『サイダーのように言葉が湧き上がる』の監督・脚本を務めたイシグロキョウヘイ監督による、斬新な時代劇『ブライト: サムライソウル』のあらすじや魅力をネタバレありでご紹介!
主人公の侍・イゾウの声を狂言師・野村裕基が担当するほか、相棒となるオーク・ライデンをオーランド・ブルームなどの吹き替えを担当する平川大輔、イゾウの因縁の相手・コウケツをMIYAVIが演じるなど、キャスティングも独特な作品となっています。
・目にも留まらぬ殺陣は必見!
・インストバンド「LITE」が手掛けるサントラがクール!
それでは『ブライト: サムライソウル』をネタバレありでレビューします。
目次
『ブライト: サムライソウル』あらすじ【ネタバレあり】
人間、エルフ、オークが存在する明治維新
慶応4年の江戸。
戊辰戦争が熾烈を極める中、戦に身を投じていたイゾウをはじめ、多くの侍・オークたちは突如現れた巨大な青い光の柱を目撃する。すると光を見た者たちは次々と戦意喪失し、武器を手放していく…。
4年後、京都。
光の柱が現れたことで江戸城は無血開城し、時代は明治維新の真っただ中に。日本も近代化が進む中、イゾウは遊郭・旭日楼の用心棒として落ちぶれていた。
そこへエルフの少女・ソーニャが拾われてくる。身寄りのないソーニャを拾った遊郭だが、誰にでも牙をむくソーニャに手を焼いていた。イゾウは遊郭でもっとも美しい女性・千早太夫にソーニャのことを話すと、彼女はソーニャを侍女にすると言い出す。
最初は敵意を見せるソーニャだが、千早は身に付けていた“かんざし”をソーニャに渡すと、自分もエルフだと打ち明け、さらには遊郭にいるより前の記憶を無くしていると語る。千早に心を開くソーニャだが、そこへ突如謎の集団が訪れ、遊郭にいる人々を切り殺していく。
謎の集団の目的はソーニャ
人やオークを率いる謎の集団の目的はエルフの少女・ソーニャだった。イゾウは遊郭を守るために敵を斬り倒していくが、そこに巨体のオーク・ライデンが立ちふさがる。
一方、集団の頭目は千早と共にいるソーニャを見つけ出す。すると千早のかんざしから青い光が放たれ、頭目の腕を吹き飛ばす。
怒り狂った頭目は千早を殺すも、光によってソーニャをさらうことはできなかった。イゾウが駆けつけると頭目は逃げていたが、ライデンはソーニャを攫うどころか、彼女をかばうそぶりを見せる。
ライデンはこの仕事を最後に足を洗うとイゾウに話す。千早の亡き今、ソーニャは千早から聞かされた「エルフの差別されない町・函館」を目指し、形見となったかんざしでイゾウとライデンを用心棒として雇う。
「ブライト」と「インファーニ」
謎の集団を送り込み、ソーニャを狙ったのは「インファーニ」と呼ばれるエルフだった。東海道を行くイゾウたちだが、そこへ頭目たちが追い付いてくる。イゾウたちは頭目たちを迎え討つが苦戦を強いられ、イゾウは過去に自分を裏切り襲った“コウケツ先生”への憎しまで爆発させてしまう。怒りにかられたイゾウを止めるライデンだが、追い詰められた2人は滝つぼへと落ち、ソーニャもさらわれてしまう。
ケガを負ったイゾウとライデンは、洞窟で隠遁生活を送る博識なケンタウルス・ツクヨミに助けられる。ツクヨミはふたりにソーニャと彼女をさらった集団について語りだす。集団を使っているインファーニと呼ばれるエルフの狙いは、強力な魔法の杖・ワンドだった。そしてそのワンドは選ばれたエルフ「ブライト」のみ使うことができる。その「ブライト」こそソーニャだろうとツクヨミは語る。
かつての師・コウケツとの再会
ツクヨミのもとを出発し、横浜にたどり着いたイゾウとライデンは千早とそっくりの女性に出会う。アンナと名乗る女性は千早の双子の姉であり、千早は遊郭にいる4年前はワンドを探す「光の盾」と呼ばれる組織に属していた。「インファーニ」と異なり平和のために活動する「光の盾」の任務に就いていた千早だが、敵に追い詰められたことでワンドの力を解放し、その後は消息を絶っていた。
イゾウとライデン、アンナはソーニャが捕らわれた屋敷を目指すが、その途中でソーニャとインファーニを乗せた馬車がやってくる。そのインファーニはイゾウのかつての師・コウケツだった。コウケツはライデンたちを力でねじ伏せると、ソーニャを連れてその場を去り、船に乗って本国への逃走を図る。
ついに解放されたワンドの力
コウケツとソーニャ、頭目らが乗る軍艦を追うイゾウとライデン。ライデンが頭目と戦うなか、イゾウは捕らわれているソーニャを救出する。
そこにコウケツが立ちふさがると、二人は因縁の対決を繰り広げる。しかしコウケツの力を前にイゾウは成す術もなく殺され、ライデンも頭目と相打ちになり命を落とす。
その時、ソーニャが持つかんざしの中に隠されていたワンドが強大な力を発揮する。コウケツは光に焼かれて死に、イゾウとライデンは傷ひとつない姿で蘇った。
こうしてコウケツの野望を阻止したイゾウとライデンだが、函館にはソーニャだけで向かうことになった。別れを惜しむソーニャを見送ると、イゾウは千早の形見でもあるワンドを海に捨て、ライデンと共に横浜を後にするのだった。
『ブライト: サムライソウル』感想
実写映画『ブライト』の設定を引き継いだファンタジー時代劇
『ブライト: サムライソウル』は2017年に配信されたNetflixオリジナル映画『ブライト』の設定を多く受け継いでいます。舞台も時代も大幅に異なりますが・・・
・人間とオークによるバディ
・ブライト、インファーニといったファンタジー設定
・ワンドをめぐる戦い
といった共通の設定が見られました。
ただしストーリーを焼き増ししているわけではなく、本作では最後の敵・コウケツと主人公のイゾウが因縁の対決を繰り広げるなど、独自の展開も見せていました。(個人的にはイゾウとコウケツの過去をもっと掘り下げてほしかった気持ちもあります汗)
「ファンタジー時代劇」というと奇抜な映画のように聞こえますが、映像の色合いや風景も当時の日本画を彷彿とさせるため、違和感なく世界観に入り込めました!
モーションキャプチャだから成せる、目にも留まらぬ殺陣
本作ではアニメならではのド派手なアクションをあえて抑え、徹底して緊迫の殺陣を見せてくれます。
例えば遊郭に頭目たちが乗り込んでくる場面で、イゾウは3人の敵を一瞬で殺めるシーンが見られます。
カメラワークの切り替えや無駄の全くない動きによって、何がどうなって敵がやられたのか分からない早業!しかしスローで見れば理解が敵の武器を奪いつつ、攻撃を受け流して最短ルートで斬り倒していることがわかります。
この無駄のない演出こそ『ブライト: サムライソウル』最大の見どころだと感じます。ゲームでキャラのモーションなんかを観察しがちな人にはとりわけ刺さる映画かもしれません…笑
サウンドトラックを担当したバンド「LITE」がカッコいい
本作におけるもうひとつの魅力がサウンドトラックです。
音楽を担当している「LITE」は2003年に結成された日本の4人組インストバンド(ボーカルが存在しない、楽器演奏のみで構成されるバンド)です。
インディーズでありながら日本に限らず、ワールドツアーや海外のフェスに参加するなど、高い評価を得ています。
監督は殺陣の場面で音楽とリンクさせるために、制作途中の映像に楽曲を当てながら編集などをする特殊な方法を取ったとのこと。LITEの楽曲もキレのある音や展開が印象的なため、作風にとてもマッチしていました!
ちなみに「LITE」が映画のサントラを手掛けるのは本作で2度目。1回目は大泉洋主演の映画『騙し絵の牙』です。『ブライト: サムライソウル』のサントラはかなりライブ映えする曲がそろっているので、ぜひ生の演奏を聴いてみたい…!
※参考記事
https://wired.jp/2021/10/30/bright-samurai-soul/
『ブライト: サムライソウル』あらすじ・感想まとめ
・鮮やかかつスピーディな殺陣は必見!
・映像にリンクした「LITE」のサントラがライブでも聴いてみたい!
以上、ここまで『ブライト: サムライソウル』をレビューしてきました。
ヤマダマイ
普段、時代劇を見ることが少ない筆者でも楽しめたことから、逆に時代劇に疎い人のほうがハマる作品かもしれません!
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