映画『ブレイド2』はアメコミヒーロー「ブレイド」の実写版第2作目です。
今でもファンの多い人気キャラクターで、キャラとしての魅力は第1作目『ブレイド』のレビュー記事で詳しく書かせていただきました。
今回は2人の監督に絞って紐解いて行きたいと思います。
- 魅力的な世界で描かれるヴァンパイアたちの戦い
- ギレルモ・デル・トロ監督の圧倒的な見せ方
- かっこよさを追求した映画作り
それではさっそく映画『ブレイド2』をレビューしたいと思います。
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『ブレイド2』作品情報
作品名 | ブレイド2 |
公開日 | 2002年6月15日 |
上映時間 | 118分 |
監督 | ギレルモ・デル・トロ |
脚本 | デヴィッド・S・ゴイヤー |
原作 | マーヴ・ウォルフマン ジーン・コーラン |
出演者 | ウェズリー・スナイプス クリス・クリストファーソン レオノア・ヴァレラ ノーマン・リーダス ロン・パールマン ルーク・ゴス トーマス・クレッチマン |
音楽 | マルコ・ベルトラミ |
【ネタバレ】『ブレイド2』あらすじ・感想
信頼できる監督ギレルモ・デル・トロが描く世界感
『ブレイド2』は今や名監督となったギレルモ・デル・トロが監督を務めています。(以下:デルトロ監督)
彼の持ち味は、何と言っても映画の作り込み、ディテールの細かさにあります。
監督作『シェイプ・オブ・ウォーター』などをご覧になった方ならわかるかと思います。あの視覚的な作り込みによる世界観の構築は随一です。
そして、映画『ブレイド』シリーズの魅力もその世界観にあります。前作に当たる、シリーズ1作目『ブレイド』もその世界観に引き込まれてしまいます。武器や衣装の視覚的なかっこよさが大きな魅力です。
シリーズものの2作目で重要なことのひとつに、「世界観の拡大」があります。
ですから、世界観を魅力的に描くことに長けるデルトロ監督と今作の相性は抜群であると言え、まさに見事な視覚的ストーリー進行が行われていきます。
まず、今作ではヴァンパイアの社会が丁寧に描かれています。
前作『ブレイド』は、人間の社会の闇に潜んでいるヴァンパイアの社会という見せ方で描かれていました。
それに対して今作『ブレイド2』は、あくまでヴァンパイアの社会をメインで描いています。
それによって、前作と比べてたくさんのヴァンパイアが登場します。
ヴァンパイアの社会の中で役職があったり、恋人同士であったりといったキャラクター設定がされているので、設定が広がるワクワク感が生まれ、それこそ今作の大きな魅力と言えるでしょう。
個人的に好きな部分として、敵のヴァンパイア=リーパーズ(死神族)について研究しているシーンがあります。
手に入れた1体のリーパーズの遺体を解剖し調べています。
この下りは非常に特撮怪獣映画的な印象を受けます。
特撮怪獣映画において重要な場面が「怪獣について調査している」という部分です。
ここの面白さで作品全体の面白さが左右されると言っても過言ではありません。
今作の少し前に、日本で『平成ガメラ』シリーズが公開されました。現在でも高く評価されている傑作です。
この『平成ガメラ』シリーズこそ、得体の知れない怪獣たちを調査していく面白さが詰まっています。
デルトロ監督は『パシフィック・リム』からもわかるように怪獣映画の大ファンなのです。
リーパーズを解剖しているシーンは、おそらくこの『平成ガメラ』シリーズから影響を受けています。
ギャオスやソルジャーレギオンを調査したり、解剖しているシーンを連想させるのです。
怪獣映画の大ファンとして知られるデルトロ監督は、やはり怪獣映画の面白さに対して大きな理解があるようで、こういった信頼できる考え方もデルトロ監督の好きな点です。
他にも親と子の葛藤というくだりもデルトロ監督の持ち味です。『パンズ・ラビリンス』等でも描かれていました。
今作にもヴァンパイアの親子が登場します。
すなわち、『ブレイド2』はデルトロ監督の魅力が全て詰まっている一作となっているのです。
信頼できるアクション監督ドニー・イエン!
ヴァンパイアの一人にスノーマンというキャラクターがいます。
演じているのはドニー・イェンです。
前作のアクション監督ジェフ・ウォードと共に、今作のアクション監督も兼ねています。
当時は俳優としてよりもアクション監督として映画に関わることが多かったのです。
今作のアクションは、前作から大幅にパワーアップしています。
ジェフ・ウォードは前作の時にインタビューで次のように語っています。
「香港映画などのアクションそのままになることを避けた。」
また、アクション監督の谷垣健治さんは、ドニー・イェンのことを次のように語っています。
「本当にどんなアクションでもできてしまう。」
ドニー・イェン演出のブレイド・アクションは、他の映画では見ることができないかっこよさで溢れています。
前述のように香港映画のようなアクションそのままではない『ブレイド』シリーズ独自のアクションとなっているのです。
はっきり言って、ケレン味を増幅させすぎてもはや人間の動きを超えています。
ブレイド役のウェズリー・スナイプスはカンフーや空手の達人でもありますが、それらを超越した殺陣が繰り広げられます。
少し前に公開された『マトリックス』からの影響もあるようにも見られます。
ドニー・イェンのアクションは、ユエン・ウーピンから影響を受けているとよく言われています。
ユエン・ウーピンのアクション設計の特徴に空間を意識した演出があり、今作でも非常に空間的を生かしたアクション設計がされています。
中盤のブレイドとノーマックの戦いを例に出します。
幅の狭い橋のような場所で戦いが始まるのですが、幅が狭いので当然ながら前後方向に動くしかありません。
そこから地面に落ち、取っ組み合いとなります。
そしてノーマックが高く跳び、逃げて行きます。
つまり、前後方向のアクションからの超接近戦、最後には上下の移動で逃亡という、非常に立体的な見せ方がされています。
もう一つのユエン・ウーピンのアクション特徴に、アクションでキャラクターを見せる上手さがあります。
ドニー・イェンはその点も重視しており、その証拠にたくさん登場するヴァンパイアの戦い方が全員異なるのです。
持っている武器が別々だったり、戦闘スタイルが違ったり…といった飽きさせない設計がされています。
ディテールの細かなデルトロ監督との相性も良いように思いました。
『ブレイド2』まとめ
以上、ここまで映画『ブレイド2』について紹介させていただきました。
- 圧倒的なヴァンパイア社会のワクワク感
- ギレルモ・デル・トロ監督の魅力が全て詰まった映画
- 今作でしか見ることができないアクション
書ききれませんでしたが、ストーリーや新キャラ等もとてもよくできています。
見れば誰もが映画の中に広がる世界に引き込まれてしまいます。
映画を構成する要素はたくさんあります。キャスト、美術、アクション、音楽。
それらの全てが高水準な素晴らしい一作です。
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