映画『ブレイド』は、アメコミヒーロー「ブレイド」の実写作品です。
今日の映画につながる重要な一作なので、今作の魅力を私なりに紐解いて行きたいと思います。
- 吸血鬼映画とアクション映画の融合
- アメコミ映画実写化の突破口
- 映画そのものが魅力的な作品
それではさっそく映画『ブレイド』をレビューしたいと思います。
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『ブレイド』作品情報
作品名 | ブレイド |
公開日 | 1999年5月22日 |
上映時間 | 120分 |
監督 | スティーヴン・ノリントン |
脚本 | デヴィッド・S・ゴイヤー |
原作 | マーヴ・ウォルフマン ジーン・コーラン |
出演者 | ウェズリー・スナイプス スティーヴン・ドーフ クリス・クリストファーソン ドナル・ローグ ウド・キア アーリー・ジョバー トレイシー・ローズ |
音楽 | マーク・アイシャム |
【ネタバレ】『ブレイド』あらすじ・感想
ブレイド・アクション!
『ブレイド』のアクションは様々な武術がミックスされています。
今までに見たことがないような、独自のアクションが繰り広げられます。
アクションの見せ方もうまく、アクションシーンだけをずっと見ていられるくらいです。
主人公のブレイドを演じたウェズリー・スナイプスは空手、カポエイラ、カンフー等をマスターしています。
さらに彼はジェット・リーの映画アクションを研究したそうです。
体のさばき方、そして映像的な見せ方を熟知して『ブレイド』の撮影に臨んだのです。
まずオープニングの戦いで引き込まれてしまいます。
ブレイドが一人でヴァンパイアの軍団を蹴散らしていきます。
それ以前のアクション映画とは明らかに違うアクションシーンが見られます。
ハリウッドのアクションとは異なり、またアジアのアクションとも違った印象を受けます。
これこそが『ブレイド』が目指したアクションです。
スタントコーディネーターのジェフ・ウォードは「本作独自のアクションを作った」と語っています。
ブレイドのヴィランにあたるフロストのスタイルに違いがある点も特徴です。
ブレイドは流れるような動きの殺陣がメインで、それこそジェット・リーのアクションに近いものです。
一方のフロストは直線的な動きがメインです。アクション的にはブレイドの方がキレもあり映像的なテンションは高いです。
しかし、冷酷な性格のフロストにはそういったものは必要ありません。
あくまで相手を殺すことを目的としているフロストには、直線的なアクションの方が合っているのです。
また初期案では最後にフロストが血の怪獣になる予定でした。
結局はフロストをもっと見せることにしたようです。
両者の最後の戦いが素晴らしいので、この判断で大正解だったと感じます。
アメコミ実写化の黎明期
今やハリウッド映画の台風の目となったマーベルですが、その映画化の突破口となったのが今作『ブレイド』です。
コミックの実写化としては『バットマン』や『スーパーマン』のDCコミックスの後手に回っていました。
一応マーベルもドルフ・ラングレンの『パニッシャー』などが実写化されていますが、どれも失敗続きでした。
そのため映画化にはどうしても後ろ向きになっていたようです。
今作の制作は一種の賭けだったように思えます。
コミックを映画化するにあたって、どうしても視覚的な作り込みが必要になってきます。
美術から衣装、武器に至るまでその世界観に合ったものにしなければなりません。
逆を言えば、それらが作りこまれていれば映画の質は格段に高くなります。
『ブレイド』は吸血鬼映画として見てもとてもよくできています。
ヴァンパイアたちの社会と人間の社会が交差する様が完璧に演出されています。
人間の社会の闇に潜むヴァンパイアたちが恐ろしくもあり、魅力的に描かれています。
しかし、コミックの実写化であるため、上述のようなアクションの派手さなどから、吸血鬼映画の割には自由度が高くはあるのです。
非現実的なケレン味重視の演出こそがコミック映画の真骨頂です。
いかにかっこいい画を撮るかが鍵になっています。
吸血鬼映画というどこかホラー映画的な印象も受ける題材ですが、今作はどちらかというとアクション映画に近いです。
映画をいかに楽しく見られるかを追求したように思えます。
マーベルの原作者スタン・リーは『ブレイド』について次のように語っています。
「危険やスリルがたくさんあっても、暴力的でなくワクワクできる方がいい。」
まさに『ブレイド』にはその要素が詰まっています。
出血なども多いですが、ウェズリー・スナイプスの動きのキレも相まって暴力的な印象よりもかっこよさが勝ります。
マーベル映画の成功には間違いなく『ブレイド』の功績があります。
最初の15分、最後の15秒
今作の最初の15分は『ブレイド』という映画の面白さが凝縮されていると言っても過言ではありません。最高の始まり方だと断言できます。
映画によくある世界観の説明のような流れで進んでいきます。ブレイドが各場所を回っていきます。
しかし、それらが全く不自然でなく、ひとつの話になっているかのようです。
起承転結の「起」の中に、さらに起承転結があるような印象です。
冒頭、ダンスホールにヴァンパイアたちが集まっています。画面の色調が青みがかっています。
どこか冷たい印象の、ホラー的な画作りだと感じると思います。
そこにいきなり真っ赤な血のシャワーが吹き出します。
青い画面がいきなり真っ赤な血に覆われるインパクトは凄まじいのです。
吸血鬼映画となれば必ず血が出てきますが、こんなに印象的に血が出てきた作品は他にありません。
そこからブレイドの戦いが始まります。その戦いが終わった後にブレイドは独りになります。周りに誰もいません。
ここでブレイドが孤高のヒーローであることがわかります。
そのすぐ後に、倒されたはずのヴァンパイア、クインの死体が復活します。ヴァンパイアの設定がわかります。
このテンポの良さが見事です。この最初の15分で映画『ブレイド』の世界観を理解することができます。
そのおかげで誰でもスムーズに本筋に入って行けます。
さらに、ラストの15秒も見事な出来です。この15秒にも今作の魅力が詰まっていると言えるかもしれません。
映画としては一度終わりますが、ブレイドはこれからもこの世界で生きていくことがわかります。
夜明けに始まり、夜明けに終わるという構成も美しいです。
『ブレイド』まとめ
以上、ここまで映画『ブレイド』について紹介させていただきました。
- ウェズリー・スナイプスのアクションのかっこよさ
- マーベル映画成功の原点
- 世界観を描くうまさ
『アベンジャーズ』シリーズ等が好きな方にはぜひ見てもらいたい一作です。
アメコミ映画として、吸血鬼映画として、アクション映画としてハイレベルな一作に仕上がっています。
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