映画『ベルヴィル・ランデブー』レビュー!おばあちゃん子は絶対観たほうがいいパワフル冒険劇!

(C)Les Armateurs / Production Champion Vivi Film / France 3 Cinema / RGP France / Sylvian Chomet

2003年にカンヌ国際映画祭にて上映されると多くの映画賞を受賞し、アカデミー賞長編アニメーション賞ではフランス映画として初のノミネートを果たしたアニメ映画『ベルヴィル・ランデブー』

レトロな絵柄でありながら、パワフルかつアグレッシブなおばあちゃんたちの活躍が楽しい作品です。

そんなフランスアニメとしては伝説的作品となった『ベルヴィル・ランデブー』が約20年の時を経てリバイバル上映します!日本では2004年に初めて公開され、スタジオジブリの高畑勲氏も絶賛するなど、話題を集めていました。

今回はストーリーもキャラクターも素敵なアニメ『ベルヴィル・ランデブー』の見どころをご紹介します!

ポイント
・クセになるデフォルメされた世界観
・おばあちゃんたちが最強すぎる…!
・イカす音楽や歌に注目

それでは『ベルヴィル・ランデブー』をネタバレなしでレビューします。

『ベルヴィル・ランデブー』あらすじ【ネタバレなし】


孤独な少年と孫想いのおばあちゃん

細長い一軒家に暮らす孤独な少年シャンピオンとそのおばあちゃん(マダム・スーザ)。

シャンピオンの両親は亡くなっており、おばあちゃんは塞ぎがちなシャンピオンを見かねて、いろんなプレゼントを上げるも、全く興味を持つ様子はなし…。

伝説の3人姉妹ミュージシャン「トリプレット」のステージ映像を見せても無反応。

そこでおばあちゃんは子犬のブルーノをプレゼント。

初めて興味を示したシャンピオンを見ておばあちゃんは嬉しくなります。

(C)Les Armateurs / Production Champion Vivi Film / France 3 Cinema / RGP France / Sylvian Chomet

ある日シャンピオンのベッドの下で、自転車が映った写真を集めたアルバムを見つけたおばあちゃんは、シャンピオンに三輪車をプレゼントします。

するとこれまでにないほどシャンピオンは喜び、無我夢中で三輪車をこぐのでした。

数年後、シャンピオンは「ツール・ド・フランス」の出場を目指す!

 

(C)Les Armateurs / Production Champion Vivi Film / France 3 Cinema / RGP France / Sylvian Chomet

それから時を経て、青年となったシャンピオンは自転車レース「ツール・ド・フランス」を目指して特訓の日々を送っていました。

おばあちゃんはスパルタコーチと化し、練習はもちろん、体のケアや食事の管理、自転車の整備まで行います。

ブルーノはすっかり太ってしまい、ご主人であるシャンピオンに相手をしてもらえず寂しそう。

そんな日々を重ねたこともあり、シャンピオンはついに「ツール・ド・フランス」に出場することになりました。

愛する孫がさらわれた!おばあちゃんと犬の大冒険が始まる!

 
しかしシャンピオンが出場した「ツール・ド・フランス」で事件が起きます。

過酷なコースで次々と脱落者が出る中、黒服の怪しげな男が選手を誘拐していたのです。

シャンピオンもコースの途中で力尽き、男たちにさらわれてしまいました。

おばあちゃんは必死でシャンピオンの後を追い「ベルヴィル」という大都市にたどり着きます。

当てのない中で孫を探すおばあちゃんですが、意外な形で力を貸してくれたのは、今はすっかり老いぼれた伝説の3姉妹ミュージシャン「トリプレット」でした。

マフィアに誘拐されたと分かったシャンピオンを救うべく、おばあちゃんとブルーノ、トリプレットの4人と1匹は立ち上がります!果たして無事にシャンピオンを取り戻すことはできるのか?

『ベルヴィル・ランデブー』感想

クセになるデフォルメされた世界観

映画『ベルヴィル・ランデブー』で印象的なのが、デフォルメの仕方が個性的な点です。

例えば、おばあちゃんの家の傍に電車の走る鉄橋がかかるのですが、なぜか鉄橋を避けるように家が建っていました。

よく見ると、先にあったはずの家が橋を避けるように傾いているのです。

普通なら、鉄橋がおばあちゃんの家を避けるように建設されるはずなのに…汗 時の流れには逆らえない残酷さを個性的に描いていると感じました。

(C)Les Armateurs / Production Champion Vivi Film / France 3 Cinema / RGP France / Sylvian Chomet

キャラクターのデザインもかなり特殊。青年となったシャンピオンは自転車レース「ツール・ド・フランス」に出場するため体を鍛えているのですが、足だけ異常にムキムキとなっています。

明らかにアンバランスなのですが、自転車の選手はみんなこのデザインなので、だんだん馴染んでくるから不思議です。

ほかにも極端に太った人(ベルヴィルの人々は大体太っている…もしかすると、ハンバーガー店などもあるため、アメリカへの風刺となっているのかもしれません)、

肩幅が異常に広いマフィア、ネズミのような男など、日本のアニメでシーンではなかなかお目にかかれないデフォルメが満載です。

最初こそ違和感を覚えるかもしれませんが、ラストではこのデフォルメに合わせた演出が満載なので、クセになること間違いなしです!

「おばあちゃんが束になったところで、マフィアに勝つなんて無理なんじゃ…」と思う方もいるかもしれません。

しかし『ベルヴィル・ランデブー』のおばあちゃんはとにかくガッツがあります。

おばあちゃんはシャンピオンを追って、小さなボートで荒波まで乗り越えてベルヴィルまでたどり着くのです。

強力な助っ人であり、昔は伝説のミュージシャンとして有名だった「トリプレット」の戦闘力も高く、使う武器も優しい顔立ちからは想像もつかない物騒なものを使います…(笑)

また、年の功ともいえる機転も利き、個性的な作戦でシャンピオンがとらわれている場所まで潜入・脱出を成し遂げます。

お年寄りが元気な映画は見ているこちらも元気をもらえるのでとても良いです。

劇中の音楽がカッコいい!

本作の隠れた見どころの一つにサントラのカッコよさがあります。

絵柄は鑑賞する前にわかると思いますが、音楽は実際に本編や予告を見ないと分かりません。

しかし、公式サイトではサントラが試聴できるようになっているので、是非聞いてみてほしいです!

特にOPでは、昔の海外アニメを思い起こさせるクラシックな絵柄でスウィンギング・ジャズを披露。絶頂期で若かりし頃の「トリプレット」の歌唱シーンも最高にしびれます。

エンドロールではOPで「トリプレット」が歌っていた曲をアレンジしたものが流れるので、こちらもぜひ聴いてほしい…。

対訳の歌詞も表示されるので、エンドロールまで楽しめる作品でした!

『ベルヴィル・ランデブー』あらすじ・感想まとめ

要点まとめ
・だんだん病みつきになる個性的なキャラデザイン
・無敵のおばあちゃんの活躍に注目!
・OPからEDまで楽しめるサウンドトラック

以上、ここまで『ベルヴィル・ランデブー』をレビューしてきました。
海外のアニメの絵柄はちょっと苦手という人でも、愛くるしいおばあちゃんの動きや、「トリプレット」をはじめとする、個性的すぎてツッコみたくなるお茶目な演出はきっと楽しめるはず!

日本のテレビアニメなのではまずお目にかかれない、独特な演出やデザインはぜひチェックしてほしい作品です。元気なおばあちゃんたちを見て元気をもらえる良作でした!