ヴィン・ディーゼル主演の『ブラッドショット』は、ヴァリアント・コミックスの人気キャラクター「ブラッドショット」の生い立ちエピソードを描いたアクション。
ナノテクノロジーによって超人パワーを手にした元アメリカ海兵隊員が、妻を殺した相手の復讐に立ち上がる!
という導入部から、急転直下、まさかの展開に突き進む物語は、迫力あるアクションの連続。『ブラッドショット』は、予備知識なく見た方が、断然に楽しめる作品です。
うなる拳に、ガン・アクションとカー・チェイス、爆弾にすら無敵なヒーローが、痛快で最後まで目を離せません。
・復讐に燃える男
・ほころび始めた偽の記憶
・圧巻のヴィン・ディーゼルの存在感
それでは『ブラッドショット』をレビューします。
目次
【ネタバレ】『ブラッドショット』あらすじ・感想
不死身の身体
アメリカ海兵隊員のレイ・ギャリソン(ヴィン・ディーゼル)が、目を覚ましたのは、謎の施設「ライジング・スピリット・テクノロジー」の一室。
そこで名前と階級、識別番号を聞かれたレイは、自分に過去の記憶がないことに気づきます。施設長のハーティング(ガイ・ピアース)は、ここが戦いで傷を負った軍人に新しいテクノロジーで作った義肢や義眼を提供して、失った機能を進化させ、強化した兵士を復元する研究を行っている場所だと説明します。
そしてレイは、アメリカ軍より提供された身体で、施設の研究するナノテクノロジー「ナナイト」を血液として注入して死から蘇らせた初めての人間だと知らされます。
消耗する「ナナイト」にパワーのチャージを続けることで超人パワーを発揮、ケガをしてもすぐに修復が可能な身体となったレイ。
ハーディングは、レイが死さえ翻したライジング・スピリット・テクノロジーの研究成果だと言うのでした。
蘇った記憶
ライジング・スピリット・テクノロジーで、レイが出会ったのは、肺や視力、両足を失った身体に装具を取りつけ身体能力を強化した元軍人のKT(エイザ・ゴンザレス)、ジミー(サム・ヒューアン)とティブス(アレックス・ヘルナンデス)のなにやら訳知り顔の3人。
その夜、妻ジーナ(タルラ・ライリー)と自分が襲われ、殺された記憶が蘇ったレイ。
ハーティングがとめるのも聞かず、怒りに任せて犯人のアックス(トビー・ケベル)を探し出し、復讐に向かうのでした。
そして屈強なボディーガードに守られるアックスを前に、激しい銃撃戦を繰り広げ、冷酷な目でアックスを殺してしまうのでした。
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抹消される記憶
アックスへの復讐を果たし、大暴れしたことで身体がボロボロとなり「ナナイト」のチャージに施設へと戻ったレイ。
慣れた手つきでレイに「ナナイト」のパワー・チャージをするジミーは、何度も記憶をリセットされ復讐に燃えるレイを忌々しく思っていると告げます。
実は、レイが殺したアックスは、ライジング・スピリット・テクノロジーの技術開発に携わっていた研修者のひとり。
ハーディングは、「ナナイト」開発にかかわった関係者を、レイに復讐の相手と思わせて殺させては、記憶を消していたのです。
KTとジミー、ティブスは、記憶を奪われては、何度も覚醒を続けるレイをフォローしてきたチーム。
「ナナイト」の技術を独り占めしたいだけの欲に走るハーディングに不信を抱いたKTは、レイに真実はおろか選択も与えず暗殺者に仕立てあげる、レイに対する仕打ちを「フェアじゃない」と責めるのでした。
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真相にたどりついたレイ
ライジング・スピリット・テクノロジーの技術を独り占めしようと、脅威となる元同僚バリス(ヨハネス・ヘイクル・ヨハネソン)を次の標的に選んだハーディング。
バリスが妻ジーナを殺した相手と信じて疑わないレイが、襲撃に向かいます。
暴走をするハーティングに記憶を消されては、復讐に向かうレイにヘキヘキするジミーと、何も知らずに操られ続けるレイに同情をするKT。
しかしハーディングに対抗するのに、バリスに監禁されていた凄腕エンジニアのウィガンス(ラモーネ・モリス)の手により、電磁パルスで機能停止をされたレイ。
それによりハーディングの記憶抹消からサイクルから外れ、レイは自分がハーディングに利用されていた真相にたどりつくのでした。
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反撃のとき
5年前にレイと別れ、再婚して生きていた妻のジーナを探し当てたレイ。ハーディングに操られてきた偽りの記憶に愕然とします。
そこへ追ってきたジミーとティブス。壮絶なカー・チェイスを繰り広げ、レイは再びハーディングの元に連れ戻されてしまうのでした。
ボタンひとつで、レイやKTの命を脅かす狂気の域に達したハーディングに危機感を覚えたKT。
ライジング・スピリット・テクノロジーの技術を売り、莫大な富を得ようとするハーティングにとって、「ナナイト」の秘密を知る存在となったウィガンスを殺すのに、レイに偽りの記憶を流しこもうとします。
ところが、KTがウィガンスの手を借りてレイの意識の世界に介入。ついにレイは、ハーディングの呪縛から逃れ、自分自身の人生を取り戻す戦いに臨むのでした。
『ブラッドショット』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『ブラッドショット』をレビューしてきました。
・どこかに感じる違和感
・意外なストーリー展開
・迫力あふれるアクション
・映像美あふれるキメのシーン
とにかく強いヴィン・ディーゼル
厚い胸板と、鍛え上げられた上腕二頭筋がインパクト大な『ブラッドショット』のヴィン・ディーゼルは、とにかく強い!
身体に流れる血液、生物工学ロボット「ナナイト」のおかげで超人的なパワーと再生能力を手にした主人公は、銃で撃たれようが、爆弾で吹っ飛ばされようが、死ぬことがない!
復讐に燃えるレイが、まるでマシンのように標的を追いつめ、鬼気迫るアクションを披露します。
妻を殺され怒れる男、不死身となったレイ・ギャリソンに、違和感なく感情移入出来ますが、物語の展開には冒頭から小さな違和感を残してあり、その演出が絶妙。
脳裏に残る疑問を、その後の謎ときにうまくつなげて、ラストですっきりとヴィン・ディーゼルのアクションでキメるストーリー構成に思わずうなります。
お腹いっぱいにならないさじ加減
「超人パワーを手にした男の復讐」がテーマの定番のストーリーだと思いきや、そこはちょっと違った『ブラッドショット』。
前半のヴィン・ディーゼルの迫力ある立ちまわりだけでも充分に楽しめるのですが、そこはやはりハリウッド映画。
観客をアクション展開だけでお腹いっぱいにはせず、主人公の窮地をどう挽回するか、箸休めをしてから、アクションのおかわりが投入される、よいさじ加減となっております。
意外なストーリー展開と、激しいアクションの中で場面を切り取るスローモーションや、ここぞというシーンのキメのショットが美しいのも魅力。
文句を敢えて言うならば、いい味を出して脇を固めるKT役のエイザ・ゴンザレスとウィルフレッド・ウィガンズ役のラモーネ・モリスの活躍がもっと見たかったことぐらいでしょうか?それだけヴィン・ディーゼルの演じるスーパーヒーローの存在感は圧巻だった『ブラッドショット』。
ラストは続編を作りたい制作陣の下心が見えるエンディングですが、そこは私たち観客も気持ちは同じ。恐ろしく強いヴィン・ディーゼルの姿をまた観たいと思ってしまう爽快アクション作品です。
是非、ご覧ください。