『ある船頭の話』あらすじ・ネタバレ感想!風光明媚な景観から語られる忘れ去られた日本の現在

映画『ある船頭の話』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『ある船頭の話』公式ページ

映画『ある船頭の話』は、俳優オダギリジョーによる初監督作品です。

シナリオの構想に10年も費やしたという渾身の一作。

ベテランのキャストを初めとして、撮影監督には世界で活躍しているクリストファー・ドイルを迎え、衣装デザインには日本が誇るデザイナー、ワダ・エミが参加。

音楽には、映画に初めて携わったというアルメニア出身の孤高のジャズ・ピアニストのティグラン・ハマシアンが大抜擢。

各々の業界で現役で活躍されているトップ・アーティストが、初監督オダギリジョーの元に集結しました。

ポイント
  • 船頭という職業を通して描かれる人生の機微
  • 日本の美しい風景、ロケ地はどこか?
  • 本作には日本人が失くしてしまった秀麗な何かがある

物語は、ある一人の船頭の姿を通して描かれる人生の悲喜交々を丹念に描いています。

来る日も来る日も、利用客を待つ船頭。そんな代わり映えのないある日、見ず知らずの少女が船頭の元にやって来ます。

穏やかだった日々が、その日から少しずつ変わり始めるのです。

『ある船頭の話』作品情報

作品名 ある船頭の話
公開日 2019年9月13日
上映時間 137分
監督 オダギリジョー
脚本 オダギリジョー
出演者 柄本明
村上虹郎
川島鈴遥
伊原剛志
浅野忠信
村上淳
蒼井優
永瀬正敏
音楽 ティグラン・ハマシアン

『ある船頭の話』あらすじ


村と町の間に流れる川で船頭をしているトイチ(柄本明)は、ひたすら渡し船を漕ぐ毎日を送っている。

人々は、川上に建設中の橋の完成を心待ちにしていた。

ある日トイチは、一人の少女(川島鈴遥)と出会う。

トイチは何も話さず身寄りのない少女と一緒に生活することになる。
出典:シネマトゥデイ

『ある船頭の話』みどころ

映画『ある船頭の話』みどころ

俳優オダギリジョーの監督作で、オダギリが長年温めていたオリジナル脚本を映画化したヒューマンドラマ。

渡し舟の船頭の人生が、ある少女との出会いによって狂い始める。

『カンゾー先生』などの柄本明が主演を務めるほか、村上虹郎、川島鈴遥らが共演。

撮影監督に『花様年華』などのクリストファー・ドイル、衣装デザインに『乱』『LOVERS』などのワダエミら世界で活躍するスタッフが参加した。
出典:シネマトゥデイ

『ある船頭の話』を視聴できる動画配信サービス

『ある船頭の話』は、下記のアイコンが有効になっているビデオ・オン・デマンドにて動画視聴することができます。

なお、各ビデオ・オン・デマンドには無料期間があります。

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注意点
  • 動画の配信情報は2019年9月30日時点のモノです。
  • 動画配信ラインナップは変更される可能性もありますので、登録前に各サービスの公式ページにて必ずご確認ください。

ご覧のとおり、2019年9月30日現在はどこのビデオ・オン・デマンドでも配信開始となっておりません。

動画配信が開始になり次第、追って情報を掲載させていただきます。

【ネタバレ】『ある船頭の話』感想レビュー

経験豊かな船頭が教えてくれる人生観

恥ずかしながら、私は船頭という仕事があることを知りませんでしたが、岸から岸へ人や物を運ぶ役割を担う今で言う運送業者のような存在だそうです。

世の中が発展し、便利になった昨今、人々の暮らしの中では必要ではなくなった職種でしょう。

しかし、都会から離れた地方では、まだ健在なのかもしれません。

都会のように橋が多く、大型の貨物船がも日常的に動いており、トラックがあちこち走っていれば、船頭の役目も自然と減ってしまいます。

本作は、そんな珍しい職業を作品のテーマにしており、こういったまったく聞いたことのない仕事を知ることができる点も映画の魅力だと思います。

知らなかったことに触れることで、新しい知識を得る楽しみ、知的欲求を刺激してくれるのです。

本作『ある船頭の話』は、今ではもうほとんど聞かれなくなってしまった「船頭」にスポットを当てており、一番の見どころとなっています。

今までに取り上げてこなかった珍しい作品で、オダギリジョーの着眼点が冴え渡る素晴らしい題材です。

映画では、舟を漕ぐ船頭の生き方が丁寧なタッチで描かれ、川を渡る人々との交流を通して、船頭の視点から見た日本の本来の美しい姿を表現している点にも注目してほしいですね。

作品のロケ地が気になる日本の風景

本作でもっとも注目する点は、山や川、緑といった自然に囲まれた田舎の景色です。

カメラは、移ろい行く季節の変化を鮮明に捉えており、日本にもこれほど目に焼き付けたいと思うような美しい場所があるという事実を再認識させてくれます。

映画を観ながら、こんな風景は一体どこにあるのかと思わせくれるほど、ひとつひとつ場面のショットが強く印象的です。

調べてみると、映画の撮影のロケーションは、新潟県阿賀町、福島県只見川、只見川「霧幻峽」と広範囲で撮影が行われています。

自然が少しずつ少なくなってきている日本で、本作に登場するような素晴らしい場所がまだ残っているのは本当に貴重としか言いようがありません。

また、この美しいロケ地を映像として残しているのは、撮影監督のクリストファー・ドイルという方です。

彼のカメラ撮影の技術は非常に高いテクニックを持っており、特に得意としているのは水の写し出した映像をカメラに収める技術と、自然の光を活かしたカメラワークに対する評価を得ている人物なのです。

この度、撮影監督として招待されたのは、彼のテクニックが長けている点です。

本作の物語には、自然の中と水辺がメインとなる場面が多くあります。

まさに、クリストファー・ドイルの撮影技術が、本作とマッチした形になるというわけです。

彼は外国人という視点から見た日本の風景を端正に切り取ってくれており、日本人が知らない日本の景色を表現してくれています。

この点もまた、本作の注目すべき点と言えるでしょう。

『ある船頭の話』には日本人が忘れかけている何かがある

本作『ある船頭の話』には、日本が忘れている美しい何かがあると思います。

それは、一体なんでしょうか?

  • 人々の生活が豊かとなり、世の中が便利になった現代。
  • 昔あった人と人との絆や人情。
  • 都市開発で消えつつある壮大な自然の風景。
  • どんな職種であれ、働けるという仕事の大切さ。
  • 様々な事柄が失いつつある昨今。

その中でも、本作に登場する老いた船頭の人生を通して描かれるのは、日本がずっと昔に大切にしていた人と人との関わり方でしょう。

川を渡る一瞬の時間も大事にする船頭は、船に乗り込む一人一人の会話や交流を寵愛します。

一日でたった一人しか利用しない日があっても、誰かの役に立つことが船頭の仕事です。

俳優、柄本明演じる小さな渡し舟の船頭の人生を通して描かれるのは、利便性が高まった社会で、過去に置き忘れてしまった真の美しさなのです。物語に登場する老人の堂々すぎる姿勢に心打たれます。

自然の大切さ、人間同士の繋がりや人情、『ある船頭の話』は今の社会で生きている私たちに何が本当に大事なのかを教えてくれています。

『ある船頭の話』まとめ

以上、ここまで映画『ある船頭の話』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 船頭を通して人生の大切なことを気づかせてくれます
  • ロケ地が気になるぐらい、風景が美しい
  • 何が本当に大事なのか、『ある船頭の話』は丁寧な語りで伝えています