公開当時、不気味だけどどこかユーモアたっぷりのキャラクターが話題になった韓国映画の『フィッシュマンの涙』。
- イ・グァンス長編映画初主演作品!4~5時間の特殊メイクで魚人間を演じた
- ちょっぴり笑えて考えさせられる、社会風刺的コメディ
- 上映時間92分!時間がなくてもサクッと見れる
マルコヤマモト
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目次
『フィッシュマンの涙』作品情報
作品名 | フィッシュマンの涙 |
公開日 | 2016年12月17日 |
上映時間 | 92分 |
監督 | クォン・オグァン |
脚本 | クォン・オグァン |
出演者 | イ・グァンス イ・チョニ パク・ボヨン |
音楽 | チョン・ヒョンス |
【ネタバレ】『フィッシュマンの涙』あらすじ
フィッシュマン現る!
地方大学出身のサンウォン(イ・チョニ)は社会の真実を追求する正義の報道記者になるという夢を持っています。
テレビ局の面接を受けたサンウォンは、報道部の部長から「とあるネタ」についての覆面取材を依頼されました。
作品の出来次第で採用を考えると言われたサンウォンは、渡されたカメラを持って取材に出ることに。
サンウォンは、今ネットで話題になっている女性・ジン(パク・ボヨン)のもとを訪ねました。
ジンはネットに「恋人が魚人間になった」という書き込みをし大炎上、ネット民たちと喧嘩を繰り広げていたのです。
ある夜、ジンが一夜限りの関係を持ったパク・グ(イ・グァンス)という男性が訪ねてきたところ、上半身と頭が魚だったというのです。
30万ウォンの謝礼を貰える製薬会社の新薬治験に参加したパク・グの身体にだけ突然変異が現れ、魚の姿になってしまいました。
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しかも、ジンはお金目当てにグを製薬会社に売り渡したのです。
サンウォンとジンは、パク・グの存在を確かめるために、出前業者のふりをして製薬会社に乗り込みます。
研究室に忍び込んだ2人は実験を受けるパク・グの姿を発見、サンウォンが撮影した映像はたちまち反響を呼び、製薬会社が不正な人体実験をしていたということが世間に明るみになりました。
このことが評価され、サンウォンは臨時社員として雇われることになります。
そして、フィッシュマンになってしまったパク・グの人生について取材を開始しました。
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フィッシュマンの栄光と転落
新薬の臨床試験を行ったピョン博士を始めとする製薬会社は世間から厳しいバッシングを受けていました。
マグロと鮭の細胞を結合し、体内でタンパク質を作るという実験をしており、完成すれば世界を飢餓から救えるという希望のある内容でしたが、パク・グが発見されたことでそのあり方を問いただされました。
グの父親は、息子の心配をするよりも、製薬会社から賠償金をせしめることを考えており、やる気満々のキム弁護士(キム・ヒウォン)を雇います。
利己的な人間が多く、サンウォンは次第に嫌気が差してきました。
しかし、フィッシュマンの世間の人気はうなぎ登り。
就職難に苦しむ若者たちからの大きな支持を得たフィッシュマンは、グッズも発売されるほどの人気者になったのです。
しかし、パク・グの身体は魚化が進む一方で、医師たちからは人間に戻す方法がないとさじを投げられてしまいました。
裁判はパク・グの有利に進んでいましたが、逆にパク・グが不利になるようなセクハラの証拠が提出されます。
「自分はやっていない…」と主張するパク・グでしたが、このことが原因で世間のフィッシュマンに対する評価は急降下しました。
嫌われているフィッシュマンを取材する必要はないと、サンウォンも取材中止を命ぜられます。
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悩んだ末のフィッシュマンの決断とは…
この騒ぎが原因で、フィッシュマンは手紙を残し蒸発。
しかし、サンウォンの自宅のバスタブで休んでいる姿が発見されました。
志を立たれたサンウォンと居場所がなくなったグは、互いに夢に敗れて落ち込みます。
「平凡に生きるのが夢だったのに無理だった」
パク・グの願いは、修学旅行で一度行った海に再び訪れるということでした。
その後、独自に取材を続けるサンウォンは、キム弁護士とピョン博士が密会しているところを目撃します。
キム弁護士が裏切ったことに腹を立てたサンウォンが自宅へ帰ると、パク・グが首を吊っていたのです…!
しかし、エラ呼吸だったため首を首を吊っても意味はなく、パク・グは一命をとりとめます。
退院したパク・グはジンのもとを訪れますが、ジンに突き放されてしまいます。
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パク・グは製薬会社のもとでピョン博士の実験に協力することを決意しますが、それは精神的にも肉体的にも辛いものばかりでした。
パク・グの忍耐により新薬は完成しますが、製薬会社は新薬に対し富裕層しか買えないくらい高価な値段を設定したのです。
このことによって世界を救いたいというピョン博士の願いは打ち砕かれてしまいまいした。
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サンウォンは真実を求めるために取材を続ける
過酷な実験の末、グの命は奪われてしまいます。
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サンウォンはバラエティ番組の製作部署に移動になり、父親はグの遺骨を海に撒いて全ては終わったかのように思えました。
ある日サンウォンを訪ねてきたジンが1枚の写真を手渡します。
それは、散骨のために海を訪れた際に撮られたもので、写真の右側にフィッシュマンの手が写り込んでいたのです。
そのことを知ったサンウォンは、ピョン博士に会いに行きすべての事情を聞き出しました。
ピョン博士は、本当はパク・グを人間に戻せる方法があったにもかかわらず、自分の事件を優先して黙っていたことを打ち明けたのです。
夢破れたピョン博士は、そのことをパク・グにも打ち明け謝罪しましたが、彼はフィッシュマンとして生きていく道を選びました。
ピョン博士がパク・グを海につれていくと、パク・グは「サンウォンだけに真実を伝えてほしい。彼は真の記者だから」と言い残して波の間に消えていったのです。
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それからしばらく経ったある日、ビデオテープを持ったジンが再びサンウォンの元を訪れます。
それはとあるリゾートの広告映像で、スキューバ・ダイビングを楽しむ男女の姿が写っていました。
しかしサンウォンは、彼らの背後を気持ちよさそうに泳ぐパク・グの姿を発見したのです!
サンウォンは担当していた料理番組の編集を辞めて再びパク・グの人生を追うために、カメラを持って飛び出していきました。
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『フィッシュマンの涙』感想:コミカルだけど意外と社会派
現代社会が抱える問題を浮き彫りに
2016年に公開された『フィッシュマンの涙』。
「キモくてカワイイ」と評判になったフィッシュマンのビジュアルが話題を呼んだ今作は、製作総指揮を『オアシス』『バーニング 劇場版』のイ・チャンドン監督が務めました。
実際に監督・脚本を務めたのは新進気鋭の若手監督、クォン・オグァン。
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その理由は、社会が抱える問題について「異端」の存在であるフィッシュマンの目を通して描かれているからです。
就職難に悩んだ挙げ句、新薬の治験に参加してフィッシュマンになってしまったフリーターのパク・グ。
学歴社会に悩まされる新米記者のサンウォンと、孤独な都会の女性ジン。
それぞれのキャラクターを通して、実際に社会が抱える身近な問題を知ることができます。
さらに、賠償金目当てで裁判を起こそうとするパク・グの父親や、スキャンダルを隠すためにメディア操作によりフィッシュマンを陥れようとする製薬会社など、私利私欲に走る愚かな人間の姿も描かれているのです。
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韓国を代表する若手実力派が集結!
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『トンイ』や『花郎』などのテレビドラマに出演していたイ・グァンスが、「魚を演じられるのはおそらくこれきりだろう…」と引き受けたフィッシュマン。
フィッシュマンはCGではなく、4時間~5時間の特殊メイクででき上がる超大作なのです。
内部にフェイスガードや呼吸装置が取り付けられた、重さ8キロ以上ある魚眼マスクを付けて撮影に挑みました。
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イ・グァンスの爆発する顔芸は、ぜひ『探偵なふたり:リターンズ』で楽しんで下さい。
でも、見た目に反するフィッシュマンの控えめな態度にはどこか好感が持てるもの。
力強いけれどどこか孤独な女性・ジンを演じたのは、ドラマ『力の強い女 ト・ボンスン』で主演を努めたパク・ボヨン。
学歴社会に悩む新米記者のサンウォンを演じたのは、『彼女を信じないでください』『オオカミの誘惑』のイ・チョニ。
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SNSでのみんなの感想・評判
『フィッシュマンの涙』一見ヘンテコな映画枠ですが、中身は意外にも新薬治験の副作用により自分の意思なく顔が魚になってしまった男への世間から向けられる目や暴力を真っ当にかなり生々しく描いた社会派な作品になっていて良いですよ pic.twitter.com/weO9mrEFpc
— 共食いゾンビ (@MOGUMOGU_shark) May 13, 2019
「フィッシュマンの涙」新薬治験の副作用で魚人間になってしまったある青年の悲喜劇。事件の背景に見え隠れする貧困や就職難等の社会問題、そして私利私欲に暴走する人間たちの姿を時折シニカルな視点も交えて風刺する。製作総指揮はイチャンドン。#韓国映画を観たことない人にお勧めしたい作品 pic.twitter.com/t55TDZHS0T
— 南宮龍八 Namiya Ryuhachi (@korewood65) March 13, 2020
韓国映画「フィッシュマンの涙」を観た
製薬会社の臨床試験を受けたら突然変異で魚人間になってしまった青年の話
ここで描かれるのは、悪者探しをして袋叩きにする世論と、それによって追い詰められる被害者
しかし、実際は悪者だからではなく、誰でもいいから叩きたいだけ
そんな現代社会の闇を見た pic.twitter.com/smQKg2ggDg— toe@とにかく映画が好きなんです (@pharmacy_toe) May 25, 2020
『フィッシュマンの涙』は、愛嬌があるフィッシュマンの姿も話題になりましたが、それ以上に社会問題にも切り込んだサスペンスとしても楽しめる作品でした。
主に描かれているのは、若者の就職難や貧困問題、マスメディアの暴走、薬品会社の隠蔽工作、学歴・男女格差など、私利私欲に走る人間の姿が、コミカルだけど生々しく描かれています。
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『フィッシュマンの涙』まとめ:平凡に生きることが一番難しい
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- 製作総指揮は『オアシス』『バーニング 劇場版』のイ・チャンドン監督
- 92分の間に韓国が抱える社会問題についても痛烈に切り込んでいる
- 平和に平凡に生きることが一番の幸せだが、一番難しい
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一躍時代の寵児となったフィッシュマンでしたが、注目されるのも早ければ転落も早いもの。
飽きたらすぐ次の話題へ…マスコミや民衆の使い捨ては日常茶飯事的に起きています。
その被害者ともなってしまったフィッシュマンでしたが、忘れ去られた彼が自然体で生きる姿を見た時、少し安心しました。
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