ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ最新作『ミラベルと魔法だらけの家』が2021年11月26日に公開予定です。
監督は『ボルト』『塔の上のラプンツェル』『ズートピア』を手掛けたバイロン・ハワード。
いずれも名作であり、4作目となる「ミラベル」にも期待が膨らみますが、予習も兼ねてハワード監督の作品を振り返りましょう。
・初監督作品『ボルト』(2008年)
・2作目『塔の上のラプンツェル』(2010年)
・3作目『ズートピア』(2016年)
・最新作『ミラベルと魔法だらけの家』(2021年)
略歴
ハワード監督の出身地は日本の青森県三沢市です。アメリカ、ワシントン州で過ごしたのち、1994年にウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ入社。
『ポカホンタス』『リロ&スティッチ』などにアニメーターとして参加。その後ピクサー・アニメーション・スタジオを訪問し、名監督たちのもとでピクサー流の制作方式を学びました。
2006年、ジョン・ラセター率いる新体制第1作『ボルト』で監督に任命されます。『ボルト』は成功を収め、その後も2010年『塔の上のラプンツェル』、2016年『ズートピア』と、順調に監督としてのキャリアを積んできました。
そして2021年、いよいよ最新作『ミラベルと魔法だらけの家』が公開予定ですが、日本版ポスターが公開された際、日本のことをTwitterに投稿しています!これは嬉しい!
https://twitter.com/ByronPHoward/status/1451254579903926284?s=20
初監督作品『ボルト』(2008年)
自分には本当にスーパーパワーが宿っていると信じ込んでいるタレント犬ボルトがニューヨークで迷子になってしまい、飼い主ペニーが待つハリウッドを目指して旅に出る。初めて「映画の外」の世界を冒険する中で、様々な気づきを得て成長していく物語です。
日本での知名度は高いとは言えませんが、アカデミー賞長編アニメ映画賞部門にノミネートされるなど成功を収めた作品です。まさに「隠れた名作」であり、とてもおすすめ。
ピクサーがディズニーの完全子会社になったことに伴い、『トイ・ストーリー』『カーズ』の監督を務めたほか多くのピクサー作品を指揮してきたジョン・ラセターがディズニーでも指揮を執ることになりました。この時、監督に任命されたのがバイロン・ハワードです(クリス・ウィリアムズ監督と2人体制)。
2000年代に入り低迷していたディズニーは『ボルト』以降ヒット作を連発することになります。バイロン・ハワードの監督としてのキャリアはこの素晴らしい作品でスタートを切りました。
2作目『塔の上のラプンツェル』(2010年)
怪我や病気を癒す魔法を宿した王女、ラプンツェルは魔法の力を狙う老婆に誘拐され、自分が王女であることを知らずに18年間塔の中で育てられる。外の世界を夢見るラプンツェルは偶然塔に逃げ込んだ大泥棒フリン・ライダーとともに自分のルーツを辿る旅へ…。
筆者が一番好きなディズニー映画です。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ50作目の長編アニメ、初の3DCGで描かれたプリンセス。
グリム童話「ラプンツェル」を原作とした映画の原案は1996年から温められていた企画でした。しかし様々なトラブルで延期を繰り返し、2008年にハワード監督が就任してついに本格始動。
美しいデザイン、ロマンチックなミュージカルなど、プリンセスストーリーの伝統を踏襲しつつ、プリンセス自ら武器を手に取り戦い自由を勝ち取るという「新時代のプリンセス像」を確立しました。
ランタンが飛ぶ中「輝く未来(I See the Light)」を歌うクライマックスは本作を象徴する名シーンですが、ランタンのアイディアを持ち込んだのはハワード監督です。
3作目『ズートピア』(2016年)
人間が存在したことがない世界で動物たちが築いた文明社会、その中心都市「ズートピア」が舞台。立派な警官を夢見るウサギのジュディ、偏見を受け入れて詐欺師として生きるキツネのニック、2人が追う奇妙な事件はやがて「ズートピア」全体を巻き込む大きな事件へと発展していきます。
アニー賞、アカデミー賞受賞、日本でも興行成績76億8000万円の大ヒットを記録した大作。筆者は本作を「完璧」な映画の1つだと思っています。
「1973年の『ロビンフッド』のような映画を作りたい」というハワード監督の着想をもとに、ディズニートップクラスのクリエイターが集結して生み出した真の意味で万人向けの傑作です。動物擬人化というありふれた手法にもかかわらず、緻密な設定と現代的な価値観によって新しくて奥深い作品となりました。
ハワード監督は「ニックとジュディはロマンスではない、もっと深いつながりがある」と述べていますが、実際に劇中で2人の恋愛描写はありません。個人的にはこの恋愛に発展しない男女バディが描かれたことが本作の特に嬉しいポイントです。
映画『ズートピア』作品情報 『アナと雪の女王』『ベイマックス』のディズニーの人気作品。 動物たちが分け隔てなく……
最新作『ミラベルと魔法だらけの家』(2021年)
南米コロンビアの奥地に佇む不思議な家、そこに住むマドリガル家の子どもたちは皆1人1人違ったユニークな“魔法のギフト”を家から受け取る。しかし、たった1人ミラベルだけは“魔法のギフト”をもらえなかった。魔法が使えなくても家族と幸せに暮らしていたミラベルだが、この魔法だらけの家が危険に晒されたとき、魔法を使えない自分が“唯一の希望”であると知り…。
これまでも「プリンセス」「動物擬人化」など使い古された表現を刷新してきたハワード監督。今回も魔法に溢れたミュージカルという王道にどんな新しい風を吹き込んでくれるのか、期待が高まります!
バイロン・ハワード監督最新作『ミラベルと魔法だらけの家』11月26日公開予定です。