UMAとして知られる「チュパカブラ」を画像検索すると、おどろおどろしいものばかり出るのですが…。
Netflix映画『アレックスとチュパ』に登場するチュパカブラは、2足歩行のもふもふで可愛いビジュアルになっています!
というわけで今回は「未確認生物(UMA)として恐れられているチュパカブラをもふもふにしたらめっちゃ可愛かった件」こと『アレックスとチュパ』(23)を鑑賞したのでレビューしていきます!
・ジュブナイル映画としてもおすすめ
・UMAが主人公だけど、家族で楽しめる作品です!
監督を担当したホナス・キュアロンといえば、映画『ゼロ・グラビティ』(13)や『ROMA/ローマ』(18)のアルフォンソ・キュアロの息子。過去作ではアメリカに不法入国しようとするメキシコ移民たちが謎の襲撃者に襲われるサバイバル映画『ノー・エスケープ 自由への国境』(15)があります。
過去作がかなりハードな作風ですが。『アレックスとチュパ』はハートフルでカラッとしたジュブナイル映画のような感じです。
目次
そもそもチュパカブラとは?
名前は聞くけど、イマイチその正体を知らないので簡単に調べてみました。
・スペイン語でチュパ=「吸う」、カブラ=「ヤギ」を意味し、「ヤギの血を吸う者」と呼ばれる。
・人間の血も吸うらしい。
・主に南米で目撃されている。
・身長は約1メートル〜1.8メートル程度。
・直立でき、驚異のジャンプ力を持つ
・四足歩行をするイヌに近い見た目のチュパカブラが目撃されるようになる(1990年代以降)
・全身が毛に覆われていて、赤い大きな目、牙、背中にトゲが生えている(1995年頃)
ちなみに『アレックスとチュパ』は1996年の設定のためか、犬に近いほうのチュパカブラが登場します。ただ背中にあるのは刺でなく大きな翼となっていました。
『アレックスとチュパ』あらすじ【ネタバレあり】
幻の生き物チュパカブラは実在した!?
1996年、スペインのサン・ハビエルで幻の生き物・チュパカブラの親子が発見される。チュパカブラの血はあらゆる病気を治すとされ、研究者は血眼になってチュパカブラを捕獲しようとするも失敗。母親チュパカブラは子どもを守るためにおとりになるが、親子は離れ離れになってしまう。
同じころ、アメリカのカンザスシティ―に暮らすメキシコ人の少年・アレックスは、学校で馴染めずよそ者としていじめられる日々。父をがんで亡くしており、父の話題になればゲームボーイをしてふさぎ込むようになっていた。そんな息子を見かねた母は、父の故郷であるサン・ハビエルに行き、父方の祖父と従妹に会いに行くよう促す。
元プロレスラーで、今は認知症が少しずつ進行しているが、明るくワイルドな祖父チャヴァ。しっかり者の長女ルナ。その弟で腕白小僧のメモたちと暮らすことになったアレックスは、少しずつ、自分のルーツであるスペインになじんでいく。
そんなある日、アレックスが父のくれたオルゴールを鳴らしていると、そこに母親とはぐれたチュパカブラが現れる。巷でもその存在がうわさされ、報奨金までかけられているチュパカブラを守るために、アレックスたちは「チュパ」と名付けた幼いチュパカブラを家族のもとに返そうとするが…。
アレックスとチュパに迫る危機!
※以下ネタバレ注意!
アレックスたちはチュパとの絆を深めていく中で、チュパカブラの調査員であるリチャード・クインはチュパを捕まえるためにチャヴァの家までやってくる。最初は追い返すも、アレックスたちのスキをついて家に忍び込み、強引にチュパを連れ去ろうとする。
しかしアレックスはチャヴァを説得し、得意のプロレス技をクインにお見舞いしてもらう。なんとかチュパを連れ戻したアレックスたちは、無事野生に返すことに成功したが、今度はアレックスが野生のトラに襲われ、さらには谷底へ落ちそうになる。そこに駆け付けたのは野生に返したはずのチュパだった。まだ飛べなかったチュパはアレックスを助けるために、空を飛べるようになる。
間一髪で助けられたアレックスだったが、再び追いかけてきたクインがチュパを攫ってしまう。しかしそこへチュパの母親と、その仲間のチュパカブラがクインに襲い掛かる。チャヴァのプロレス技も決まり、無事チュパを母親のもとに返すことができた。
チュパを助けたことでチャヴァたちとより強い絆で結ばれたアレックス。自分のルーツ、そして父の死と向き合えるようになったアレックスは、またスペインに帰ってくることを約束し、帰りの飛行機に乗る。すると窓の外では飛べるようになったチュパがアレックスを見送るのだった。
『アレックスとチュパ』感想
少年と幼チュパカブラの成長と絆が尊い
チュパカブラ…こんなかわいい生き物になったとは…!(笑)
ネットで画像検索して一番に出てくる不気味なビジュアルとは全く異なる別の生き物になっています。
それもそのはず。『アレックスとチュパ』はチュパカブラがヤギや人を襲う映画ではなく、少年少女と幼いチュパカブラが絆を育む尊い映画。過去作で不法移民がめちゃくちゃに殺されるサスペンススリラーを撮った監督の最新作とは思えないほど、種族を超えた尊い絆を描いた映画となっています。
空想上の動物と少年の絆だけでなく、自身のルーツ、周囲と違うこと(アメリカに住むメキシコ生まれの主人公)への不安、辛い過去と向き合う勇気…。少年が少しだけ大人に近づくうえで欠かせない様々な要素が詰まっていました。(いろいろ詰まっていて、一番伝えたい内容が何なのか、若干分かりにくい気もしましたが…汗)
いい意味で悲しくないお別れ
動物映画のあるあるとして、やっぱり別れのシーンは悲しいもの。
今回のような幻の生き物をはじめ、本来人間と交わることがない生き物と出会い、一緒に過ごすのは期間限定がほとんどです。分かっていても、別れのシーンは切ないもの…。筆者は感動系とか涙を誘う系の動物映画があまり得意ではないのですが、その最大の理由がこれです。
しかし『アレックスとチュパ』はスペインというお国柄か、別れのシーンは全く悲しくないです。もともと「親もとに返す」ことが目的ということもありますが、アレックスが「悲しくない」と言っていた通り、別れのシーンは非常に爽やかです。架空の生き物だからこそ、悲しさよりも「よかったね!」といった感情の方が強かったです。
アレックスたちがチュパを取り返そうとするくだりも、ハラハラドキドキというより、楽しさや爽快感がありました。チャヴァがクインにスープレックス決めたり、チャヴァがトラにプロレス技仕掛けようとしたり、チャヴァが子ども相手にプロレス技仕掛けたり…。あれ、これプロレス映画だっけ…。
チャヴァは楽観的に見えて、自分の認知症が少しずつ進行していることを憂いでいたりと、結構深い実のあるキャラなのもよかったです。どちらかといえばアレックスがチャヴァたちと別れるシーンのほうがしんみりします。
『アレックスとチュパ』あらすじ・感想まとめ
・チャヴァのキャラクターも個人的にはおすすめ
・チュパのグッズ化、待ってます笑
以上、ここまで『アレックスとチュパ』をレビューしてきました。
少年とチュパカブラの成長と冒険を描いているので、大人より子どものほうが楽しめるかもしれません。チュパのかわいさは老若男女問わずモフりたくなること必須!子どもが「見てみたい!」と言ったら安心して見せてあげましょう!
ヤマダマイ