みなさん、インド映画を観たことはありますか?
本作『バジュランギおじさんと、小さな迷子』は、インドで空前のヒットを飛ばした感動巨編。
異国の地インドで、迷子になったパキスタン人少女を母親の元に届けようとする心優しき男性の姿を描くロード・ムービー。
迷子の話を中心にしていますが、この作品の本来の主題は、インドとパキスタンが長年抱える国際紛争の是非を問う社会派ドラマです。
日本人が知らないインドの側面を知ることができる貴重な映画にもなっています。
目次
『バジュランギおじさんと、小さな迷子』作品情報
作品名 | バジュランギおじさんと、小さな迷子 |
公開日 | 2019年1月18日 |
上映時間 | 159分 |
監督 | カビール・カーン |
脚本 | カビール・カーン パルヴィーズ・シャイク K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード カウサル・ムニール |
出演者 | サルマン・カーン ハルシャーリー・マルホートラ ナワーズッディーン・シッディーキー カリーナ・カプール |
音楽 | プリータム ジュリアス・パッキャム |
『バジュランギおじさんと、小さな迷子』あらすじ
声が出ないパキスタンの少女シャヒーダー(ハルシャーリー・マルホートラ)は、母親とインドのイスラム寺院に願掛けに行った帰り道ではぐれてしまう。
ヒンドゥー教徒のパワン(サルマーン・カーン)は迷子の彼女を預かるが、後に少女がイスラム教徒だと知る。
対立する両国の現実を背負いつつも、パワンは国境を越え少女を親元に送り届けようとする。
出典:シネマトゥデイ
『バジュランギおじさんと、小さな迷子』みどころ
インド人の青年が、迷子のパキスタン人の少女を親元に送り届けるため旅に出る姿を描いた人間ドラマ。
『ダバング 大胆不敵』などのサルマーン・カーンが主演を務め、およそ5,000人のオーディションから選ばれた子役のハルシャーリー・マルホートラ、『きっと、うまくいく』などのカリーナ・カプール、『女神は二度微笑む』などのナワーズッディーン・シッディーキーらが共演。
『タイガー~伝説のスパイ~』でサルマーンと組んだカビール・カーンがメガホンを取った。
出典:シネマトゥデイ
『バジュランギおじさんと、小さな迷子』を視聴できる動画配信サービス
『バジュランギおじさんと、小さな迷子』は、下記のアイコンが有効になっているビデオ・オン・デマンドにて動画視聴することができます。
なお、各ビデオ・オン・デマンドには無料期間があります。
- 動画の配信情報は2019年8月18日時点のモノです。
- 動画配信ラインナップは変更される可能性もありますので、登録前に各サービスの公式ページにて必ずご確認ください。
ご覧のとおり、2019年8月18日現在はどこのビデオ・オン・デマンドでも配信開始となっておりません。
動画配信が開始になり次第、追って情報を掲載させていただきます。
【ネタバレ】『バジュランギおじさんと、小さな迷子』感想レビュー
心優しきおじさんと迷子の少女
大人と子供が旅をしながら絆を深めていくストーリーは、本当に昔から使われている手法。
よくある、ありがちと言ってしまえば、そこまでですね。
しかし、この映画の良いところは、基礎となる物語にインドとパキスタンの国際情勢や宗教間の問題など、社会的なトピックを盛り込んでいるという点なのです。
ただ、日本人からすれば、国際間の問題や宗教的な事柄とは無縁だと、なかなか頭に入って来ないと思います。
私も理解するのに少し時間がかかりました。ですので、大筋の話とは別に、日本とはほぼ縁がない他国の社会情勢の知識も習得してから観てもいいのかも知れません。
本作の主人公はとても人柄が良く、真面目で、実直な青年。すごく好感が持てます。
ただ、学校を10年かけて卒業するなど、少し間抜けなところもあります。
しかし、好青年であることに変わりなく、非常に感じがいい人物なのです。
体を張って、危険を省みず、迷子のパキスタン人少女を母親の元に送り届けようとする姿に応援したくなります。
どこまでも真面目で、誠実な性格を持つ人物として描いている点も見どころです。
また、迷子になってしまう女の子も本当に可愛く、健気に見えてならない。
誰もが、こんな少女と出会えってしまえば主人公のような行動を取ってしまうことでしょう。
この血の繋がりのない大人と少女が繰り広げる旅の珍道中もまた、本作の魅力的なポイントなのです。
音楽とダンスはインド映画の真骨頂
インド映画と言えば、やっぱり歌とダンスが印象的です。
本作『バジュランギおじさんと、小さな迷子』でも、全編を通して絢爛豪華なダンスシーンが、各場面で用意されています。
1曲分に対して5分ほどのミュージカル場面。主人公の生い立ちを語るだけで15分。
一つ一つのシーンを丁寧に描写するので、上映時間も159分と長尺。
しかし、長いからと言って、退屈にもならない。飽きさせないために、随所でダンスの場面があるんじゃないかと思わせるほどです。
ミュージカルが好きな人は、インド映画に夢中になるだろうと思います。私もそのクチです。
本作と同じジャンルを観たのは、2008年に公開された映画『スラムドッグ・ミリオネア』からです。
本作を初めて観た時の興奮は、今でも忘れられないぐらい覚えています。
それでも、本場のような派手さはなかったと思います。なにしろ、イギリス出資の作品ですから。
そう言う意味では、『スラムドッグ・ミリオネア』には、それほどインドの雰囲気は漂ってなかったと印象として残っています。
しかしながら、初めて観たときのあの感動は、拭えないものがあります。
インド映画として、歌とダンスの豪華な画作りに今も感動しています。
ハリウッドにはない、ミュージカルのテイストを味わえるのはボリウッドだけです。
ムンバイの旧称「ボンベイ」の頭文字「ボ」と、アメリカ映画産業の中心地「ハリウッド」を合わせてつけられました。
だからこそ、真骨頂と言いたいのです。
インドとパキスタンん国際問題を取り上げた意義
今でも続く、インドとパキスタンの関係性は国際問題のひとつです。
その問題を作品に取り入れた意義は大きい。
インドで公開されてから3年が経ち、この国際紛争の事実が日本にも届いたに違いありません。
1947年から続く戦争は、2019年になった今でも緊張が続いているのです。
それゆえに、国境を越えて紡がれる友情は、誰もが感動を覚えるでしょう。
青年と少女の出会いは、強い繋がりとなって、両国の問題を露呈して欲しいものです。
すごくありがちですけど、迷子が結んだものは、年齢も性別も人種をも越えた絆であると感じました。
遠い国で、今でも戦争や紛争で苦しむ人たちがいることを、私を含め日本人は知らない人がほとんどだと思います。
当事者にならないと、その国でいったい何が起こっているのか想像も難しい。
興味を示さないと入ってこない情報だってあります。知らなかったことを知るということ。
時には、他国が抱える問題にも目を向ける時があってもいいのかもしれない。
日本のニュースなどで、外国の情報を入手するのは到底困難なことだってあると思います。
あまりに情報量が少なすぎると、いったい他国で何が起きているのかを肌で感じることができません。
だからこそ、本作『バジュランギおじさんと、小さな迷子』が伝えようとしているメッセージは、意義のあるものなのです。
『バジュランギおじさんと、小さな迷子』まとめ
#サルマン・カーン
「私が今まで出演してきた作品の中で、最も素晴らしい映画だと思う。これまでのイメージを捨てて、映画を観に来て欲しい」肉体派大スターにとって本作はイメージを一新する大きな挑戦であったが、結果、彼の最高傑作と評価された✨😂#インド映画#バジュランギ pic.twitter.com/qchX0NX4me
— 映画「バジュランギおじさんと、小さな迷子」 (@Bajrangi_movie) November 20, 2018
本作『バジュランギおじさんと小さな迷子』は、ボリウッド作品において絶対不可欠となる歌とダンスが多分に楽しめます。
ただ、本作で一番伝えたかったことは、インドとパキスタンの国際問題であろうと思います。
その問題に絡めて描かれる大人と子供の不思議な旅に、誰もが泣かされるのではないでしょうか?
重厚なテーマ性を含みながらも観る側の気持ちを温かくするのは、人と人との出会いや絆をしっかりと描写しているからです。
あらゆる映画サイトで軒並み高評価を得ている本作。
本当に観る価値のある作品だとおすすめしたい一作です。