『クローズド・ノート』あらすじ・ネタバレ感想!一冊の日記が繋いだ真実の愛。出会ってしまった恋のゆくえは…?

『クローズド・ノート』あらすじ・ネタバレ感想!一冊の日記が繋いだ真実の愛。出会ってしまった恋のゆくえは…?

出典:U-NEXT

引っ越し先に前の住人が忘れて行った一冊の日記。

香恵の夢である小学校の先生をしているその人の仕事での奮闘や恋模様に自分を重ねていきますが、ある時思いがけない事実を知ることとなります。

ポイント
  • 『ナラタージュ』『リバーズ・エッジ』の行定勲監督作品
  • 公開当初の舞台挨拶の件は、なかったことにして見て欲しい
  • 伏線の張られたミステリー仕立ての作品が好きな人にオススメです

それでは『クローズド・ノート』についてネタバレありでレビューします。

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『クローズド・ノート』作品情報

『クローズ・ドノート』

(C) 2007「クローズド・ノート」製作委員会

作品名 クローズド・ノート
公開日 2007年9月29日
上映時間 138分
監督 行定勲
脚本 吉田智子
伊藤ちひろ
行定勲
出演者 沢尻エリカ
伊勢谷友介
竹内結子
永作博美
板谷由夏
田中哲司
紗栄子
中村嘉葎雄
黄川田将也
篠井英介
粟田麗
山口愛
石橋蓮司
音楽 めいなco.

【ネタバレ】『クローズド・ノート』あらすじ


新しい季節、新しい住処で見付けたノート

桜舞う季節、母親の再婚を機に堀井香恵(沢尻エリカ)は一人暮らしを始めました。

香恵は小学校の先生を目指す女子大生です。

『クローズド・ノート』

(C) 2007「クローズド・ノート」製作委員会

引っ越しを手伝ってくれた友人・池内ハナ(紗栄子)が、部屋にある鏡が収納になっていることに気が付きました。

空けてみると一冊のノートを見つけました。

香恵は大学に通う傍ら万年筆の専門店でバイトをしていますが、なかなかお客さんの心をつかむことができずに先輩・可奈子(永作博美)に相談してみます。

先輩は「ストーリーが大切、恋愛みたいに。」とアドバイスしてくれました。

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成り行きもなくクライマックスだけあっても心は動かされないでしょ?と。

その夜、香恵は鏡の収納から前の住人の忘れものと思しきノートを取り出して開いてみます。

そこには万年筆の筆跡で“真野伊吹”という名前が書かれており、その人物が小学校の先生であったことを示すような写真が挟まっていました。

ノートは真野伊吹(竹内結子)の日記でした。

4月5日の始業式から始まる日記を読み進めていくと、伊吹が新任の先生であることや、自分の受け持つ4年2組の生徒のことを“太陽の子”と呼び、家族のように仲の良いクラスにしようと奮闘する様子が窺い知れました。

リュウとの出会い

ある時、香恵のバイト先に長髪でゆるくパーマをかけ灰色のVネックのTシャツに白いシャツを羽織った男性(伊勢谷友介)がやってきました。

この間の可奈子からのアドバイスを活かすチャンスかもしれないと思った香恵は、積極的に話しかけます。

すると男は「ぬらぬら書ける万年筆を探している」と言いました。

求めているものに近そうな万年筆を渡すと男は試し書きに水玉模様の猫を描きました。

万年筆は文字を書くものだから、字を試しに書いた方が書き味がわかると香恵が伝えると男は“石飛リュウ”と書きました。

話の途中でハナの彼氏である鹿島(田中哲司)が店に来て香恵と話し込んでしまい、リュウは帰って行ってしまいました。

後日、可奈子に頼まれたものを社長のところに届けに行くと万年筆の調整をしていた社長が香恵を引き留めました。

調整の済んだばかりの万年筆を渡し、「何か書いてみろ」と言います。

その後、引き出しから別のものを取り出して同じく何かを書くように言いましたが、話の途中で可奈子に呼ばれてしまいます。

香恵が店頭に行くと、リュウがいました。

うっかり社長のところから持ってきてしまった万年筆を胸ポケットに入れると、えらく気に入って「これが欲しい」と言い出します。

しかしそれはお店のオリジナル商品の試作品でした。

試作品を売るわけにはいかないと言う可奈子と、どうにかならないかと頼み込む香恵の会話の間に社長が出てきて「売ってやれ。欲しい奴が持っていればいいんだよ」と言いました。

香恵はリュウのことが気になっていました。

最初にお店に来た時に試し書きした変な猫の絵も大事にとってありました。

その夜、伊吹のノートを読んでいると大学時代の友人らしい“隆”という名の男が出てきました。

まるで映画のワンシーンのような再会を果たした伊吹と隆の恋模様に、香恵は自分が抱き始めたリュウへの恋心を重ねます。

しかし、試作品の万年筆を売った日からリュウはお店に現れなくなっていました。

可奈子は新聞の片隅から、リュウの描いた挿絵を見つけます。

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彼がイラストレーターだということを知り、ちょっと嬉しくなる香恵でした。

そして噂をしてたら彼が来るかもしれないよ?なんて話していたところにやってきたのは鹿島でした。

鹿島は、香恵のことが好きだと言いました。

自分の恋人の友達を好きになるなんてありえないと、香恵がそれを受け入れることはありませんでした。

絵のモデル

窓から外を見ると、下にリュウがいることに気が付きました。

引っ越してきた日にも、同じようにして見上げていたから「もしかしてこの部屋に住みたかったのかな?」と思った香恵は、不動産屋さんが言っていた「もう1人ここを気に入っている人がいる」というのがリュウのことだったのではないかと想像しました。

部屋の中を見たいと言うリュウを招き入れてジャスミンティーを振る舞うと、リュウは隅に置いていたマンドリンに興味を示しました。

ロシアの民謡「ともしび」を弾いてあげると突然立ち上がり「そのまま動かないで!」と言いながら外に飛び出して行きます。

何事かと窓から外を見てリュウの様子を窺うと、彼は外の石階段に座ってスケッチブックを開きました。

香恵をモデルに、絵を描き始めたのです。

気が済んだらしく帰ろうとするリュウに、香恵は絵が完成したら見せてもらう約束をしました。

それと、近々あるマンドリンの演奏会に見に来てほしいとも言いました。

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まだ2年目だから花束なんて持ってこなくていいから、なんて一言も添えて。

しかし数日後の演奏会で、香恵に花束を渡してくれたのは鹿島でした。

リュウはその場を訪れていたのですが、気恥ずかしくてジャケットの下に隠していた花束を渡すことはおろか香恵に声をかけることもできませんでした。

万年筆屋さんの社長は演奏会の会場のロビーで、そんなリュウを見かけていました。

知ってしまった事実

ある時香恵は、個展に向けて絵を描いているリュウに差し入れを持って行きます。

伊吹のノートに書いてあったレシピを参考にして、うずらのゆで卵が入ったミートボールを作ったのです。

部屋に上げてもらって話をしていると、仕事で面倒を見ているという女性・山崎星美(板谷由夏)がやってきます。

山ほどのお惣菜とワインを買ってきたものの、リュウと親しげな山崎との空間に居辛くなってしまった香恵は、誰も箸をつけていない差し入れを持って1人帰りました。

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その日の伊吹ノートの内容も、まるで今の香恵のようで。

伊吹と隆は些細なことですれ違い少し気まずくなっていました。

しかし近くの橋で伊吹が偶然隆を見つけたことで元のように仲睦まじい2人になります。

香恵はその橋を訪れ、仲直りをした2人を想像しました。

その時、橋にやってきたのはリュウでした。

伊吹と隆のように、香恵もまたリュウと少し距離を戻せました。

後日、想いが溢れて止まらなくなった香恵は再びリュウの部屋を訪ねます。

しかしそこにいたのは山崎でした。

そしてリュウには忘れられない人がいるということを知らされました。

「その絵も彼女よ」と指された落書きのような後ろ姿の絵は、小学生のテストの答案の裏に書かれたものでした。

紙を裏返して名前を見れば、伊吹のノートにあった“山田一平”君の答案。

香恵は山崎に「石飛さんって名前、リュウですよね」と聞きました。

山崎は「リュウはペンネームで、本名は隆」だと言いました。

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伊吹がノートに綴っていた隆は、香恵の側にいたリュウと同一人物だったのです。

最後の1ページ

その夜、香恵が1人部屋で茫然としていると“事情を聞いた”とリュウがやってきます。

そしてドア越しに「勝手なお願いだけど個展には来てほしい、待ってるから。」と伝えて去って行きました。

香恵はノートを伊吹に返しに行くことにします。

伊吹に会ってみたいという気持ちもあり、バスに乗って若草小学校に向かいます。

途中で会った小学生の女の子に、伊吹先生がまだ学校にいるかと聞くと「先生は亡くなりました」と告げられました。

側の神社でノートを開いてもどうしてなのかわからず、通りがかった小学生に“伊吹先生の後輩”だと言い、何があったのかを尋ねました。

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終業式の日にスクーターで学校帰りにトラックとぶつかって事故死したというのが真相でした。

香恵はノートによく名前が出てきた君代ちゃん(山口愛)を探します。

伊吹先生の「頑張ろうね」という言葉が負担になって、一時期不登校になってしまっていた女の子です。

伊吹は君代ちゃんの“心の力”を信じて待つことしかできなかったことや、合唱コンクールにクラスのみんなで一緒に出ようと誘ったこと、コンクール前に君代ちゃんが学校に戻ってきたことを綴っていました。

香恵は人の心を覗くなんていけないことだと前置きして、それでもノートを読んでよかったと話しました。

君代ちゃんは終業式の日に伊吹が窓から飛ばしたという紙飛行機を、香恵に渡しました。

後日、リュウの個展を訪れた香恵は「ともしび」と題をつけられた一枚の絵を見つけました。

あの部屋の窓から外を見る伊吹が描かれていました。

その絵に対して香恵は「この絵の人、結構私に似ていると思いますよ」と言います。

そして個展を彩るマンドリン演奏の奏者として呼ばれた香恵は演奏スペースに呼ばれます。

しかし手ぶらで来た香恵は、君代ちゃんから受け取った紙飛行機の伊吹のノートの切れ端ページいっぱいに書かれた言葉を読み上げ、隆に贈りました。

後日、香恵は再び若草小学校へと向かい、君代ちゃんに「届けてきたよ」と伝えます。

すると窓の外を見ていた生徒たちはいっせいに紙飛行機を飛ばしました。

思い思いに飛ばされた紙飛行機には“伊吹先生ありがとう”と書かれていました。

そこに隆が現れ、絵を描き続けると香恵に伝えます。

香恵も伊吹に負けないような教師になると言いました。

『クローズド・ノート』感想

私にとっての『クローズド・ノート』という作品

原作の雫井脩介っていうとミステリー作家のイメージが強くて、「犯人に告ぐ」だとか「検察側の罪人」だとかそういうヒリつく内容の話を書く人っていう印象が強かったんですけど。

vito

何年も前に見て、たまに見たくなる『クローズド・ノート』の原作も同じ人だと気付きませんでした。

この記事を書くにあたって基本情報を調べていて気付くっていうまさかの展開。

vito

基本的に私がこうして記事にしている作品は、過去に見たものを誰かにおすすめする気持ちで書いているんですけど、書き起こすにあたって見直したりもしていて。その時点で今回みたいに基本情報を調べることもあって。うまく言えないけど、特にこだわりもなく昔見た映画が今になって“現在”の自分に繋がっていることが多くてびっくりします。

知らないうちに特定の監督の作品をよく見ていたりだとか、好きなドラマの脚本や原作に関わった人の手掛けた映画が好きだということに気が付いたりだとか。

それで言うとまさに行定勲監督作品を知らず知らずのうちに見ていることが多かったりします。

vito

『クローズド・ノート』自体の感想からは少し離れてしまうかもしれないけど、自分に関わるさまざまな“偶然”が実は“必然”だった、みたいなことを思い出させてくれたり気付かせてくれる作品だなと私は思います。

私にとっては映画を観ることは出会いでもあって、その一つ一つが今に繋がっているんだなぁと感じます。

そしてこの作品にも出会えて良かったと思っています。

香恵と、伊吹について

小学校の先生を目指しながら万年筆屋さんでバイトをして、趣味でマンドリンを習っている香恵。

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どう考えても私の人生と掠りもしないような生き方をしていて羨ましいなと思ってしまいます。

物語の発端となる香恵の住んでいる家も可愛くて。

立地というか外の石階段の感じとかも含めて雰囲気が良い。

見るたびにあんなところに住みたいなぁと思うような家です。

物語の中の香恵は、きっと普通のどこにでもいる大学生くらいの位置づけの女の子なんだと思います。

勉強している場面こそないものの目指す夢があって、バイト先には人生の先輩として頼りたくなっちゃうような人がいて、突然の出会いで恋をして。

vito

そういう方向から見れば、この私の人生に少し似ているところもあったりします。

突拍子もないキャラではないから感情移入して見やすいという意味では、主人公に入り込んで作品を楽しみたい人にオススメです。

伊吹はノートに書かれた内容からしか人物像が窺えないんですけど、なんていうか可愛らしくて努力家で感受性の強い女性だなという印象です。

vito

私の好きなエピソードは、生徒に毎日“伊吹賞”をあげるところです。

逆上がりを必死に練習する頑張りやさんの女の子には努力賞、体育で転んでも泣かずに立ち上がりまた走り出した男の子には走れメロス賞。

そして終業式の日、四年二組のお別れ会の日の伊吹賞はクラス全員にあげたりして。

伊吹はそういう、あったかくて優しい女性です。

いいな、素敵だな、って素直に憧れます。

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私にとっては、『クローズド・ノート』は見終わったあとに“心の力”が欲しくなった時、ふんわり思い出すような存在です。

『クローズド・ノート』まとめ

以上、『クローズド・ノート』についてネタバレありでレビューしました。

要点まとめ
  • ちょっと現実味がないけど自分の身にもありえなくはないかもしれないラブストーリーが好きな人に見て欲しい
  • 何だったら現実逃避して主人公に感情移入して見ると結構心にくるものがあると思います
  • 偶然は認識した瞬間に必然になる、そんなことを考えさせられる作品です

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