フランスの実写版『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』(18)を手掛けたフィリップ・ラショーと、そのスタッフが再集結したアメコミパロディ映画『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』が7月15日より公開します!
『シティーハンター』同様、異様に完成度の高いバッドスーツやバッドモービル…さらに、細かいアメコミ映画のパロディをちりばめながら、ノリや演出は非常におバカな作品となっていました!
・魅せるところは魅せ、おバカなところはおバカ
・笑っていいのか迷うキワドいネタも多数!
それでは『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』をネタバレなしでレビューします。
目次
『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』あらすじ【ネタバレなし】
冴えない役者の男に一世一代のチャンス到来!
役者として夢を追い続けるセドリック(フィリップ・ラショー)は、年齢的にも世間体的にも厳しい時期に差し掛かっていた。父親は警察署の署長、妹(エロディ・フォンタン)は軍人として活躍するためか、家族の目も厳しい中でくじけそうな日々を送っている。
そんなある日、セドリックに新作映画『バッドマン』(バットマンではない)の主演オファーがかかる。一世一代のチャンスが舞い降りてきた中で、さらに第一候補だった俳優が事故に遭い、奇跡的に主演の座が回ってくるセドリック。共演には、役者を志すきっかけとなった名優もいるとなって、セドリックはこれ以上ないほど役作りに没頭する。
記憶をなくし、ホントにバッドマンだと信じこむセドリック…
映画の内容はバッドマンが宿敵ピエロ(ジョーカーではない)と対決し、さらわれた家族を救い出すというもの。ピエロは銀行から大金を奪い、バッドマンの家族を人質にするのだ。アクションシーンも多いことから、肉体改造まで行ったセドリックだが、撮影中に父親がケガをして入院したと知らされて動揺する。
慌てたセドリックはバッドマンのコスチュームを着たまま、小道具が積み込まれたバッドモービルで病院に向かう。しかし道中にバッドモービルの仕掛けが誤作動して事故を起こしてしまう。さらにその衝撃で、セドリックは記憶喪失になってしまう。セドリックは自分が着ている衣装や道具から、本当にバッドマンだと思い込む。
しかし、セドリックがクラッシュした場所は運悪くも銀行。おまけに車には撮影に使っていたカネが入ったバッグまで…。誤解を恐れたセドリックはそのまま現場から逃走してしまう。セドリックは無事記憶を取り戻し、撮影に復帰することはできるのか…?
『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』感想
シティーハンターの次はアメコミへの愛が爆発する!
『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』の監督・主演を務めるのは『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』でも監督・主演を担当したフィリップ・ラショー。フランスを舞台に実写化したにもかかわらず、キャラクターデザイン、世界観など原作そっくりとなっており、本国ならず日本でも大きな注目を集めました。
なにより、フィリップ・ラショー自身「シティーハンター」の大ファンであることも話題を集めており、フランスでは「日本のマンガを実写化した先駆者」としても知られることとなりました。
そして今回、原作愛を映画に落とし込むことに長けたフィリップ・ラショーが挑戦したのは、アメコミのパロディ。アメリカでは数多くあるアメコミパロディ作品ですが、あえてフランスのキャストとスタッフで撮影するあたり、「シティーハンター」同様の熱量を感じます。
『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』のスタッフが再集結したこともあって、本編に登場するバッドマンの衣装やガジェットも(作中で「バッドマン」は低予算映画と言われていましたが…)本格的です。今度はラショーがアメコミ愛を届けます!
アメコミネタ満載!完成度の高すぎるパロディ映画
本作は「バットマン」のパロディ作品と見せかけて、ほかのヒーロー映画のパロディも多数見られます。ホアキン・フェニックスが主演を務め、続編の制作も決まった『ジョーカー』(19)の名シーンをはじめ、サム・ライミ監督『スパイダーマン』(02)で知られる有名なキスシーンも。もはやDCだろうとマーベルだろうと関係ない!(笑)
ちなみにパロディ映画と言いつつ、劇中のバッドマンコスチュームはクオリティが高く、元ネタおなじみの機能をはじめ、リアルに実弾を跳ね返すほどの頑丈さも備わっています。フィリップ・ラショーの原作リスペクトが見られる良演出です。
さらに肉体改造もしっかりやっていることもあって、アクションシーンもキレキレです。業界あるある(?)ともいえる、スポンサーのわがままに答えつつ、敵を倒すバッドマンは必見です!(笑)
ぶっちゃけアメコミを知らなくても楽しめます!
ここまで書いておきながら、実のところ筆者はアメコミ映画に疎く、『バットマン』はもちろん『アベンジャーズ』シリーズもそんなに詳しくは知りません…。
しかし本作はアメコミネタ以外にも、ラショーの得意とする下ネタや「マンガかよ」と突っ込みたくなる滑稽なシーンも多数。人がおもちゃみたいに飛んでいきます。
また、過去作に共通して言える「主人公の友達がクセ強すぎる」問題は、本作でも顕在。治験のバイトで薬を飲んでいたら終始エッチな幻覚を見るようになった友人。その友人の母親と付き合っている熟女好きの友人…。想像してみてください、自分の友達が自分の家で、自分の母親とイチャイチャしている様子を。
また、ラショーの過去作は動物がかなりの確率でヒドイ目に遭うことがあります。『真夜中のパリでヒャッハ-!』(14)では他人の飼っていた鳥が酔っ払いのせいで死んでしまったり、『アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー!な大騒動になった件』(17)では、可愛い犬が吹っ飛ばされ車のボンネットに突き刺さるなど、動物愛護団体が黙っていなさそうな演出が多数ありました。
『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』でも、ラショー演じる主人公セドリックのせいで、結構貴重な動物が一撃で大量死しています…。ラショーは過去に動物で嫌な思いでもしたのでしょうか…。
他にも某歴史的建造物が再炎上するなど、笑っていいのか迷うキワどい時事ネタもあります。そういう不謹慎ネタもぶっこむあたりがラショー監督っぽい演出なので、過去作が好きな人もぜひチェックしてみてください。
『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』あらすじ・感想まとめ
・パロディネタから不謹慎ネタまで楽しめる!
・ラショー監督の過去作が好きな人も必見
以上、ここまで『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』をレビューしてきました。
ヤマダマイ