松本まりかは、サイパンの苦い思い出を克服すべく、現地の人々の案内で様々な角度から取材をしていました。
そんな中、ラジオ番組に出演した松本の元に、テニアン島のガイドからサイパン島とテニアン島にある戦争遺跡を訪れて欲しいというメールが届きます。
サイパン島の“バンザイクリフ”、テニアン島の“エイブル滑走路”を訪れた松本は、ある提案をします。
目次
ドラマ『地球の歩き方』 前回振り返り
『地球の歩き方』サイパン版担当になった松本まりか。
かつて撮影で訪れたビーチを散策した帰り、松本の腕に不思議なアザが出来ていることが分かります。
翌日、ライターの原さんから紹介された人にアザを見せると、サイパンのシャーマン『メディスンマン』の元に連れて行ってくれることに。アザの原因は、松本のことを好きな精霊のいたずらでした。
翌日、松本はマニャガハ島にある精霊が住むという巨樹を見に行き、サイパンの精霊と会話をすることが出来ました。
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バンザイクリフ
サイパン取材もいよいよ終盤。松本まりかはこれまで様々な角度からサイパンを取材してきましたが、最後は日本人が避けて通ることができない戦争遺跡を訪れることに。
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サイパン島の『バンザイクリフ』。
太平洋戦争末期、追いつめられた日本人が「バンザイ」と叫び飛び込んだ場所です。
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そんな戦争の爪痕が残る場所で、松本は戦争体験者であるリノさんと会う約束をしていました。
彼には日本人とカロリニアンのハーフだった「ミチコ」という姉がおり、彼女は当時崖に向かってたくさんの日本人が向かっていくのを見ました。
ミチコさんは日本人のような顔つきをしていたせいで、日本兵に銃を突きつけられて飛び降りるように言われた経験を持っています。
ミチコさんは逃げ出しましたが、時を経てもこの話をする時、彼女はいつも涙を流しているとリノさん。
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今や「バンザイクリフ」としか呼ばれなくなっているこの崖は、戦前までは『マツピ』と呼ばれていたそう。
『マツピ』は“太陽が沈む場所”という意味で、海の終わり、太陽の終わりを表す神聖な場所でした。
でも、戦争によって悲しい名前に変わりました。
「私はたちは平和をもたなさなければなりません」
松本は、慰霊碑の前で祈りを捧げました。
テニアン島へ
その後、一行は5人乗りの小さな飛行機に乗り、テニアン島へ向かいます。
空港では、ラジオに出演した松本に「テニアン島に来て欲しい」とメールを送った日本人ガイドの神尾美穂さんが迎えに来てくれていました。
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神尾さんはまず、古代チャモロの王様の家の遺跡や、300年続いたスペイン統治時代の遺跡を案内してくれました。
そして日本統治時代に建てられた住吉神社も訪れます。
太平洋戦争でテニアン島は激戦地となり、戦争末期の1944年にアメリカ軍が上陸すると、わずか10日間で日本人1万人以上が戦死したと言われています。
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サイパンの歴史は植民地支配の歴史でもあります。
松本は植民地時代と、今では何が大きく違うのだろうと考えます。
神尾さんは、チャモロ人としての文化を持った人が政治を行うかどうかが違う部分だと答えてくれました。
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チャモロの人々はこれまで信じていたものを変えるのは大変だっただろうに、「本当はどう思っていたんだろう」と、松本は当時のチャモロ人たちに思いを馳せます。
エイブル滑走路
神尾さんは「ここにはまだまだ日本とゆかりが深い場所があります」と言って、松本を“エイブル滑走路”に案内してくれました。
エイブル滑走路は太平洋戦争時、原子爆弾を積んだB29が飛び立った場所です。
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神尾さんは言います。ここは日本人にとっては悲しい場所ですが、アメリカ人にとっては勝利を表す場所なのだと。
そして、その戦争に巻き込まれたチャモロ人たちは、アメリカの戦勝記念式典や日本の戦死者慰霊祭などのイベントには近づきたがらないといいます。
それは何故かと言うと・・・。
「タオタオモナを起こしてしまうから」
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チャモロ人である神尾さんの夫・クリスさんが説明します。
エイブル滑走路があった場所は、元々ジャングルで精霊がたくさんいたし、チャモロの村もあったとのこと。
「精霊の許しを得ずにこういうものを作ったら、きっと何かが起きてしまうと考えるんだ」
松本は、神尾さん夫婦によって日本とアメリカ、そのどちらかの視点ではなく、現地の人々の視点を教えてくれました。
でも、サイパン島も含めて現地の人は恨んでいるとか悲しんでいるというより、「自分と君はファミリーだ」と包み込んでくれる懐の深さを感じます。
神尾さんは島に来た時、はじめは怖かったと言います。
ガイドをしていると色んなことを知ってしまう。知ってしまうと、自分は日本人としてこの島にいてもいいものかと考えるようになりました。
でも、クリスさんの両親や島の人たちは、神尾さんに「あなたが来てくれて私たちは嬉しい」と言ってくれたといいます。
戦争は日本人とアメリカ人の間のことであって、チャモロにとってはわからないことだらけです。
だけど、日本人の神尾さんがこの島のことを伝えてくれて、知ってもらうことはテニアン島の人たちにとってはありがたいことなのだと。
だから、神尾さんはチャモロの人たちに感謝をしながらガイドを続けていきたいと語ります。
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生きるための希望
サイパン島に戻った松本は、初日に原万宇伊さんのお父さんが書いた「七色のビーチ」に行きたいと言いました。
車で向かっている途中、松本はふと思いつき、ラグダビーチに寄ることに。
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その後向かった「七色のビーチ」ことマイクロビーチでは、空に虹がかかっていました。
虹を見た松本は、この海は本当に七色に変わるのかもしれないけれど、自分の経験や感情によって見え方が変わるのでは?と思いました。
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松本はこの旅で、サイパンで幸せそうに暮らしている人たちと出会い、ずっと幸せとは何かと考えていました。
それをずっと探しながら、でもなかなか見つからずにいて苦しい思いをしていたと語る松本。
でも、この旅を通して、シンプルでおおらかなチャモロの人たちの生き方は確かな希望だと確信しました。
このリスペクトと感謝があれば、生きるのは怖くないし、楽しくなる。
「これから自分の人生がガラッと変わる気がする」
松本は、夕日に照らされた海を眺めながら、笑顔でそう答えました。
ドラマ『地球の歩き方』 第9話 感想&まとめ
松本まりかさんのサイパン旅の最終日は、結構な重量のあるものとなりました。
日本人として目を逸らしてはいけないポイントでしたが、当時巻き込まれてしまったチャモロの人たちの視点を知るというのは、とても貴重だと思います。
そして、松本さんにとって苦いサイパンの思い出が、新しくポジティブになったようで良かったです。“本当の幸せ”は、松本さんが感じたようにチャモロの人たちの生き方にヒントがあるのかもしれませんね。