映画『ボブという名の猫2 幸せのギフト』あらすじ・感想!キュートなボブと社会問題を同時に捉えた良作!

(C)2020 A Gift From Bob Production Ltd. All Rights Reserved.

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薬物依存でホームレスだった青年・ジェームズと1匹の茶トラ猫・ボブとの絆を描いた『ボブという名の猫2 幸せのギフト』が日本でも公開されました!前作『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』から、およそ5年ぶりの続編です。

前作では原作に登場するボブ”本猫”が出演しており、その愛くるしい仕草がたまらない一方で、ジェームズが抱える薬物依存の問題もしっかり描いていました。果たして第2弾で描かれるジェームズとボブの運命とは…?

・前作の魅力を残しつつ、テーマで差別化を図った良作!
・ボブのキュートさとイギリスの社会問題のコントラストがすごい
・ボブ亡き今だからこそ刺さるメッセージ

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』でも、ボブの可愛らしさとイギリスの社会問題をしっかり描いた良作となっていました!

それでは『ボブという名の猫2 幸せのギフト』をネタバレなしでレビューします。


『ボブという名の猫2 幸せのギフト』あらすじ【ネタバレなし】

昔のジェームズと重なる青年・ベンとの出会い

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「ボブという名のストリート・キャット」を出版したジェームズは一躍時の人となり、作家たちのパーティに招待されるほどの成功を収めていた。華やかな場に馴染めなかったジェームズとボブは会場をあとにすると、1人のストリートミュージシャン・ベンが路上演奏をしていたことで、警察と押し問答をしていた。

ジェームズはベンを助けると、彼が昔のジェームズと同じように、家も仕事もない状態だと知る。ベンは自滅的な生活を続けており、身寄りもない彼を見過ごせないジェームズは、今から数年前に自身とボブに起きた忘れられない出来事を語りだす。それは2人の仲を脅かす過酷なものだった…。

クリスマスに起きたある事件

時は遡って、ある年のクリスマスシーズン。ボブに助けられながら薬物依存を克服したジェームズだが、収入源は路上演奏と「ビッグイシュー」の販売のみ。光熱費を払うのもやっとの状態だった。おまけに、ボブの注目で「ビッグイシュー」の売り上げを伸ばすジェームズを面白く思わないホームレスもいた。

ある日、いつものようにジェームズがボブと路上演奏をしていると、通りすがりの犬がボブと喧嘩をしてしまう。ケガをしたボブを病院で診てもらうお金もなかったが、ホームレスを支援する団体の施設にて、無料でペットを診察する獣医に診てもらうことができた。そこではホームレスやジェームズたちのようにお金のない人たちが、大切にしているペットを観てもらうために待っていた。

動物福祉担当職員から目を付けられるジェームズ…

貧しいながらも仲良く暮らすジェームズとボブだが、彼らを常に見張っている者がいた。動物福祉の職員だ。彼らはジェームズにボブを飼う資格があるか、常に監視していた。そしてあるとき、ジェームズが起こしたトラブルによって、動物福祉担当職員はボブを飼う資格があるかを裁判で判断すると言い放つ。

追い詰められたジェームズは「裕福な家庭で飼われたほうが、ボブにとっても幸せではないか」と考えるようになってしまう。そんな状況で、ジェームズはある選択を迫られることになるーー。

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』感想

前作の魅力を残しつつ、また別のテーマを取り扱った良作!

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続編となる今作も、ボブの可愛さとイギリスの社会問題が両立して描かれてます。前作では薬物依存に苦しむジェームズがボブと出会い、依存症を克服していく様子が描かれました。

今作では薬物依存を克服しているジェームズですが、相変わらずお金には苦労している状態。ジェームズに限らず、偶然出会ったストリートミュージシャンのベンをはじめ、ほかのホームレスたちや、彼らを支援する人たちの苦労をしっかり描いています。

また、作中はクリスマスシーズンということもあり、クリスマスを楽しむ裕福層と、そうでない人たちの対比もありました。現代のイギリスにおける貧富の差を強調する演出も印象的です。

一方で、ボブの可愛らしさは今作でも健在!クリスマスシーズンなので、部屋のツリーにいたずらしたり、サンタコスをしたりと、前作とはまた違った可愛いボブを堪能できます!ボブの目線を取り入れたカメラワークもあり、猫好きの人にはマストで見てほしい作品となっていました。

ボブのキュートさとイギリスの社会問題の対比がすごい

世の中には数多くの猫映画が存在しますが『ボブという名の猫』シリーズほど、猫映画の醍醐味である”可愛らしさ”と、”シリアスな社会問題”をバランスよく取り入れる作品はないと思います。

今作ではジェーズムとボブの絆が試される展開だけでなく、イギリスの社会問題となっている貧困も痛烈に描きました。この映画を観ると、主人公のジェームズをはじめ、職や家のない人が多くいることが分かります(前作でも、薬物依存に苦しんでいるのはジェームズだけではありませんでした)それだけイギリスでは貧富の差が問題になっているのです。

ただ猫がかわいいだけの映画はたくさんありますが、ジェームズやボブによって語られる物語には、自身も過酷な状況を生きたからこその説得力があります。イギリスの社会問題の重さが伝わる、社会派な面もお勧めしたい作品です。

ボブの亡き今だからこそ刺さるメッセージ

残念ながらボブは2020年6月15日にこの世を去りました。映画はボブが亡くなる前に撮影されましたが、前作のようにジェームズ本人と共に来日することはできませんでした。

そして奇しくも『ボブという名の猫2 幸せのギフト』は、ジェームズとボブが(第三者によって)引き離されそうになるストーリーです。これまで一緒にいるのが当たり前だった存在が、突然他人に奪われる恐怖…。ペットを飼っていなくても、人やモノに置き換えれば、その恐怖を想像できるのではないでしょうか。

ジェームズとボブが引き離される理由は金銭面の問題がほとんどです。「お金がないから、適切な環境で育てることができない」というのが動物福祉職員の見解ですが、ペットを捨てたり虐待する人が全員貧しいわけではありません。本作は相棒との絆を描く裏で、人を金銭面で判断している差別的な問題も孕んでいました。

ボブが亡くなった際に、ジェームズは「ボブは相棒でいてくれた以上に、たくさんのものを僕にくれた」と語っています。お金では図れない絆を金銭面で判断する存在に怒りを覚えると同時に、一刻も早く貧富の差がなくなることを強く願う作品でした。

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』あらすじ・感想まとめ

・続編は猫×貧困の問題を掛け合わせた良作!
・社会問題をボブとジェームズの目線で描いた唯一無二の作品
・ボブ亡き今だからこそ刺さる、お金よりもずっと大切な絆のメッセージ

以上、ここまで『ボブという名の猫2 幸せのギフト』をレビューしてきました。

前作以上に「絆」をテーマにした本作ですが、社会問題の描き方はもちろん、これまで以上にまっすぐな感動がラストで待ち受けています。

ヤマダマイ

クリスマスの時期に公開とはなりませんでしたが、見れば心が暖かくなること間違いない作品です!
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