映画『バーニング 劇場版』の原作は村上春樹の「納屋を焼く」です。
短編小説を韓国の名匠イ・チャンドン監督が手がけ、映画化された作品。
ミステリーでもヒューマンドラマでもないが、“謎”だけが残る不思議なストーリーに引き込まれます。
まさに村上春樹の世界を見事に映像化していると言えるでしょう。
カンヌ国際映画祭でも評価が高く、国際批評家連盟賞を受賞しました。
一度見始めると止まらない、なぜか印象に残る、そんな映画になっています。
『バーニング 劇場版』作品情報
作品名 | バーニング 劇場版 |
公開日 | 2019年2月1日 |
上映時間 | 148分 |
監督 | イ・チャンドン |
脚本 | イ・チャンドン オ・チョンミ |
原作 | 村上春樹『納屋を焼く』 |
出演者 | ユ・アイン スティーヴン・ユァン チョン・ジョンソ |
音楽 | モグ |
【ネタバレ】『バーニング 劇場版』あらすじ・感想
登場人物は3人
原作では“僕”、“彼女”、そして“彼”として登場する3人。
映画『バーニング 劇場版』では、“僕”がジョンスとなって個性派俳優のユ・アインが演じ、“彼女”はヘミとなって新人俳優のチョン・ジョンソ、“彼”はベンとなって世界的な知名度を誇るスティーヴン・ユァンが演じています。
映画は、幼なじみのジョンスとヘミが再会する場面から始まります。
最近の若者っぽく、なんの目標もなくただその日を生きているジョンス、理由はわからないけど楽しく人生を生きているヘミ。
そんな対象的な2人が再会し、ベッドを共にします。
この後、アフリカへ旅行に旅立ったヘミ。
そのヘミに猫の世話をして欲しいと頼まれていたジョンスは、へミのいない部屋に出掛けてはまだ見ぬ猫の世話をします。
その後ヘミが帰って来ますが、ベンと一緒に帰って来るのです。
迎えに行ったジョンスに、まるで恋人のようにベンを紹介するヘミ。
ベンもまたヘミの恋人のような雰囲気でした。
ジョンスはというと、恐らく自分はヘミと付き合っていると思っていましたが、特に嫉妬しているような様子もなく、心情は読めません。
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特に年齢や職業などの話もなく3人の物語は始まります。
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ベンの告白
ある日、ヘミとベンが急にジョンスの家に訪ねてきます。
庭先で椅子を並べて夕陽を眺めながらワインを飲む3人でしたが、ベンは唐突にジョンスに対して大麻をすすめます。
ワインと大麻に酔ったヘミが上半身裸になり、夕陽を背に踊るシーンはいやらしさがなく芸術的な映像になっていました。
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先に眠ってしまったヘミをソファに寝かせると、ベンが衝撃的な告白をします。
「ときどき、ビニールハウスを焼いてるんだ」
それを聞いたジョンスが驚いたのは言うまでもありません。
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その告白を聞いてから、ジョンスは家の近くのビニールハウスが気になってしまい、毎日見て回ります。
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そして、最大のミステリーはヘミの失踪です。
ある日、突然連絡が取れなくなったヘミ。
ジョンスはベンを疑い、ベンのストーカーと化します。
この時もまた執拗に追いかけて回るジョンスは、ベンよりも怖さがありました。
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ヘミの不思議な雰囲気といい、ベンの告白といい、ジョンスの奇妙な行動、何が本当で何が妄想なのか、なんとも言葉には表せない謎がいくつも散りばめられていました。
村上春樹「納屋を焼く」の世界観
本編は148分、2時間半ほどの作品です。
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観た人の評価は様々ですが、私は村上春樹の世界観を崩さず、韓国映画ならではの雰囲気がプラスされていたように思います。
登場人物3人の独特な雰囲気、それぞれのキャラクターが語る想い、そしてやはり外せないのは不思議な魅力でしょうね。
映像もまた、名匠イ・チャンドンならではでした。
3人のシーンのそれぞれの目線や動き、沈黙の場面まで、その全てがこの映画を作り出していた重要な要素になっていると思います。
Tomomo
これもまた村上春樹の作品らしいなという印象です。
小説が原作というのが現れている独特な雰囲気を感じました。
村上春樹の小説を読んだことがない人も、もちろん読んだ人にも観てほしいと思います。
Tomomo
ユ・アインが演じたごく普通の青年も、スティーヴン・ユァンが演じた影のある謎の男も、原作が村上春樹だからこそのキャラクターだと思います。
『バーニング 劇場版』まとめ
以上、ここまで映画『バーニング 劇場版』について紹介させていただきました。
- 村上春樹の世界観を韓国映画で感じられます。
- 名匠イ・チャンドンの映像美を堪能してほしいです。
- 途中、眠たくなるかもしれませんが、集中して観てください。あっという間の148分になるはずです!