「視聴回数500万を超えたら死ぬ」という煽情的な動画に現れたのは兄ニックの姿!『クリックベイト』は、そんな戦慄走るシーンから始まります。
ニックを拘束し、糾弾する犯人に家族は戸惑い、動揺をします。犯人のいうようにニックは、果たして加害者なのか?
物語は、ニックの妹ピアの視点に始まり、事件を捜査する刑事、ニックの妻、愛人と、関係者から関係者へと視点を移して語られていきます。
誰もが疑心暗鬼になる『クリックベイト』は、ネットの情報に翻弄される人々の姿を描いており、これまで近しい相手の本当の姿を知っているという確信を、虚像かもしれないと疑念を抱かせてしまう現代社会ならではの問題を浮き彫りにしております。
・ネット社会ならでは情報
・視点が変わっていく群像劇
・何が真実なのかわからない
・まさかの展開
それでは『クリックベイト』をネタバレなしでレビューします。
目次
『クリックベイト』あらすじ・感想
煽情的なネット動画
看護士のピア(ゾーイ・カザン)が、職場の病院で目にした動画に映し出されたのは兄のニック(エイドリアン・グレニアー)の姿。拘束された様子のニックが、女性を虐待して殺したとして映る画面には、「視聴回数500万を超えたら死ぬ」と煽情的なタイトルがかかれており、それを見たピアは動揺します。
朝、元気に職場へと出かけたはずの夫を糾弾する動画に、ニックの妻ソフィー(ベッティー・ガブリエル)も驚きが隠せず、なにがなんだかわかりません。
ピアとソフィーが警察に捜査を依頼するそばで、動画は拡散を続け、視聴回数は瞬く間に増えていきます。
そしてソフィーは、その動画のニックを非難する内容に不安を募らせるのでした。
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バッシングを受ける被害者
オークランド警察の刑事アミリ (フェニックス・ライ)が、必死にニックの行方を探す一方、巷ではニックの行方を追うアプリまで出まわり、ゲーム感覚で「死体探し」に興じる不届きな者たちが現れる事態にまで発展、動画の再生回数はついに500万回に達するのでした。
それと同時に動画の内容を信じた視聴者によるニックへのバッシングが始まり、被害者であるはずの家族は、好奇にさらされマスコミに追われようになります。
ピアとソフィー、ニックの息子たちのイーサン(カマロン・エンゲルス)、カイ(ジェイリン・フレッチャー)が不安な毎日を送る中で、発見されたのはニックの変わり果てた姿。家族は悲しみに暮れるのでした。
暴かれていく事実
ニックの死を受け捜査が続く中、暴かれていく家族の秘密。堅物のソフィーが、不貞を働きニックとソフィーの夫婦間にトラブルがあったとわかると、周囲から叩かれる異常事態に発展していきます。
誠実な人物と評判だったはずのニックも、デート・サイトに登録をしては女性をあさるネット上の不穏な行動も浮上、ついには、ニックと付き合っていたというLAに住むエマ(ジェシカ・アン・コリンズ)が現れ、捜査に協力したいとオークランドまでのりこんでくる始末。
ピアとソフィーは、もう誰を信じていいのかわからないと途方に暮れるのでした。
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兄や夫を誰よりも理解している家族のはずなのに、不確かな情報に惑わされニックの人間性に確信が持てないと、登場人物たちは苛立ちに共感できます。
そして、それを裏付けるようにニックの「愛人」エマの登場は、私たち視聴者にとっても予想外の展開で驚きます!
謎の襲撃者
ニックとデート・サイトで知り合い、愛し合うようになったといエマ。マスコミや周囲からのバッシングに気が滅入るソフィーをエマの存在は、さらに追いつめます。
ニックをソウルメイトだと語るエマは、彼のために捜査に協力をしたいと迷いがありません。
子供の頃のトラウマで、兄との絆がひときわ強いと自負してきたピアも、自分が知るニックとデート・サイトで知り合った女性と付き合うニックの行動に違和感がぬぐえず戸惑います。
ところが、そんなエマに、正体不明の脅迫電話がかかり、事態は一転。車で逃げたのに、襲われるエマは接触事故を起こしてしまうのでした。
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ニックは本当に加害者なのか
エマの登場で、ニックがネット上でエマ以外の女性にもデート・サイトを通して接触していたことが判明。
それを受けてエマは、記者のベン(エイブラハム・リム)に、ニックが卑劣で狡猾な犯罪者だと手のひらを返したようにインタビューに答えるのです。
ニックの尊厳も名誉も地の底に落ちたと感じるピアとソフィーが、汚名返上のために主演したテレビ取材。
そこでデート・サイトで知り合ったサラ(テイラー・ファーガソン)が、ニックの言葉を苦に命を絶った事実をつきつけられ家族は失意のどん底に突き落とされるのでした。
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驚きのエンディング
ソフィーのテレビ取材を機に、ニックを連れ去った容疑者として浮上したサラの兄のサイモン(ダニエル・ヘンシュオール)。
ところが、刑事のアミリに逮捕されたサイモンは「ニックをさらったのは、自分。でも、それは人違いだった。」とだけ告白して、あとは苦悶の表情を見せるだけ。
サイモンの言う、人違いの意味とは?ニックを殺した真犯人とは?エマを襲った正体不明の存在とは?本当の被害者は誰だったのか?
すべての謎は最終話の「答え」に集約していきます。
『クリックベイト』あらすじ・感想まとめ
以上、ここまで『クリックベイト』をレビューしてきました。
謎が謎をよぶ群像劇
一筋縄ではいストーリーをもつ『クリックベイト』は、ネット社会ならでは、戦慄の展開を次々と提示しては、前に進むミステリー。
ニックが誘拐されて、家族の内情が白日の下にさらされていくようにみえても、暴露されていくのは、それが必ずしも事実でないというのがミソです。
デジタル媒体に残るニックの言動や足取りをたどるのに、見えてくるのは家族の知る実像とはかけ離れた姿。
折り重なるように登場人物が増えて、それぞれの思惑が交差して、誰が真実を語っているのかわかりません。
・多面的な劇場型犯罪
・折り重なるそれぞれの思惑
・見失ってしまった実像
真実が織り交ざるからこそできる虚像
一緒に生活していてよく知っているはずの存在であっても、捜査で浮上してくる不可解な事実に翻弄されるニックの家族。
『クリックベイト』で怖いのは、姿が見えない者同士が偽りの言葉を交わしても、片方がそれを真実だととらえるとそれはもう真実。
嘘っぱちの情報であっても、誰かにとってのリアルのそこにあれば、嘘はどんな形にも変容していくということです。
ニックの愛人として登場するエマにとって、声しか知らないニックを真実の愛と信じて疑っていませんでした。
ネット上のニックにエマが恋したことで、虚像が実像となってしまったのです。それによって、生身ニックを知るはずの家族も混乱し、事実の見極めができずに苦しむのです。
クリックひとつでなんでも出来てしまう気軽さ
「視聴回数500万を超えたら死ぬ」という煽情的なタイトルにふりまわされ、劇場型犯罪となっていくニックの誘拐。
事件をきっかけにニックを探そうと、良かれと思ったことが、ゲーム間感覚の犯人探しなってしまうネット社会の気軽さやクリックひとつで出会い、遠く離れた相手と心が通じ合えたと思い込んでしまうオンラインの危うさ、相手の状況を推し量ることのない刃のような言葉の放つマグニチュードの大きさを描いております。
実体のないネットの情報に踊らされることなかれ
謎が謎を呼び、ラストではあっと驚く展開が待っている『クリックベイト』。ピアたち登場人物たちは、虚構はしょせん、虚構と気づきます。
それは、毎日の生活の中で、顔を見て言葉をかわし、同じ時間と空間で過ごし、きちんと実体験として人と向き合い絆を結ぶことはなにより大事で、実体のないネットの情報に惑わされることなく、地に足ついた感覚を持つべきではないかということ。
『クリックベイト』はそうと問いかけている作品ではないでしょうか?
蔵商店
是非、ご覧ください。
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