 / 森川智之
- 赤井家の次男
- 七冠を達成した経験を持つプロ棋士
- 人並み外れた記憶力を持つ
- 恋人は警視庁の婦警である宮本由美
- 現在は六冠王で、七冠王への復活を目指している
メアリー / 田中敦子
- 赤井兄弟の母
- 少女の姿をしており、コナンに対して「領域外の妹」と名乗っている
- イギリスの秘密諜報機関“MI6”に所属している
- 夫の赤井務武は消息不明
- 身体が小さくなった理由とは…
宮本由美 / 杉本ゆう
- 警視庁交通課の婦警
- 恋人は羽田秀吉
- 秀吉とは「チュウ吉」「由美タン」と呼び合う間柄
【ネタバレ】映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』あらすじ・感想
15年前の再来
15年前、アメリカ・ボストン。
一人の男性が背後で手を縛られたまま、怯えた様子で逃げるように街中を走っていました。
男性は駅の改札を飛び越えると、何とか電車に乗り込みます。
しかし、次の瞬間。
後ろから胸を撃たれて亡くなってしまいました。
犯人と見られる男は、床に倒れた男性の死体を見下ろしています。
やがて電車の扉は閉まり、死体を乗せたまま出発しました。
時は変わり、現代の東京。
江戸川コナンや毛利蘭、灰原哀らは、鈴木財閥の令嬢である鈴木園子の手によってとあるパーティーに出席していました。
それは東京から名古屋までを25分で走り抜ける、世界初の“真空超電導リニア”の完成パーティーです。
真空超電導リニアは、東京で開催される4年に1度のスポーツの祭典・“WSG(ワールド・スポーツ・ゲームス)”の開会式に合わせて開通する予定で、鈴木財閥がWSG東京のスポンサーをしている縁での参加でした。
最初に真空超電導リニアへ乗り込むのは、WSG東京のスポンサーたちや、元FBI長官で国際WSG会長のアラン・マッケンジー、そして一般から抽選で選ばれた人々だそうです。
話を聞いた円谷光彦は、園子のコネでチケットを手に入れることができないか打診しますが、そう簡単には手に入らないようでした。
子供たちが残念がる中、そばに寄ってきた園子の父・史郎は、子供たちの分のチケットが手に入らないか動いてくれると約束します。
すると、会場のスタッフから今いる場所に食事のワゴンを並べると声を掛けられたので、一同は移動することにしました。
子供たちはそこへ並んだ豪華な食事を見て嬉々としますが、その瞬間、突然会場の照明が消え、室内は真っ暗になり騒然とします。
コナンはそんな暗闇の中で一瞬青白い光を見つけ、急いで向かおうとしたところを蘭に止められてしまいました。
しばらくして非常灯がつき、室内は明るさを取り戻しますが、史郎が行方不明になったことが判明。
園子は史郎の知人であるジョン・ボイドにも史郎を見ていないか尋ねますが、彼は史郎が行方不明になったことを知ると、表情を暗くして会場から出て行ってしまいました。
すぐに警察が呼ばれ、史郎の捜索が始まっても行方は分からず仕舞い。
コナンが現場にやって来た目黒警部に青白い光のことを伝えると、目黒は史郎がスタンガンで襲撃されたのち誘拐されたのではないかと仮説を立てました。
その一方で、「うなぎの匂いがする」という小嶋元太の言葉を聞いたコナンは、うなぎの蒲焼きが乗っていたワゴンが消えていることに気付きます。
消えたものと同じ形のワゴンに掛けられたクロスをめくると、ワゴンの下には人一人入れるくらいのスペースが存在していました。
史郎をスタンガンで気絶させ、ワゴンの下に乗せて運び出せば、クロスに隠れているため、誰にも気付かれず会場外へ連れて行くことができるでしょう。
警察は史郎の捜索とあわせて、ワゴンとワゴンを運んだ人間を調べましたが難航します。
しかし、独自に調査していたコナンたちは元太がうなぎの匂いを辿ることでワゴンの行方を追っていき、ついに厨房で発見。
史郎の救出にも成功しますが、彼は犯人の姿を見ていませんでした。
実は、少し前に史郎のゴルフ仲間である菓子メーカー社長の三塚が誘拐され、すぐにゴルフ場のトイレで発見されるという事件が起こっており、警察によるとその時の三塚と現在の史郎の供述は酷似しているそうです。
コナンは三塚や史郎などWSGスポンサーのトップが相次いで誘拐されたことに、違和感を抱きます。
時を同じくして、FBIは15年前に起きた“WSG連続拉致事件”が、今度は東京で起きていると察知するのでした。
息を潜める模倣犯
後日、阿笠博士の家にやって来た園子は、子供たちに史郎を見つけてくれたお礼として人気の特撮アニメである仮面ヤイバーグッズをプレゼントします。
そして、もう一つ。
プレゼントとして、リニアのチケットを6枚持ってきていました。
しかし、この場にいるのはコナン、灰原、蘭、園子、元太、光彦、歩美の7人。
一人分だけチケットが足りないのです。
そこで、阿笠博士のクイズにより早く正解した6人がチケットを手にできることとし、結果として園子が子供たちに譲るような形でメンバーが決まります。
阿笠博士の家を出た一同はそれぞれ帰路につきましたが、コナンは近くに停まる一台の車に気が付くと、踵を返しました。
車の運転席に座り、コナンを待っていたのは、工藤邸に居候中の沖矢昴=赤井秀一でした。
コナンが今回の事件と類似する15年前のWSG連続拉致事件の名称を口にすると、沖矢は表情を固くします。
15年前のWSG連続拉致事件とは、WSBボストンが開かれる直前にスポンサーである日系菓子メーカーのトップ、シカゴの財発系企業のトップ、デトロイトの自動車会社のトップが相次いで誘拐された事件です。
このうち、自動車会社のトップは自力で逃走したのち、駅で射殺されました。
犯人として捕まったのは寿司職人の石原誠という男性でしたが、石原はFBIに対し、繰り返し犯行を否認していたのです。
トップが誘拐されたことをきっかけにWSBボストンのスポンサーを降りた企業があったので、犯行の目的はWSGの商業化に反対するためとされました。
そのため、スポンサーを降りた企業はテロに屈したとして、アメリカ中からバッシングを受けるという出来事もあったそうです。
そして、事件当時にFBI長官を務めていたのが、現在は国際WSG会長に就任しているアラン・マッケンジーであり、WSG連続拉致事件の模倣犯が現れた時の長官もアラン・マッケンジーでした。
FBIは昨今の事件も15年前のWSG連続拉致事件を模倣したものだと考えているらしく、今回の事件で誘拐されたうち、一人目が菓子メーカーのトップ、二人目が財閥系企業のトップと続いているため、15年前の事件と同様に三人目は自動車会社のトップが狙われるのではと危惧していました。
その後、沖矢と別れたコナンは毛利探偵事務所から出てくるボイドの姿を目にします。
ボイドはWSG東京のスポンサー企業である自動車会社のトップなので、次に狙われそうな人物候補でした。
その日の夜、コナンは自分や蘭がリニアに乗ると知った時の毛利小五郎の慌てた様子を見て、小五郎がボイドから何らかの依頼を受けたことを確信します。
実は、ボイドはバーで見知らぬ他の客から声を掛けられた際、三塚がゴルフへ行くことや史郎がパーティーに参加することを酔った勢いで話してしまったそうで、二人が誘拐されたのはそれが原因ではと悩んでいたのです。
そのため、警察に事情を話すことすら恐れたボイドは、探偵である小五郎のもとを訪れたのでした。
後日、コナンたちはリニアの乗車説明会に参加していました。
説明会は日本WSG協会広報の白鳩舞子、リニア開発エンジニアの井上治、リニアの乗務員石岡エリーによって進行されていきます。
当日は名古屋国際空港に集合後、空港内の病院で健康診断を実施。
そこから駅へ移動し、リニアに乗ってWSG東京の開会式が行われる芝浜スタジアムに向かう予定になっています。
そうなると、ボイドはリニアの中だけではなく、空港や病院でも狙われる可能性がありました。
説明会の後、FBI捜査官であるジョディらに会ったコナンは、彼女たちが犯人を殺す気で今回の事件にあたっていることに驚きを隠せません。
FBIが関わった事件だからこそFBIが責任を持って片付けるのだと考えるジョディは、コナンに「FBIにはFBIのやり方がある」と告げるのでした。
コナンはリニアへの乗車に危険が伴うことを知り、元太、光彦、歩美の三人を乗車させないよう同じ日に開催される仮面ヤイバーショーへ行くことを勧めます。
こうして三人はリニアを諦めましたが、蘭の説得には失敗してしまいました。
そして、沖矢と電話をしたコナンは、15年前のWSG連続拉致事件の犯人である石原について聞きました。
石原は収監された刑務所で死亡しましたが、残された妻子は日本へ帰国したそうです。
コナンは今回のリニア乗車名簿に石原の妻子の名前がないことを確認していましたが、沖矢はFBIによる証人保護プログラムで名前を変えている可能性について触れるのでした。
大きく動き出した事件
ついに当日。
集合場所である名古屋国際空港に到着したコナンたちは、予定通り空港内の病院で健康診断を受けていました。
すると、突然部屋の天井にある換気口から勢いよく煙が吹き出し、室内は煙に包まれます。
灰原は今起こっている現象は「クエンチ」だと判断し、「このままだと全員死ぬ」と告げると意識を失ってしまいました。
現場が騒然とする中、蘭とコナンも続いて意識を失うのでした。
その直前、コナンから連絡を受けていた沖矢は何か緊急事態が起きたのだと察しますが、時を同じくして駐車場から走り去っていく車を目撃。
沖矢が追いかけようとしたところ、同じように車を追おうとしたバイクと接触しそうになります。
そのバイクを運転するのは、世良真純でした。
意識を取り戻したコナンは、小五郎からボイドが行方不明になっていると聞かされます。
実はコナンはボイドに発信機を付けていたので、その位置情報を頼りに追跡を開始。
同時に沖矢にも位置情報を共有しました。
その沖矢はというと、世良が運転するバイクに追いかけられていると気付きます。
沖矢は世良の追跡を振り切ってボイドがいると思われる東海コンビナートへ向かいますが、後ろには振り切ったはずの世良がついてきていました。
一方、コナンは灰原からクエンチについて聞きます。
クエンチとは、MRIに使われる超電導磁石を低温に保つために活用されている液体ヘリウムの温度が何らかの原因で上昇した時、液体ヘリウムが爆発的に気化することを示す言葉です。
MRI室に忍び込んだ灰原は、何者かによって意図的にクエンチが引き起こされたことを知ります。
しかし、あの部屋にはヘリウムが充満したはずなのに、全員が無事に生きていたことが気がかりでした。
すると、充満したヘリウムがすぐに屋外へ排出されるよう換気システムまで操作されていたことが判明。
どうやらクエンチを引き起こした人物は不特定多数の誰かを殺そうとは思っていないらしく、これは誘拐された三塚や史郎の事件とも通ずるところがありました。
ところ変わって、沖矢は東海コンビナートに到着し、ボイドがいるであろう倉庫にやって来ていました。
その時、外から世良のバイクが突っ込んできて、突如として襲撃を受けます。
そんな中、沖矢と世良が戦っている隙に倉庫から走り去る一台の車がありました。
沖矢を追ってきたコナンが倉庫に辿り着いた頃、そこに世良がいると気付いて声を掛けましたが、沖矢は一人去って行ってしまいました。
実は世良もボイドを追っていたと知ったコナンは、世良とともにボイドがいる場所へ向かうのでした。
その道中、世良は病院で騒ぎがあった時にロビーにおり、スーツケースを二つ乗せたカートが平然と去っていくことに違和感を覚え、ここまで来たと聞かされます。
世良はカートに乗っていた人物の顔までは見ていませんでしたが、体格的に男性だろうと予想していました。
ようやく目的の場所に到着したコナンたちは、そこでベンチに寝かされているボイドを発見。
ボイドは犯人の顔は見なかったようですが、車に乗せられた時、隣に誰かがいたと言いました。
一方その頃、病院で騒ぎが起きたため、リニアへの乗車は中止となり、小五郎たちは新名古屋駅にいました。
そこへ白鳩がやって来て、慌てた様子でマッケンジーが行方不明になっていることを伝えます。
コナンはその一連の話を灰原から電話で聞かされ、ボイドの隣にいた人物こそマッケンジーではないかと考えるのでした。
今までに起きたこと、そしてこれから起こるであろうことに考えを巡らせたコナンは沖矢に連絡し、こう伝えます。
「万一の時が来てしまった、赤井さん」
沖矢は「了解した」と返事をすると、変装を解いて赤井秀一の姿を見せるのでした。
コナンと世良は病院で騒ぎが起きたことで警察の警備が手薄となった新名古屋駅が危険だと察知し、現場へ急行しました。
15年前のWSG連続拉致事件では三人目が駅で射殺されたため、今回は「ジャパニーズ・ブレット」と呼ばれているリニアが利用されると、コナンは予想します。
無人のリニアの出発式が行われ、その扉が閉まりかけた瞬間を狙い、コナンはホームの上空で花火のような爆発を起こしました。
そして、人々の感心がそちらに移った隙に、コナンと世良はリニアに乗り込むのでした。
二人は走り出したリニアの中でマッケンジーを探します。
どこからか甘酸っぱい匂いがすることに気付いたコナンは、この匂いがマッケンジーの持っていた栄養ドリンクのものではないかと閃きます。
腕時計のブラックライトで床を照らしてみると、予想通りスーツケースの車輪のような跡が浮かび上がりました。
栄養ドリンクに入っているビタミンB2は蛍光物質のため、ブラックライトが反応するのです。
コナンは赤井に電話をし、少し待てるかと尋ねます。
赤井は「タイムリミットだ」と返し、コナンは静かに了承しました。
すると、線路上に立った赤井はライフルを構え、そこからは姿の見えないリニアに向けて銃弾を放ちます。
その銃弾は真空トンネルのシャッターが閉まる寸前に、吸い込まれるようにトンネルの中へと消えていきました。
そうして、コナンは赤井にもう一つ頼みごとをすると告げると、電話を切りました。
緋色の弾丸
無事にマッケンジーを見つけたコナンと世良は電話越しの蘭たちに、ボイドとマッケンジーは病院でクエンチが発生した時に誘拐されたこと、その犯人はすでにわかっていることを伝えます。
そして、コナンは赤井づてにジョディへ依頼していた、リニア乗車名簿に載っていた電話番号への一斉発信を実行しました。
すると、参加するはずだった人々、もちろんコナンたちやマッケンジーの電話にも着信がありましたが、一人だけ着信のない人がいたのです。
それは、リニアに乗り込んでいた白鳩でした。
白鳩は「バッテリーが切れているから」だと言いましたが、コナンは「病院でクエンチを起こした際に、スマホが壊れたから」だと言い返しました。
そして、この一連の事件の犯人も白鳩だと断言します。
その理由に、白鳩舞子(しらはとまいこ)という名前が15年前のWSG連続拉致事件の犯人である石原誠(いしはらまこと)の名前のアナグラムになっていることを挙げました。
言い逃れができなくなった白鳩は、拳銃を取り出すとコナンたちに銃口を向けます。
そして、15年前のWSG連続拉致事件の犯人・石原誠が父親であること、彼にはアリバイがあったのにFBIに逮捕されたこと、司法取引の証人保護プログラムにより名前を変えたこと、当時FBI長官だったマッケンジーがWSGの会長になると知ったこと、ジャパニーズ・ブレットと呼ばれるリニアを利用してマッケンジーに復讐するためにWSGに入り込んだことを次々に明かしました。
白鳩は今この場でマッケンジーを射殺しようとしていますが、コナンと世良が守るように立ちはだかります。
その瞬間、リニアが速度を落とした衝撃でコナンたちは床に倒れてしまいました。
白鳩はそれを好機に、再びマッケンジーに銃口を向けます。
マッケンジーは何を思ったのか、危ないからもっと離れて高いところから撃て、と白鳩に助言しました。
白鳩はジリジリと後ろに下がり、高い位置からマッケンジーを狙うよう銃を構え直します。
すると、突然どこからともなく銃弾が飛んできて、白鳩の肩を貫通しました。
白鳩はその背後からの銃撃に驚きながら、倒れ込んでしまいます。
実は、この銃弾は線路上で赤井が撃ったものでした。
赤井が撃ったのは銀製の特別弾。
真空トンネルに入った銃弾はスピードをそのままに、リニア車内の白鳩の肩を貫通したのです。
白鳩は肩を撃たれたものの命に別状はなく、無事に犯人を確保できたように思えました。
しかし、まだ共犯者がいたのです。
突然にスピードを落としたリニア。
そして、おそらく遠隔でクエンチを引き起こす技術。
その操作が可能なのは、エンジニアである井上だけだろうと、コナンは確信していました。
名前を出された井上は、15年前のWSG連続拉致事件の最初の被害者となった菓子メーカーのトップの息子でした。
テロに屈したとアメリカ中に非難されたうえに企業からも追われ、井上たち家族の人生を狂わせたのが、まさにWSG連続拉致事件だったのです。
白鳩と同じく日本に戻った井上は、自分と似た境遇にあった白鳩と組んだのでした。
その直後、井上は新幹線が途中駅で停車した隙を見て新幹線から逃走。
コナンはジョディに井上を追跡するよう頼みます。
井上は元よりその駅に逃走車を準備しており、小五郎の追跡を振り切って走り去って行きました。
車で追跡するジョディや赤井らは、井上がどこへ向かって逃げているのか、考えを巡らせます。
そんな中、井上はリニアを追っている、と言い放つ男がいました。
それは、赤井の車に同乗していた羽田秀吉でした。
一方、コナンが複数のスマホで姿の見えない複数人に指示を出しているのを見た世良は、ついにスマホを見せてほしいと言いました。
コナンが躊躇ったその時、井上が遠隔操作を行ったことによりリニアに爆発が起き、走行スピードが上がりました。
コナンと世良は手動制御を試みますが、スピードは変わりません。
実際、超電導磁石でリニア自体が浮いている限り問題はありませんが、井上の遠隔操作によってクエンチを起こされていたため、すでに超電導磁石は機能不能となっており、リニアは機体を安定させることすら難しくなっていました。
リニアの終着駅となる芝浜駅では、リニアが駅に衝突する恐れがあることから避難勧告が出され、WSGの開会式も中止となっていましたが、このままでは本当に突っ込んでしまうでしょう。
コナンと世良はそんな中でもらった、灰原からの提案に乗ることにしました。
その頃、ジョディらは秀吉の指示のもと井上の車を追っていました。
秀吉の指示は理解不能なものばかりで一同を混乱させますが、秀吉の類稀な頭脳はまるで詰め将棋のように井上の車を追い詰めていき、ジョディたちはいつのまにか井上を待ち伏せする形になっていたのです。
赤井の信じる秀吉の天才的な頭脳のおかげで、井上はジョディのもとで捕らえられることとなりました。
リニア車内では世良が後部車両の運転席に移動、コナンは先頭車両の先端部分に移動していました。
世良がコナンからの合図にあわせてスイッチを押すと、開会式のために後部車両に用意されていた万国旗のパラシュートが開き、走行スピードが落ちました。
それを好機にコナンがサッカーボールを思い切り蹴ると、リニアの先頭車両に穴が開き、空気抵抗によって走行スピードがさらに落ちます。
リニアの前方車両はいよいよ芝浜駅に突っ込むというところで脱線し、芝浜スタジアムに衝突。
あまりにも酷いその現場を見た蘭や灰原はコナンたちの安否を祈りますが、彼らは無事に脱線していない後方車両へと移動していました。
ジョディにより逮捕された井上は、15年前のWSG連続拉致事件の犯人は石原誠ではないと言いましたが、ジョディは「犯人は石原誠だ」と断言。
実は、石原は井上が目撃した模倣犯の共犯だったのです。
しかし、司法取引によって15年前の事件は不問になっていたため、WSG連続拉致事件は石原のみが犯人として公表されたのでした。
井上はそんなFBIの司法取引を非難しましたが、今の井上があるのは司法取引の一つである証人保護プログラムのおかげだとジョディに諭され、悔しそうに俯きました。
その後、リニアから救出されたコナンは世良に対し、赤井の撃った弾丸が白鳩の肩を貫いたのは偶然ではなく、コナンからマッケンジーに白鳩の肩に弾丸が当たるように誘導してくれと頼んだからだと明かしました。
コナンは目の前の相手がいくら犯人だとしても、殺したくはなかったのです。
そして、事件を解決したコナンと世良は、リニアの線路上をゆっくりと歩くのでした。
“赤井ファミリー”の強さ
どうしても“赤井ファミリー”に注目せざるを得ない『名探偵コナン 緋色の弾丸』。
今回、主人公であるコナンの相棒を務めたのは世良真純でしたし、犯人確保のために驚異的な凄技を魅せたのは赤井秀一でしたし、もう一人の犯人を追い詰めるために天才的な頭脳をフル稼働させたのは羽田秀吉でした。
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しかし、劇場版シリーズお馴染みのエンドロール後のラストシーンを持って行ったのはメアリーでした。
息子の赤井秀一は殉職したと思っている母・メアリー、そして母のメアリーが少女化しているのではないかと頭のどこかで考えている息子・赤井秀一。
そんな二人が同じ車内で一瞬でも言葉を交わした事実は、今後のストーリーにとっても大きな出来事となったでしょう。
また、メアリーと同じように赤井は殉職したと思っているであろう世良が、赤井だとは知らずに戦うシーンがありますが、その戦闘スタイルに截拳道(ジークンドー)の片鱗を見てハッとするカットがありました。
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長男と次男の信頼関係もしっかりと見せていただき、やはり“赤井ファミリー”の魅力に包まれた劇場版となりました。
映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』声優・あらすじ・ネタバレ感想まとめ
🎊#緋色の弾丸 大ヒット上映中!🎊
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— 劇場版名探偵コナン【公式】 (@conan_movie) April 19, 2021
いかがだったでしょうか。
シリーズ全体を通してもキーパーソンといえるであろう“赤井ファミリー”の存在に重きを置いた『名探偵コナン 緋色の弾丸』。
まだまだ明かされていないことの多い最強で最凶の家族から、今後も目が離せないでしょう。
2022年公開の劇場版は大人気の「あの人」が登場するようで…今から次回作が楽しみですね!