『アトミック・ブロンド』は、主演シャーリーズ・セロンが最高にカッコイイ、スパイ・アクション!
MI6の女スパイ、ロレーン・ブロートンの任務は、世界の運命を握る最高機密リストの奪還すること。
冷戦終結直前の1989年を舞台に、東西両陣営の諜報活動をハード・ボイルドに描いた作品です。
美しいだけでなく、身体能力が高いシャーリーズ・セロンが自らアクションをこなし、その魅力と迫力全開の『アトミック・ブロンド』。
ここまで荒々しく生々しいアクション・シーンをこなすアカデミー賞女優は見たことがない!
セクシーでワイルド、クール・ビューティーな諜報員ロレーン・ブロートンがどこまでもカッコよく、タフな爽快ストーリーです。
・MI6の諜報員ロレーン・ブロートン
・誰が敵で誰が味方かわからない
・荒々しいキレキレ・アクション
・まさかのラスト
それでは『アトミック・ブロンド』をレビューします。
目次
【ネタバレ】『アトミック・ブロンド』あらすじ・感想
冷戦末期の諜報員たち
MI6の諜報員ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)が、情報局の一室でグレイ(トビー・ジョーンズ)とCIAクルツフェルト(ジョン・グッドマン)から、聴取を受けるのは国家秘密にかかわる任務について。
事の発端は、MI6のガスコイン(サム・ハーグレイブ)が東ドイツ保安省(シュタージ)の役人スパイグラス(エディ・マーサン)から、世界で活動する諜報員の情報の入ったマイクロ・フィルムを受け取った後に西ドイツで殺害をされたことでした。
マイクロ・フィルムに入っていたのは、スパイグラスが西側に亡命するのに、東ドイツから持ち出した情報で、冷戦下での工作員たちの活動を記録した、東西の緊迫した関係にさらに火を注ぐ、核爆弾級の情報です。
その「リスト」の奪還の任務についたエレーン。ガスコインの遺体を引き取る名目でベルリン入りしたエレーンは、到着早々にKDB工作員からの手荒い歓迎を受ける怪しい雲行き。
ドイツ支局の諜報員パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)と協力して、ガスコインを殺害した殺し屋バクティン (ヨハン・ハウクル・ヨハンネソン)を手掛かりにリストの行方を探すのでした。
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誰が敵で誰が味方か
ベルリンを拠点に、諜報活動に続けるパーシヴァルは一匹狼。MI6にはエレーンと協力して、リストを取り戻すとしながら、西側への亡命を懇願するスパイグラスに秘密裏に接触したり、ガスコインの自宅で手掛かりを探るエレーンのもとには警官が踏み込ませたりと、怪しい動きをするばかりで協力する気配がありません。
それにもうひとり、エレーンたち周辺をかぎまわるのは、フランスの諜報員デルフィーヌ(ソフィア・ブテラ)。各国の情報機関は、スパイグラスの持ち出したリストの行方に注目しているのでした。
そしてエレーンには、もうひとつの任務が課せられています。
それは、二重スパイのサッチェルの正体をつかむこと。サッチェルによる情報漏洩はMI6にとって、大きな痛手となっており、エレーンはリストを探し出すことだけではなく、サッチェルの正体を暴き、抹殺指令まで受けていたのでした。
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そして画面を中心に見栄を切るような画角。アクションとシーン展開と編集、ハリウッド・マジックが全てつまっているのもこの作品の醍醐味です。
極秘リストの所在
エレーンの裏で、ひとりスパイグラスのリストをバクティンから奪い取り、手にしたパーシヴァル。
リストの存在を隠し、スパイグラスを西側に逃がそうと言いだしたパーシヴァルに、エレーンは協力することにします。
シュタージの情報だけでなく、リストの内容を全て記憶しているスパイグラスは、MI6にとって利益をもたらすと、東ドイツからの脱出を試みます。
ところが、パーシヴァルの裏切りにあいスパイグラスは撃たれ、リストを狙うKGBの襲撃を受ける事態に。
敵の追跡をかわし、西側に向かおうとするエレーンの健闘も空しく、スパイグラスは命を落とすのでした。
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このシーンでは、BGMはなく、生々しいうなり声がリアルに使われており、エレーンはボコボコに殴られ、プロンドが血に染まり、まさしく肉弾戦の殴り合い。
シャーリーズ・セロンおそるべし。
二重スパイのサッチャルの正体
MI6、KGB、CIAが、血眼になって探すリストを手元に置くパーシヴァルが知ったのは二重スパイのサッチェルの正体。
エレーン、パーシヴァル、それぞれの思惑で行動するそんな中起きたのは、冷戦の終結を告げるベルリンの壁の崩壊。
パーシヴァルが、MI6にリストを渡さずにいたのは、リストを手にした者が、力を得て、持たないものは標的になると、諜報員としての責務を忘れた、自分勝手な都合。
パーシヴァルはリストを見たことでロレーンが、サッチェルと気づき、リストにある自分の悪事を知るスパイグラスもエレーン同様に生かしておくわけにはいかないと、KGBに襲わせたというのです。
そんなスパイとしての仕事を捨て、ベルリンの壁が崩壊した街を後にしようとするパーシヴァルを、エレーンは冷たい目で、彼を裏切り者のサッチェルに仕立て上げ撃ち殺してしまうのでした。
エレーンの本当の任務
ロレーンが、情報局の一室でグレイとCIAのクルツフェルトに聴取を受けていたのは、ガスコインとパーシヴァルのふたりのスパイが死んだベルリンでの経緯を知るため。リストの回収もかなわず、サッチェルの正体に確信が持てないベルリンでの不可解な状況の説明を求めるMI6 の上層部との対話だったのです。
用意周到なエレーンは、ベルリンで集めた情報を繋げ合わせ、パーシヴァルを二重スパイのサッチェルに仕立てあげMI6をもけむに巻いてしまうのでした。
MI6では、リストは手に入れることが出来なかったと報告したエレーンでしたが、KGBの工作員ブレモヴィッチ(ローランド・モラー)の前にリストを手にサッチェルとして姿を現します。
ところが、二重スパイの裏切り者としてエレーンを殺そうとするブレモヴィッチ。それを動じず、応戦したエレーンの放った言葉は、意外なものでした。
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リストは誰も危険にさらすことなく秘密裏に処理され、冷戦の終結を導く大団円!
ブレモヴィッチを倒した後のエレーンの独白、ブリティッシュ・アクセントではないのに注目です。
『アトミック・ブロンド』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『アトミック・ブロンド』をレビューしてきました。
・意外と難解なストーリー
・各国スパイの暗躍
・一筋縄でいかないエンディング
『アトミック・ブロンド』は、冷戦時代に暗躍する東西両陣営の情報機関スパイたちが、世界の均衡を乱すリストの奪還に走るスパイ・アクション。シャーリーズ・セロン演じるゴージャスでタフな諜報員ロレーン・ブロートンに圧倒されっぱなしの2時間です。
ただ冷戦の諜報合戦の時代が背景ということもあり、M16、KGB、CIAのお馴染みの情報機関だけでなく東ドイツ保安省(シュタージ)やフランス対外治安総局(DGSE)ととにかく登場人物が多く、誰がどこに所属するスパイなのか識別するのが、ちょっとばかり難解です。
ほんの30年前のこととはいえ、東西両陣営のスパイの暗躍する資本主義と社会主義の対立構造の世界、冷戦を知らない世代には、ピンとこない時代背景です。
それでも全編にちりばめられたアクションと80年代のヒットソングが、物語をぐっと締めていて息つく暇なく楽しめる作品です。破壊力が高いヒロインのインパクトは大きく、最後の最後まで気が抜けない展開に拍手喝さいです。
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