1950~60年代を代表する世界的な名女優、オードリー・ヘプバーン。
女優であると同時にファッションアイコンでもあったオードリーが身にまとった衣裳は、スクリーンを飛び出して社会現象を起こすほどの影響力を持っていました。
今回はそんなオードリーを彩ったファッションをご紹介したいと思います。
目次
オードリー・ヘプバーンの衣裳としてのファッション
『ローマの休日』で魅せた二面性
オードリー・ヘプバーンの出世作として名前を挙げられるのが『ローマの休日』。
無名だったオードリーが一躍して大スターになった作品です。
一国の王女がこっそり街へ出て今時の普通の女の子として過ごすラブロマンスは、時代を超えて愛されています。
劇中では王女としての高貴な一面と、普通の女の子としてのカジュアルかつ品のある一面という2つの姿を披露しています。
当時人気を博した女優といえば、エリザベス・テイラーやマリリン・モンローなど、小柄でグラマーなタイプがメジャーでした。
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細身でスタイルの良いオードリーのファッションは若者の間で新たなブームとなっていきます。
『ローマの休日』で有名なファッションといえば、ロング丈の青いフレアスカートと白い開襟シャツの爽やかな組み合わせ。
カジュアルでありながら品のある女性らしさを保ったスタイリングです。
そこにベルトをしてウエストをキュッと絞ったことで、さらにスタイルアップされています。
オードリーの細いウエストはトレードマークでもあり、そのサイズは50.8cmほどだったといわれています。
細すぎるほどのそのウエストで数々の細身の衣装を着こなしています。
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首回りの大きく開いた白いドレスに、大ぶりのティアラ、イヤリング、ネックレスを装着。
ドレスがシンプルなデザインのため、主張が強いアクセサリーたちをつけてもゴチャゴチャした感じのしない、洗練されたスタイリングになっています。
同時代に活躍した女優、グレース・ケリーは類稀な美貌と溢れる気品で“クール・ビューティー”と称され、後にモナコ王妃となったことでその品位を本当のものにしました。
王女役で有名になったオードリーは度々グレース・ケリーと比較されることがありましたが、オードリーが元来持っている奥ゆかしい性格が本物の王女たらしめる要因になっていたと評価されています。
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『麗しのサブリナ』での社会現象にもなったファッション
オードリー・ヘプバーンは『麗しのサブリナ』では、冴えない田舎娘がパリへ留学し、洗練された淑女になって戻ってくるというシンデレラ・ストーリーのヒロインを演じました。
この作品でも二つの姿を披露しているオードリーですが、多くのファッションが社会現象となりました。
『麗しのサブリナ』のタイトルから名前が付いたのは“サブリナ・パンツ”。
長さは八分丈から九分丈くらいで、細身の女性用パンツです。
オードリーが劇中で着用したことでブームになりました。
第一次世界大戦以前、女性がパンツを履くことはありませんでしたが、戦争をきっかけに労働のため、パンツを履く文化が生まれました。
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この時期には、ロンドンで女性用のスリーピーススーツが誕生したり、パンツルックの女優が増加したりと、女性のパンツスタイルはかなり一般的になります。
しかし、その風潮を良しとしない男性が多かったこともあって、1950年代に向けて女性のファッションの“コンサバ化”が進んでいきます。
そんな中で登場したのがオードリーの着用した“サブリナ・パンツ”でした。
動きやすいパンツでありながら、女性らしい細身のシルエット。
コンサバに見えるパンツスタイルの第一号とされています。
1950年代半ばには対抗文化の時代が訪れ、女性のパンツスタイルは当たり前になっていきますが、その大きなきっかけとなったのがオードリー演じるサブリナだといっても過言ではないでしょう。
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『ローマの休日』から続いていたヘアスタイルは“ヘプバーン・カット”と呼ばれました。
当時の女性たちにとってショートカットはかなり抵抗のあるものだったようですが、眉上の前髪と後ろにきちっと流したサイドの髪、そして後れ毛をつくらないスタイルは一時的に大ブームとなりました。
“ヘプバーン・サンダル”と名の付いたサンダルは、つま先とかかとの部分が開いたつっかけるだけのサンダルのことで、田舎娘のサブリナがラフに履いても可愛かったことから人気がでたものです。
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他にもポニーテールにドット柄のワンピースや、メンズサイズのチェックシャツをショートパンツにインするスタイルなど、女の子らしさを残しながらも活発に活動できそうな格好は話題となりました。
対して留学から戻ったあとのサブリナは、シンプルでありながら女性らしいスタイルをするようになります。
上下黒で合わせた落ち着いた組み合わせですが、背中がV字に大きく開いた色っぽいものや、ロングコートにマフラーをピタッと巻きつけたようなスタイリング。
カクテルドレスをシックに着こなす姿や、大きめのイヤリングを身に付けた姿も目を引きます。
オードリーはプライベートでもファッションにこだわりがあったため、劇中での着こなしは公私ともに気に入っていたそうです。
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オードリー・ヘプバーンが愛したファッション
ジバンシィとの関係
オードリー・ヘプバーンがファッションアイコンとなった陰には、「ジバンシィ」を立ち上げたファッションデザイナー、ユベール・ド・ジバンシィとの友情関係がありました。
『麗しのサブリナ』での衣装を頼まれたジバンシィ。
「女優のヘプバーンが来る」と言われていたので、当時の人気女優、キャサリン・ヘプバーンと勘違いしていたそうです。
オードリーはその頃まだ無名だったので、最初ジバンシィはがっかりしたそうですが、2人はすぐに意気投合。
オードリーは女性の身体のコンプレックスをカバーし、それぞれの個性に合った美しさを追求するジバンシィの作品に夢中になりました。
ジバンシィはオードリーから溢れる気品と知性を感じ、プロにも負けず劣らないファッションセンスに一目置いていました。
そこから何作も一緒に映画のファッションを作り上げた2人。
『ティファニーで朝食を』の冒頭シーンに登場する、あまりにも有名な“リトル・ブラック・ドレス”もジバンシィがオードリーのために生み出した至極の作品です。
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ジバンシィも史上初めて女優をミューズとした香水を作るほどオードリーの感覚と人間性の全てを信頼していました。
2人の友情関係は生涯続き、映画界でのファッションの在り方を変えたともいえます。
イーディス・ヘッドの存在
オードリー・ヘプバーンのイメージを作り上げるのに一役買ったのはジバンシィだけではありません。
アメリカで活躍した衣裳デザイナー、イーディス・ヘッドもまたオードリーをファッションアイコンとして支えた存在です。
オードリーの出世作『ローマの休日』で衣裳を担当したのがイーディス・ヘッド。
可憐で素直で品のある女性像は、この時からすでにファッションと共にありました。
イーディスはオードリーの個性を一目で見抜き、最大限その良さを引き立てることに成功しています。
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また、当時のハリウッドでは女優にきらびやかな格好をさせるのが当たり前だとされていたのですが、イーディスはシンプルでシックなファッションから女性らしさを見出すことが得意でした。
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オードリー・ヘプバーンのファッション:まとめ
いかがだったでしょうか。
永遠のファッションアイコンとして生き続ける名女優、オードリー・ヘプバーン。
出演した映画が名作だらけなのは言うまでもないですが、ファッションに注目して観ることでまた違った良さを発見できるのではないでしょうか。
ぜひ、時代を超えて愛されるオードリーの出演作品をお楽しみください!