『blank13』あらすじ・ネタバレ感想!斎藤工監督、高橋一生主演!突然失踪した父、空白の13年間が死後埋まっていく

『blank13』あらすじ・ネタバレ感想!斎藤工監督、高橋一生主演!突然失踪した父、空白の13年間が死後埋まっていく

出典:Paravi

13年間失踪していた父はその間何をしていたのか。

父親の葬儀で空白が明らかになっていきます。

ポイント
  • 放送作家であるはしもとこうじの実体験に基づく物語
  • 斎藤工が初めて監督をつとめた長編作品
  • 人間の価値とは、一体何なのか。何で判断すべきものなのか。

それではさっそく『blank13』をネタバレありでレビューします。

▼動画の無料視聴はこちら▼

『blank13』作品情報

『blank13』

(C)2017「blank13」製作委員会

作品名 blank13
公開日 2018年2月3日
上映時間 70分
監督 斎藤工
脚本 西条みつとし
出演者 高橋一生
リリー・フランキー
松岡茉優
金子ノブアキ
神野三鈴
斎藤工
大西利空
北藤遼
織本順吉
村上淳
神戸浩
伊藤沙莉
川瀬陽太
岡田将孝
佐藤二朗
音楽 金子ノブアキ

【ネタバレ】『blank13』あらすじ


松田家の人々

小さな斎場で行われている松田雅人(リリー・フランキー)の葬儀、松田家の二男コウジ(高橋一生)の恋人であり受付をしている西田沙織(松岡茉優)は何人もの人に松田違いの別人の葬儀と間違われていました。

すぐ隣にある寺では、雅人と“松田違いの別人”松田宗太郎の葬儀が行われています。

そちらは雅人の葬儀と違って大きな花輪が飾られ、沢山の参列者の姿がありました。

雅人の葬儀が行われている斎場内、並んだパイプ椅子には故人の知り合いとして訪れた人々もまばら。

雅人の息子で長男のヨシユキ(斎藤工)は隣の寺との違いに「人の価値を教えられた気がした」と漏らしました。

ヨシユキの隣に座るコウジは幼い頃のことを思い出していました。

『blank13』

(C)2017「blank13」製作委員会

小学校の作文で賞をとったことを伝えたくて汗だくになって雅人を探し回る先は、いくつかの雀荘でした。

雅人はギャンブラーでした。

やっと見つけた雀荘で作文を渡すも、麻雀に興じている雅人は「後で読むから」と言うだけでした。

雅人の生前に離婚届を送りつけられていた妻・洋子(神野三鈴)は葬儀に向かう支度をしながら、雅人が400万円もの借金をして夜な夜な取り立て屋がドアの向こうから罵声を浴びせてくる日々を思い出していました。

ある日の夜中、「ちょっとタバコ買いに行ってくるよ」と出かけた雅人はそれきり帰って来ませんでした。

洋子は早朝から新聞配達をし、昼間は内職、夜はスナックで仕事をしながら息子2人を育てます。

来る日も来る日も必死に働いていたある日、新聞配達の途中で車にぶつかり事故に遭いました。

運転手の心配をよそにそのまま配達に行き、夜はアザだらけの顔で片目も開かない状態のままスナックへ行く。

子供たちはそんな母を見て、翌日から自分たちが新聞配達をすることにしました。

あれから、13年

13年の時が経ち、雅人を除く親子3人は久しぶりに家に集まりました。

ヨシユキが未だ行方知れずの雅人は胃がんらしい、と言いました。

末期で余命は3か月。

病院は調べたけれど見舞いに行くかどうかという話になり、全員が「行かない」という答えを出しました。

しかし1人になってから雅人とキャッチボールした日のことを思い出していたコウジは、雅人の入院している病院へと足を運びました。

『BLUE』

出典:IMDB

空白の年月があったにも関わらず、唐突に目の前に現れたコウジに雅人は何度か頷き、「よう」と言い屋上へと誘いました。

家族の様子を聞く雅人に、コウジは「兄のヨシユキが大手広告代理店で働いているのは父のようになりたくないからだ」と伝えました。

雅人は、行方をくらましている間、毎年甲子園の時期になると球児としてコウジが出てくるのではないかと思ってテレビを見ていたという話をしました。

そしてコウジの仕事の話になり、今は現金輸送車の運転手をしていることを告げたら、雅人は「それはお前がやりたい仕事なのか」と問いました。

『blank13』

(C)2017「blank13」製作委員会

話の途中で雅人の携帯が鳴り、どうやら今でも借金をしていることをコウジは察しました。

それ以来、雅人の見舞いには行かずにいたコウジでしたが、ある日沙織からの「行った方がいい。行こう」という言葉につられて2人で病院に行きました。

2か月ぶりの見舞いの帰り際、雅人は「小遣いやるよ」とコウジにお金を渡しました。

驚くほど痩せてしまっていた雅人のことを話しながら歩いている廊下で、沙織はお腹に子どもがいることを告げました。

コウジはバッティングセンターでバットを振りながら、“夢の球場”の話を思い出していました。

小学校の頃に賞をとった作文にも書いたことを、雅人との思い出とともに思い出しながら一心不乱にバットを振りました。

人の価値というもの

そんな雅人の葬儀、お経が終わり、お坊さんがお参りに来た人たちに故人との別れの挨拶を…と切り出します。

誰も言葉を発したがらない空気のなか雀荘仲間だった岡宗太郎(佐藤二朗)は雅人を大バカ者だと言い、お人好しぶりを語りました。

雅人の行きつけのスナックでバイトをしている吉田(伊藤沙莉)は、雅人がママの相談事に乗ったりカラオケでよくテレサ・テンの「つぐない」を歌っていた事を話しました。

そのあとパチンコ屋の店員に続き、マサシ(村上淳)という一人の男性が「手紙を預かっている」と言いそれを読み始めました。

息子たち、友人たち、そして洋子にあてた言葉が紡がれていました。

それからマサシは生前、雅人が自分の奥歯はプラチナだから、もし死んだら息子たちの手に渡るようにしてほしいと言っていた事も明かしました。

そのあとも何人か続く友人たちの思い出話から、雅人は自分もお金がないというのに困った人がいるとその人のためにお金を工面したり一緒の部屋に住まわせたり、とにかく放っておけなかったという人柄が明らかになっていきます。

最後に一人の男性が、雅人のお見舞いに訪れた時のことを話しました。

いいものを見せてやる、と病院のベッドのそばにある引き出しから“夢の球場”というタイトルの作文を出して読ませてくれたと言いました。

喪主をつとめたヨシユキは挨拶で「雅人との思い出はあまりなく、母親の苦労してきた姿ばかり見てきたので、むしろ父の事は死ぬほど嫌いだった」と言いました。

しかし葬儀の間に語られた友人たちの話で思うところのあった様子で言葉を詰まらせ、外へ出て行ってしまいます。

外の壁にもたれてタバコを吸っていると、隣の寺の葬式から“泣き屋”が出てきて次の葬式はどこだとか、泣きすぎだとか言いながら歩いて行くのを目にしました。

出て行ってしまったヨシユキのかわりに挨拶をしたコウジは「僕も父のことが嫌いです」と切り出し、でも少し好きな気もする、よくわからないけれど今は悲しい気もすると言いました。

葬式のあと、洋子はアパートで雅人が残したタバコに火をつけました。

【ネタバレ】『blank13』感想

私が『blank13』を見た理由、ざっくりとした感想など。

ちょっとご無沙汰だった重めな作品が見たいな、と思った時に見つけたのが『blank13』でした。

それこそざっくりあらすじを見るになかなか心がしんどくなりそうな予感がして。

派手に振り回される胸糞悪い系のしんどさではなくて、日常の側にありそうなリアル感をまとったしんどさみたいなものを感じたくて。

vitovito

結果として、しんどさはそこまで大きくなかったけれど思うところのある作品でした。意外にもというか勝手な第一印象に反してどこか温かさがあったというか。

物語は火葬とは何ぞや的な、辞書に書いてあるような文言が並んで火葬場の様子が流れるところから始まります。

土葬より場所をとらないから日本ではほぼほぼ火葬だよ、みたいなことまで。

vitovito

いやこんな砕けた文章ではないけれども。

何かの伏線なのかな、と思ったけど単純に“火葬”というものについて印象付ける冒頭でした。

そこからこの物語の主軸である松田家についてのストーリーが展開していくわけです。

火葬の他にキーになったのは雅人とコウジのキャッチボールを絡めた野球の話。

これも伏線っていうほどではないですけど、行方知れずになっている間も雅人はコウジのことを想っていたんだなぁっていうのがわかるエピソードでした。

何気にあらすじには書かなかったけど洋子もそこに絡んできていたりします。

vitovito

ただのギャンブル狂で借金まみれのクズ野郎かと思っていた雅人が、実はお人好しすぎてそうなってしまっていたっていうことが明らかになっていくところは胸が苦しかったです。

実体験が元になっている話というだけに、こういう人っているよなぁ…とか妙に納得してしまう部分もあったりしました。

リアルというよりは生々しい、みたいな。

『blank13』の好きな場面

vitovito

ここ!!って切り取って好きだと言える場面は特になく、雅人の葬儀で友人たちが故人にあてて挨拶する場面全部が好きです。多分そこが『blank13』のうま味というか、そこに要となるものが凝縮されているような気がします。

雅人の友人は変な人が多いんですよ。

キャスト的にも癖に強い人ばっかりで最初に語り出した岡は佐藤二朗だし。

この人は本当に何に出てても佐藤二朗だな。

vitovito

スナックのバイトの吉田を演じた伊藤沙莉は好きな女優さんだからウハ~!ってなりました。なんかすごく好きなんですよね、あの感じ…声とかも…。

他にも野生爆弾のくっきーとか、ラバーガールの大水洋介とか、濃い人ばっかり出てきて見ごたえがあります。

エンドロールに名前のあったミラクルひかるはどこに出ていたんだろう…。

あと印象に残っている場面というか、“キッチンにはハイライトとウィスキーグラス”で始まるエンディング曲の入り方が秀逸だと思いました。


笹川美和の「家族の風景」という曲なんですけど、まず歌詞が染みる。

声もなんかじんわり心に染みてきます。

vitovito

曲にのせてエンドロールが流れて、洋子と息子2人が雅人の火葬に立ち会っているところが流れるんですけどそこにセリフを乗せなかったところが何か良いなと思いました。

あれこれ語れるほどではないけれど映画の主題歌に関して、入り方って大事だなと思っている私としては3本の指に入るくらいグッとくるエンディングでした。

監督・斎藤工によせて

この作品が初の長編作品だというのは、見ようと決めてから知ったのでちょっと驚きました。

そういえばいつか監督やるって何かで見たなぁくらいの知識だったのもあり。

たまたま見ようと思った作品で巡り合えて良かったです。

vitovito

映画って要は監督の脳内にある映像を形にしたものだと私は思っているので、どんな作品でも大体“あぁ監督の頭の中にはこういう景色があったんだ”とかそんな風に受け取る方なんですけど。

斎藤工という人については、よくわからない人だなと思っているところがあって。

監督作品を見ても、やっぱりよくわからない人だなと思いました。

表現法が謎とかそういう“わからない”ではなくて。

謎めいているって言えば伝わりやすいですかね。

vitovito

バラエティとか出てる時と俳優として演じている時とのギャップですでに“よくわかんない人だな!”と思っていた私はさらに新たな一面を知ることによって混乱してしまったというか。いやそんな大げさな話ではないけれども。

単純に物凄く多才な人なんだな、と思います。

前にキンキキッズの番組で写真を撮る企画もやってたし…その時の写真をキンキ側が気に入ってCDのジャケットにした話は割と有名かと思うのでご存知の方もいるのではないでしょうか。

vitovito

写真だったり映像だったりで何かを表現することって、さっきも書いたけど“頭の中にあるものをアウトプットする”的な事だと思うんです。脳内で見えているものをそのまま表に出すというか何かそういう…うまいこと言葉にできないのがもどかしいんですけど。

斎藤工という人は、きっとそれができる人なんですね。

可か不可かの話じゃなくて、誰にでもできるわけではないことが“できる”、成せるみたいな。

vitovito

私がよく映画を見る時の作品選びの一つに、この監督の作品だから見よう!っていう選び方があるんですけど。見せ方だったりとか物語の描き方がお気に入りの監督とでも言うのかな。そこに彼は加わりました。他の作品ももっと見てみたい。

私は俳優でも監督でもないからわからないけど、どういう気持ちで撮るんだろうなぁ…演じる人の“こう見せたい”と、撮る人の“こう見せたい”はアウトプットの仕方が全然違うわけじゃないですか。

どちらも経験がある上での監督・斎藤工の“こう見せたい”に対して興味がやまない昨今です。

『blank13』まとめ

以上、ここまで『blank13』をレビューしてきました。

要点まとめ
  • やるせない気持ちと、隣り合わせの“人の暖かさ”みたいなものを感じる作品だと思います
  • ヒューマンドラマというカテゴリがドンピシャなほど、生々しい人間の物語
  • 監督である斎藤工の描いた世界を、彼の脳内に描かれていたのであろう世界をぜひ体感してみてください

▼動画の無料視聴はこちら▼