『きっと、またあえる』あらすじ・ネタバレ感想!永遠の友情と青春を描いた感動のインド映画

『きっと、また会える』

出典:『きっと、またあえる』公式ページ

『きっと、またあえる』は世界興収インド映画No.1を記録した『ダンガル きっと、つよくなる』のニテーシュ・ティワーリー監督の最新作です。

インドの難関工科大学の学生寮を舞台に負け犬と呼ばれた主人公たちの友情と恋、寮対抗のスポーツ大会で優勝を目指して奮闘する姿を、笑いと涙、感動と共に描いています。

監督自らの思い出が詰まったエピソードも盛り込まれた大笑い必至の寮生活や、個性豊か過ぎるキャラクターたちなど、見どころも満載。

学生時代と40代をメイクで見事に演じ分けている俳優陣にも注目です。

ポイント
  • 少年漫画の青春モノ、ラブコメ好きにはたまらない物語です。
  • 現代と過去の話がメインで、人間ドラマとしても秀逸。
  • 人生で大切なものとは何か、というメッセージが込められた心温まる作品です。

それでは『きっと、またあえる』をネタバレありでレビューしていきたいと思います。

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『きっと、またあえる』作品情報

作品名 きっと、またあえる
公開日 2020年8月21日
上映時間 143分
監督 ニテーシュ・ティワーリー
脚本 ニテーシュ・ティワーリー
出演者 スシャント・シン・ラージプート
シュラッダー・カプール
バルン・シャッルマ
プラティーク・バッバル
音楽 プリータム・チャクラボルティー

【ネタバレ】『きっと、またあえる』あらすじ


受験に失敗した息子が自殺を図り、アニは慌てて病院に駆け付けますが…

主人公のアニ(スシャント・シン・ラージプート)は40代のエリートビジネスマン。

超難関と言われるムンバイ工科大学出身で、多忙な日々を送っています。

しかし同じ大学に通っていた頃からの恋人であり、後に妻となるマヤ(シュラッダー・カプール)とは数年前から別居中。

アニは一人息子のラーガヴと、高層マンションの一室で暮らしています。

ラーガヴは受験生で、父親と同じ大学の受験結果を心配し、不安な気持ちを抱える日々を送っていました。

合格発表の前夜、アニはシャンパンを用意して結果が出たらラーガヴに一緒に飲もうと笑います。

『きっと、またあえる』

出典:IMDB

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それが息子に一層プレッシャーをかけていると気付かずに。

ラーガヴにとって、優秀な父親はコンプレックスの原因でもあったのです。

そして、合格発表の当日。

ラーガヴは友人と一緒に自宅で、合格発表の結果を検索しますが、不合格だったことがわかります。

友人はラーガヴを来年があると慰めますが、もう自分は終わりだと悲観したラーガヴはベランダから飛び降りてしまいます。

会議中だったアニの元に連絡が入り、慌てて病院に駆けつけると、そこにはすでにマヤの姿があり、息子にプレッシャーをかけていたのではないかと、アニは責められることになります。

ラーガヴは奇跡的に一命を取り留めますが、医師はアニとマヤに「ラーガヴが回復するには本人の生きようとする強い意志が重要なのに、ラーガヴにはその気力が見られない。」と告げます。

『きっと、またあえる』

出典:IMDB

アニは息子の枕元で、涙を流します。

アニとマヤは献身的にラーガヴに付き添いますが、容体の回復は見られません。

アニはラーガヴに生きる気力を取り戻してもらおうと、自分の過去を息子に語り始めます。

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それは「負け犬」と呼ばれていたアニの大学時代の物語…。

通称・負け犬たちの寮、H4

アニが入学したムンバイ工科大学のキャンパスには10棟の学生寮(H1からH10)があり、寮によって設備や学生の「質」が異なっていました。

アニが割り当てられたH4は建物はぼろぼろ、個人の部屋は狭く、料理も不味い、負け犬たちが集まっているという悪名高い寮。

すぐに転寮希望を出すものの、アニはH4で過ごすうちに先輩たちの優しさや、変わり者でも楽しい仲間たちに囲まれていることに気付き、楽しいキャンパスライフを送り始めます。

そして、絶対数の少ない女子学生の中で、ハレー彗星に例えられるほどレアな、モデルのような美女マヤと出会い一目で恋に落ちるのでした。

『きっと、またあえる』

出典:IMDB

そんな話を聞かせているとラーガヴが目を覚まします。

容体が好転したわけではないものの、アニは息子が自分の話に興味を示していることに気付き、昔の仲間たちに連絡を取ります。

卒業後は疎遠になっていた仲間たちですが、ロンドンやアメリカから一人、また一人と駆け付けてくれます。

ラーガヴの枕元で、大学時代を振り返って話を聞かせるアニたち。

しかしラーガヴはなかなか回復しないままでした。

負け犬の名を返上するために目指すは寮対抗戦・GCの優勝!

アニは希望していた学生寮の変更で、優秀な学生の集まる憧れのH3から誘いを受けたものの、仲良くなった仲間たちと一緒に過ごすことを選び、寮を変わることを断ってしまいます。

しかしそのことで、H3をまとめるラギー(プラティーク・バッバル)の反感を買ってしまうのでした。

アニは自分と同じようにH3の誘いを過去断ったことがある先輩ダリルと共にH4の仲間たちを巻き込んで、全寮対抗10種目で戦うスポーツ大会、通称GC=General Championshipで優勝を目指そうと考えます。

自分たちの尊厳を取り戻すために。

しかしここ10年、H4は常に最下位、H3は優勝続きの成績。

まさか負け犬たちが優勝を目指すのかと、H3の学生たちにバカにされながらもアニはダリルと一緒に対抗戦のメンバーを選出していきます。

するとH4には思わぬ戦力がいたことがわかります。

マザコンのマミーはボードゲーム、お酒大好きのへべれけはチェスが得意で、アニとダリルは多種目こなせる万能型だったのです。

『きっと、またあえる』

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目指せ優勝と張り切るアニたちですが、現実はそんなに簡単にはいきません。

結果が出せないことで、やる気すら失いそうになるなか、アニは自分たちには覚悟が足りないと、仲間たちにそれぞれ一番大切なものを我慢しようと提案します。

マミーは母親との会話、へべれけは酒、セクサはエロ、アシッドは悪口、ダリルは煙草、そして言い出しっぺのアニはマヤ。

その上で、このままでは勝てないからと作戦を練り始めます。

『きっと、またあえる』

出典:IMDB

アシッドの口の悪さを生かし、ヤジ混じりの応援をすることで相手のペースを乱したり、寮の料理人をカバディのコーチに見立てて誤解させて相手の動揺を誘ったり、ちょっと汚いあの手この手で勝利を掴み始めます。

また急に素っ気ない態度を取り始め、自分を避け出したアニにマヤは戸惑いますが、セクサがマヤにこっそり真実を話した上で、H3の卓球の選手に電話で色仕掛けを頼んだことでまた一つ勝利を積み重ねたのでした。

『きっと、またあえる』

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しかしある日、アニたちはH3の生徒と喧嘩になってしまい、キャロム(インド発祥のボードゲーム)で勝利を確実視されていたマミーが負傷、翌日の試合に負けてしまいます。

それでも残りの3試合、H3との直接対決ですべて勝利すれば逆転優勝できるアニたちは必ず優勝しようと皆で誓い合います。

誇りをかけて挑んだ、GCの優勝の行方は?

父親たちの話を楽しく聞いていたラーガヴでしたが、容体は改善しません。

ある夜、アニは仲間たちに自分がラーガヴを追い詰めてしまった、もっと話をするべきだったと泣きながら話します。

アニの言葉を聞いた仲間たちはそれぞれが愛する家族に電話をかけ愛を伝えます。

医師に呼び出され、ラーガヴの緊急手術をすると聞かされたアニとマヤ。

アニは10分だけ待って欲しいと医師に懇願し、学生時代の物語を最後まで息子に聞かせます。

『きっと、またあえる』

出典:IMDB

GCの最終3種目はチェス、リレー、バスケット。

へべれけはチェス、ダリルとアシッドはリレー、アニはバスケと、それぞれ得意の種目で挑もうとするものの、H3もどうしても負けられないため、妨害工作を仕掛けてきます。

チェスの天才・へべれけには断っている酒瓶を手渡し、リレーのアンカーであるダリルの足をわざと踏んで怪我をさせ、あげくバスケの試合には大応援団を用意し、アニたちは完全にアウェイの空気の中戦うことに。

へべれけの応援に付いたセクサはへべれけから酒の臭いがすることに愕然。

アニを応援するマミーとマヤも異様な空気に顔をしかめます。

絶対絶命のピンチを迎えたアニたちですが決して諦めず、それぞれ競技に挑みます。

そして、まずへべれけがチェスで勝利。

実はへべれけは酒を飲んでおらず敵も味方も欺いたことをセクサに明かします。

一方リレーもアシッドの追い上げ、ダリルの脅威のごぼう抜きで勝利。

バスケット会場に駆けつけた仲間たちの勝利を知ったアニは残り時間僅かからの3ポイントシュートでの逆転勝利を狙います。

しかしボールはリングに弾かれ、優勝を逃してしまったのでした。

人生でもっとも大切なこと

話を聞いていたラーガヴは「そこまで一生懸命やってきたのに負けたことで、死にたくならなかったの?」と、両親とその友人たちに問いかけます。

アニたちは揃って、首を振ります。

何故なら失意に包まれたH4に対し、優勝が決まったH3のラギーや観衆が健闘を称えて、拍手を贈っていたからです。

アニは息子に大切なのは成功すること、勝つことじゃない、失敗しても懸命に努力することなのだと語ります。

そうして、手術室に向かうラーガヴをアニは仲間たちと共に見送ったのでした。

1年後。

ラーガヴは手術が成功したことでどこかの大学に無事合格。

未来への期待と希望にあふれた顔で、大学のキャンパスに到着したのでした。

【ネタバレ】『きっと、またあえる』感想

基本は超王道の青春ドラマ!

本作は主人公が1992年のムンバイ工科大学の寮で過ごした日々を、重傷を負った息子に話して聞かせる形で進んでいきます。

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映画の大半を占めるのが、主人公たちの大学生活のお話でこれがまた面白い!

主役のアニは典型的な昔ながらの少年漫画の主人公。

顔よし・スタイルよし・頭よし・性格よし・運動神経よし、とパーフェクトな青年でありながら、ちょっと天然で好きな女の子とは上手く話せないという面があるという、まさにザ・主人公なキャラクターです。

『きっと、またあえる』

出典:IMDB

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最近の漫画やドラマではここまで揃った主人公はいないというレベルなんですが、嫌味の欠片もないのが素晴らしい!

主人公の周囲を固めるのは個性的過ぎる面々。

恋のお相手マヤは理系ではハレー彗星なみにレア度が高いと言われる美人。

歩く下ネタ、頭の中はエロで一杯の先輩セクサ。

ズバズバときつい言葉を連発し、酸(硫酸のようなもの)を意味するあだ名で呼ばれるアシッド。

大学に入るまでお母さんにベッタリだったマザコンのマミー。

渋すぎる先輩と言われ、みんなに慕われているダリル。

アル中だよね?というくらい、お酒大好きなへべれけ。

インドでも注目を浴びたセクサが、日本でも人気かなと思いますが、全員好きにならずにはいられない最高のキャラばかりです。

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ちなみに私は断然ダリル推し。渋い兄貴キャラ最高!なのに現在の姿とのギャップが…素敵なんですけどね、サプライズが過ぎる!

またライバルキャラであるラギーも万能型で嫌味な鼻持ちならない奴かと思いきや、最後は主人公たちを認める辺り、大変おいしい存在になっています。

そんなキャラクターがGCという寮対抗のスポーツ大会で、勝利目指して頑張るため、友情と恋愛に加えて、スポ根要素も加わることになり、途中からますます作品の面白さが加速します。

コメディとしても大いに笑える男同士のおバカなやりとりがてんこ盛り、とっても熱い友情と勝利を目指して懸命に頑張る過程が、じっくり描かれた本作。

キラキラした青春時代を回顧できる年齢層には何ともたまらない作品に仕上がっています。

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現代はそれぞれの俳優さんが老けメイクで演じていて、アニは渋いおじ様風で素敵、マヤは大変美人なままです。なのに何故ダリルは…。そこは全力でツッコミたいところ。

俳優スシャント・シン・ラージプート

主人公・アニを演じたのは『PK』のスシャント・シン・ラージプートです。

『きっと、またあえる』

出典:IMDB

本作で素晴らしい演技を見せてくれたスシャントですが、残念ながら日本で本作が公開される前、2020年6月14日に亡くなられています。

モディ首相がツイッターにお悔やみを投稿するほど、インド・ムンバイを中心とする「ボリウッド」の人気俳優だったスシャント。

まだ34歳という若さで、自宅で自ら命を絶ったようです。

日本で彼の主演作が劇場公開されるのは本作が最後になってしまいました。

くりす

才能あふれる俳優さんだっただけにとても悲しいです。

俳優スシャント・シン・ラージプートの遺作になるであろう、映画『きっと、星のせいじゃない。』のリメイク作品『Dil Bechara』は日本語での鑑賞が難しそうで、非常に残念な限り。

くりす

新型コロナの影響でインドでも公開延期、ネット配信になってしまったようで…。日本でも何とかして、観られるといいんですけど。

そんなスシャントの本作での相手役は『サーホー』でも美しさ全開だったシュラッダー・カプールです。

美男美女の初共演で、スクリーンでの相性も良かったのですが、残念ながらこの作品が最後の共演です。

男が9割と言われる工科大学の中で、ハレー彗星級の貴重なモデル風美女マヤはまさにはまり役。

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とっても美人なんですが、可愛くもあるんですよね。表情が魅力的だからでしょうか。

ライバルのラギー役にはアーミル・カーン製作・主演の『ムンバイ・ダイアリーズ』に出演しているプラティーク・バッバル。

冒頭から、まさに水も滴るいい男っぷりを披露してくれています。

人生においてもっとも大切なこと

『きっと、またあえる』の原題はヒンディー語で『Chhichhore』。

軽薄な、お気楽な、という意味になるようです。

日本でも話題になった『ダンガル きっと、つよくなる』や『きっと、うまくいく』と合わせて、まるで三部作のようなタイトルですが、ストーリー的なつながりはありません。

ただし『ダンガル きっと、つよくなる』で監督・脚本を担ったニテーシュ・ティワーリーが、本作でも監督・脚本も手掛け、監督自身の大学時の物語を描いています。

監督はまさにインドの工科大学ボンベイ校出身で、当時の仲間たちとのエピソードを参考に脚本を書き、また出身校での撮影も一部行なったようです。

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インドの受験は日本よりなお熾烈で、「100万人が受験して合格するのは1万人、99万人の子どもが路頭に迷う」と映画内で言われるほど。

受験に失敗した主人公の息子が、衝動的に自殺を図ったことにはそんな背景があります。

息子が自殺未遂したことから、アニは疎遠になっていた仲間たちと再会し、やがて人生で一番大切なものは何かを見つめ直すことになるのです。

そうして、何かに成功する勝ち取るという結果よりもそれまでにどれだけ努力したかの方が大事だ、と息子に告げることができるのです。

「ベストを尽くすこと、そこまでの過程が大切で、その上での失敗は何も悪いことではないのだ」と。

学歴やランキングを重視するインドにおいてはとても大きなメッセージなのでしょうし、日本でも勇気付けられる人は多いでしょう。

また成功した親のもと、恵まれた生活をしていたからこそ、失敗を恐れすぎている息子ラーガヴの姿には思わず共感してしまう人もいるはず。

くりす

一度失敗したらおしまい、というのは日本での働き方に通じるものがありますからね。

とはいえ、友情や家族の存在の大切さもしっかりと描かれているので、勝ってこそという物語にいささか疲れ気味な人にもぴったりな作品だと思います。

大人が見ると学生時代・青春時代を思い出し懐かしさに目を細め、子どもがいる親世代は親の気持ちに涙し、子どもをますます愛おしく思えるような物語なので、老若男女問わずおすすめの映画です。

くりす

笑って泣いてほっこりできる温かい映画ですよ。スシャントくんの笑顔、本当に素敵なんです。ぜひ観て下さい!

『きっと、またあえる』あらすじ・ネタバレ感想まとめ


ここまで『きっと、またあえる』をレビューしてきました。

要点まとめ
  • 王道青春コメディ好きにおすすめ。学生時代の永遠の友情は何物にも変え難いと改めて教えられます。
  • 疲れている時、何かに失敗したり躓いた時に元気をもらえる作品です。
  • エンディングのダンスシーンは最高!何度も繰り返し見たいほど。何故か泣きそうになります。

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