グリム童話誕生の秘密を壮大なファンタジーで描いた作品です。
呪われた森や入口のない塔など、グリム童話らしい世界に浸ってみませんか?
- 現実を見て生きる兄と空想に生きる弟
- 消える少女たちと呪われた森の謎
- めでたしめでたし…?
それでは『ブラザーズ・グリム』をネタバレありでレビューします。
目次
『ブラザーズ・グリム』作品情報
作品名 | ブラザーズ・グリム |
公開日 | 2005年11月3日 |
上映時間 | 117分 |
監督 | テリー・ギリアム |
脚本 | アーレン・クルーガー |
出演者 | マット・デイモン ヒース・レジャー モニカ・ベルッチ ジョナサン・プライス レナ・ヘディ ピーター・ストーメア リチャード・ライディングス マッケンジー・クルック ロジャー・アシュトン=グリフィス ローラ・グリーンウッド |
音楽 | ダリオ・マリアネッリ |
【ネタバレ】『ブラザーズ・グリム』あらすじ
はじまりは「やらせ」から
舞台は19世紀。
とある町から事件解決の依頼を受けたグリム兄弟は、事件は幽霊が原因であるとして高額な報酬を受け取り幽霊を退治することにしました。
抵抗する幽霊に苦戦しつつ何とか幽霊を退治することに成功する兄弟ですが、実は何もかも兄弟の仕組んだ芝居だったのです。
幽霊も、幽霊が引き起こす不可解な出来事も、兄弟が苦戦する姿も、何もかもが兄弟の計算でした。
計画やストーリーを考えるのは現実主義な兄のウィル、仕掛けを考えるのは自称作家の弟ジェイコブです。
兄弟は演出に必要な仲間二人と共に、こうした芝居を続けながら町や村を転々とし生活していたのでした。
詐欺同然の生活を続けていたグリム兄弟ですが、ついに悪行がバレて捕まってしまいます。
兄弟を捕まえた将軍は、ある村で起こっている事件を解決したら兄弟の悪行は見逃してやると言いました。
もちろん、命が惜しい二人は頷き、さっそく事件が起こっている村へと向かうのですが…。
少女失踪事件
将軍の部下であるカヴァルディと共に兄弟は村にやってきました。
村人たちはよそよそしく、外部の人間にあまりいい感情は抱いていないようです。
それもそのはずで、村では女の子だけが失踪するという、不可解な事件が相次いでいたのでした。
兄弟はさっそく調査に乗り出します。
村の近くには森が広がっており、女の子たちはその森で消えたといいます。
森に詳しい猟師の娘・アンジェリカに案内してもらいながら、兄弟とカバルディと彼の部下たちは森に入りました。
一見すれば普通の森。
しかしどことなく気味が悪くも感じます。
慣れた足取りで森を進むアンジェリカについていきながら、兄弟は何か手掛かりがないかと探していると…なんと、木が動いているのです。
木々は邪魔者を排除するように次々と襲い掛かり、オオカミまで襲ってきます。
何とか森の中央にたどりついた兄弟はそこで高い塔を目にします。
アンジェリカによるとその塔には入口がなく、そこに鏡の女王が眠っているというのです。
兄弟の過去
兄弟が調査している最中も、少女たちの失踪事件は続きました。
森を焼こうとしても無駄で、ついにはアンジェリカまでも消えてしまいます。
実はこの森、鏡の女王の呪いにかかっていたのでした。
そして少女たちは、不老不死を願った女王が長い眠りから覚めるために必要だったのです。
鏡の女王を殺さないと呪いは永遠にとけず、少女たちの命も失われてしまう。
今こそ兄弟で力をあわせる時なのですが、兄弟はささいなことでケンカしてしまいます。
実は兄弟の間には、幼少期から続く壁があるのです。
まだ兄弟が幼い時、二人には小さな妹がいました。
兄弟の家は貧しく、病気にかかった妹の薬代を出すのもギリギリです。
お金を持って薬を買って帰ってくるはずだったジェイコブですが、彼が持って帰ってきたのは両手いっぱいの豆。
驚くウィルと母親に対し、ジェイコブは目を輝かせながら言いました。
「通りすがりの人がお金と魔法の豆を交換してくれたんだ。これを食べれば妹もすぐに良くなるよ!」
そんなことがあったからでしょうか。
今でも童話やおとぎ話が好きなジェイコブに対し、兄のウィルは現実主義者です。
その違いがたびたび兄弟げんかに発展するのですが、もちろん今はケンカしている場合ではありません。
何とか和解した兄弟は、いざ鏡の女王と対決します。
ウィルが洗脳されたり心臓が止まったりしながらも、女王に勝った二人は森にかけられた呪いを解くことに成功。
もちろんアンジェリカと少女たちも助かり、暗かった村はお祭り騒ぎとなるのでした。
とーる
【ネタバレ】『ブラザーズ・グリム』感想
本当は逆だった兄弟
兄のウィルをマット・デイモンが、弟のジェイコブをヒース・レジャーが演じていますが当初は逆の配役だったそうです。
とーる
なぜ当初と逆の配役になったかというと、本人たちが監督に逆にしてくれと言ったそうなんです。
理由はわかりません。
とーる
特にジェイコブ役のヒース・レジャーがおどおどきょどきょどする演技は何だか新鮮で可愛らしく思えます。
ウィル役のマット・デイモンも一見すれば頼りになる兄かと思いきや抜けているところもあって、それを取り繕う姿が印象的です。
『ブラザーズ・グリム』を見る時はぜひとも配役の面白さも感じていただきたいと思います。
色彩の面白さ
『ブラザーズ・グリム』は全体的にくすんだ色合いの世界です。
茶色や褐色、枯れた色が広がっています。
その中で、少女のまとう赤ずきんであったり、勇敢なアンジェリカの服、そして鏡の女王のきらびやかな衣装や装飾品というのは目をひきます。
とーる
テリー・ギリアム監督の独特の色彩バランスが見られる作品と言っていいでしょう。
『ブラザーズ・グリム』あらすじ・ネタバレ感想:まとめ
以上、ここまで『ブラザーズ・グリム』をレビューしてきました。
- 現実主義の兄とおとぎ話好きな弟の冒険譚
- 女王の呪いと兄弟の壁
- 当初は逆だった配役と色彩の美しさ