2014年に公開された、パク・フンジョン監督の韓国ノワール『新しき世界』。
- イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミンら豪華キャストが勢揃い
- 韓国での公開当時、青少年鑑賞不可作品でありながら468万人の観客動員を記録した
- 犯罪組織に潜入して8年になる刑事の心の葛藤と組織の後継者争いを描く
韓国最大の犯罪組織に潜入した刑事、ジャソンの運命や、タイトルにもなっている『新しき世界』の意味とは?
マルコヤマモト
『新しき世界』作品情報
作品名 | 新しき世界 |
公開日 | 2014年2月1日 |
上映時間 | 134分 |
監督 | パク・フンジョン |
脚本 | パク・フンジョン |
出演者 | イ・ジョンジェ チェ・ミンシク ファン・ジョンミン パク・ソンウン ソン・ジヒョ チュ・ジンモ チェ・イルファ |
音楽 | チョン・ヨンウク |
『新しき世界』キャスト
イ・ジョンジェ / 役:イ・ジャソン
- 韓国の犯罪組織「ゴールド・ムーン」で潜入捜査を行っている警察官
- 組織のNo.2である華僑のチェン・チェンの右腕として活動している
- 警察の任務とチェン・チェンとの間に生まれた絆の間で葛藤する
チェ・ミンシク / 役:カン・ヒョンチョル
- ジャソンの上司で警察課長。ジャソンに潜入捜査を命令した張本人
- 後継者争いに揺れる「ゴールド・ムーン」をこの機に壊滅させるため、「新世界計画」を発動させる
ファン・ジョンミン / 役:チョン・チョン
- 「ゴールド・ムーン」のNo.2の華僑で通称「上海のボス」と呼ばれている
- ジャソンのことを誰よりも信頼しており、「ブラザー」と呼び合う仲
- いい加減そうに見えるが、非常に暴力的な面もある
パク・ソンウン / 役:イ・ジュング
- 「ゴールド・ムーン」のNo.3で組織の裏家業などの事業を担当している
- 現会長が死去し、チョン・チョンと後継者を巡って争うことに
ソン・ジヒョ / 役:シヌ
- ジャソンの囲碁の先生を装って潜入している女性刑事
- カン課長への報告係を担っている
【ネタバレ】『新しき世界』あらすじ
犯罪組織に潜入した刑事
韓国最大の犯罪組織「ゴールド・ムーン」で潜入捜査を開始して8年になる刑事のイ・ジャソン(イ・ジョンジェ)。
組織No.2の華僑で中国のマフィアたちをも手懐けるチョン・チョン(ファン・ジョンミン)の右腕として活躍し、理事という立場まで上り詰めていました。
しかしある夜、ゴールド・ムーンの会長が事故死(と見せかけた謀殺)したことにより、組織内で後継者争いが勃発します。
妻が妊娠したことと会長が亡くなったことで任務を辞められると思っていたジャソンでしたが、会長が亡くなったことで組織壊滅の好機と睨んだ警察のカン課長(チェ・ミンシク)に、任務の続行を命令されます。
その作戦名は「新世界プロジェクト」。
それは、ジャソンを組織の重要な地位に着かせ、組織を警察の意のままに動かそうというものでした。
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後継者の候補に上がったのは、チョン・チョンとNo.3のイ・ジュング(パク・ソンウン)。
カン課長は2人を対立させることで組織の壊滅を狙っていたのです。
警察内でジャソンの正体を知っている人物は、カン課長と刑事局長の2人だけでした。
ジャソンとチョン・チョンの絆
ジャソンにはもう1つ任務を終わらせたい理由がありました。
それは8年の間潜入捜査を行っていたことで生まれた、チョン・チョンとの兄弟のような絆でした。
ジャソンを右腕として信頼しきっているチョン・チョンはジャソンのことを「ブラザー!」と嬉しそうに呼んでいます。
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いい加減そうに見えても、きちんと部下を思いやったり仕事ができるチョン・チョンは、やはり組織のNo.2としてふさわしい男でした。
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チョン・チョンとの関係のこともあり、ジャソンは次第に警察に情報を流すことに後ろめたさを感じ始めていました。
また、もしチョン・チョンに自分が刑事であることがわかったら、確実に命がありません。
しかし、そんなジャソンにピンチが訪れます。
カン課長が裏でチョン・チョンに近づき、自分たちの情報を明らかにする代わりに警察に協力するよう求めたのです。
これを怪しく思ったチョン・チョンは、中国の延辺からヒットマンを呼び寄せカン課長の周りを調べさせました。
そして中国の凄腕ハッカーにより警察の情報を得ることができたチョン・チョンは驚愕の事実を知ることになるのです。
正体がバレる!?ジャソンのピンチ
ある夜チョン・チョンに呼び出されてたジャソンは、緊張の面持ちで現場へ向かいます。
「ドラム缶の中身を見てみろ」
そこで見たものは、ジャソンの囲碁の先生として潜入していた警察の連絡係のシヌ(ソン・ジヒョ)がボロボロになって傷ついている姿でした。
さらに、警察の情報を得たチョン・チョンは、この中に裏切り者がいると言って、スコップを持ち上げると、ジャソンのすぐ横にいたソンム(キム・ユンソン)の頭を殴ったのです!
自分が刑事であることがバレたと思っていたジャソンは、チョン・チョンから渡された資料を見てさらに驚愕。
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2つのドラム缶が海に沈んで行きました。
そんななか、カン課長はゴールド・ムーンのNo.3のジュングを拘留。
そしてカン課長は、このことが全てチョン・チョンが仕組んだことであると吹聴し、大人数の手下たちにチョン・チョンを襲撃しに向かわせます。
さらにカン課長は、実質引退と噂されていたゴールド・ムーンのチャン・スギ理事(チェ・イルファ)を懐柔していました。
『新しき世界』の結末
ジュングの手下たちに襲撃されたチョン・チョンは、死闘を繰り広げた末に瀕死の状態に陥ってしまいます。
ジャソンがチョン・チョンの病室へ向かうと、自分の部屋にジャソンへの贈り物があると伝えられます。
そして、「強く生きろ、これがお前の生きる道だ」と言い残し、この世を去りました。
ジャソンがチョン・チョンの部屋で見つけたものは、偽物の腕時計と自分の警察資料でした。
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チョン・チョンの心意気を感じたジャソンは吹っ切れたように、行動を開始します。
その頃、警察から釈放されたジュングはチョン・チョン殺害を企てたことで組織内での居場所を無くしていました。
そしてチャン・スギが会長に就任する日、ジャソンはスギの部下たちを懐柔しスギを襲わせます。
さらにカン課長のもとにもヒットマンを送り込み、課長のことも殺させたのです。
警察局長も延辺のヒットマンたちに殺され、ジュングもかつての自分の部下たちに襲われて命を落としました。
就任式にチャン・スギが現れないことで現場は騒然としますが、そんな中、組織の後継者に立候補したのがジャソンでした。
捜査期間中にチョン・チョンとの絆に触れたジャソンは、過去の自分を捨て、ゴールド・ムーンの会長に就任することを選んだのです。
新しく手に入れたデスクで、自分の資料を焼却するジャソン。
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【ネタバレ】『新しき世界』感想
男たちの絆と葛藤に打ち震える!韓国ノワールの傑作
韓国では公開当時青少年観覧不可だった作品にもかかわらず、468万人の観客動員を記録した『新しき世界』。
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それもそのはず、『新しき世界』には、『オールド・ボーイ』のチェ・ミンシクや韓国の一億俳優ファン・ジョンミン、『イルマーレ』や『10人の泥棒たち』に出演したイ・ジョンジェが顔を揃え、しかも初共演を果たしているという豪華ぶりなのです。
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「私は何なんですか!?」と上司に詰め寄るジャソンの姿が悲しく、全てを受け入れた決断はカッコ良すぎてシビれます。
そして、何もかも終わった後、最後にジャソンとチョン・チョンの過去映像流すのはズルすぎる演出で、思わず「くうぅ〜!」と唸ってしまいました。
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また、北野武の『アウトレイジ』、クエンティン・タランティーノ『レザボア・ドッグス』、ジョン・ウー『男たちの挽歌』などの作風を踏襲して1つにまとめあげたような作品で、2010年代の韓国ノワールの作風を確立させた作品と言っても過言ではないでしょう。
ハリウッドでリメイクされるとのことですが、この最高傑作にこれ以上のことができるのかと思うと、不安でしかありません。
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SNSでのみんなの感想・評判
映画『新しき世界』観たよ。
いきなりワッ😱💦ってなるシーンから始まって、ワワッ😱ってなるシーンが多かったけど、エレベーターの中で刺し合いシーンは凄かったぁ😱
ストーリーも良かったよ。韓国映画のサスペンスものは面白いね。#韓国映画 pic.twitter.com/VEUjHY6a2J— 👒がおがお👒 (@Gaochanxxx) August 16, 2020
イ・ジョンジェ主演のヤクザ映画「新しき世界」。「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシクや「国際市場で逢いましょう」のファン・ジョンミンをはじめとして、パク・ソンウンなどバイプレーヤーがやたらと豪華。トンカチやスコップを使った拷問が韓国映画全開でおもしろかった。
— Arai Kaoru (@araikaoru) August 13, 2020
『新しき世界』Amazonプライムビデオで鑑賞。先日「かつての香港映画の伝統は韓国映画に受け継がれているのでは」と書いたが、それを証明するような作品。古き良き香港映画のエッセンスをグッと凝縮し、そこに『仁義なき戦い』や『ゴッドファーザー』などのいいとこ取り。 pic.twitter.com/qtAcEVukGG
— ぼのぼの (@masato009) August 10, 2020
『新しき世界』で話題になっているのが、派手なアクションシーンと暴力描写です。
冒頭から血だらけのおっさんがドラム缶にコンクリ詰めにされて海に落とされるという、衝撃的な映像で始まります。
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他にも、ナイフ、バット、ゴルフクラブ、なんでもあれの暴力三昧の世界。
後半、ファン・ジョンミン演じるチョン・チョンの見せ場であるエレベーター内での刺し合いは恐ろしい以外の何物でもありません…。
銃社会である欧米とは違い、韓国ノワールでは刃物を使った戦闘が主流。
もちろん銃も出てきますが、割合的にはそんなに多くありません。
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『新しき世界』キャスト・あらすじ・ネタバレ感想まとめ
マルコヤマモト
- ファン・ジョンミンの狂気を纏った演技、イ・ジョンジェのラストの表情が素晴らしい!
- 拷問や暴力描写が苦手な人は注意!しかしながらアクションシーンは秀逸!
- 香港映画、ギャング映画のいいとこ取りで、2010年代の韓国ノワールを代表する作品
まさか男同士の友情でここまで唸らされるとは思いませんでした。
マルコヤマモト
韓国ではイ・ジョンジェとファン・ジョンミンの『新しき世界』以来の共演作、『ただ悪から救いたまえ(原題)』が公開されており、こちらもすごい勢いでヒットを飛ばしています!
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