北条司のコミック「シティーハンター」は、80年代に日本で大ヒットした、少年ジャンプの黄金期とも言える時代の看板作品の一つです。
アニメ化もされ大人も子供も夢中になった「シティーハンター」が、何とフランスで実写化され、日本に逆輸入されてきたのが『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』です。
笑いたっぷりな上に、お色気あり、シリアスあり、涙あり、アクションももちろんあり!
冴羽獠が好きだった、「シティーハンター」を愛していたファンが納得できる、実写化の最適解がここにあります。
- 監督・脚本・主演をこなすフィリップ・ラショーの「シティーハンター」愛がすごすぎる!
- 原作へのリスペクトが全編から感じられるので、原作ファンこそ観に行くべき作品です。
- いつもは字幕派の方にも吹替版を推したくなる、高い原作の再現度。
それでは映画『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』をネタバレありでレビューしていきます。
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目次
『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』作品情報
作品名 | シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション |
公開日 | 2019年11月29日 |
上映時間 | 91分 |
監督 | フィリップ・ラショー |
脚本 | ジュリアン・アルッティ ピエール・デュダン フィリップ・ラショー |
原作 | 北条司 |
出演者 | フィリップ・ラショー エロディ・フォンタン タレック・ブダリ ジュリアン・アルッティ ディディエ・ブルドン パメラ・アンダーソン ジェラール・ジュニョ オドレイ・ラミー ラファエル・ペルソナ |
音楽 | マキシム・デプレ ミカエル・トルディマン |
【ネタバレ】『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』あらすじ・感想
あらすじ
実は超凄腕のスナイパー「シティーハンター」こと冴羽獠は、元・相棒の妹で現・相棒の槇村香とともに、探偵業やボディーガードなど請け負っています。
そんなある日、掲示板に書かれた「XYZ」。
それは新しい仕事の依頼のメッセージ。
依頼人であるドミニク・ルテリエに会った獠と香は、父親が開発した「キューピッドの香水」という薬品を守って欲しいと頼まれます。
キューピッドの香水とは、香りを嗅がせた相手を虜に出来ると言う、いわゆる惚れ薬でした。
効果を信じない獠でしたが、元・傭兵で旧知の仲でもある海坊主に香水を奪われてしまい…。
キューピッドの香水を狙う悪の組織。
槇村を殺した犯人とは。
まさかのアクシデントの連続。
香水を取り戻すタイムリミットは、たったの48時間。
周囲の人々を巻き込んだ「キューピッドの香水奪還作戦」は、果たして無事完遂できるのでしょうか。
実写映画化成功の秘訣は、やっぱり原作への愛情とリスペクト!
大好きなコミックや小説、アニメが実写化され、原作とはどうにも違う作品が出来上がり、新鮮な驚きよりも大きな失望、もしくは怒りを覚えたことはありませんか?
- 愛するキャラクターの性格や人種、年齢、あまつさえ性別が変えられている。
- ファンが愛する作品の核が、製作陣に理解されていないと感じてしまう。
- そもそも、制作陣に原作への愛がない。例として、原作はあえて読んでいないと監督や脚本家に言われてしまう。
くりす
それでも、恋愛ものやヒューマンドラマ、推理もの、医療ドラマなどでは、ヒット作やファンに受け入れられる作品もあります。
難しいのはファンタジー、またはコアなファンが付いている作品。
「シティーハンター」は、今では規定に引っかかりそうなお色気、下ネタがある上に、初期の初期では殺し屋でもあった主人公の物語。
相棒が早い時点で香という女性になってからは、コメディ色がぐっと増え、その分美女と見ればすぐ鼻の下を伸ばすわ、とある部分が反応するわという、厳格な親なら子供に見せなかったかもという代物。
それでも絶妙な笑いと軽快なアクション、ここぞという時に格好良く決める獠、相棒である獠と香のお互い想い合っているはずなのになかなかくっつかないラブロマンスの行方など、みどころは盛りだくさん。
多くのファンを獲得し、何年経っても愛され続けています。
そんな「シティーハンター」の実写化作品がこの『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』なのです。
今作は、日本では特に30代以上のファンが復活に大喜びした『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』と、ほぼ同時期にフランスで公開されました。
当初は実写化反対!とフランスのファンにも批判されていたものの、いざ蓋を開ければ観客動員168万人を超えるまさかの大ヒット!
ファンが観たのは、原作の大ファンであるフィリップ・ラショーが監督や脚本と主演もつとめ原作へのリスペクトや多大な愛が詰まっている、まさに「シティーハンターの世界」だったのです。
企画書・プロットを直筆の手紙を一緒に、原作者である北条司先生の事務所に送付したラショー。
その後、プロットを気に入ったという北条司先生に会いに、18ヶ月かけて執筆した脚本を持って来日。
くりす
原作に忠実なこと(シリアスよりコメディ寄り)で、このストーリーを原作に入れたかった言われたほど、気に入られた脚本。
それだけでも興味をそそられる内容です。
しかしラショーのこだわりは、それだけではなかったのです。
原作に完全に寄せてきたキャラクターの外見。
ラストは止めて引いての映像にモノローグ、そしてかかるゲワイこと「Get Wild」。
くりす
どれだけ原作を愛して、世界観を大切にしているか。
本人が大ファンだからこそ、描けた世界がここにあります!
ほとばしるフィリップ・ラショーのシティーハンター愛!!
スクリーンから伝わってくる、見習いたいまでの原作リスペクト。
「シティーハンター」ファンなら必見です!!
くりす
「シティーハンター」の世界を忠実に描く、フィリップ・ラシィーのこだわり
実写化の高い壁でもあるのが、人気キャラクターの見た目、ビジュアルの良し悪しです。
フィリップ・ラショーには、もちろん抜かりはありません。
あまりにそっくりすぎて、笑えるくらいの海坊主。
よくここまで似せてきたなとなる香の兄・槇村秀幸。
ファンとしては驚きのビジュアルです。
しかも吹き替えをあてているのがアニメと同じ声優さんなので、違和感なさすぎて逆に怖いレベルです。
女刑事・野上冴子もすごーく似ているわけでなくても、スタイル抜群、セクシーさもばっちり、当然合格点。
さて、ではもっとも重要な獠と香はというと。
くりす
正直最初にビジュアルを観た時は、あまり似ていないなあ、と思ってしまったラショー版の冴羽獠。
しかしいざ本編を観ていると、表情や行動、仕草が「冴羽獠」過ぎてもう獠にしか観えなくなってくる不思議!!
さすが金髪を黒髪に染め、多分カラコンにして、8キロ筋肉をつけただけはあります!
ここでも溢れるラショーの愛。
実写化した監督がラショーで良かった!と本気で思います。
ラショーの獠は格好良すぎてたまらんのです!
そんな獠の相棒・香も、ビジュアルは寄せているけどそこまで似てないかな、と初見では思ってしまいました。
しかし、獠と香がパートナーであるように、演じるラショーとエロディ・フォンタンが実生活でもパートナーであるためか、伝わってくる信頼感やお互いへの愛情があまりにハマり過ぎていて、映画を観ている内に香にしか見えなくなってくるほど。
くりす
日本での公開と時同じくして、お二人のお子様も生まれたようで、とってもおめでたい!
ちなみに、香水を嗅いで香に惚れてしまうパンチョ、大好きなセレブに会うため香水を使ってしまうスキッピーを演じる俳優2人は、ラショー監督の幼馴染みで今までも映画で共演する仲。
彼らもシティーハンターのファンだとか。
スキッピー役のジュリアンは脚本にも携わっています。
そしてラショー本人の他、もう一人の脚本家として名を連ねるのがラショーの弟さん。
兄弟と友人一緒に原作とアニメをすべて見返したという話には、原作への愛、リスペクト、そして同じファンをちゃんと考えてくれているのをひしひしと感じてしまいます。
くりす
「シティーハンター」の魅力が、たっぷり詰まっている93分!
「シティーハンター」の良さは、いつもは大いに笑わせてくれるのに、ここぞという時は格好良く決めてくれる獠のギャップにもあると思います。
これがコメディばかり、シリアスばかりだと、ここまで熱狂的なファンを生み出さなかったでしょう。
獠と香のコンビも絶妙で、少年漫画だというのに女性ファンがとにかく多かったのも印象的です。
『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』は、原作を読んでいると「なるほど」と思うエピソードに次々繰り出されるギャグと散りばめられた小ネタ、昔からのファンほど唸る要素が満載です。
どうしようもない女好きで美人にはすぐデロデロになると思いきや、狙ったところは外さない銃の腕をもち、素手でも強く、ここぞという時はエロ封印という獠のふり幅の大きさももちろん完璧。
冴羽獠の人気の高さは、原作連載時にはなかった言葉で言うこところのいわゆる「ギャップ萌え」ではないかと思っています。
くりす
実写化に当たってそんな獠と香の関係がどうなるかと、実は一抹の不安はありました。
しかし複雑な2人の関係を『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』では100点満点で描いてくれています。
それでもあえて一つだけ、何か言うとしたら。
ラストシーンで、獠に対しては香水の効果がなかったと香が言ったところです。
香水を開発した博士の子どもが本当に惚れている相手には効果がないと香に答えるシーンがあるのですが、そこだけがものすごく小さな本当に些細な残念ポイントです。
重箱の隅を爪楊枝でつつくくらいの。
獠がハンマーを持った香に追いかけられている姿を見ながらモノローグで台詞が流れたら、最高すぎて映画館で泣いたかもしれません。
くりす
あまりに完璧に作られたので、あえて文句を探してみたらそこくらいだった、という話です。
ところで『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』の日本の劇場公開はほとんどが吹替版での公開です。
アニメで獠と香の声優を務めていた神谷明&伊倉一恵コンビではなく山寺宏一&沢城みゆきコンビが演じていますが、ファンの皆様、安心して下さい。
こちら、ほとんど違和感ありません。
周囲はフランス人ばかりなのに原作からのキャラ名は日本名ですが、こちらも違和感はあまりないです!
ラショー監督だけでなく、日本版に携わっているスタッフの「シティーハンター」愛をつくづく感じた次第です。
ちなみに映画には「あの」パメラ・アンダーソンやジェロム・レ・バンナなども出演しています。
パメラはここまでやっちゃうというくらい、相変わらずお色気がすごいキャラクターでご出演。
バンナは敵の用心棒役の1人として出演。
K-1が好きだった人にはちょっとしたサプライズです。
海坊主役のボディービルダー、カメル・グエンフーを鍛え上げたのもバンナだそうですよ。
くりす
『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』まとめ
⠀⠀ ❗Σ⊙ᦁ
2020年も…
❤❤❤もっこり
_人人人人人人人人人_
> #シティーハンター <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄今年も『#実写シティーハンター』を
よろしくお願いいたしますhttps://t.co/bFKoPocrIw pic.twitter.com/Re5FWxfITn— シティーハンターTHE MOVIE 史上最香のミッション (@cityhunter_2019) December 31, 2019
以上、映画『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』についてネタバレありで紹介させていただきました。
- ぜひぜひ第2弾を作って欲しいと思うほどのクオリティ。ばっちり「シティーハンター」の世界を堪能出来ます。
- フィリップ・ラショーの「シティーハンター愛」の結晶と言える作品です。
- 最後の「Get Wild」で、「シティーハンター」世代にはやっぱりグッときます。かかり方も完璧!アニメのBGMも使われているのは涙もの。
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