20代を代表する人気実力ともにトップの名女優・有村架純。
ドラマも映画も引っ張りだこで休みがないのではと思うほど精力的に活動しながらも、柔らかく美しい魅力にはますます磨きがかかっています。
今回は可憐な女性も強い女性も自在に演じ分ける有村架純のおすすめ出演映画を10本厳選して紹介します!
目次
有村架純出演おすすめ映画10選
アイアムアヒーロー
花沢健吾の同名漫画を、『GANTZ』や『図書館戦争』などSF作品の実写化で実績を残してきた佐藤信介監督が映画化した日本初の本格ゾンビパニックホラー作品です。
売れない漫画アシスタントの鈴木英雄35歳が、突如人々が凶暴化して襲い掛かる「ZQN(ゾキュン)」パンデミックに巻き込まれ、勇気を振り絞って戦っていくという等身大の男の成長譚で、大泉洋の名演もあって非常にグッときます。
また、ZQNの容赦のないえぐいビジュアルと、R!5指定で済んだのが奇跡のようなやりすぎなゴア描写も見どころ。
アクション映画としてもすぐれており、銃撃戦も弾着描写も本格的で、洋画ホラーファンでも大満足間違いなしです。
有村架純は英雄と偶然出会い、その後ZQNウイルスを保菌しながらも狂暴化しない特殊体質と判明する女子高生・早狩比呂美を演じました。
初登場時の可憐で守ってあげたい雰囲気から、半ゾンビ化して物言わぬ強者となる後半のゾッとするような冷たい表情まで巧みに演じ分けています。
今となっては貴重な制服姿も見どころです。
何者
朝井リョウの同名小説を演劇界の奇才にして『ボーイズ・オン・ザ・ラン』『愛の渦』など攻めた映画を手掛けてきた三浦大介監督が映画化した、就活が題材の青春群像劇です。
佐藤健、有村架純、菅田将暉、二階堂ふみ、岡田将生のメイン5人に主人公の先輩役で山田孝之も出演する豪華キャストぶりで、それぞれが観客の過去や自意識をえぐるような痛々しくもがく若者を演じています。
企業に採用されない、というだけでそれまでの人生が否定されたような気分になってしまう「就活」という残酷なシステムと、自意識が暴走してしまう危険な場でもあるSNSというツールを意地悪でリアルな目線で描いており、誰もが無関係では見ていられないような気分にさせられます。
有村架純は佐藤健演じる主人公・拓人がずっと思い続けていたヒロイン・田名部瑞月を演じました。
入学時の初々しい雰囲気から、自分の人生に直面してシビアな決断をする4年生としての一面、そしてすべてを見透かしているかのようなゾッとする表情まで、多彩な演技を見せています。
彼女が拓人と拓人が学生時代に作っていた演劇のことをどう思っていたのかも解釈が分かれるところで、見た後に人と小一時間語りたくなる作品です。
関ヶ原
『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』『駆込み女と駆出し男』など、現代劇、時代劇問わず骨太で硬派な映画を作り続けてきた原田眞人監督が、ついに司馬遼太郎の歴史超大作小説『関ケ原』を本格映画化した作品。
岡田准一が石田三成、役所広司が徳川家康、裏切る小早川秀秋を東出昌大が演じるなど、若手、中堅、ベテラン、様々な豪華キャストが集結し、関ヶ原に集った武将たちを演じています。
それぞれの地方の武将たちがリアルな方言を早口でまくしたて、字幕も説明的なナレーションも極力削ってスピーディに話が進んでいくのも特徴で、ついていくのが大変ですが、この不親切ながらも硬派なテイストが原田眞人時代劇および原田眞人作品の醍醐味なので、慣れてくるとそこがたまらなくなってきます。
有村架純は劇中で唯一の架空の人物、謎のくのいち(隠密)の初芽を演じました。
藤堂高虎の家臣の娘、という以上の説明はなく、石田三成と恋に落ちながらもあくまで一歩引いて暗躍する謎の女という難しい立ち位置を若干24歳で見事に演じきっています。
一瞬で敵を始末するスタントも見せるなど、有村架純の新境地的作品になりました。
ドラゴンクエスト ユア・ストーリー
超大ヒットゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズの中でも屈指の人気である92年発売の「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」を原案に作られた、本格3DCGアニメ映画です。
基本的にはオリジナルゲームのシナリオに忠実で、ハイクオリティのCGとうまく要所を抜き出した脚本でサクサク楽しく見られるのですが、終盤のあるオリジナルの仕掛けには、賛否が分かれ、激怒するファンもいました。
しかし、この攻めた姿勢もある意味見どころで、見終わって語り合うのが楽しいタイプの作品と言えるでしょう。
また、「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」でプレイヤーたち誰もが悩んだポイントであろう、「二人のヒロイン、ビアンカとフローラのどちらとくっつくか問題」にも独自解釈の結論を出しています。
有村架純は主人公リュカの幼馴染で、活発な戦士でもあるビアンカの声を演じました。
今までの有村架純のイメージなら、おとなしそうなフローラの方が合っていそうに思いますが、はつらつとした演技で、エンドロールを見るまでいい意味で有村架純とは気づかないような自然なアテレコをしています。
声優としての今後の活動も見てみたいものです。
花束みたいな恋をした
『東京ラブストーリー』『最高の離婚』など数々の恋愛ドラマで時代を席巻してきた脚本家・坂元裕二のオリジナルストーリーを『いま、会いにゆきます』『罪の声』などの土井裕泰監督が映画化した珠玉のラブストーリーです。
2人のカップルが少しだけ運命的な出会いをしたのち、恋愛が盛り上がって、一緒に暮らし、特に事件や病気や事故はないが日々の暮らしの中で気持ちが離れていってしまい別れるまでを2時間の尺でじっくり描いた、余計な要素のない「恋愛について考察する映画」となっています。
本作は大ヒットし、SNSでもバズりまくって、見た人が自分の恋愛やこれまでの人生を振り返って語らざるを得ないような、2021年の映画の中でも圧倒的な求心力を誇りました。
何よりも麦役の菅田将暉と絹役の有村架純という20代後半の俳優を代表するトップ実力派が、宛書のような役をもらって、絶妙なアンサンブルで120%の実力を発揮しており、それが本作最大の魅力と言えるでしょう。
2人のモノローグでその時々の心情が語られる映画ですが、実はなぜ主人公カップルの心がすれ違っていったのかは、繊細な表情やしぐさの中に細かく描きこまれていて、何度見ても発見があります。
別れることになってからの、爽やかなカップルの終わりの描写や、「この恋愛も無駄じゃなかった」と思える粋なラストもたまりません。
二人のファッションやしゃべり方の変化も注目ポイント。
有村架純ファンにとっても、序盤の前髪がふわふわした大学生時代のほんわかした雰囲気や一人ラーメンをする姿なども絶妙に可愛く、眼福の映画でしょう。
シライシ
バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画をつくったら~
テレ東が異常に力を入れまくっていた「バイプレイヤー(脇役)」に焦点を当てたドラマシリーズの劇場版。
2018年に急逝したバイプレイヤー界の超大御所・大杉漣さんの念願の企画でもあり、笑いながらも最後はエモくなってしまう演出も含まれた作品です。
ドラマと変わらず、松重豊、田口トモロヲ、光石研、遠藤憲一らを中心とした実力派俳優たちの絶妙なアンサンブルが描かれており、出てくるメンツの豪華さだけで飽きない贅沢な映画。
そんな彼らが本人役で、スタジオ「バイプレウッド」でオリジナルの映画を作るという出オチで終わりそうなネタっぽい設定を最後まで笑いとドラマでしっかり彩っており、脚本も見事です。
本作には天海祐希や役所広司ら「主演級俳優」も出ているのですが、そんな中に有村架純も若手の主演級俳優代表として本人役で出演しています。
礼儀正しい若手女優…かと思いきや先輩の中年俳優たちに「ため口呼び捨て」で接したりする自由かつ嫌味のない奔放なキャラとして出てきて、新たな魅力を発揮していました。
本人が実際にそんなキャラなのかはわかりませんが、有村架純なら許されるし、先輩俳優たちもうれしいだろうなと思わされてしまう圧倒的な説得力があって、やはり現代を代表するスターだと再認識させられます。
るろうに剣心 最終章 The Beginning
和月伸宏の人気ジャンプ漫画の佐藤健による実写化作品シリーズの完結編。
原作とは順番を変えて、主人公・緋村剣心がなぜ「殺さず」の誓いを立てたのか、頬に十字の傷を作ったのかを描く過去編「追憶編」を最後に持ってくるという斬新な構成になっています。
これまでの剣心は逆刃刀で人を殺さずに戦っていたので、チャンバラ時代劇にはつきもののの流血描写がなく、少し物足りない点でもあったのですが、こちらは「人斬り抜刀斎」として維新の邪魔になる人間を容赦なく斬り殺していた激動の幕末が舞台なので、最初からフルスロットルでエグイ殺陣が繰り広げられます。
剣心と沖田総司のバトルまであり、大きな見どころです。
そして、原作から剣心の人生を変えた運命の人として描かれている女性・巴を、幻想的な美しさで体現したのが有村架純で、彼女の可憐さ、儚さ、強さが物語の推進力になっています。
佐藤健とは3度目の共演で、絶妙な呼吸で多くは語らずとも深く通じ合った関係性を体現しており、彼女の身に悲劇が起きるまでのつかの間の幸せな日々も、アクションとは別の魅力がありました。
それまでのシリーズ全体の評価を決めるような重要作の最重要な役どころを見事に演じきり、高い評価を受けています。
映画 太陽の子
太平洋戦争末期、京大で原子力爆弾を作ろうとしていた研究者たちと、その中の一人である科学者・石村修とその兄、幼馴染ら、時代に翻弄された若者たちを描いた青春群像劇戦争映画です。
NHKで放送され好評を博したドラマを劇場用に再編集し、新たな視点も加えています。
単に戦争の悲劇を描いたお涙頂戴作品ではなく、間違ったものでも作ることに快感を覚え、善悪を超えてのめりこんでしまう「創作者」の功罪まで描いた『風立ちぬ』にも通じる深いドラマです。
柳楽優弥が研究にのめりこむ主人公を熱演しているほか、2020年に急逝した三浦春馬も遺作となってしまったものの家族のために戦地に行く好青年の兄を実在感たっぷりに演じています。
そして、有村架純は修たちの幼馴染で、建物疎開で家を追われたヒロイン・朝倉世津役でした。
不安定な時代に病気の親族を抱える儚いヒロイン、と思いきやしっかり自分の意見を持って戦争が終わった後の未来まで見据えた新しい時代の女性を演じています。
彼女の童顔に反した低くて凛とした声が最高にハマる役で、彼女が終盤に海辺でままならない世の中について叫ぶ場面は本作の白眉の一つです。
人と仕事
コロナ禍で大きく変容した2020年以降の社会で「人と仕事」に注目して製作されたドキュメンタリー。
スターサンズの気鋭のプロデューサーで『新聞記者』や『パンケーキを毒見する』を手がけた河村光庸のアイデアであり、コロナの影響で有村架純と志尊淳の主演作が撮影延期になったことがきっかけで二人が様々な人々にインタビューするという内容になった、異色の豪華な布陣の作品です。
マスク姿のトップ俳優たち、というだけでも眼福で新鮮ですが(笑)、それ以上にいろんな仕事の話を聞いて2人がなぜ自分たちが「役者」という仕事をしているのか考え始める部分も見どころで、等身大の姿が収められています。
もしかしたら本作の経験がさらなる転機になるかもしれません。
介護士、保育士、農家などのエッセンシャルワーカーから、夜の世界のお仕事まで様々な人々の様々な事情も丁寧に拾っており、社会派ドキュメンタリーとしても非常に見ごたえがあります。
前科者
原作・香川まさひと/作画・月島冬二が犯罪を犯した「前科者」に寄り添う無償ボランティアの公務員である「保護司」を描いた社会派漫画の実写化で、WOWOWで放送された全6話の『前科者 新米保護司・阿川佳代』に続く物語です。
なかなかやり直しがきかない日本社会の現状も描きつつ、「罪を償うとは何か」「人が人を許すには何が必要か」というヘビーで普遍的なテーマをじっくり描いており、『あゝ荒野』の岸善幸監督の骨太な手腕が発揮されていました。
主人公の佳代を演じる有村架純は、オーラを封印して眼鏡のコンビニ店員兼保護司を演じています。
彼女の生真面目な雰囲気がそもそも役にピッタリですし、慈愛の溢れた表情から、前科者への世間の不理解や理不尽に立ち向かう凛とした姿まで、彼女の20代最後の年の役として一つの集大成的演技の詰まった作品となっています。
また、『ヒメアノ~ル』でサイコパスの殺人鬼を演じた以来の映画出演となる元V6の森田剛が前科者の工藤誠を演じているというメタ的なキャスティングも見どころです。